『メタスキル』の13プロンプトをFable5とOpusで徹底比較|全部実行してわかったAIモデルの使い分け

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は話題の新刊『メタスキル』に載っている13本のプロンプト”ぜんぶ”を、AnthropicのFable5とOpusの両方に、まったく同じ条件で実行させた徹底比較です。1本ずつ、実際の出力を並べて全部見せます。ただのモデル比べでは終わりませんでした。読み終えたとき、比べられていたのはAIじゃなくて、私のほうだった——そんな実験の記録です。

3行でわかるポイント

  1. 差は性能ではなく「視座の向き」:同じ13本・同じ入力で、Fable5は外(市場)へ翻訳し、Opusは内(本人の言葉)へ食い込んだ
  2. Fable5は人生を「証拠」として使い、Opusは人生を「語彙」として使う:同じ”がんサバイバー”という事実の扱い方が真逆だった
  3. 最大の発見:モデルより「渡す文脈」が資産:どちらのAIも、私が言語化して渡した分しか掘れなかった

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5月に出た話題の新刊『メタスキル:努力の価値が変わる時代の「AI×自分」戦略』(深津貴之さん・けんすうさん・尾原和啓さん/NewsPicksパブリッシング)。この本には、考え方だけでなく、そのまま使えるプロンプトが13本載っています。

📖 今回の実験で使った本

『メタスキル:努力の価値が変わる時代の「AI×自分」戦略』(Amazon)

深津貴之/けんすう(古川健介)/尾原和啓・NewsPicksパブリッシング。この記事で実行した13本のプロンプトの全文は、すべてこの本に載っています。Kindle版はこちら(※Amazonアソシエイトのリンクです)

私はこの13本を「読む」だけで終わらせたくなくて、全部ガチで実行しました。しかも、AnthropicのFable5とOpusという2つのAIモデルに、まったく同じプロンプト・まったく同じ入力で。入力に使ったのは架空の設定ではなく、私自身の実状況です。中卒であること、大腸がんサバイバーであること、借金を抱えた時期があること、家事と子育てのスキマで経営していること、8,730名のGPTs研究会を運営していること——全部そのまま渡しました。

「どっちのモデルが上か」を知りたくて始めた実験でした。でも13本を全部実行してわかったのは、その問いの立て方自体が間違っていた、ということです。この記事では、13本すべてを1本ずつ、実際の出力を並べながら、何が見えたのかを忖度なしでお伝えします。

※プロンプト全文はこの記事には載せていません。13本の原文は著作物なので、ぜひ『メタスキル』(Amazon)を手に取って確かめてください。この記事は「どんな狙いのプロンプトか」と「実行したらAIが何を返してくるか」の実演レポートです。本を横に置いて読むと、効果は2倍です。

この実験でやったこと——『メタスキル』のプロンプトを13本とも両モデルで徹底比較

この実験でやったことの図解

手順はシンプルです。『メタスキル』の13本のプロンプトを用意し、私の実際の悩み——「分身AIコースの品質担保」「メルマガ獲得が週3名しかない」「量産型AIコンサルとの差別化」——を入力として、Fable5とOpusの両方に流しました。

料理で言うと、同じレシピと同じ食材を2人の料理人に渡して、出てきた一皿を食べ比べる感じです。ここで大事なのは、食材に「私の人生」を使ったこと。一般論のお題なら、たぶん似たような答えが返ってきて、この実験は退屈に終わっていたと思います。個人の実話を渡したからこそ、2つのAIの「性格」がむき出しになりました。

先に結論:Fable5とOpusの差は、性能ではなく「視座の向き」

結論 Fable5とOpusの視座の違い

26本の出力を採点しようとして、途中でやめました。どっちも一流で、優劣の表が作れないんです。その代わり、全部の出力に一貫して流れている「違い」が1つだけ見つかりました。同じ材料を渡されたとき、視線がどっちを向くかです。

  • Fable5は、外を向く。私の悩みを受け取ると、市場の棚・お客さんの財布・競合の地図・実在の事例に翻訳して返してくる。
  • Opusは、内を向く。同じ悩みを受け取ると、私の原体験・口癖・大事にしてきた言葉の中に潜って、そこから言葉を拾って返してくる。

もっと正確に言うと、こうです。私は入力に「大腸がんサバイバー」という同じ事実を両方へ渡しました。Fable5はこの事実を「証拠」として使いました——「大手研修会社には構造的に真似できない、複製不能な参入障壁。あなたが勝てる理由」として戦略の中に配置した。Opusは同じ事実を「語彙」として使いました——手術台で家族の顔が浮かんだ、という私の原体験の手触りを、商品の軸の名前そのものに織り込んできた。

人間にたとえるなら、優秀な経営コンサルタントと、優秀な伝記作家を同時に雇ったようなものです。同じ人生を見せても、コンサルタントは「この経歴は市場でこう効く」と言い、伝記作家は「この経験はこの言葉で語るべきだ」と言う。どっちも正しくて、どっちも欠かせない。この目で、13本を1本ずつ見ていきます。

