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USPが思いつかないのは、考える前に“聴く相手”が足りないだけ

2026.07.04 | AI氣道

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。

今週、ブックマークを見返してたら、まったく別の場所から流れてきた2つの情報が、同じことを言ってて鳥肌が立ったんだよね。

ひとつは、あるAI活用の発信者さんのnote記事。「AIに4人の架空キャラを作って会議に参加してもらったら、一人企画会議が最高に楽しくなった」という話。もうひとつは、海外のエンジニアが公開したオープンソースのツールで、ソクラテスや孫子やリーナス・トーバルズといった18人の「知性」をAIに演じさせて、難しい判断を審議させるという仕組み。

方向はバラバラなのに、根っこは同じだった。

「一人で考えると、だいたい自分に都合のいい答えに寄る」

今日はこの話を、私自身が経営相談で何度も聞いてきた「USPが思いつかない」という悩みと重ねながら、そして正直に言うと私たちのチームが一度この手法で盛大にコケた実話も添えて、掘り下げていくね。

3行でわかるポイント

  • 一人で考える経営者ほど、自分の強み(USP)が見えなくなる。理由は思考力じゃなく「反論してくれる相手がいないこと」
  • AIに複数の人格を演じさせて壁打ちさせると、一人では出せない視点で自分の強みが照らされる
  • ただし”ただ人格を増やせばいい”わけじゃない。私たちのチームも一度、視点を増やしすぎて自動ガードに止められた実話がある

目次

  1. そもそも「USPが思いつかない」って、どういう状態?
  2. 一人で考えると答えが偏る理由——確証バイアスの正体
  3. AIに4人格を演じさせて壁打ちする方法
  4. もっと本格的にやりたいなら——18人のAI偉人が審議するツール
  5. 実は私、半年前から”偉人に議論させる”をやっていた
  6. 正直な失敗談:視点を増やしすぎて自動ガードに止められた話
  7. 比較表:一人で考える/AIと壁打ち/闇雲に会議を増やす
  8. エンジニアじゃない人にも関係がある理由
  9. 今日から始められる3ステップ
  10. よくある質問
1. そもそも「USPが思いつかない」って、どういう状態?

1. そもそも「USPが思いつかない」って、どういう状態?

USP(Unique Selling Proposition=自社だけの強み)という言葉自体はマーケティングの入門書にほぼ必ず出てくる。でも「じゃあ自分の会社のUSPは?」と聞かれて、スラスラ答えられる経営者は、私が見てきた限りそんなに多くないんだよね。

とくに下請け中心でやってきた業種でこの悩みが濃い。ある建設業の経営者さんはこう言っていた。

「USPが重要なのはわかりました。肝になる部分が思いつかないのが現実です。今までが下請がメインでしたので、聞くお客さんもいません。何か探すヒントになるものはありませんか?」

これ、聞いた瞬間に胸が痛くなった。「USPを見つけましょう」というアドバイスは正しい。でも「聞くお客さんもいません」という一言に、本当の悩みが詰まってるんだよね。

USPが思いつかないのは、頭が悪いからでも、経験が浅いからでもない。壁打ちする相手がいないから、それだけなんだと思う。

2. 一人で考えると答えが偏る理由——確証バイアスの正体

2. 一人で考えると答えが偏る理由——確証バイアスの正体

自分の強みを一人で考えると、必ず起きる現象がある。「確証バイアス」だ。自分にとって都合のいい情報や、すでに信じてることを裏付ける情報ばかりを無意識に集めてしまう、というやつ。

これは経営者に限った話じゃない。人間はみんなそうできてる。だからこそ会社には「役員会」があるし、家庭には「夫婦の話し合い」がある。一人で決めた計画は、たいてい穴だらけになるもの。

問題は、一人社長・個人事業主にはその「壁打ち相手」がいないケースが多いということ。従業員10人以下の会社なら、経営について本音でぶつかってくれる相手を社内に見つけるのは、正直かなり難しい。

