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AIで効率化したのに、なぜか会社は変わらない——深津貴之さんのnote質問箱回答から見えた「運用でカバー」の構造
2026年8月23日
家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、深津貴之さんのnote質問箱に届いた「AIで業務効率化」についての質問という記事を紹介するね。読んだ瞬間、うちのAI秘書チーム『凛ちゃん』の運用ともろに重なる話だったから、noteの内容をそのまま流用せず、自分の現場に引き寄せて解説していきます。
Cockpitのタスク一覧を眺めていて、ふと手が止まった。ブクマ化・ainews・weekly-digest……並んだ自動化の数は増えているのに、なぜか肩の荷が軽くなった実感がない。そのモヤモヤを言語化した質問が、ちょうどnote質問箱に届いていました。答えたのは、note株式会社CXOの深津貴之さん。個人の作業を速くする効率化と、仕組みそのものを作り直す効率化は別物で、前者だけを続けても構造は変わらない、という指摘は、AI秘書チーム『凛ちゃん』を運用してきた私にも刺さった。この記事では、質問と回答の中身を丁寧に追いながら、自分の現場ではどう当てはまるかまで書いていきます。
3行でわかるポイント
- 2つの効率化——AIには「個人の作業を速くする」効率化と「仕組みそのものを作り直す」効率化の2種類があり、混同すると構造は変わらない
- ダメなパターン——「人が運用で頑張る」→「AIでもっと効率よく頑張る」は、深津さんが名指しした失敗パターン
- 優先順位——先に「そもそも無くせる仕事」を無くし、次に「中長期の構造問題」を解く。個人効率化はその後という順番
note質問箱/深津貴之(fladdict)さん・note株式会社CXO/2026年8月19日回答
質問者の悩み——「AIで効率化してるのに、なぜかモヤモヤする」

質問者(note質問箱への投稿より)
本来であればプロダクト側の仕組みとして解決・自動化すべき業務を、現状は各担当者が運用でカバーしているケースがあります。
質問者の会社では、AI活用がかなり進んでいて、業務効率化の取り組みも活発だという。それ自体はいいことだ。でも、ある違和感がどうしても拭えませんでした。
本来はプロダクトや仕組みの側で解決・自動化すべき業務なのに、現状は各担当者が「運用でカバー」している。それをAIで整理・効率化しつつ、最終的に仕組みへ落とし込んでいく、という話ならすごく理解できる——質問者自身、そう書いていました。
正直、この時点でもう「あ、これ普通のAI活用の話じゃないな」と思った。多くの『AI活用進んでます』という報告は、ここで止まっています。でも、なぜ運用でカバーしているのか、という問い自体は誰も触っていない。
私がこの記事を最初に読んで感じたのは「これ、うちのAI秘書チームでも起きうるやつだ」という危機感だった。AIで作業が速くなること自体はうれしいです。でも速くなった作業が、実は本来存在しなくていい作業だったら? その問いを持たずに『効率化しました』で終わると、後で構造がそのまま残っていることに気づく。気づいた時にはもう、その運用が『当たり前』になってしまっている場合も多い。
今日からできること:直近1週間で自分やチームが『AIで速くした』業務を1つ書き出し、それが個人の作業短縮なのか、仕組みそのものの解消なのかを仕分けてみるのがおすすめです。書き出す作業は10分もあれば終わる。だけど、この仕分けを一度もやったことがない現場は意外と多い。
ボードメンバーの号令——「各自でAI効率化」が現場を個人最適化へ流す

質問者(note質問箱への投稿より)
「運用でカバーしている業務は、それぞれの担当者がAIを使って自動化・効率化していこう」という方向性が推奨されています。
さらに悩ましいのは、この方向性が現場だけでなく、ボードメンバー(経営層)自身から発信されていること。「各自でAIを使って自動化・効率化しよう」という号令は、一見、前向きに聞こえます。
もちろん、それによって個々の作業時間が短くなるという意味では、たしかに効率化です。でも「人が運用でカバーし続けている」という構造自体は、何ひとつ変わっていない。AIによって個々の運用コストを下げているだけ——質問者はそう感じていた。
経営層が号令をかけると、現場はその言葉どおりに動く。「AIで効率化しよう」の中身が『個人の作業短縮』を指しているのか『構造の作り直し』を指しているのか、そこが揃っていないと、組織全体が同じ方向を向いているつもりで、実は違う場所を掘り続けることになる。
私の会社でも、号令をかける立場は結局、私です。だから『AIで効率化して』と言う時、自分がどっちの意味で言っているのかを毎回自覚しないと、同じことが起きる。指示する側の言葉の解像度が、そのまま現場の動き方を決めてしまう。トップが『速くしろ』としか言わなければ、現場は速くすることしか考えなくなる。それは現場のせいじゃなく、号令の出し方の問題なんです。
今日からできること:次に誰かへ『AIで効率化して』と指示を出す機会に、個人の作業短縮の依頼なのか、仕組みの作り直しの依頼なのかを、1文(5秒で言える長さ)付け足してみるのがおすすめです。相手が『どっちのつもりで受け取ったか』を聞き返してきたら完了のサイン。
質問者の言語化——「そもそも頑張らなくていい仕組み」という核心の問い