13本ぜんぶの見取り図——全部実行してわかったことの一覧表

Fable5とOpusの使い分け 全体図解

まず全13本を1枚の表に。この後、1本ずつじっくり中身を見ていきます(各見出しに飛べる読み方でもOKです)。

#プロンプト(狙い)Fable5の一手Opusの一手
1不確実を構造化する(深津)「逆選抜構造」を特定・一行要約が切れる「分身当てクイズ」等、遊び心ある仕組み設計
2失敗の事前検死(深津)「社長不在テスト」を暦に固定「最終責任の空白」を突く
3ゲームの構造を見抜く(けんすう)「配管工事ゲーム」と命名・0.03%と即計算「借地から自分の土地への移住」
4別のゲームを作る(けんすう)「AI氣道の開祖」「AI時代の番頭さん」「先に転んだ人の地図」「卒業を設計する戦友」
5弱者のメタゲーム(けんすう)「教える側 vs 共に実験する側」の上位軸恐竜と哺乳類のニッチ・4つの変換装置
6Z軸を50個探す(尾原)デジタル番頭・暖簾=財布が変わる名前ぬか床・食卓=物語が変わる名前
7世界52か国の事例(尾原)実リサーチ完走「信頼されている場所にAIを載せろ」実リサーチ完走・孤独の側から「23人救命」の実話
85歳児でもわかる家庭教師(尾原)ピン工場240倍・「組織の民主化」「凛ちゃん」登場・「味見の価値は上がる」
9方向性を相談する(けんすう)「教えない、代行しない、写して渡す」「魂シート=持ち運べる資産」
10レッドチーム反論(問い)「歌手と作詞家」の比喩で防御10反論を3つの急所に圧縮
11分解と統合で事業案(問い)「しゃべれば終わる事務室」3案を1本の導線に統合
12状況の明確化(問い)「生き方の見本市。その館長」「ロールモデルの実演者」
13本書のまとめ・Z軸発見(問い)情緒は互角の”双子の手紙”——差は食い込む先だけ(本文参照)

一覧で眺めるだけでも、左の列(Fable5)は「市場・お金・制度」の言葉が、右の列(Opus)は「物語・関係・手触り」の言葉が並んでいるのがわかると思います。では、1本目から。

#1 不確実を確実に変えるプロンプト(深津貴之)——「頑張る」を禁じ手にする構造設計

不確実を確実性に変えるプロンプトの図解

深津さんパートの1本目は、悩みを「症状・直接原因・構造原因」に分け、対策を「頑張る・注意する」ではなくルール・情報の流れ・権限・インセンティブ・デフォルト設定の変更として設計させるプロンプト。私が入れたお題は「分身AIコースで、受講生の分身AIの品質がバラつく」(入力情報量がバラバラ/言語化が得意な人しか良い分身を作れない/最終チェックが私の目視頼み)です。

Fable5
回答の全体像:まず「品質=本人らしさ×実用性の2軸」と仮定を自分で置いてから、症状→直接原因→構造原因の3層で解剖。急所を4つ特定し、負のループを「脱落」「講師ボトルネック肥大」「評判の逆流」の3本の連鎖として描き、解決策を指示どおりデフォルト設定・情報の流れ・ルール・権限・インセンティブの5つの道具に割り振って、仕組みが回った後の定常状態まで描き切りました。教科書のように隙がない構成です。

不確実の構造化 Fable5の実行結果図解

中でも急所の特定が容赦なかった。「言語化が苦手な人ほど本来分身AIの恩恵が大きいのに、その層が最初に脱落する逆選抜構造」「入口の分散がフィルタなしで下流に流れる構造」。そして解決策を出し切った後の、この一行要約。

言語化の負荷を受講生からAIへ移し、品質判定を講師の目からチェックリストと採点AIへ移す。人は思想と最終味見だけを担う。

会議でホワイトボードに書けば、その場で全員の腹に落ちる一文です。

Opus
回答の全体像:仮定4つを明示してから、現状の構造を「入力・変換・検品・権限・情報の流れ」の5層に分けて観察し、急所を「入力バラつき×基準ブラックボックスの掛け算」と2点に絞り込む。負のループは6段の物語として描き、解決策A〜E(型付きフォーム/聞き出しAI/ルーブリック公開/一次判定の委譲/インセンティブ)→定常状態→深津さん流の3分割(何が不確実か・何が確実か・何を動かせるか)で締める、これも完全回答でした。

不確実の構造化 Opusの実行結果図解

骨格は同じ結論(聞き出しAI+ルーブリック公開+一次判定の委譲)に到達しつつ、インセンティブ設計に遊び心を混ぜてきました。「受講生同士で分身当てクイズを回す——他人が本人を当てられたら高評価。当てられる=良い分身、という外部フィードバックが報酬になる」「ひろくんの目視を『ご褒美』に再配置する(上位スコアの人だけ直接フィードバックがもらえる)」。仕組みなのに、参加したくなる。最後は深津さんの流儀どおり「何が不確実か/何が確実か/そのうち何が自分で動かせるか」の3分割で締めてきました。

