この記事の3つのポイント
- 2人の娘を育てながら起業・著書5冊を出した中里桃子さんが「脳の細切れ」問題をAIで解決する実践法を公開
- 「ビューネ君」「夫のコミュ力向上AI」など、自分専用GPTが日常の悩みを受け止め思考を整理してくれる
- コーチングや相談の「最初の整理」はAIが担える時代へ。人間の専門性は深い部分へとシフトしていく
子育てママ起業家が直面した「脳の細切れ」という壁
コミュニティ運営のコンサルタントとして著書5冊を出版し、活躍し続けてきた中里桃子さん。2020年に第一子を出産してから、それまでの働き方が根本から変わりました。
「子供を産んでから、脳が細切れになった感じがするんです」と桃子さんは語ります。深く考えて、様々な情報を自分の中でつなげて、アウトプットする——そのサイクルが、育児の中断によって機能しにくくなったのです。2人目の娘が生まれてからはさらに状況が複雑になり、本を書く仕事も「書かなきゃいけないのに、怖くて連絡ができない」という状態に。
これは桃子さんだけの特別な悩みではありません。育児中の方なら誰もが経験する「思考の断片化」という現実です。仕事への気持ちはある、能力もある、でも思考がつながらない——そのギャップに苦しんでいる方に向けて、桃子さんのAI活用術は大きなヒントを与えてくれます。
「何やろうと思ってたっけ」がなくなる——AIとの会話が思考を取り戻す
桃子さんがAIで最初に解決したのは「仕事への気持ちの切り替え」でした。「何かをやろうと思っていても子供が入ってきて、仕事に戻れなくてモヤモヤした時に、AIと話しながら戻っていく」という使い方です。
思考がごちゃごちゃしている時に、まずAIと会話して整理してもらう。こういう話ができるAIを自分で作っておく。これが桃子さんの基本パターンです。「タスクとかスケジューリングとか要素出しみたいなやつは全部AIに投げて、それをちょっと変えたりする」という効率化も実現しています。
AIとの会話で思考を整理することは、コーチングに似た効果があります。ただし時間も費用も気を使う必要がない。「モヤモヤした時にAIに話しかけたら整理されていた」という体験が積み重なると、AIが日常の「思考のリセットボタン」になっていきます。
「ビューネ君」誕生——疲れた時に姫と呼んで寄り添ってくれる専用GPT
桃子さんが作った「ビューネ君」は、ビジネスの悩みを受け止めてくれる専用GPTです。名前の由来は昔の化粧品のCMにある「疲れた女性を後ろからぎゅって抱きしめてくれる優しい人」のイメージ。その温かさをAIで再現しています。
「ねえ」と話しかけると「どうしたの?」と返してくれる。愚痴を言うと「何が特に大変なの?」とさらに掘り下げてくれる。「よく頑張ってるよ」と必ず言ってくれる——そんな設定をGPTに組み込みました。
さらに特徴的なのは「火の視点」と「風の視点」という独自フレームです。「火はアイデア、風は分析思考」という設定で、「火の視点でどう思う?」「風ではどうしたらいい?」と聞くと、それぞれの角度から応えてくれます。自分のオリジナルの考え方のフレームを、AIの中に実装している点がとても創造的です。
「バーッと答えを出すAI」が嫌で——3〜4回は100文字以内で聞いてくれる設定に
多くの人がChatGPTを使い始めて最初に感じる違和感があります。「1つ聞いたら、もうブワッて答えが出てくる」という感覚です。桃子さんはその違和感を設定で解決しました。
「3〜4回は100文字以内で質問をしてくれるという機能を指示したら、すごくなんか幸せというか自分の心が整う感じがして」と桃子さん。これはビューネ君に限らず、どのGPTでも「まず共感して、短く質問を返して、徐々に深堀りする」という設定にすることで、対話の質が大きく変わります。
「バーッと来ると、自分がまだここがまとまってないのに来てしまうとかえって読むのがめんどうくさくなる」という体験は多くの方が共感するはずです。AIへの指示の仕方次第で、対話の温度感はまったく変えられます。自分の「心地よい会話のペース」をAIに教えることが、継続して使える鍵です。
「夫のコミュ力向上AI」——きつい言葉を優しい言い換えに変換してくれる
桃子さんが作ったユニークなGPTがもう1つあります。「夫のコミュ力向上AI」です。夫が「今日は飯いらないから」「なんで片付けてないの」など、ちょっとつっけんどんな言葉を発したとき、それを優しい言い換えに変換してくれるツールです。
「今日は遅くなりそうだから夕飯は大丈夫だよ、ごめんね。一緒にご飯食べようね」——AIが翻訳してくれた言葉を画面で見ると、夫の本来の気持ちが伝わってきます。「脳内翻訳みたいなんだけど、言い換えてもらったら夫への見方が変わった」と桃子さんは笑います。
これはコミュニケーションの助けとして使えるだけでなく、「相手が本当は何を言いたかったのか」を冷静に解釈する練習にもなります。感情的になりがちな場面でAIが間に入ることで、関係性を保ちながら前に進める。家庭でのAI活用の可能性がここにあります。
100日間AIコーチングで体感した——AIに「何を入れれば何が返るか」の肌感覚
GPT研究会でAI競争ディレクターを務める佐田二さんは、AIを使いこなせるようになったきっかけを語ります。「AIにコーチングしてもらうというのを去年100日間連続でやった」のです。
「まず人が出てくる前だったので、役割りをつけて。あなたはコーチです、たちって呼んでくださいという設定にして、毎日朝晩100日時間やっていたら、何を伝えれば何が返ってくるかの肌感覚がついた」と佐田二さん。