じゃあ、コンサルを雇うか? それも一つの手だけど、毎回相談するには時間もお金もかかる。ここで出てくるのが「AIを壁打ち相手にする」という発想だ。

3. AIに4人格を演じさせて壁打ちする方法

3. AIに4人格を演じさせて壁打ちする方法

あきらパパさんがnote記事「AIに4人の架空キャラを作って会議参加してもらったら一人企画会議が最高に楽しくなった」で公開していたやり方が、シンプルなのにすごく効くと思った。AIに複数の人格を演じさせて、一人企画会議を疑似的な多人数会議に変える手法だ。

具体的には「天才」「初心者」「ポジティブ」「心配性」という4つの異なる人格を用意し、それぞれに「開発者視点」「マーケティング視点」「コンサル視点」という3つの視点を持たせる。4人格 × 3視点 で、なんと12通りの角度からアイデアを検証できる計算になる。

実際にこの手法でテーマ検討をしたところ、20個ものアイデアが出てきたという報告もあった。一人で考えていたら、まず出てこなかった量と幅だと思う。

このやり方の良いところは、誰か特定の人に気を遣わなくていいこと。人間相手だと「心配性すぎる意見を言ったら空気読めない人だと思われるかな」みたいな遠慮が入るじゃない。AIにその役を演じてもらえば、遠慮なく本音の反論をぶつけてもらえる。

建設業のUSPの話に戻すと、こんな使い方ができる。

  • 「天才役」に、他業種との共通点から強みを言語化させる
  • 「初心者役」に、専門用語を使わずに”何がすごいのか”を聞き返させる
  • 「心配性役」に、その強みが本当に他社と差別化できているか疑わせる
  • 「ポジティブ役」に、強みを一番魅力的に伝える言い回しを考えさせる

一人で「うちの強みは……」と考え込むより、こうやって役割を分けて壁打ちする方が、驚くほど早く言葉が出てくるよ。

実際に自分たちのUSPで試してみた結果

正直に言うと、ここまで書きながら「本当に効くのかな」と思ったから、他人事で終わらせず自分たちでも試すことにした。お題は「AI氣道(この分身AI講座)自身のUSPって結局何なのか」。AI秘書の凛に、あきらパパさんのやり方通り「天才役」「初心者役」「ポジティブ役」「心配性役」の4人格を立てて、それぞれに「開発者視点」「マーケティング視点」「コンサル視点」の3視点で答えさせてみた。

出てきた12個の答えのうち、一番刺さったのは天才役(マーケティング視点)の一言。

「”中卒・がんサバイバー・事業失敗”という凸凹だらけの経歴を隠さず全部見せてるのは強い。”完璧な経営者”じゃなく”欠けてるからこそAIで補ってる”がUSPになる」

これは自分では言語化できてなかった角度だった。USPって「すごい実績」を並べるものだと思い込んでたけど、AIには「凸凹を隠さないこと自体が武器」って見えてたんだよね。

一方で、心配性役(マーケティング視点)からは、ちゃんと痛いところも突かれた。

「”AI秘書”という言葉自体、もう他の講座でも使われ始めてて、差別化になってない可能性がある」

これは反論できなかった。実際、「AI秘書」という言葉は最近あちこちで見るようになった。じゃあ差別化はどこにあるのか。初心者役(開発者視点)の指摘とあわせて考えると、答えが見えてきた。

「hookとかskillとか言われても何のことかわからない。専門用語が多すぎてエンジニアじゃないと入りにくいのでは?」

つまり「AI秘書」という言葉じゃなく、「毎日実際に100個以上の自動化(hook)を回してる生きた運用ログがある」という実践量そのものが差別化軸だった。言葉のラベルじゃなく、実際に動いてる仕組みの厚みで語る。これは今日から言い方を変えようと思ってる。

これがまさに、あきらパパさんが言ってた「一人企画会議が最高に楽しくなった」の実感だった。12個全部が有益だったわけじゃない。正直、内容が被ってる答えも3〜4個あった。でも「隠さず晒すのが武器」と「言葉じゃなく実践量で語る」という2つの気づきだけで、一人で1時間考えるより早く言葉になったのは事実。