比較考察:処方箋はほぼ同じ場所(言語化の負荷をAIへ・基準の公開・判定の委譲)に収束しました。つまり構造化プロンプトは、モデル差が最も出にくい=どちらに投げても安心なカテゴリです。差が出たのは「言葉の宛先」でした。Fable5の「逆選抜構造」「一行要約」は経営会議で稟議を通す言葉、Opusの「当てクイズ」「ご褒美」は受講生が動きたくなる現場の言葉。同じ設計図でも、Fable5は上に通し、Opusは下を温める。実務ではFable5の要約を企画書の1行目に、Opusのインセンティブ案を運用マニュアルに——という合わせ技が正解だと思います。経営相談1回ぶんの整理が10分で出てくる、13本の中で一番「明日から使える」1本でした。

#2 事前検死(プレモータム)プロンプト(深津貴之)——失敗してから学ばない

事前検死プレモータムプロンプトの図解

「3か月後、このプロジェクトは失敗した」と先に仮定してから死因を探す失敗学の手法。お題は「分身AIコース品質の仕組み化が、仕組みを入れたのに品質バラバラのまま熱が冷めて失敗した」。今は新しもの好きの受講生が「いいですね」と言ってくれている——という”順調に見える今”も入力しました。

ここで鳥肌が立ったのは、両モデルが申し合わせたように同じ死角を最初に挙げたことです。「アーリーアダプターの好反応を、仕組みが機能している証拠と誤読するな」。別々に走った2つのAIが同じ警告を出したら、それはたぶん本当の死角です。

Fable5
回答の全体像:死角5つ——①好反応の誤読(生存者バイアス+沈黙層の偏り)②聞き出しAI自体が新たな関門になる(負荷は移動しただけ)③採点AIの点数と本人の納得の乖離④採点をすり抜ける「魂の写し違い」事故⑤仕組みの保守が新たな属人化になる——を、それぞれ「本質・見落とす理由・予兆・防衛策」の4点セットで提出。総括は「仕組みを入れたことと、仕組みが本当の顧客に効いていることの混同が5死角の共通構造」という一刀両断でした。

事前検死 Fable5の実行結果図解

予兆の描写が具体的でした。「盛り上がっているのに聞き出しAIの完了率が5割を切る。諦めは質問の減少として現れる」。そして防衛策を意志ではなく暦に落とす。

「田中さんが2週間不在でも回るか」を四半期に1回、実際に不在テストとして実施する日程をあらかじめカレンダーに固定する。

もう1つ、自作ツールの罠も。「設計者(言語化が得意な側)は50問を『答えるだけの簡単な作業』と体感する。ツールを作った側は、自分のツールの使いにくさに最も気づけない」。耳が痛い。

Opus
回答の全体像:こちらも死角5つ×4点セットの完全回答。①形式スコアの罠(基準を満たすほど中身が空洞化する「グッドハート化」)②個性の漂白③初期の好反応というサンプルの偏り④最終責任の空白⑤「完成=ゴール」と思われて育てるフェーズで放置——と並べ、最後に「不確実だった領域→管理可能に移した領域」の対応表で締めました。①と③はFable5と同じ死角です。

事前検死 Opusの実行結果図解

独自に光ったのは、組織の急所を突いた箇所でした。「全数目視をAIに委譲した後、『全部合格だが全体的に質が落ちてきた』という緩やかな劣化を止める人間の関門が消える。基準そのものが甘くなっても、それを正す主体がいない——最終責任の空白」。さらに「ヒアリングAIが誰にでも答えやすい無難な問いばかり投げ、全員から角のない自己情報を引き出す——個性の漂白。予兆は、原体験の欄が『家族を大事にしています』のような一般論で埋まり始めること」。

比較考察:5死角のうち2つ(初期の歓声の誤読・数値基準の空洞化)が完全に一致——これは「本物の死角」と判定していい。分岐したのは疑う対象で、Fable5は”外側の制度”を疑い(仕組みの保守・不在テスト・自作ツールの盲点)、Opusは”内側の人間”を疑いました(責任の空白・個性の漂白・完成後の熱の冷め)。制度の穴と人の穴は別物なので、プレモータムは両モデルに回して死角リストの和集合を取るのが最強です。今回それで死角は実質8個になりました。かかった時間は数分——数か月後に泣くはずだった死因を先に解剖してもらえる、全経営者の常備薬だと思います。