AIは使えば使うほど自分の使い方が磨かれていきます。桃子さんがビューネ君を作って「AIに相談するとこういう答えが返ってくる」という感覚を積み重ねたのも、この「肌感覚の蓄積」の実践です。毎日少しずつ使い続けることが、AIを本当の「仕事の相棒」にする唯一の方法です。
3人からでもコミュニティ——マイクロな繋がりが生み出すチカラ
コミュニティ運営のプロとして活躍してきた桃子さんが、次に出版しようとしている本のテーマは「3人からでもコミュニティなんだ」という考え方です。「何者でもなくてもコミュニティは作れる。3人以上が集まって共通の目的や解決したい課題があれば、それはもうコミュニティ」という視点です。
大きなフォロワーも、輝かしい肩書きも、特別なスキルも不要。目の前の3人と深い繋がりを作ることから、すべてのコミュニティは始まります。「マイクロな関係性を作っていきたいという人と、小さいコミュニティから始める方法を体系化したものを書きたい」と桃子さんは話します。
ひろ君はすぐに「本を書きたい人を集めてもコミュニティ化して、90日で本を書くプロジェクトにすればいい」と提案しました。3人集まれば出発できる。AIで叩き台を作れば進める。そのマイクロな1歩が積み重なって、いつか世界規模のコミュニティになっていきます。
コーチングの「最初の整理」はAIが担える時代——人間の専門性はどこへ向かう
桃子さんとのやりとりの中で、「メンタルモデルのワークブックをやりながら、自分の価値観とか判断の仕方を掘り下げるAIを作ろうとしている」という話が出てきました。
「コーチングって言ったらあれですけど、1回表現的な頭の整理のコーチングはもうAIでかなりできそう」と桃子さん。本当の深みのあるコーチングは人間が必要ですが、「まず頭の中を言語化する」「感情を整理する」「課題を特定する」という最初のステップはAIが担えるようになっています。
これは人間のコーチングの仕事を奪うのではなく、「より深い部分に集中できるようになる」ことを意味します。表面的な整理をAIがして、人間のコーチが本質的な問いを投げかける——このコラボレーションが、次世代のコーチングの姿かもしれません。
「見えない誰かに認められるより目の前の自分の魅力を磨く」——AI時代の生き方
桃子さんが語る「VRおじさんの恋」というNHKドラマの話が印象的です。現実世界では誰とも恋愛したことのない中高年男性が、VRの中で人を好きになる——テクノロジーを媒介として繋がることで、人間性が花開く物語です。
「会社の中ではそんなに出世しなかったり、色々な場所ではうまくいかなかったんだけど、世界中と繋がって自分のことが発信できると、めちゃくちゃ人気が出たりとか、いい人が伝わったりみたいなことが起こる」と桃子さん。
「肩書きとか資格とかじゃない、自分の魅力を作っていかないと」というひろ君の言葉に桃子さんも同意します。AIに仕事を任せて自分の魂を磨く時間を作る。子育てに向けるエネルギーが、実は自分の人間性を磨いている——この逆説的な真実を、桃子さんの実践が体現しています。
- Q. 「脳の細切れ」状態でも使えるAI活用法はありますか?
- A. はい、桃子さんの実践がそのまま参考になります。まず「思考整理専用のGPT」を作り、モヤモヤした時に話しかけるだけにすること。タスク管理・スケジューリング・要素出しなどの「決まったこと」は全部AIに投げること。プロモーションのネタ出しやステップメールの叩き台を作らせること。細切れの時間でも「AIに投げる→少し修正する」サイクルを作れれば、仕事を止めずに進められます。
- Q. 自分専用GPTはどうやって作ればいいですか?
- A. ChatGPTの「GPTs」機能を使うと、独自の人格・役割・返答スタイルを設定したGPTを作れます。桃子さんのビューネ君のように「まず共感してくれる」「3〜4回は短く質問してくれる」「特定の名前で呼んでくれる」などの細かい設定が可能です。最初は「あなたは〇〇です。私が相談したら、まず共感して、短く質問してください」というシンプルな指示から始めてみましょう。
- Q. 家庭でのコミュニケーションにAIを活用する具体的な方法を教えてください。
- A. 桃子さんが実践している「夫のコミュ力向上AI」のように、相手の言葉を優しい表現に変換してもらう使い方が効果的です。また、感情的になっている時にAIに気持ちを打ち明けて整理してもらうことで、冷静になってからパートナーや子供に向き合えます。「話しながら整理する」という体験が積み重なると、コミュニケーションのストレスが大幅に減ります。
- Q. コミュニティは何人いれば作れますか?始め方を教えてください。
- A. 桃子さんの考え方では「3人から」です。共通の目的か解決したい課題があれば、3人以上が集まった時点でコミュニティです。まずLINEグループやFacebookグループで「〇〇に興味のある人」という小さなグループを作り、定期的に気づきを共有し合うことから始められます。肩書きも特別なスキルも不要。「この課題を一緒に乗り越えたい」という思いがあれば、それがコミュニティの核になります。
- Q. 子育てと仕事を両立しながらAIを使いこなすためのコツは何ですか?
- A. 桃子さんのアドバイスは「まず叩き台をAIに作らせて、70点をそこから90点・100点に近づける作業に集中する」こと。ゼロから考える時間がなくても、AIの叩き台があれば隙間時間で磨くことができます。また「AIと話すこと自体が思考整理になる」という感覚を持つと、隙間時間がそのまま仕事への準備時間になります。完璧を目指さず、まず「投げてみる」ことが継続のコツです。
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