家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。
本記事は、Claude Code × freee-MCPで経理を自動化する”AI経理リポジトリ”設計論です。月末月初の土日作業を、3ヶ月後の自分に申し送る仕組みに置き換える考え方を、実装前の設計図段階から共有します。
「ひろくん、自分が頑張らないと、全部止まると思ってるでしょ?」
数年前、親しい経営者の友人に、核心を突かれた一言です。ドキッとしたのを、今でもはっきり覚えています。図星でした。会社の経営も、新しいプロジェクトも、家庭のことも、ぜんぶ自分でやらなきゃ気が済まない——そんな強迫観念が、呪いのようにこびりついていました。その中に、もちろん経理も含まれています。数字は経営の現在地だから、他人に渡せない、と思い込んでいたんです。
売上が立つ。領収書が積み上がる。仕訳をしなきゃ。月末が来る。税理士に渡すデータを整えなきゃ。領収書取得SaaSが増えれば増えるほど、どこに何があるか分からなくなり、「結局、自分が土日に一気にやる」が定着していく。
今日お話ししたいのは、2026年4月に私が出会った一本のnote記事です。すてぃお氏(@suthio)の「Claude Codeでバックオフィス業務のために『back-officeリポジトリ』を作ったほうがいいよ」という記事(note記事)。Claude CodeとfreeeのMCPサーバーを組み合わせて、月末月初に1日以上かかっていた経理作業が数時間に短縮された、という実装記録でした。
先に正直に書いておきます。 私自身は、まだfreee-MCPを本番導入していません。この記事は「やってみた体験記」ではなくて、すてぃお氏の実装を経営者の設計論に翻訳した「これから試す、私の設計図」です。プロセスエコノミーの途中経過として読んでもらえたら嬉しいです。
4月20日に「経営者がAIに委ねる5つの設計論|月150億トークンの広木大地に学ぶ『抱え込みOS』を捨てる日」という記事も書きました。あれは総論。今日は経理という一皿を、深く掘ります。総論を読まなくてもこの記事単独で使えますが、読んでくれたらもっと刺さるはず。
おはようございます!ひろくんです。今回は「経理を抱え込む社長」をやめるためのClaude Code × freee-MCP設計論を、実装前の設計図段階から正直にお届けします。
3行でわかるポイント
- 経理は「抱え込みOS」が最も深く染み込んだ領域——数字を見る=社長の仕事、という思い込みが、土日作業を生み続ける
- AI経理リポジトリ=”未来の自分への申し送りメモ”——docs/ receipts/ references/ scripts/の4分割で、経理を「記憶」から「記録」へ
- 委ねるは丸投げじゃない。信頼ベースの役割分担——作業は委ねても、判断(味見)は社長が手放さない。この境界線が、AI共創の肝
経理こそ「抱え込みOS」が一番深く染み込んでいる領域だ
経営者が一番最後まで手放せない業務って、なんだと思いますか?
私の観察だと、ダントツで経理なんですよね。
営業は「売ってこい」と任せられる。マーケティングも委託できる。採用だってエージェントがいる。でも経理だけは、「数字を見るのは社長の仕事だから」という信仰みたいなものが、経営者の腹の底に居座り続けるんです。
なぜか、考えてみました。
売上と経費の数字は、会社の現在地そのものだから、だと思います。他人に渡すということは、現在地を把握するレンズを誰かに預けること。それが怖い。だから月末月初の土日、領収書の山と向き合い続ける。家にいるのに、家にいない——そういう時間を、私はずいぶん長く積み上げてきました。
体はリビングのソファに座っていても、心は完全に仕事に向いている。子どもの話も、上の空で聞いている。家族と同じ空間にいるはずなのに、心だけがどこか別の場所にある。その状態が「普通」になってしまうことの怖さを、いまはよく分かります。
「自分がやった方が早い」の罠
経理を抱え込む理由で、一番よく聞くのが「自分がやった方が早い」という言葉。経験者なら分かります。勘定科目のマッピング、例外処理、税区分の使い分け、為替の取り扱い——確かに属人化した知識が山ほどある。
でも正直に言うと、その「早さ」は今夜の自分を縛り付けている鎖でもあるんです。今日15分短縮するために、3年間同じ15分を毎月払い続ける。その構造に気づいた時、私は少し愕然としました。