#3 ゲームの構造を見抜くプロンプト(けんすう)——週3名の正体は「配管」だった

ゲームの構造とルールを理解するプロンプトの図解

「今どんなゲームをやっているのか」を見抜くけんすうさんの1本目。お題は私の生々しい悩み、「メルマガの新規獲得が週3名しかない」です。

Fable5
回答の全体像:プレイヤーの定義(競合はAIコンサル・インフルエンサー・研修会社・発信者全体)から入り、指示どおり「観点/内容」の表で、本質的な目的→ルールの成立理由→表のKPIと本質のKPI→結果を決める力学4つ(信頼の非対称性・導線の物理学・差別化の力学・コミュニティの重力)→隠れた罠→結論、と積み上げる完全な構造分析でした。その結論の一言に唸りました。

ゲーム構造の分析 Fable5の実行結果図解
あなたは「新規集客ゲーム」をやっているつもりで、実際にやるべきは「既存1.3万名の信頼をメルマガという自分の土地に移し替える”配管工事ゲーム”」です。ルールを取り違えたまま努力すると、週3名は週5名にしかなりません。

週3名を「8,730名の母数に対して週0.03%」と即座に割り算し、これは集客力の問題ではなく導線の問題だと構造で示す。さらに「隠れた罠」として「『週3名しか獲得できない』という問題設定自体が、量のゲームのルールを無意識に受け入れている」とメタな指摘まで。

Opus
回答の全体像:こちらも表形式で、勝利条件を「建前(読者を増やす)」と「本音(自分で連絡が取れるリストという純資産を積む)」に分け、KPIも表と裏に分解。力学は「信頼の摩擦係数・交換価値の非対称・複利・プラットフォーム依存」の4本で、最後は「新規読者獲得=(既存母数×変換動線の有無)+(信頼の摩擦係数の低さ×交換価値の強さ)×複利係数」という1本の方程式にまとめてきました。そして面白いのはここです。Opusも独立に、ほぼ同じ場所に到達していました。「FBグループ8,730名は借地。アルゴリズム変更1回で失い得る。メルマガだけが自分の土地」「ひろくんは勝てる資産を持ちながら、それを現金化する配管を引いていないだけ」。加えてKPIの罠も。「オプトイン数だけを追うと特典コレクターの冷たいリストが膨れる。数のKPIは”勝ってる感”を演出するが、勝利そのものは保証しない」。

ゲーム構造の分析 Opusの実行結果図解

比較考察:診断は完全収束です——「借地から自分の土地へ」「数より濃度」「集客ではなく配管」。2つのAIが別々に同じたとえに着地したら、その診断はもう疑わなくていい。これが複数モデル比較のいちばん実務的な使い方だと、この1本が教えてくれました。差が出たのは診断後の道具で、Fable5は命名(「配管工事ゲーム」と名づけて認知そのものを書き換える)、Opusは方程式化(要因分解して、どの変数なら自分で動かせるかを特定する)。名前は人を動かし、方程式は打ち手を決める。私は翌日から「配管」という言葉で考えるようになり、実際にメルマガ導線の見直しを始めました。頑張る場所を間違えていたことが、たとえ話ひとつでわかったんです。

#4 別のゲームを作るプロンプト(けんすう)——同じ土俵から降りる発想法

別のゲームを作る発想プロンプトの図解

極端な条件・あり得ない条件・大胆なゴールを次々に入れて、既存ルールの外へ発想を飛ばすプロンプト。お題は「量産型・低価格AIコンサルと同じ土俵で戦わないゲームを作る」。

Fable5
回答の全体像:最初に「壊すべき前提はこれだ——AIコンサルの商品は”AIの知識”である、という思い込み」と宣言してから、極端な条件(年10社限定・発信禁止)→あり得ない条件(AIを教えない・弱みを商品にする)→譲れない条件からの逆算(家事育児のスキマ=時間を売るモデル自体を捨てる)→大胆なゴール(1社1000万円)→未来の兆し2つ→ワクワクする切り口、を表形式で一気に展開。1個1個が、そのままプレスリリースを書けるレベルの具体性でした。市場のカテゴリごと作り変える案の連打です。「クライアントを年間10社しか取れないなら、コンサル契約を”経営パートナー契約”へ——AIコンサルではなく『AI時代の番頭さん』という新カテゴリ。競合は他のコンサルではなく税理士顧問になり、比較すらされなくなる」「情報発信を一切禁止されたら?残る集客はクライアントの変化そのものだけ——事例が営業するモデル」。極めつけはこれ。

別のゲームを作る Fable5の実行結果図解
柔道・茶道のように、AIとの付き合い方を「道=生き方の作法」として体系化する。あなたは「先生」ではなく「開祖」になる。師範代が増えるほど、あなたが働かなくてもコミュニティと売上が育つ。競合ではなく弟子が増えるゲームへの転換。

