ChatGPTのGPTs、プロが使う「短いプロンプト」の秘密とは?天開一AI魔道会で明かされた技法
- GPTs日本使用回数5位の達人が、驚くほどシンプルなプロンプト設計を公開。「命令+出力例だけ」で1,000回以上使われるGPTSが作れることが判明した
- ナレッジはファイルより直接プロンプト内に書く方が精度が上がる。RedditリーダーGPTはプロンプト一行もなし、APIアクションだけで3,400回以上使われている
- ドラゴンボールの天下一武道会をモチーフにした第1回天開一AI魔道会に230名以上が視聴。6名の魔法使いが持ち時間10分でAI活用術を披露し、視聴者アンケートで優勝を決める形式
天開一AI魔道会とは何か?
GPT研究会が主催する「天開一AI魔道会」は、AIを使った”魔法”を競い合うライブ形式のイベントだ。ドラゴンボールの天下一武道会をモチーフに、各出場者が持ち時間10分でAI活用術を披露し、視聴者アンケートで優勝を決める。初回から230名以上が視聴するほどの注目を集めた。
ひろくん自身がドラゴンボール世代で「めちゃくちゃワクワクして見ていた」という原体験からこのタイトルが生まれた。「どんな戦いが起きるのかめちゃくちゃ楽しみ」と本番前から興奮が隠せなかった。コメントやリツイートで会を広めてほしいという呼びかけにも多くの反応があった。
出場したのは、GPTs使用回数日本5位を誇るすぐる氏(株式会社ウラベン&ベーション代表)、早稲田大学で英語学生サークルを立ち上げた大佐氏、毎朝5時にAI勉強会を運営するじ氏、自刻語プログラミング言語「ゾルトラク」で3週間1.5万ダウンロードを達成した元木氏、教育×AI分野でlxpを世界初開発中の行田氏、そしてGPT研究会のシステム担当・村木たくちゃんという豪華メンバー。
出場順もAIが決める——ChatGPTによるランダム抽選
魔道会では出場順の決定も面白い演出があった。ChatGPTに「今日の出場順、どの順番が一番盛り上がりますか?」という質問を投げかけ、AIが判断した順番で進行するという形式だ。
結果は、1番手がすぐる氏、2番手が大佐氏、3番手が元木氏、4番手が行田氏、そして大トリを務めるのが…という形になった。寝る時間を削って参加してくれたじ氏は「大トリでよかった、逆に盛り上がる」という声も出た。
コメントでは事前の優勝予想が飛び交い、元木氏への期待票が多かった。視聴者が積極的に参加する形の進行が、この魔道会を単なる発表会ではなくエンターテインメントにしていた。
「プロンプトはシンプルでいい」という気づき
すぐる氏が壇上で明かしたのは、意外なほど短いプロンプト設計だった。例えば「サムアルトマンのスタートアップアドバイスGPT」は、サムアルトマン氏がYコンビネーターのCEO時代に発信した95のアドバイスをプロンプト本文に直接貼り付けただけ。それだけで100回以上使われ、本格的なアドバイスAIとして機能している。
プロンプトの作りはシンプルだ。「#命令」のセクションにサムアルトマンのロールプレイをするよう指示し、「#知識」のセクションにアドバイス集をそのまま貼り付けるだけ。口調は関西弁で、引用する際はアドバイス番号と内容を記載し、引用部分は太文字かつ斜体にする——この程度の指示で高品質なGPTSが完成する。
料理に例えると、食材(知識・アドバイス)はナベの中(プロンプト本文)に直接入れるのが正解で、別の棚(ナレッジファイル)に入れると引き出すときにロスが生じる、というイメージだ。RAG(検索拡張)は便利だが、絶対に引用ミスをさせたくない重要情報は、プロンプト本文の8,000文字以内に直書きするのが最も確実とのこと。
プロンプトなしで3,400回以上使われたGPTSの正体
さらに驚きの事実も。「RedditリーダーGPT」はプロンプトが一行も書かれていない。海外掲示板RedditのAPIをOpenAPIとして組み込んだだけで、ChatGPTコミュニティの最新議論を取得できる仕組みになっている。使用回数は3,400回超。プロンプトよりもAPIアクションの設計が価値を生む場合があることを実証している。
ただし、このRedditのAPIをOpenAPI化するのは「めちゃくちゃ時間がかかった」とすぐる氏は言う。Redditの公式ドキュメントが整っていなくて詰まることが多く、地道な試行錯誤の積み重ねで完成させた。使用回数が多いGPTSの裏には、表に見えない努力がある。
このGPTでできることは、「ChatGPT」というRedditのコミュニティ(Discordのようなプラットフォーム)を指定して、そこで今行われている議論をリアルタイムで取得すること。AI界隈の最新の声を英語の一次情報として拾えるという点で実用性が高い。
「リスプ式プロンプトコンプレッサー」の構造
一方で1,000回以上使われた「リスプ式プロンプトコンプレッサー」は、プロンプトが数行のみ。命令とS式(リスプ形式)への変換例だけで構成されている。「おじいさんとおばあさんがいました」という文を圧縮し、トークン数を大幅に削減できるツールで、逆変換機能も例外処理として一行添えてある。
一時期バズったリスプ式(S式)プロンプト圧縮の手法は、括弧を使ってテキストを圧縮するもの。「あるところにおじいさんとおばあさんがいました」のような文が、括弧と記号を組み合わせた形に変換され、データ量が大幅に小さくなる。
シンプルさと明確な出力例が、ユーザーに使い続けてもらえる理由だという。「命令と出力例だけ」という設計思想は、これからGPTSを作ろうとしている人に一番参考になる考え方だ。長い複雑なプロンプトより、用途を一点に絞った短いプロンプトの方が、結果的に使われ続ける。
長いプロンプトが活きる「preAGI」の世界
