AIでゲームを作る方法|秋田の高校生が「なめたやり方」でUnityを動かすまで
- 秋田の「伊塾」CTO・井上ハルト君が、UnityとChatGPTでゲームを実装する手順をライブ実演
- コードを自分で書かなくていい。「完全なスクリプトを出して」という魔法のプロンプトで一発出力
- AIはプログラミングに使うと「作ったものが永久に働き続ける」という圧倒的な費用対効果がある
秋田の高校生が作る「地産ゲーム」とは何か
今日のゲストは、秋田県のAI・企業教育塾「伊塾」のCTO(最高技術責任者)を務める高校2年生・井上ハルト君と、塾の運営者・高崎翔太さん、そして前回も出演した高校3年生の山崎巧くんだ。3人とも秋田在住で、伊塾という場でAIと企業教育を小中学生に届けている。
ハルト君が開発中なのが、秋田県をモチーフにしたRPGゲームだ。秋田県の形をそのままマップとして使い、各地域の名産や文化を象徴するキャラクターが登場する。ゲームを起動すると「秋田に行くことになって……」というストーリーが始まり、各地にキリタンポヤンキーをはじめとした秋田のキャラたちが配置されている。実際に起動して動いているのを見たとき、「ファミコンっぽいけど、ちゃんとキャラが動いてる!」という感覚だった。
キャラクターのデザインは「くるくり君」というゲームシリーズのデザイナーさんに依頼していて、ここはあえてAIを使わない選択をしているのも面白い。「AIを使わない」という判断もできるのが成熟した活用者の証拠だ。デザイナーさんのタッチを活かしたキャラたちが、AIで動くゲームの世界に生きている。この組み合わせ方が、ハルト君のセンスを感じさせる。
さらにECの機能も内蔵していて、ゲーム内のアイテムをその場で決済リンクで購入できる仕組みまで作り込んでいる。ゲーム内でポイントを計算して「買う」を押すと自動で決済リンクが生成され、実際の購入につながる。「マジすごい」と声が出るくらいの完成度だった。
伊塾とはどんな場所か——小中学生にAIと企業を教える未来型教室
伊塾は秋田県のオンライン塾で、小中学生にAIと企業を教えている。ハルト君・巧くんという高校生が塾の経営に携わり、塾生(小中学生)を教えながら自分たちも事業を回している。
ユニークなのは、伊塾の中では「全員が先生」という構造だ。学校では先生と生徒という関係にある高崎さんとハルト君・巧くんも、伊塾の中では全員が教える側に立つ。「学校では先生生徒なんですけど、伊塾内だと全員先生なんですよ」という高崎さんの言葉が、この場の空気を表している。
積極的な宣伝をしているわけではなく、イベントで出会った人を通じて広がっている。特徴的なのは、「少し生活に悩んでいる、何かしら悩みがある家庭の子どもたち」が集まりやすいということだ。不登校・支援学級経験者が多く、オンラインであることが強みになる。「お子さんが外に出ないんです」という相談に「うちはオンラインなのでそういうお子さんには最適です」と言える塾だ。巧くん自身も中学時代に支援学級に通っていて、このたび大学合格を果たした。
ゲームを作る・AIを使う・事業を回す——これを学校の勉強と並行してやっている10代が秋田にいる。これを「すごい才能の話」で終わらせず「自分にもできる手順」として公開してくれているのが、このライブの価値だ。僕も子どもが3人いて全員不登校なんだけど、こういう場があることをもっと知っていたら選択肢が広がっていたなと思う。
AIでプログラミングをする最大のメリット
ハルト君が「AIを何に使うのが一番おすすめですか」と聞かれたときに即答したのが「圧倒的にプログラミング」だ。その理由が明快だった。
文章生成で作ったテキストは「自分のところで使って終わる」。だがプログラミングでシステムを作らせると、そのシステムが動き続ける。リリースされれば、作ったものが永久に働き続ける。「作ったものが今度勝手にさらに動くっていうような現象になって、勝手に広がっていく現象になりやすくなる」とハルト君は言った。
料理で例えるなら、文章生成は「一食分の料理を作る」こと。プログラミングは「レシピと調理ロボットを作る」こと。後者は一度作れば何千食でも提供し続けてくれる。算数で言えば積み上がり方の桁が違う。この「費用対効果の桁が違う」という感覚は、実際にシステムを作って動かした人でないと分からないかもしれないが、ハルト君の言葉を聞いてすごく腑に落ちた。
「なんか算の効果が大きいんじゃないかなって思う。得感が多い気がするんですよね」というハルト君の表現が好きだった。プログラミングは苦手意識を持つ人も多いが、AIが書いてくれるならその苦手意識ごと飛び越えられる可能性がある。
「完全なスクリプトを出してください」という魔法の言葉
ハルト君がライブで実演してくれた手順がこれだ。UnityでゲームキャラクターのプレイヤーIDを左右に動かすスクリプトをAIに作らせる場面だ。事前にゲームの概要をChatGPTに学習させておいて、そこからプロンプトを投げる。
ChatGPTへのプロンプトはたった2行。
このゲームのプレイヤーの動きを作りたいです。まずはシンプルに左右の動きを実装してください。スクリプトは完全なスクリプトを出力してください。
「完全なスクリプト」というのがポイントだ。これを入れないと途中が省略されたり、「…ここに処理を追加してください」という半端な出力になることがある。完全版を指定することで、コピーしてそのまま貼り付けられる状態で出力させる。「これが魔法の言葉」とハルト君が言っていて、実際にそのまま動いた。
ChatGPTがO1 Proを使っていたため少し時間がかかったが、「このぐらいのことは鳳凰(GPT-4oのこと)でもできます」というコメントも。プロンプトが明確なら、最新モデルでなくても動くコードが出てくる。Unityが「リジッドボディ2D」という独自の重力制御コンポーネントを使うことをChatGPTはちゃんと理解した上で、コードを書いてくれた。