AI氣道という名前に、こういう出口があったのかと。1社1000万円の変革契約の話では「軽自動車とセンチュリーは競合しない」という価格心理まで添えてきました。

Opus
回答の全体像:崩す前提を4つ明示(教える講座である/時間の切り売りである/差別化=高機能化である/縦のファネルを回すものである)してから、極端条件3つ・あり得ない条件2つ・大胆なゴール3つ(業界そのものを終わらせる=自分の不要化/1社1億円のインパクト/本人がいなくても回る)・未来の兆し3つ・ワクワクの切り口3つを出し、最後に「3つ同時に降りる(教える→伴走へ・安く広く→深く少なくへ・肩書き→物語へ)」という1つの戦略に束ねました。同じお題で、Opusは私の内側から旗を立てたんです。「三方よし・凸凹を否定しない・体に無理をさせない、から逆算すると“スケールしない=むしろ価値”に必然的に行き着く。『量産しない宣言』そのものがマーケティングメッセージになる」「成功事例ではなく失敗の共有を中心に置く——先に転んだ人の地図。失敗を語れるのは失敗した人だけで、量産型の優等生講師には在庫がない」「コンサルではなく、同じ凸凹を背負う経営者の戦友」。

別のゲームを作る Opusの実行結果図解

比較考察:外に新市場を作るFable5(開祖・番頭・事例が営業する)、内の物語を旗にするOpus(先に転んだ地図・戦友・量産しない宣言)。視座の向きの違いが一番きれいに出た1本です。もう一段踏み込むと、Fable5の案は「明日プレスリリースが書ける」具体性を持ち、Opusの案は「ブランドの憲法になる」一貫性を持っている。前者は市場に置いた瞬間に伝わる言葉で、後者は10年ブレない背骨になる言葉。新規事業の発想会議なら、Fable5案で市場の扉を探して、Opus案で「うちがやる理由」を固める、の順番が効きます。そして両方を合わせると「開祖が、先に転んだ地図を配る」という、単独ではどちらからも出ない絵になる——これが2モデル並走の醍醐味でした。

#5 弱者のメタゲームプロンプト(けんすう)——大手に勝つ唯一の条件

弱者が強者に勝つメタゲーム分析プロンプトの図解

競争戦略・ゲーム理論・進化論・組織論の4つの目で「弱者が強者に勝つ条件」を分析させる大作プロンプト。お題は「個人の三方よしAI共創コンサルが、資本力で量産する大手研修会社にどう勝つか。人柄と実体験で選ばれたい」。

Opus
回答の全体像:前提を復唱し、中核命題「弱者は同じゲームでは絶対に勝てない。唯一の条件は勝敗のルールそのものを書き換えること」を立ててから、けんすうさんの問い(方向性は合っているか/失敗ケースは/どんな機能を作るか/ユーザーは実在するか/具体化と抽象化/隣接業界/類似事例/別の軸)に1問ずつ完全回答。失敗4ケースを表にし、最後は「降りるゲーム/移動先のゲーム/KPIの書き換え/複製不能のロック/最大リスクと防衛」の総括表で締めました。方向性の最終判定は「GO。理論的に弱者の唯一解と一致」。

弱者のメタゲーム Opusの実行結果図解

進化論の説き起こしが見事でした。「巨大な恐竜と同じ平野で戦わず、夜・地中・樹上という恐竜が来ないニッチへ移動した哺乳類だけが生き残った。研修予算の薄い・属人的伴走を求める中小経営者は、大手が来ない”夜のニッチ”」。その上で、人柄押しの死に方を3つ(共感はされるが売れない/本人が倒れたら全停止/物語だけなら資本で量産される)挙げ、「人柄→信頼→購買→仕組み化」の4つの変換装置を設計。「方向はGO。ただし変換装置をセットで作ることが必須条件」という判定つきでした。

Fable5
回答の全体像:競争戦略(大手は属人化がビジネスモデル上の禁忌=人柄領域に構造的に参入できない)→ゲーム理論(同一次元の競争は価格競争で弱者必敗・比較不能になれ)→進化論(餌が「知識」から「安心と信頼」へ移動中・弱者の速度は強者の規模に勝る)→組織論(稟議で動く従業員 vs 信頼で自走する1.3万名の仲間)と、4つの学問を全部使い切ってから、個別の問いに回答する二段構成。結論は「今のゲームの弱者という自己認識を、次のゲームの先行者に書き換えよ」でした。

弱者のメタゲーム Fable5の実行結果図解

理論の切れ味が一段上でした。「同一次元で競うとベルトラン競争(価格競争)になり、資本の薄い側が確実に先に死ぬ」「『寄り添います』は大手も言える安いシグナル。しかし中卒・独学・がんから回復して家事育児をしながら経営している実物は、偽装コストが無限大のシグナル」。そして、私の想定の一段上の軸を出してきた。

「教える側」vs「共に実験する側」という軸です。「私も皆さんと同じく、AIと共創しながら自分の会社を経営している実験当事者です。実験結果を全部見せます」という立場を取ると、教える/教わるの構造自体から降りられます。ここでは「一番正直に実験の過程を見せている人」が勝ちます。