長尺プロンプトの例として紹介されたのが「preAGI」というGPTS。「Pythonを習得したい」と一言入力するだけで、ChatGPTが人間役とAI役を演じ続ける学習ロールプレイが自動展開する。最初の一文だけでアイデアのブレインストーミングから深掘りまで対話が続く仕様で、こちらも1,000回以上使われている実力派GPTだ。
このGPTSの特徴は「ChatGPTと人間が会話し続けるロールプレイをずっとしてくれる」こと。ブレストしたいとき、アイデアを深掘りしたいとき、知識を整理したいときに使えるツールで、すぐる氏自身も頻繁に使っているという。
長いプロンプトが必要なのは、このように複雑なロールプレイの設定や、多くの制約条件を持つGPTSだ。一方でシンプルな変換ツールは短いプロンプトで十分。用途に合わせてプロンプトの長さを変えるという発想が、良いGPTS設計の鍵だ。
村木たくちゃんの役割——GPT研究会の裏側を支える人
普段あまり表には出てこないGPT研究会のシステム担当・村木たくちゃんも今回登壇した。普段の仕事は「AI同士をくっつけたり、プログラムを書いたりして、無人でビジネスが回るようにする」こと。法人のお客様に価値を提供するのがメインで、GPT研究会の裏側も同じアプローチで自動化を進めているという。
「表に出てきませんが、今日は新しい気づきや知見を得られると思ってワクワクしている」という言葉が印象的だった。裏方として黙々と動いている人がいるからこそ、毎朝のライブが成立している。
行田氏が開発するlxp——世界初の教育AIシステム
教育×AIの分野で注目すべき存在が、株式会社アダム代表の行田氏だ。著書は10万部売れ、4カ国で展開。元々は文部科学省の国家プロジェクトの研修設計や上場企業の経営者向けコーチングを手がけてきた。
行田氏が開発しているのは「lxp(ラーニングエクスペリエンスプラットフォーム)」。既存のLMS(ラーニングマネジメントシステム)の次のステージとして業界内では注目されているが、AI業界にはまだ知られていない分野だ。「おそらく世界で初めてlxpをAIで開発した」という野心的なプロジェクトで、教育の俗人化を解消し、AIによる個別最適化学習を実現しようとしている。
GPTs設計の「本当の勝ちパターン」とは
すぐる氏がまとめたGPTS作成のポイントは明快だった。「命令+出力例だけでいい」「余計なことを言わせたくなければ『それ以外出力しない』と書く」「リッチテキスト(太字・斜体)を使って引用を見やすくする」の3点。
長い複雑なプロンプトより、用途を一点に絞った短いプロンプトの方が使い続けられる。まさに料理の一品料理。一皿で完結する設計が、ユーザーにとっての「また使いたい」につながる。フルコースより、得意な一品を極めた方が愛される店になれる——GPTSも同じだ。
また、GPTSの使用回数を増やすという観点では「プロンプトを書かなくても全然大丈夫」なケースもある。APIアクションで外部データを取得する設計の方が、価値あるツールになることもある。プロンプトの長さではなく、「何ができるか」「何が価値か」を先に定義することが設計の出発点だ。
よくある質問
- GPTSを作るのにプログラミングの知識は必要ですか?
- 基本的には不要だ。プロンプトを書けるだけで十分な場合が多い。ただし、RedditリーダーGPTのようにAPIを連携させる場合は、OpenAPI仕様書の読み書きができると選択肢が広がる。すぐる氏のように使用回数日本5位を狙うレベルでも、APIのドキュメントを読みながら地道に試行錯誤することが基本だ。
- ナレッジファイルとプロンプト直書き、どちらが精度が高いですか?
- 絶対に引用ミスをさせたくない重要情報はプロンプト本文に直書きするのが確実だ。ナレッジファイルはRAG検索を経由するため、検索漏れや引用精度の低下が起きやすい。8,000文字の制限内に収まるなら直書きを優先しよう。サムアルトマンの95のアドバイスをそのままプロンプトに貼り付けたGPTSが100回以上使われた事例がそれを証明している。
- 短いプロンプトでも本当に使い物になりますか?
- なる。実際に数行のプロンプトで1,000回以上使われているGPTSが複数存在する。「命令」と「出力例」を明確に書くことが最重要で、長さよりも明確さの方が効果に直結する。「それ以外出力しない」という一行を加えるだけで、余計な出力を防いでユーザー体験が大きく改善する。
- 天開一AI魔道会はどこで見られますか?
- GPT研究会のYouTubeチャンネルおよびX(旧Twitter)でアーカイブが公開されている。ライブ当日は230名以上が視聴し、今後も第2回以降の開催が予定されている。コメントで参加しながら見ると、コミュニティの熱気が伝わる。
- リスプ式(S式)プロンプト圧縮とは何ですか?
- 文章をS式(括弧と記号を組み合わせた形式)に変換することで、同じ情報量をより少ないトークン数で表現できる手法だ。「おじいさんとおばあさんがいました」という文が括弧付きの短い記号列になり、AIへの入力コストが下がる。すぐる氏のGPTSが1,000回以上使われた背景にはこの実用的なニーズがある。
- GPTSの使用回数を増やすにはどうすればいいですか?
- 「一つの用途に絞る」ことが最も重要だ。何でもできるGPTSより、一つのことだけ得意なGPTSの方が使い続けてもらえる。さらにAPIアクションで外部データと連携させると、プロンプトだけでは作れない価値が生まれる。RedditリーダーGPTが3,400回以上使われているのは、外部データへのアクセスという唯一無二の価値があるからだ。
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