質問者(note質問箱への投稿より)
「人が運用で頑張る」→「AIを使って人がもっと効率よく頑張る」ではなく、「そもそも人が運用で頑張らなくてもいい仕組みにする」ことなのではないでしょうか。
この記事の核心は、この一文に尽きると思います。質問者は、自分の違和感を実によく言語化していた。
「人が運用で頑張る」を、「AIを使って人がもっと効率よく頑張る」に置き換えても、頑張っているのは結局人間のままです。求めるべきは「そもそも人が運用で頑張らなくてもいい仕組み」——つまり、頑張る主語そのものを人から仕組みへ移すこと。
この2つ、似ているようでまったく違う。前者は同じレールの上を速く走らせるだけ。後者はレールの敷き方そのものを変える話だ。走る速度をいくら上げても、レールの形は変わらない。
この一文を読んで、正直ちょっと唸った。多くの現場は「AIで頑張る」までは行き着くのに、「頑張らなくていい仕組みにする」までは行き着かない。理由は単純で、後者のほうが時間もかかるし、うまくいく保証もないから。でも、その一段深い問いを持てるかどうかが、1年後の景色を分けます。
今日からできること:『そもそも人が頑張らなくてもいい仕組みにできないか』を、次にAI導入を検討する時の最初の質問として、メモアプリでもいいので書き留めておくのがおすすめです。
深津貴之さんの回答——「ダメなパターン」と名指しされたもの

深津貴之さん(note株式会社CXO)
おっしゃるとおり、「人が運用で頑張る」→「AIを使って人がもっと効率よく頑張る」はダメなパターンです。
この質問に対して、深津貴之さんは短く、しかしはっきりと答えています。深津さんはnote株式会社のCXO(Chief Experience Officer)で、THE GUILDというクリエイティブ集団の代表でもある人物。日々「プロダクトの仕組みで解決する」立場から発言している。
その深津さんが、質問者の懸念をそのまま追認した。個人の作業を速くするだけのAI活用は「ダメなパターン」だと、名指しで言い切った。組織批判ではなく、優先順位の問題として答えている点もポイントだ。質問者が「これは終わりの始まりでしょうか……」と自嘲していたのに対し、深津さんは悲観論には振りませんでした。
ダメなパターンだと名指しされて終わり、じゃないところが深津さんらしいなと思います。問題を指摘するだけの人はたくさんいる。でも、じゃあどうすればいいのかまで踏み込んで答えるのが、本当に現場を知っている人の回答だ。しかも、この短さで。長々と理屈をこねる必要すらなかった。
今日からできること:今動いているAI活用を3つまで紙に書き出し、それぞれに『個人効率化』か『ダメなパターン』かを丸をつけてみるのがおすすめです。5分で終わる。1つでも丸が付いたら要注意。
優先順位——「無くす」が先、「効率化」はその後

深津貴之さん(note株式会社CXO)
イケてる人たちは「AIで、ビジネスにインパクトのない仕事をそもそもなくす」に先に取り組んだり、「中長期の構造問題を解決する」というのが大事です。
深津さんが示した優先順位は明快です。①ビジネスにインパクトのない仕事をそもそも無くす。②中長期の構造問題を解決する。この2つが先に来るべきで、個人の作業効率化はその後という立場。
「無くす」が最初に来るのが面白い。効率化というと、つい「速くする」から考えがちだけど、深津さんは「そもそもやらない」を先に置いている。速くする対象を選ぶ前に、対象そのものを疑うということです。
次に「中長期の構造問題を解決する」。これも、目の前の作業ではなく、その作業を生んでいる構造の側にメスを入れる話。個人効率化は、この2つをやり切った後に来る、いわば仕上げの工程になります。
この順番、なんて実務的なんだろうと思った。理想論を語っているわけじゃなく、『まず無くす、次に構造、最後に個人』という、明日から使える手順を渡してくれています。順番を間違えると、無くせたはずの仕事を効率化して延命させてしまう。それが一番もったいない。
今日からできること:②無くせない業務の中から、それが『中長期の構造問題』なのか『単発の作業』なのかを判定し、構造問題側だけを次の会議の議題候補にリストアップしてみるのがおすすめです。
『個人効率化』と『構造効率化』——同じ「効率化」でもレイヤーが違う