味見は社長の仕事、でも仕込みは厨房に渡していい
料理で言うと、経理は「味見」と「仕込み」が混ざったままの状態だと感じます。味見(最終承認・判断)は社長の仕事。手放しちゃいけない。でも仕込み(領収書の突き合わせ、勘定科目のマッピング、取引データの取り込み)まで自分で抱え込む必要は、たぶんないんですよね。
分けられるのに、分けていない。それが経理における「抱え込みOS」の正体なんじゃないかと、私は思っています。
ひろくんのコラム①——便利さに頼りすぎると、思考の筋肉が衰える
こういう記事を書くと、必ず「AIに丸投げすると思考力が落ちませんか?」って聞かれます。その懸念、私も同じく持っています。便利さに頼りすぎると、思考の筋肉が衰えるんですよね。
だから先に書いておきます。経理をAI経理リポジトリに渡す目的は、判断を手放すことじゃなくて、判断のための材料を揃える時間を短くすること。仕訳ルールを決めるのは私。異常値を見つけて「これ何?」と問いを立てるのも私。AIがやるのは、その判断テーブルの上に、整った材料を並べるところまで。
これが「委ねる」と「丸投げ」の分岐点だと私は感じています。ここを混ぜると、思考の筋肉が痩せていく。自分の会社なのに、自分の会社のことがわからない——そんな経営者には、私はなりたくない。
すてぃお氏の「back-officeリポジトリ」が解いた3つの構造課題
すてぃお氏の記事を読んだ時、「これは経理の構造課題を3つ同時に解いてるな」と膝を打ちました。
課題1: SaaS情報が、頭の中と散らばったメモ帳に点在している
Stripe、Paddle、UTAGE、ActiveCampaign、AWS、Google Workspace、Adobe、Canva、Anthropic、OpenAI——うちの2社を棚卸ししてみたら、SaaSアカウントが軽く30を超えていました。経営者ならそんなに珍しくないと思います。
でも「どのSaaSの領収書が、どこから取れるか」って、経営者の頭の中か、古いNotionメモか、下手するとメールの検索でしか辿れなかったりする。私もそうです。
課題2: 領収書の取得手順を、毎月ググり直している
「Stripeの領収書ってどこからダウンロードするんだっけ?」を、毎月ググっている経営者、多いんじゃないでしょうか。手順自体は変わらないのに、月に1回しかやらないから忘れる。そして毎回数分を溶かす。積み上がると、これがじわじわ効いてくるんですよね。
課題3: 仕訳ルールが社長の頭の中、代わりがやれない
「このSaaSは通信費?それとも支払手数料?」「USD決済の為替レートは取引日?決済日?」——判断ルールが社長の脳内だけにあると、社長が倒れた瞬間に業務全体が止まる。これ、本当に笑えない話で。私自身、がんで入院した時に、会社の業務がどれだけ自分一人に集中していたかを、身体で痛感しました。
解決策: `docs/` `receipts/` `references/` `scripts/` の4分割リポジトリ
すてぃお氏は、これら3つの構造課題をGitリポジトリの4つのディレクトリという超シンプルな形で解いていました。
| ディレクトリ | 役割 | 納める情報 |
|---|---|---|
| `docs/` | 会計方針・意思決定ログ | 勘定科目マッピング、税区分ルール、判断理由 |
| `receipts/` | 領収書取得・保管 | SaaS別取得手順、保存領収書、月別フォルダ |
| `references/` | 参照資料 | 税理士とのやり取り履歴、過去判断の根拠、法的参照 |
| `scripts/` | 自動化スクリプト | freee-MCP経由の仕訳プロンプト、定型処理 |
比較表①: 抱え込み型経理 vs AI経理リポジトリ型
| 観点 | 抱え込み型経理 | AI経理リポジトリ型 |
|---|---|---|
| 作業時間 | 月末月初の土日(社長の実測で1日以上) | すてぃお氏の実装例で数時間へ短縮 |
| 引き継ぎ可能性 | 社長が倒れたら停止 | リポジトリを読めば誰でも辿れる |
| 再現性 | 毎月「あれどうやるんだっけ?」 | 手順がdocs/に明文化されている |
| 監査性 | 判断ルールが脳内 | Git履歴に判断理由が残る |
※「数時間」はすてぃお氏の記事内の表現です。私の実測値ではありません。