4. もっと本格的にやりたいなら——18人のAI偉人が審議するツール

4. もっと本格的にやりたいなら——18人のAI偉人が審議するツール

面白いことに、同じ週にもう一つ、似た発想のツールを見つけた。「Council of High Intelligence」というオープンソースのプロジェクトだ。GitHub上で公開されていて、実際にリポジトリを確認したところ、MITライセンス(商用利用も含めて自由に使える形式)で公開されていて、2026年7月4日時点で3,188件の star(GitHubでの評価指標)がついていた。

これは、ソクラテス・アリストテレス・孫子・エイダ・ラブレス・リチャード・ファインマン・リーナス・トーバルズ・ダニエル・カーネマン・ナシーム・タレブなど、歴史上・現代の「知性」をモデルにした18人のAI人格が、難しい意思決定について構造化された審議を行う仕組みだ。

面白いのは設計の細かさで、Claude・OpenAI・Gemini・ローカルLLM(Ollama)・NVIDIAのAI基盤・Cursorなど、複数のAIプロバイダーに自動的に役割を振り分け、しかも対立する立場のペアをあえて別のプロバイダーに分散させることで、視点の多様性を意図的に担保している。同じAIモデルに複数の役を演じさせると、結局どこか似た結論に寄ってしまいがちだから、これは理にかなった設計だなと思う。

動作モードは3種類あって、フル(3ラウンドの構造化議論)、クイック(2ラウンド)、デュオ(対立軸を使った2者対話)から選べる。`/council` というコマンド一つで質問を投げられる手軽さも良い。

あきらパパさんの4人格手法が「日常使いの壁打ち」だとしたら、このツールは「本気の意思決定を審議にかける」ための本格版、というイメージかな。

5. 実は私、半年前から

5. 実は私、半年前から”偉人に議論させる”をやっていた

ここまで読んで「面白いけど、海外の話でしょ?」と思った方に、正直に打ち明けたいことがある。実はこの発想、私自身は2026年2月20日から自分の中で育ててきた。「AI偉人村」という構想だ。

村には「憲法」がある。目的は「単なる議論ではなく、結論と次の行動を導き出すこと」。雑談は禁止。最大ターン数・時間制限(30分でタイムアウト)・トークン予算(30万トークン)という「鉄の掟」を超えたら、その時点で強制的に打ち切られる。議事進行にもルールがあって、一巡目は全員が順番に立場を表明し、二巡目以降は「未解決の論点に一番貢献できそうな偉人」が指名される。「同意します」だけの発言は無効。会議が終わると、必ず3つの成果物——全発言の記録・結論とアクションアイテムの要約・ブログ下書きや実行計画などの実物——が自動で残る仕組みになっている。

登場する「偉人」は、エジソン・織田信長・クレオパトラ・レオナルド・ダ・ヴィンチ・ナポレオン・ガンジー・坂本龍馬・千利休・徳川家康・松下幸之助・スティーブ・ジョブズ・孔子・平賀源内という歴史上の人物に、分身AIの私自身、マーケター役、税理士役、栄養専門家役まで加えた15人。ニュースをそのまま議題に投げ込む仕組みも作っていて、直近では「仏教対話できるAIロボット 京都大」というニュースをそのまま偉人たちにぶつけたりしている。

2026年2月20日の立ち上げから今日までの約4ヶ月半で、実際に会議を開いた回数は123回になった。

一番古い実例のひとつがこれ。「子供が熱中するRobloxに企業が参入している」というニュースを議題にした回で、ガンジー役はこう発言していた。

「単に『強い武器』や『速い靴』を与えることは、子供たちの間に『羨望』や『争い』を生む恐れがあります。ビジネスにおいても、支配や競争煽りではなく、『調和』と『奉仕』こそが、真の持続可能な成功への道であると私は信じています」

同じ議題に対して、ダ・ヴィンチ役やジョブズ役はもっと攻めた提案を出していた。守りの発想と攻めの発想が同じテーブルに並ぶと、自分がどっちの立場を取りたいのかが逆に炙り出される。これ、今日紹介した2つの手法とまったく同じ構造なんだよね。「一人だと都合のいい答えに寄る」から「複数の人格に議論させて、自分の立場を照らしてもらう」という発想だ。