比較考察:13本の中で唯一、私がはっきり軍配を上げた1本です(Fable5)。理由は「共に実験する側」という軸の発見——26本の出力全体でも、いちばん鋭い戦略の一手でした。「あなたの差別化の防御力は、ノウハウではなく“人生の複製不能性”にあります」という言い切りは、額に入れて飾りたいくらい。ただし公平に言うと、Opusの「4つの変換装置」(物語→購買・分身AIで脱属人・複製不能ロック・少数深耕ロック)は実装リストとしてFable5より丁寧で、「共感はされるが売れない」という一番ありがちな死に方への処方箋になっています。つまり戦略の”発見”はFable5、戦略の”実装”はOpus。ちなみにこの記事自体が、Fable5に教わった「実験結果を全部見せる」の実践だったりします。

#6 Z軸を50個探すディープリサーチ(尾原和啓)——ぬか床と番頭、名前の分かれ道

Z軸を見つけるディープリサーチプロンプトの図解

「競合が使っていない第3の軸(Z軸)を50個出し、上位5つに名前をつけよ」という尾原さんの必殺プロンプト。お題は「分身AIコース」。両モデルとも本当に50個出してきました(ここはどちらも手を抜きません)。見ものだったのは、選ばれた上位5つの「名前」です。

Fable5
回答の全体像:まず競合の「ありふれた2軸」3組(価格×カリキュラム量/難易度×サポート/時短×収益)を挙げ、「市場全体がAIを”道具”としてしか定義していない」という盲点を指摘。50軸は「死後残存性」「番頭代替性」「罪悪感ゼロの丸投げ度」「完全定休日の実現度」など、市場と財布の言葉が並びました。選ばれた5軸:ソウル・バックアップ軸/デジタル番頭軸/鏡のセラピー軸/凸凹デリゲーション軸/暖簾(のれん)ブリッジ軸。締めの一文は「カテゴリーの外に出た者だけが、カテゴリーの王になれる」。名前に添えた理屈がこれ。

Z軸ディープリサーチ Fable5の実行結果図解
「AIスキルを学ぶ講座」ではなく「番頭を雇う講座」と再定義した瞬間、比較対象がUdemyから求人広告・人材紹介料に変わり、価格の桁が一つ上がっても「安い」と言われる。市場の財布が「研修費」から「人件費」に切り替わる。

「暖簾ブリッジ」には「息子が継いだ後も『親父ならこの取引、受けたかな』と相談できる」の一文とともに、事業承継・商工会議所・公的補助金という、AI講座が一度も戦ったことのない販路まで指してきました。

Opus
回答の全体像:ありふれた2軸の分析はほぼ同じ(「全員が”AIを使ううまさ”という同じ地面の上にいる」)。ところが50軸の中身の向きが逆で、「魂の解像度」「許しの到達軸」「看取り設計軸」「家族の食卓が変わったか軸」など、人生の言葉が並びました。選ばれた5軸:ぬか床AI軸/委ねた量メーター軸/食卓が変わったか軸/凸凹のまま出荷軸/死んでも続く魂軸。締めは「ひろくんの人生(借金・がん・家族・凸凹)そのものが、模倣不能の堀になっている」。「ぬか床AI」の説明がこれ。

Z軸ディープリサーチ Opusの実行結果図解
他社は「即席ラーメンAI」を売っている。お湯を注げば3分で完成、でも翌日には飽きる。こちらは「ぬか床AI」。毎日かき混ぜないと腐るが、育てるほど深い味になり、世界に一つの味になる。

「委ねた量メーター」は、通知表を逆向きにする発想——「あなたは今週、◯時間ぶん“やらなくて”よくなりました」。そして「食卓が変わったか軸」では「AIを育てた結果、子どもに『お父さん最近楽しそうだね』と言われたか。それが唯一の合格ライン」。これは私が手術台の上で家族の顔を思い浮かべた、あの原体験そのものです。渡した文脈の、いちばん柔らかいところに、まっすぐ食い込んでくる。

比較考察Fable5の名前は「どの財布が開くか」を変える名前。Opusの名前は「誰の物語か」を変える名前。企画会議で通したいのはFable5の名前で、朝礼で読み上げたら泣く人が出るのはOpusの名前。売るための名前と、生きるための名前——両方とも、商売には要るんですよ。そして注目してほしいのは、上位5つだけでなく50個の”母集団”の段階からすでに向きが分かれていたこと。Fable5の軸名は「〜代替性」「〜資産化度」という市場の計測語、Opusの軸名は「許し」「看取り」「食卓」という人生の手触り語。つまりこの差は最後の editorial な味付けではなく、思考の出発点からの差です。13本の中で、視座の向きの差が最も濃く出た「最大の見どころ」でした。自社商品をお持ちの方は、このプロンプトを両モデルに投げるだけで、パンフレットの言葉と理念ページの言葉が同時に手に入ります。

#7 世界52か国の事例プロンプト(尾原和啓)——同じ52か国を調べても、拾う事例が違った

世界の事例から発想を広げるプロンプトの図解

「52か国語を話すリサーチャー」になりきらせ、日本で知られていない海外事例から発想を広げるプロンプト。お題は「高齢・非ITの中小経営者に、AIを”共感”を軸に広める」。