Claude Code × freee-MCP という組み合わせの必然性
「経理を仕組み化するなら、ChatGPT + freee APIでもよくない?」と思った方もいるはず。私も最初はそう思っていました。でも深掘りしてみると、この組み合わせには、経営者にとっての必然性があるなと感じたんです。
Claude Code とは何か
Claude Code(2026年4月時点、v2.1.118)は、Anthropicが提供するターミナル上で動くAI開発環境です。ブラウザのChatGPTと決定的に違うのは、次の3点。
- ファイルを直接読み書きする——`docs/会計方針.md` や `scripts/仕訳自動化.py` を直接編集できる
- プロジェクト単位の長期記憶——CLAUDE.mdやdocs/の情報を毎回自動で読み込む
- MCP(Model Context Protocol)で外部サービスと接続——freee、Slack、GitHub、Notionなど数百のツールと連携
料金はClaude Proプラン月額20ドルから(Claude CodeはProプランに含まれる機能)。私の場合、朝LIVEでも何度か紹介してきましたが、Claude CodeはAI秘書・分身AI・コンテンツ制作のほぼ全域で中核を担っています。
freee-MCP とは何か
freee-MCPは、freee株式会社が公式OSSとして公開しているMCPサーバーです(GitHub: freee/freee-mcp、2025年7月に初版公開、2026年3月以降も継続的にリリース更新中)。
- freeeの約270本のAPIを、会計・人事労務・請求書・工数管理・販売の5領域に網羅的にMCPツール化。加えてサイン(電子契約)は専用コマンド
freee-sign-mcpで対応 - OAuth 2.0 + PKCEによる認証
- リモート版(公式ホスト)とローカル版(自ホスト)の2方式
Claude Codeでの導入は、プラグインとして2コマンドで入れるのが公式推奨です。
claude plugin marketplace add freee/freee-mcp
claude plugin install freee-mcp@freee-mcp-marketplace
これで MCP サーバーと Agent Skills(API リファレンス・操作レシピ)がまとめて入ります。Claude Desktop から使う場合は「カスタマイズ」→「カスタムコネクタを追加」で https://mcp.freee.co.jp/mcp を登録する GUI 方式もあります。詳細はfreee-mcp公式GitHub READMEを参照。
比較表②: ChatGPT単体 vs Claude Code + freee-MCP
| 観点 | ChatGPT単体 | Claude Code + freee-MCP |
|---|---|---|
| ファイル永続化 | 会話履歴に依存(他スレッドに継承されない) | リポジトリにMarkdown/コードで永続保存 |
| 外部サービス連携 | プラグイン/GPT Actions経由で個別設定 | MCPサーバー1つで標準化 |
| 判断履歴の参照 | 過去スレッドを手動で掘る | `docs/` と Git履歴が自動で文脈に入る |
| 運用前提 | 会話のたびに背景説明を入れ直す | リポジトリを読み込めば即戦力 |
両者の違いは「毎月リセットか、積み上がるか」
ChatGPT単体は、毎回「今日の食材をカゴに入れて料理人に渡す」スタイル。食材の説明と味付けの好みを、都度伝え直す必要があります。
Claude Code + freee-MCPは、レシピ台帳も仕込み帳も片付け手順も、全部厨房に揃った状態。料理人が変わっても、同じ味が出せる厨房です。
毎月繰り返す経理は、後者が圧倒的に向いていると私は感じます。月次作業は「積み上がる仕組み」じゃないと、いつまでも同じ15分を検索に溶かし続けることになるので。
「未来の自分への申し送りメモ」という発想の深さ
すてぃお氏の記事で一番、私の心を掴まれたフレーズが、「未来の自分への申し送りメモ」でした。
経理のリポジトリを作るのは、誰かに渡すためじゃない。3ヶ月後、1年後の自分に渡すため——この視点、私にはなかったんですよね。
3ヶ月後の自分は、もう他人だ