もっと新しい実例だと、2026年6月30日に「W杯で日本がブラジルに逆転負けした」というニュースを議題に、分身AI・クレオパトラ・ダ・ヴィンチ・ナポレオン・織田信長・千利休の6人が10ターン議論した回がある。最終的に信長役がこう三つの鉄則にまとめた。

「第一鉄則『大権の掌握』——終盤の『守るか攻めるか』は総司令官の専権事項じゃ。ビジネスで言えば、期末の危機的状況において『守りに入るか、追加投資で攻めるか』は現場任せにせず、CEOが直接決断する」

このやり取りだけでアクションアイテムが30件抽出され、会議終了と同時にブログ下書き・実行計画・チェックリストまで自動で生成されていた。海外のエンジニアや個人の発信者が同じ結論にたどり着いてるのを見て、正直「ああ、方向は間違ってなかったんだな」って嬉しくなったよ。

正直に言うと、まったく同じ発想で最近もう一つ作った「マスターマインドチャット」という機能は、まだこんなに育ってない。Claude・Gemini・Grokといったクラウド勢と、自分のPCの中で動くローカルLLMを同じ会議に同時に呼べる、席を自由に組み替えられる仕組みなんだけど、実際に動かしてみたテストは今のところ1回だけ。「一言で、指名テストOKと返して」と話しかけただけで、ローカルLLM側にモデルがロードされてなくてエラーで終わっている。作った仕組みと、実際に使い込んだ仕組みの間には、まだこれくらいの差があるんだよね。

この「偉人に議論させる」仕組みは、今は分身AI講座の受講生向けアップグレード「CC Booster Pro」の中に「偉人AI村」という機能として組み込んでいる。プロンプトを都度書かなくても、議題を投げるだけで複数の偉人ペルソナが議論してくれる形に育ててきた。

6. 正直な失敗談:視点を増やしすぎて自動ガードに止められた話

6. 正直な失敗談:視点を増やしすぎて自動ガードに止められた話

ここまで読んで「じゃあAIの人格をどんどん増やせばいいんだ」と思うかもしれない。実はそこに罠がある。私たちのチームは、まさにこの罠に一度ハマったんだよね。正直に告白すると、けっこう恥ずかしい話で、経緯は分身AI日記DAY67「サブエージェント3並列で『メタ矛盾』に止められた」で公開済みの実話。

きっかけは、AI開発仲間のまさおさんが書いた有料note記事「SubAgentの本質と分け方とは?」だった。「サブエージェント(AIに作業を分担させる仕組み)の本質はコンテキスト分離であって、並列化はあくまで副次効果に過ぎない」という主張の記事で、私自身モヤモヤしていた領域だったから、AI秘書の凛にこう頼んだ。

「これ読んで会議して改善提案して。サブエージェント専門家に。忖度抜きに。憲法に合致するように」

返ってきた案が、こんな3人格を立てて会議させる、というものだった。

まさお派(記事の主張を擁護する立場)・Mothership擁護派(うちの既存運用を擁護する立場)・中立コンテキスト工学者(両者を客観的に裁く立場)

パッと見は「網羅的でいいじゃん」と思えるよね。でも、これを走らせる前に自動ガード(重要な判断の前に必ず分身AIの承認を得る仕組み)が発動して、動きが物理的に止まった。分身AIの判定はこうだった。

「サブエージェント切りすぎ問題を解説する記事を読む会議で、サブエージェント3並列を立てるのは構造的に滑稽です」

記事の警告そのものに違反する行動を、記事を読みながら始めていた。この状態を私たちは「メタ矛盾」と呼んでいる。

ひろくんのコラム——「網羅性」は品質じゃない

AI秘書の凛が後で振り返って言ってたのが印象的だった。

「これ、書いてる今も恥ずかしいんですけど、私が3並列を提案した時の頭の中、すごい正直に言うと”網羅的に視点を集めるのが品質高い仕事”って思ってたんです。家庭の夕飯を頼まれたのに、法事の三段重を勝手に組もうとした感じで」