Unityへの貼り付けは「中身を確認しない」で動かす
AIが出力したスクリプトをコピーして、Unityのスクリプトエディタに貼り付ける。スクリプトの名前を「PlayerMovement」などにしてクリックすると、エディターで中身を確認できる状態になる。でもハルト君はここで中身を確認しない。「めんどくさいんで中身は確認しません」という潔さがすごい。
ハルト君が言った言葉が面白い。「エンジニアが見たら切れるような、なめたやり方でやります」——コードの中身を確認しない。エラーが出なければ動くとみなして進む。これがスピードを生む割り切りだ。エラーが出ると左下に赤い文字が表示されるので、それがなければそのままプレイヤーオブジェクトにドラッグ&ドロップして動作確認する。
「エラー出ると左下のここに赤く文字が出るんですけど今出てないんですよ」という確認だけで進んでいく。動作確認の手順もシンプルで、2というプレイヤーオブジェクトにスクリプトをドラッグ&ドロップするだけ。「ドロップするとここに入ってますよ。プレイヤームーブメント……」という感じで、ハルト君が実際に動かしながら説明してくれた。
もちろんエラーが出たら、そのエラーメッセージをそのままAIに投げて「修正してください」と頼む。このループで大抵のことは解決できる。「このやり方でやるのでぜひ見ててください」という自信が、実際に動いて証明された。
プログラミングができなくても大丈夫な理由——現象を分解する力
ハルト君が「プログラミングができなくても必要な力がある」と言ったのが「物事の現象を分解して考える力」だ。これが最も大事な話だったと思う。
秋田竿燈祭りのバランスゲームを作りたいとする。その時に「バランスゲームを作って」とだけ頼んでも、AIはうまく動けない。「まず左右移動を実装する」「次に棒が揺れる物理演算を追加する」「揺れの強さによってキャラクターの表情を変える」という風に、現象を要素に分解して一つずつ指示できれば、AIはそれを実装してくれる。「その工程が100個あるんだったら、その1個ずつ分解をしていく」という考え方だ。
実装する前にChatGPTに「こういうゲームを作りたいが、どんな要素に分解できるか」と聞くのも有効だ。「ちなみに分解もChatGPTに聞くのがおすすめ」という一言が面白かった。分解の補助さえもAIがやってくれる。事前にChatGPTに「関東祭りみたいなゲームを作りたい。細かくアイデアを考えてください」と頼んでいたら、細かく分解して出してくれたという。
画像生成についても触れた。ゲームのキャラクター素材の一部はChatGPTで生成したものを使っていた。「こういうの出てきて子供みたいな感じだったので青年にしてみたいな感じで調整した」というように、画像生成→調整→ゲームに組み込むという流れもAIで完結できる。ただし人物キャラのデザインだけはデザイナーさんに依頼——この「どこをAIに任せてどこを人に頼むか」という判断が、ハルト君の成熟度を示している。
ゲームとECを融合させる発想力——秋田発の地域活性化モデル
ハルト君が作ったゲームにはECの機能が組み込まれている。ゲーム内でアイテムをポイント購入する操作をすると、自動で決済リンクが生成されて実際の購入につながる仕組みだ。これもAIでコードを書いた。
「ふるさと納税と絡めたら面白い」という僕のアイデアを聞いて、ハルト君は「採用します!5万円ありがとうございます」と即答した(笑)。秋田の文化を体験しながら応援できるゲーム。これは単なる趣味のゲーム制作ではなく、地域活性化の新しいモデルになりうる発想だ。ゲームで秋田を知って、ふるさと納税で秋田を応援する、という流れが自然に生まれる。
補助金を集めながらゲームを作るという視点も出てきた。「秋田をベースにしたやつだったら補助金とかを集めながらゲームを作れるかなって思ってる」という高崎さんの発言も印象的だった。地域活性化の文脈で補助金の対象になる可能性があり、ビジネスとして動かす目線が最初からある点がすごい。高校2年生が、単なるゲーム制作を超えて「これをビジネスにする」という視点を持っている。
ゲーム内の決済をAIで作った、ふるさと納税との連携を考えている、補助金を集める構想がある——これは「AI×地域×ビジネス」の教科書的な事例だ。秋田という地域の特色を最大限に活かしながら、テクノロジーで可能性を広げている。伊塾での教育が「AIを使って事業を作る」という実践につながっているのが、この事例だ。
ゲームから学べること——「やる側」から「作る側」への転換
「これからは作る側に回ってくる時代になってくるな」というのが、このライブを通じて感じたことだ。今まではゲームをやる側だった。でも今や高校生がAIを使って、自分の地域のゲームを作れてしまう。その敷居がグッと下がった。
僕の子どもたちもマインクラフトやモモテスが大好きで、ゲームの世界からも学べることがたくさんあると感じている。ゲームは「目標を設定して、試行錯誤しながら達成する」という構造を自然に教えてくれる。そこにAIでの制作体験が加わると、「遊ぶ→作る」という転換が起きる。
「プログラマーが見たら切れるようなやり方」を公開することには大きな価値がある。完璧を求めず、とにかく動くものを作ることを優先する姿勢が、AI時代のプロトタイピングの基本だ。エラーが出たらそのままAIに投げる、中身は確認しない、動けばOK——このスタンスが、作る敷居を下げている。完璧主義より「まず動かす」が勝つ時代に入っている。
よくある質問
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