経営者の現場だと、3ヶ月もすると業務の詳細はほぼ忘れます。「あの時なんで通信費じゃなくて支払手数料にしたんだっけ?」を思い出せない。だから毎回ゼロから判断し直して、時々過去と違う処理をする。そうすると、データが整合しなくなる。
`docs/` に「こういう理由でこう仕訳することにした」と書いておけば、3ヶ月後の自分が救われる。委ねる相手は、他人である必要はない。未来の自分で、十分なんですよね。
分身AIの思想と、完全に地続き
私は「分身AI」と呼んでいる、自分の知識・判断パターン・口調をAIに学習させるプロジェクトを進めています。この「AI経理リポジトリ」は、分身AIの経理版だと捉えていて。
「分身AIを育てることは、自分が育つこと」
これは分身AI講座でよく話している言葉なんですが、経理でも全く同じ現象が起きると思っています。経理のルールを言語化してdocs/に刻むと、自分の経理の解像度が逆に上がる。「なんとなくこうしてた」を「こういう理由でこうしている」に変換する作業って、すごく地味なんだけど、判断の質がじわっと底上げされるんですよね。
AI経理リポジトリを組もうとすると、一度、自分の経理を全部棚卸しする必要が出てきます。これが、しんどいけど、めちゃくちゃ効きます。経理を委ねる第一歩は、経理を自分で理解し直すこと——この逆説は、AIとの共創ぜんぶに当てはまる真理だなと、私は思っています。
ひろくんのコラム②——委ねるは、丸投げじゃない
「委ねる」という言葉に抵抗感を持つ経営者、多いんですよね。「結局誰かに押し付けて楽したいだけでしょ?」と言われることもあります。違うんです。
委ねるとは、信頼をベースにした役割分担。丸投げは、相手を道具として扱う行為。委ねるは、相手を相棒として認める行為。言葉は似ていますが、中身は真逆だと私は感じます。
AI経理リポジトリも同じ。AIを「仕事をやらせる下請け」として使うのか、「役割を分担する相棒」として迎えるのか。その姿勢の違いが、3ヶ月後のリポジトリの育ち方を、はっきり決めるんですよね。三方よしの思想で言えば、AIは搾取の対象じゃなくて、共進化する相手。私はそう捉えています。
やる前に知っておくべき落とし穴 5つ
ここまで前向きな話をしてきましたが、実装前に知っておくべき落とし穴もちゃんと書いておきます。私自身、Claude Codeを日常業務で使いながら痛い目も見てきたので、その経験則も混ぜておきます。
落とし穴1: APIトークンの平文保存
freee-MCPの認証情報は、設定ファイルに書くことになります。ここを`.env`に分離して`.gitignore`に入れておかないと、Gitリポジトリと一緒に認証情報を公開してしまう事故が起きます。GitHubにpushした瞬間に全世界公開、というパターンですね。
対策:
- リポジトリは必ずPrivate(GitHub Privateリポジトリ、またはローカルGit)
- `.env`ファイルは`.gitignore`に必ず追加
- 定期的にトークンをローテーション
落とし穴2: 本番データへの直接書き込み
freee-MCPは本番のfreeeデータにアクセスします。誤ったプロンプトで意図しない仕訳が登録されるリスクがあるので、ここは慎重に運用したいところ。
対策:
- 最初はテスト事業所で検証する
- 書き込み系の操作は、必ずプロンプトに「確認後に実行」を明記する
- 月末のチェックは、必ず人間が最終承認する
落とし穴3: プロンプトインジェクション
PDFの領収書の中に、AIへの指示を仕込んだ悪意あるテキストが潜んでいる可能性があります。外部から受け取ったPDFをClaude Codeに読ませる時は、信頼できるソースだけに絞る必要があります。
対策:
- 信頼できるSaaSダッシュボードから直接ダウンロードした領収書のみ使う
- メール添付のPDFは、取引先が確定している相手のみに限る
- 外部PDF用の隔離ディレクトリを作る
落とし穴4: 勘定科目の誤分類
AIは時々、勘定科目を間違えます。「Adobe Creative Cloudを会議費に仕訳する」みたいな事故が、低い確率だけど起きる。
対策:
- 会計方針のドキュメントに勘定科目マッピングを明記
- 月次で異常値チェック(前月比大幅増、新規科目、大口取引)を必ず人間が確認
- 最終承認は必ず社長または経理責任者
落とし穴5: Claude Codeに「全自動承認モード」を使わない(私の運用経験から)