質問者(note質問箱への投稿より)
「人が運用でカバーし続けている」という構造自体は変わっておらず、AIによって個々の運用コストを下げているだけではないか
ここまでを整理すると、「効率化」という同じ言葉を使っていても、指しているレイヤーが経営層と現場でズレることがある、という構図が見えてきます。
個人効率化=1人あたりの作業時間短縮。構造効率化=業務やプロダクトの仕組みそのものを作り直すこと。この2つは、どちらも「効率化」の看板を掲げるけれど、動かしている対象がまるで違う。
やっかいなのは、個人効率化を積み重ねても構造効率化には自動的につながらない、という点。むしろ個人効率化がうまくいけばいくほど、「もう十分効率化できている」という空気が生まれ、構造の問題が見えにくくなることさえある。速くなった実感が、逆に構造への疑いを鈍らせてしまいます。
この構図は、個人の意思では解けない。現場の担当者が1人でAIをやめても、その人の仕事が遅くなるだけで、構造は変わらない。だからこそ、レイヤーを見分ける言葉を組織で共有しておくことに意味があります。
今日からできること:次の定例会議(1回でいい)で『AIで効率化しました』という報告が出たら、その場で『それは個人効率化?構造効率化?』と一言だけ聞き返してみるのがおすすめです。答えに詰まったら、それが個人効率化止まりだったというサインだ。
ひろくんの現場から——AI秘書チーム『凛ちゃん』は個人効率化で終わっていないか

ここからは私自身の話。正直、この深津さんの回答を読んで、ちょっとドキッとした。うちのAI秘書チーム『凛ちゃん』も、気を抜くとまさにこの『個人効率化』のワナに片足を突っ込みかけるからだ……というのが率直な感想。
凛ちゃんが1つの作業を速くするだけなら、それは私が『抱え込みOS』のまま、道具だけをAIに持ち替えているのと同じ。大腸がんの経験も、借金からの再起も、大きな体重の変化も——全部一人で背負い込んできた癖は、AIを使ったくらいで簡単には抜けません。
実際、正直に告白すると、ブクマ化の処理件数を1日3件から1件に絞った時、私は最初『効率が落ちた』と早合点しかけた。よく見たら、それは処理の質を上げるための意図的な変更でした。数字の多さだけを『効率化』の物差しにしてしまう癖は、まだ完全には抜けていない。
だから凛ちゃんとチームを作る時は、毎回『これは私の作業を速くするだけか、それとも私がもう手を動かさなくていい仕組みになるか』を問い直すようにしている。ブクマ化・ainews・weekly-digestのような自動パイプラインを組んでいるのも、同じ理由。深津さんの言う『ビジネスにインパクトのない仕事をそもそも無くす』は、私で言えば『無理に読めない記事を作らない判断』や『1日に処理する件数を絞り込む判断』そのものです。
『AIを使えば効率化』という言葉だけを見て安心せず、それが①個人か②構造かを毎回問い直す視点。これは深津さんの回答から、私が一番持ち帰りたかったことです。凛ちゃんチームが増えるほど、この問いを忘れそうになる場面も増えていくと思います。だから、こうして記事に書いて、自分への戒めとしても残しておく。
今日からできること:自分の『AI秘書』『AIツール』が個人効率化止まりになっていないか、この記事を読み終えたタイミングで一度棚卸ししてみるのがおすすめです。
今日から使える判断基準——AI活用を『個人か構造か』で仕分ける