まず経緯を正直に書きます。実行初日、Fable5はこの1本に、聞かれてもいないのにこう返してきました。

【正直な注記】この実行環境ではWebのライブ検索を行っていません。以下は学習済み知識に基づく回答です。制度名は実在のものを挙げていますが、引用時は一次情報の確認を推奨します。

知ったかぶりをしない。この正直さも、AIの性能です。ただ、当初はOpus側だけを後から実Web調査で作り直していて、比較の条件が不揃いでした。そこで両モデルに同じ掟を課して、リサーチごとやり直しました——実Web調査で52か国・各国にプログラム実名と数値と出典URLを必須・確認できない国は「未確認」と正直に書く・捏造は一発アウト。以下は、その同条件での結果です。

Fable5
回答の全体像(実リサーチ版):52か国を完走し、「AI×共感型12/関係性・信頼型34/未確認6」に分類。ハイライトは——韓国のAI電話「クローバケアコール」(AIが独居者に電話をかけて安否と雑談、応答率96%)、英国Made Smarterの公式ブログに載った「同じ傷と痛みを分かち合う仲間」という支援の言葉、アイルランド政府の支援ページが目的に「reduce stress(ストレスを減らす)」と明記していること、AIに民話の妖精の名「クラット」をつけて国家戦略にしたエストニア、9.3万の地域班・45万人が家を一軒ずつノックしてデジタルを届けるベトナム。そして見つからなかった6か国は、数合わせせずに「未確認」のまま提出してきました。

世界52か国の事例 Fable5の実リサーチ実行結果図解

Fable5の横断結論は、こうでした。

成功している国はどこも「AIを教える」のではなく、「経営者が既に信頼している人・場所・チャネル」——先輩経営者のメンター網・商工会議所・図書館・毎日開くWhatsApp——にAIを載せていた。ゼロから講座ブランドを立てて成功した国は一つもない。

Opus
回答の全体像(実リサーチ版):同じ掟で52か国を「AI×共感型8/関係性・信頼型36/未確認8」の3タイプに分類し、各国をプログラム実名・実績数値・”共感が入口”である証拠・出典URLのセットで記述。白眉は韓国SKTの「AIスピーカーの感情会話」——利用の6割超が緊急通報ではなく日常の話し相手としての利用で、それでも実際に23人の命を救った、という実話でした。台湾の「受け入れられる姿を先に設計してから中身を入れる」、南アフリカの「当事者が場を運営し、デジタルは関係の運搬役」も、この調査の宝です。

世界52か国の事例 Opusの実行結果図解

比較考察:ここに、この実験でいちばん予想外の発見がありました。同じお題・同じ52か国・同じ掟なのに、2つのAIが拾ってきた事例群が別物だったんです。Opusの52か国は「高齢者の孤独」の側——AIスピーカーの見守り、世代間交流、友愛訪問——に寄り、Fable5の52か国は「中小企業の支援」の側——メンター網、商工会議所、伴走コンサル——に寄った。お題「高齢・非ITの中小経営者」の重心を、Opusは“高齢の人”に、Fable5は“経営者”に読んだわけです。リサーチという、いちばん客観的に見える仕事ですら、視座の向きが出る。それでいて統合結論はまたも収束しました——「信頼が先、道具は後」「技術より、孤独と恐怖を先に扱う」。そして2枚の地図(人の孤独/商売の支援)を横に並べたとき、初めてお題の全体が見えました。1つのAIのリサーチは「答え」に見えるけれど、2つ並べると「視野の欠け」が見える——リサーチこそ、2モデル並走の価値が出る仕事でした。

#8 5歳児でもわかる家庭教師プロンプト(尾原和啓)——同じ講義、違う教え子

5歳児でもわかる家庭教師プロンプトの図解

「この複雑な◯◯を、5歳児でもわかる言葉で、歴史的背景と経済的インパクトを交えて多角的に教えて」。お題には「Claude Codeのサブエージェント駆動開発」(複数のAIに役割分担させる開発手法)を入れました。

結果がまた面白い。両モデルとも「ひとりで全部やるシェフが、おてつだいさんに持ち場を分ける」というほぼ同じ導入から入り、両方ともアダム・スミスのピン工場に接続したんです(骨格が同じ!)。差は、その先の肉付けに出ました。

Fable5
回答の全体像:5歳児パート(シェフとおてつだいさんの物語+「わけっこする・べつのお部屋でやる・できたよだけもらう」の3ポイント)→歴史パート(狩猟採集→ピン工場→フォード→ソフトウェアのAPI→AIエージェントの「分業革命・第5幕」として一本の物語化+人類の分業史とサブエージェント開発の対応表)→経済パート(開発の値段が壊れる・雇えなかった層が雇用主になる・給料の源泉が移動する)→最後に「あなたの仕事を紙の上で分けてみる」という宿題まで。数字と概念の名講義でした。「ピン職人1人で1日20本。18工程に分けて分業すると1人あたり4,800本——240倍」「T型フォードの組立時間は約12時間半から約1時間半へ」。そして経済パートの締めがこれ。