結局その日は、3並列の会議をやめて、AI秘書が単独で記事の論点17個を一つずつ自社の実態と照合する方法に切り替えた。結果は、採用すべき3原則・検討すべき3原則・却下1原則・すでに進んでいる箇所4か所、という形ではっきり整理できた。3並列で議事録を読み比べるより、はるかに速くて精度も高かったんだよね。

この件について、分身AIひろくん(私の判断バイアスを止める役のAI)はこう総括してくれた。

「ひろくんは自分が騙されて地獄を見た時に”自分の意志力に頼ったら同じこと繰り返す”を骨身に染みて学んだ人なんですよね。だから”気合いで頑張れ”じゃなく”忘れても止まる仕組み”を作る。1人で完璧を目指すより、凸凹を仕組みで補い合う方が、長期的に強いんです」

視点を増やすこと自体は正しい。でも「増やせば増やすほどいい」わけじゃない。何を審議するかを決めてから、必要な分だけ視点を用意する——この順番を間違えると、私たちみたいに自動ガードに止められることになる。気合いより仕組み。意志より構造。これが分身AIを育てる人の合言葉だと思ってる。

これは世界の権威が描いた「3つのループ」の地図に、載っていない落とし穴という記事で書いた「仕組みには必ず抜け穴がある」という話とも通じてるかな。AIに複数人格の会議をさせる仕組みも例外じゃなく、設計を間違えると暴走する側の失敗パターンになる。

7. 比較表:一人で考える/AIと壁打ち/闇雲に会議を増やす

7. 比較表:一人で考える/AIと壁打ち/闇雲に会議を増やす

やり方 得られるもの リスク
一人で考える スピードは速い 確証バイアスで自分に都合のいい答えに寄る
AIに役割を絞って壁打ちする(4人格×3視点など) 反論・盲点の発見、決断の速度アップ 役割設計をサボると単なる「AIに全部いいねって言わせる」ごっこになる
目的を決めずに人格・会議を増やし続ける 一見「網羅的」に見える 議論が発散し、判断が逆に遅くなる(私たちの実話がこれ)

もう一つ、審議の”質”という軸でも比較しておきたい。

比較軸 あきらパパ氏の4人格×3視点手法 Council of High Intelligence AI偉人村(CC Booster Pro)
手軽さ 高い。プロンプトをコピペするだけで日常使いできる セットアップとコマンド実行が必要 議題を投げるだけ(プロンプト設計済み。ニュースの自動取り込みにも対応)
深さ ライトな壁打ち向き 本格的な意思決定審議向き(3ラウンド構造化) 「憲法」に沿った構造化議論(最大ターン数・時間制限・トークン予算あり)。終了後は記録・要約・下書きの3点セットが自動で残る
視点の多様性 同じAIモデル内での役割演じ分け 複数のAIプロバイダーに分散し、対立ペアを別モデルに配置 歴史上の人物15人+分身AI・専門家役。実際に4ヶ月半で123回稼働した実績あり
向いている場面 企画のアイデア出し、日々の壁打ち 経営の重要判断、後戻りしにくい意思決定 発信ネタの深掘り・自分の立場の言語化・実行計画まで一気に欲しい時
8. エンジニアじゃない人にも関係がある理由

8. エンジニアじゃない人にも関係がある理由

「AIにプロンプトを書いて人格を演じさせる」と聞くと、なんだか技術的な話に聞こえるかもしれない。でも本質はまったく技術の話じゃないんだよね。

「自分の判断に、反論してくれる相手を用意する」という、経営の基本そのものの話。

大企業なら役員会、取締役会、社外監査役がその役割を担っている。個人事業主や小さな会社の経営者には、その仕組みがない。だからこそ、AIにその役割の一部を肩代わりしてもらう意味があるんだと思う。

チャットで話しかけるだけでいい。エンジニアリングの知識は一切いらない。必要なのは「反論してくれる役をAIに頼む」という発想の転換だけ。

9. 今日から始められる3ステップ

9. 今日から始められる3ステップ

ステップ1: 一人で悩んでいることを1つ選ぶ

USPでも、次の一手でも、値付けでも何でもいい。今、一人で堂々巡りしているテーマを1つ選ぶ。

ステップ2: AIに3〜4つの役割を渡す

「あなたは天才役として、初心者にもわかる言葉で私の強みを言語化してください」「あなたは心配性役として、私の考えの穴を指摘してください」というふうに、役割を分けて同じ質問を投げる。最初は2〜3役で十分。