これは私が実業でClaude Codeを使ってきて、痛いほど学んだこと。Claude Codeには、確認プロンプトをスキップして自動実行するモードがあるんですが、経理のような数字に関わる領域では、使わないと決めています。
AIは驚くほど賢いんですが、同時にたまに「勢いで書き換える」こともある。技術的には便利でも、経理で全自動承認は、リスクとリターンが釣り合わない。1件でも誤仕訳が本番に入ると、遡って直すのはものすごい手間です。
対策:
- freee-MCPの書き込み系操作は、必ず人間承認を挟む運用フローにする
- 自動化プロンプトに「必ず確認後に実行」を明記しておく
- 月次締めは「AIが起案 → 人間が承認 → AIが登録」の3ステップで固定
- 自動化の楽さに酔って、判断を手放してないか、月1回自分に問う
味見だけは、人間の仕事
包丁・仕込み・盛り付けは厨房に任せていい。でも最後の塩加減は、社長が振る。AI経理リポジトリも、ここだけは手放さないのが肝だと私は思っています。作業は委ねても、判断は委ねない。この境界線を曖昧にすると、事故が起きるんですよね。
私が今すぐやる3ステップ(正直に書きます)
冒頭にも書きましたが、私はまだfreee-MCPを本番導入していません。この記事は、これから実装する私自身への宣言書でもあります。
Step 1: リブウェルの一部勘定科目で、読み取りのみから始める(今週中)
いきなり全部を自動化するのはリスクが高すぎるので、リブウェル側で書き込みなしの読み取りのみからスタートする予定です。月次の試算表を取得して、異常値がないかAIに見てもらうだけ。書き込みは、当面、人間が手動でやります。
想定しているのは「通信費」と「支払手数料」の2科目。Claude Code + freee-MCPで読み取って、前月比の異常値をリストアップしてもらう小さな実験です。
Step 2: 書き込み系を、月次締めの1工程だけ任せてみる(来月)
読み取りで精度が出ることを確認したら、次は書き込み系を1工程だけ試します。たとえばStripeのUSD売上を自動仕訳する、とか。書き込み後は必ず私が目視で確認する、のルールだけは崩さないつもりです。
経理を手放した先にある「家族との食卓」
この記事を締めくくる前に、いまの朝の景色の話をさせてください。
朝7時。キッチンから、味噌汁の匂いが漂ってくる。「お父さん、今日ね、学校でね——」子どもたちの声。テーブルに並ぶ、ごはんと味噌汁。その30分前まで、私はモーニングLIVE「AI氣道」を配信しています。配信が終わったらパソコンを閉じる。よし、今日の仕事は終わり。あとは、家族の時間。
かつての私を知る人が見たら、驚くと思います。24時間365日、仕事のことばかり考えていた「仕事の鬼」が、朝7時には心がオフモード。この景色は、がんの告知を受けて「もう、やめよう」と決めてから、「社長無人化計画」を一歩ずつ進めてきた結果の、いまの風景です。
でも、完全に手放せたわけじゃない。月末月初の土日、領収書の山を前にすると、心だけがまた仕事側に引き戻されていく。朝の食卓にいる「いまの私」と、土日に仕訳画面と向き合う「かつての私」が、毎月往復している——その状態を、ゆっくり卒業していきたい。AI経理リポジトリは、その土日を守るための、次の一歩です。
AIに委ねて、積み減らして、生き直す。
分身AIを育てることは、自分が育つこと——これは私がずっと言っている言葉です。経理でも、同じことが起きると思っています。経理のルールを言語化してAIに渡す作業は、自分の経理の解像度を、逆に上げていく作業でもある。AIに委ねる作業は、同時に私自身が育つ作業でもある。共進化って、こういうことだと感じています。
ひろくんのコラム③——相棒と依存の違いは、視線が同じ位置にあるかどうか
AIと経営者の関係について、最後にひとつだけ。
相棒と依存の違いは、視線が同じ位置にあるかどうかだと、私は感じています。相棒は横に並んで、同じ方向を一緒に見る。依存は上から下、下から上に、視線がズレる。
Claude CodeもfreeeのAIも、私にとっては「横に並んで、経理を一緒に見てくれる相棒」。上から指示する道具でも、下から頼りきる神様でもない。この視線の高さを保てるかどうかで、AI経理リポジトリの育ち方は、けっこう変わるんじゃないかなと思っています。
よくある質問(FAQ)
Q1: Claude CodeとClaude(通常版・claude.ai)、どっちから始めればいい?