最後に、明日から使える判断基準を3ステップでまとめます。深津さんの回答と、私自身が凛ちゃんチームで実践している仕分け方を重ねたものだ。
① 直近1週間で『AIで速くした』業務を1つ書き出し、個人の作業短縮か仕組みの解消かを仕分ける。② 個人効率化に該当するものの中から、そもそも無くせる仕事はないかを検討する。③ 無くせない場合、それが中長期の構造問題なのか単発の作業なのかを判定し、構造問題側だけを会議の議題候補にします。
この3ステップに大した特別さはない。でも、意識的に立ち止まって仕分けるかどうかだけで、半年後のAI活用の景色はまったく違ってくると思います。仕分けにかかる時間は、全部合わせても35分くらい。
『AIで効率化』という報告を鵜呑みにせず、レイヤーを聞き返す。それだけで、組織の中に『無くす』『作り直す』という選択肢が初めて生まれる。逆に言えば、この問い返しをしない限り、組織はずっと個人効率化の中だけをぐるぐる回り続けることになります。
今日からできること:上記3ステップを、次回のAI活用の振り返りミーティングでそのまま使ってみるのがおすすめです。
よくある質問
Q. 深津貴之さんって、どんな人ですか?
A. note株式会社のCXO(Chief Experience Officer)で、THE GUILDというクリエイティブ集団の代表でもある方。noteの『質問箱』機能で、読者から届いた質問に直接回答している。
Q. 『個人効率化』と『構造効率化』、具体的にどう見分ければいいですか?
A. 『その作業をやっている本人の時間が減ったか』で終わらず、『その作業自体がもう発生しない仕組みになったか』を確認する。前者だけなら個人効率化、後者まで届いていれば構造効率化。
Q. うちの会社は個人効率化ばかりで、構造効率化まで手が回りません。何から始めればいいですか?
A. 深津さんの回答どおり、まずは『そもそも無くせる仕事』を1つ探すところから。無くせないなら、それが中長期の構造問題なのか単発の作業なのかを仕分けて、構造問題側だけを会議の議題に上げる、という順番がおすすめ。
まとめ——『AIで効率化』を、毎回『個人か構造か』で問い直す
『AIで効率化しているのに、なぜか会社は変わらない』——この記事の出発点は、その一言だった。note質問箱に届いた1つの質問と、深津貴之さんの短い回答から見えてきたのは、『AIで効率化』という同じ言葉が、実は2つの違うレイヤーを指しているという構図でした。
①ビジネスにインパクトのない仕事をそもそも無くす、②中長期の構造問題を解決する、この2つが先に来て、個人の作業効率化はその後——という優先順位は、明日からそのまま使えます。
AIで作業が速くなったという報告を聞いたら、まず『それは個人か、構造か』と問い返す。その一言があるかどうかで、半年後の組織の景色は変わってくるはずです。
なお、この記事は深津さんへの直接取材ではなく、note質問箱に公開されている回答だけを読んで書いています。深津さんご本人の意図をもっと詳しく知りたい人は、ぜひ元の質問箱ページも読んでみてほしい。
COLUMN
ひろくんコラム——『凛ちゃん』も、個人効率化で終わっていないか

正直、この深津さんの回答を読んで、ちょっとドキッとした。うちのAI秘書チーム『凛ちゃん』も、気を抜くとまさにこの『個人効率化』のワナに片足を突っ込みかけるからだ。速くなった、で満足しそうになる瞬間が、実はけっこうある。忙しいと、なおさらそうなります。
料理に例えると分かりやすいかもしれません。下ごしらえを速くする包丁さばきを覚えるのが個人効率化だとしたら、そもそもその下ごしらえが要らない仕込み方に厨房のレシピごと作り替えるのが構造効率化。包丁さばきが上手くなるほど、レシピを疑わなくなる——これがワナだ。
凛ちゃんとチームを作る時は、毎回『これは私の作業を速くするだけか、それとも私がもう手を動かさなくていい仕組みになるか』を問い直すようにしている。分身AI(bunshin-ai.com)で分身AIひろくんを作った時も、目的は『私の代わりに喋ってもらう』個人効率化ではなく、『私が現場に立たなくても価値が届く』仕組みそのものの効率化でした。
ブクマ化・ainews・weekly-digestのような自動パイプラインを凛ちゃんチームと組んでいるのも、同じ理由。深津さんの言う『ビジネスにインパクトのない仕事をそもそも無くす』は、私たちで言えば『無理に読めない記事を作らない判断』や『1日に処理する件数を絞り込む判断』そのもの。分身AIの取り組みも含めて、この視点で作り続けています。
『AIを使えば効率化』という言葉だけで安心せず、それが①個人か②構造かを毎回問い直す視点。この記事を読んだ人にも、ぜひ持ち帰ってほしいです。次に『AIで効率化しました』と誰かに言う時、自分がどっちの意味で言っているか、一度立ち止まって確かめてみてほしい。
👉 凛ちゃんと一緒に『個人効率化で終わらないAI活用』を作りたい人はこちらもどうぞ分身AI.comもチェックしてね!
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参考リンク
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note運営による質問箱機能の紹介記事
note株式会社CXO・深津貴之さんの発信
📄 今回紹介した記事
| 著者 | 深津貴之(fladdict)/note株式会社 CXO |
| 媒体 | note質問箱(note.com) |
| 公開日 | 2026年8月19日 |
| 元URL | note質問箱へのリンク |
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