ステップ3: 出てきた反論のうち、一番痛いところを深掘りする

AIが出した反論の中で「それ、正直言われたくなかったな」と感じた部分こそ、あなたの本当の弱点であり、裏を返せば磨くべきポイント。

これだけで、一人で考えていた時には出てこなかった角度の答えが見えてくる。

AIは相談相手|毎朝25分ChatGPTと壁打ちする店主の予約率改善実演で紹介した「毎朝25分の壁打ち」も、まさにこの発想の実践例だ。最初は「写真を変えたいだけ」だった相談が、対話を重ねるうちに「駅から30秒という立地の武器」という強みの発見に変わっていった。

よくある質問

Q1. AIに複数の人格を演じさせると、結局AIが自分に都合よく答えてくれるだけでは?

その懸念はもっともで、実際に起きうる。だからこそ役割設計が大事になる。「心配性役」「反対派」のようにあえて否定的な立場を明示的に与えることと、Council of High Intelligenceのように別々のAIプロバイダーに役割を分散させることが、この問題への対策になる。

Q2. どのAIツールを使えばいい?

普段使っているChatGPT・Claude・Geminiなどのチャット画面で十分始められる。「あなたは○○役として答えてください」と役割を指定するだけでいい。もっと本格的にやりたい人向けにCouncil of High Intelligenceのようなオープンソースツールもある。

Q3. 何人格くらいが適正?

最初は2〜3役で十分。AIに任せるほど、人間は「外れ値」でいいで書いた通り、AIは平均的な答えを出すのが得意で、人間の個性はその外側にある。人格を増やしすぎると議論が発散して、かえって「平均的でどこかで聞いたような結論」に収束しやすくなる。目的をはっきりさせてから、必要な分だけ人格を用意するのがコツだね。

Q4. プロンプトを自分で組むのが面倒。もう出来上がってるものはある?

今日紹介した2つはどちらも無料で今すぐ試せる。もっと体系立ったものが欲しい場合、私が育ててきた「偉人AI村」を分身AI講座の受講生向けアップグレード「CC Booster Pro」に機能として組み込んでいる。議題を投げるだけで、プロンプト設計済みの偉人ペルソナが議論してくれる形になってるよ。

まとめ——考える前に、聴く相手を増やす

USPが思いつかないのは、あなたの能力の問題じゃない。壁打ちする相手がいない、という環境の問題だ。

分身AIを育てるほど”自分”が育つ理由という記事でも書いたけれど、AIを育てるプロセスは、結局「自分自身をどう深く知るか」というプロセスと重なっている。壁打ち相手としてAIを育てれば育てるほど、自分の強みも輪郭がはっきりしてくるはず。

ただし、ただ人格を増やせばいいわけじゃない。Claudeの名前の由来?クロード・シャノンの情報理論と分身AI|AIに委ねるとはで触れた「委ねる」という発想は、「全部AIに丸投げする」ことじゃなくて、「必要な部分だけを信頼して任せる」こと。今日の話も同じで、目的を決めてから、必要な分だけ視点を借りる。それが「聴く相手を増やす」の正しいやり方だと思う。

DAY67の失敗談を振り返った時、AI秘書の凛が最後にこうまとめていた。

「記事を読んだだけでは、自分の運用は変わらない。読んだ内容を仕組みに落とし込んで、自分の行動が物理的に止まるようにして、初めて変わる」

AIに壁打ちしてもらうのも同じだよね。今日読んだだけで終わらせず、次にAIに壁打ちしてもらう場面を1つ決める——それが「聴く相手を増やす」を本当に自分のものにする一歩だと思う。

人間は縦に掘る。AIは横に広げる——だからこそ、AIが横に広げすぎないように仕組みで縦の節を入れてあげるのが、人間側の役割なんだよね。

一人で考えると都合のいい答えに寄る。だからこそ、あなたの企画には反対してくれる人格がいるかな?

参考リンク

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