A1: 経理の自動化をやるなら、Claude Codeだと思います。通常版のclaude.aiはチャット中心なので、`docs/`のようなファイル構造を永続化できないんですよね。ただ、Claude CodeはCLI(コマンドライン)操作なので、エンジニア経験がない経営者には最初ハードルがあるのも事実。その場合は、まず通常版で「freeeの仕訳ルールをMarkdownで整理する」練習から入って、慣れてきたらClaude Codeに移行する、が無理のない流れだと感じています。月額はProプラン20ドルから。
Q2: freee-MCPを使うのに、顧問税理士との契約はそのままでいい?
A2: 原則、そのままで問題ないと思います。freee-MCPが担当するのは仕訳入力・データ取得・レポート生成までで、決算や税務申告の最終責任は税理士のまま残ります。ただ、税理士さんには「来月からAIで自動仕訳の一部を始めます」と一言共有しておくのがおすすめです。データの整合性チェックの方法を、事前にすり合わせておくと、あとの混乱が減るので。
Q3: 社員が経理をやっている会社でも、このリポジトリ方式は意味ある?
A3: むしろ、社員がいる会社の方が効果が大きいと感じます。経理担当者が変わっても、同じ品質で処理できる仕組みが残るからです。AI経理リポジトリは「経理担当者を不要にする」道具じゃなくて、「経理担当者が単純作業から解放されて、判断業務に集中できる」道具。そう捉えるのが、三方よしな使い方だと私は思います。現場の経理担当者と一緒に`docs/`を育てていく運用が、結局うまく回るはずです。
まとめ——厨房を作れ、味見は自分で
ここまで話してきたのが、Claude Code × freee-MCPで経理を自動化する”AI経理リポジトリ”設計論の核心です。自動化する”AIのための環境をリポジトリ”設計論として整えると、経理の再現性が劇的に変わります。
今日の話を私なりに一言でまとめると、こうなります。
経営者の経理は、厨房そのものを自分で設計しないといけない仕事だ、と。
すてぃお氏が提示した`docs/` `receipts/` `references/` `scripts/`の4分割は、レシピ台帳・仕入れ手順・試行錯誤ノート・オペレーション手順書のすべてを厨房に揃えるための設計図。この厨房が揃って初めて、シェフ(経営者)は味見という本来の仕事に集中できる。
Claude CodeとfreeeのMCPは、その厨房の設備です。月額20ドルの投資で、月末月初の土日を少しずつ取り戻せるかもしれない——そう考えたら、試してみる価値は十分にあると私は感じます。
最初の一歩は、小さく。私の場合は「リブウェルで、読み取りだけ、2勘定科目から」。あなたの場合も、きっと似たような小さな一歩があるはずです。
経理が社長の「抱え込み」じゃなくなる日は、意外と近いかもしれません。
私も、まだ途中です。一緒に、試していきましょう。
参考リンク
- 元記事: すてぃお氏「Claude Codeでバックオフィス業務のために『back-officeリポジトリ』を作ったほうがいいよ」 — https://note.com/suthio/n/nf03d4f1df801
- Claude Code 公式ドキュメント — https://code.claude.com/docs/ja/mcp
- freee-MCP 公式GitHubリポジトリ — https://github.com/freee/freee-mcp
- freee株式会社 MCP公式リリース(2026/3/2)— https://corp.freee.co.jp/news/20260302freee_mcp.html
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※本記事は2026年4月22日時点の情報に基づいています。Claude CodeおよびfreeeのMCPサーバーは継続的にアップデートされているため、導入時は公式ドキュメントを必ず確認してください。
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