5歳児でもわかる家庭教師 Fable5の実行結果図解
ピン工場もフォードも、分業の恩恵を受けられるのは工場を持てる資本家だけでした。しかしAIエージェントの分業は、家事と子育てのスキマで経営する個人事業主が、大企業と同じ「分業された組織」を持てる。歴史上初めて、組織力が資本量から切り離された。産業革命が「筋肉の民主化」だったのに対し、これは「組織の民主化」と呼ぶべき出来事です。

「分業の価値は『手を分ける』ことではなく『頭(注意力)を分ける』こと」という本質の一文も、この講義から。

Opus
回答の全体像:5歳児パート(ロボットのお友だちに、お仕事を分けてあげるお話)→料理の厨房のたとえ(並列=同時に動く/コンテキスト分離=まな板が散らからない、の2ポイント)→歴史6段(狩り→農業と職人→ピン工場→フォード→ソフトウェア→人類史上初の”AIどうし”の分業)→経済5角度(時間コスト・一人社長でもチームを持てる・人間の役割が上に移動・品質と両立・そして分業の落とし穴まで正直に)→最後は8行の「15分で渡す地図」表。同じ講義を、私の家庭教師としてやってきました。5歳児パートに私のAI秘書「凛ちゃん」を登場させ(「しっかり者のロボットも、その仲間のひとり」)、歴史パートでは分業の影まで正直に扱う。「ベルトコンベアは『人間が部品扱いされる』問題も生んだ。AIの分業でも、各AIの成果を最後に統合する人がいないとバラバラの料理が出てくる。だから『最後に人が味見する』工程は、経済的にむしろ価値が上がる」。私が普段から言っている「味見は卒業しない」に、経済学の側から裏書きをくれました。

5歳児でもわかる家庭教師 Opusの実行結果図解

比較考察:名講義のFable5、家庭教師のOpus。骨格(シェフの物語→ピン工場→経済)は驚くほど同じなのに、「誰に向かって話しているか」が違います。Fable5は不特定多数の聴衆に向けて240倍・組織の民主化という記憶に残る数字と概念を置き、Opusは目の前の教え子ひとりに向けて、その人の秘書の名前を出し、その人の持論(味見は卒業しない)に接続し、怖がらせないように分業の影まで先に見せる。もう1つ大事なのは、Opusだけが「リスク」を独立の章にしたこと——相手が初心者のとき、影を隠さない説明のほうが信頼されます。教材・スライド・書籍原稿はFable5、社内勉強会・わが子への説明・顧客への個別説明はOpus。「わかりやすさ」にも外向きと内向きがある、と教えられた1本でした。

#9 方向性を相談するプロンプト(けんすう)——2つのAIが同じ「別の軸」に着地した

方向性を相談するプロンプトの図解

戦略仮説を11の視点(妥当性・失敗ケース・ユーザー実在性・具体化・抽象化・隣接業界・先行事例・別の軸・海外動向…)で多角検証させる長丁場のプロンプト。お題は私の実仮説「1コアの発信→N個の分身AIで5媒体に自走展開する分身AIコース」。

ここでも収束が起きました。2つのAIが独立に、同じ「別の軸」——継承軸——に着地したんです。

Opus
回答の全体像:11視点を「視点/分析内容/得られる示唆」の3点セットで完走。方向性は妥当と判定しつつ弱点2つ(再現度の合否基準が未設計・「自走=全自動」という期待値ギャップ)を先に指摘し、失敗5シナリオ、別軸3本(対話深度軸・継承軸・DIY化軸)を提示して、機能面は「再現度の検証機能と魂シートの可搬性、この2つが全方向性の生命線」と絞り込みました。締めは「この議論は1回で終わらせず何十回も回せ。別ベンダーのAIに第二意見を取れ」——まさに今この記事がやっていることです。

方向性相談 Opusの実行結果図解

核心はここでした。「コーチ・士業の更に深い痛みは『発信が続かない』ではなく『自分がいないと回らない・休めない』。分身AIは発信機ではなく継承装置」。そして資産設計の一言が効きました。「資産の本体を特定モデルのプロンプトではなく『魂シート』(その人の核・口調・価値観の言語化ドキュメント)に置く。モデルが変わっても、新モデルに同じ魂シートを食わせれば作り直せる。陳腐化するのはプロンプトの小技であって、魂の言語化ではない」。

Fable5
回答の全体像:11視点完走に加えて、密度が凄まじかった。妥当性は「根拠3つ+構造的弱点1つ」、失敗は6ケースを発生確率×致命度でランク付け、ユーザー実在性は「有料転換率1%でも130名×30万円=3,900万円の一次市場が手の中にある」と金額まで計算し、サービス像は90日3層構造+価格帯、別軸は4本(自己理解/継承・遺産/組織内展開/審査・認証)を実行順つきで積層。総括では「入口を絞る・提供形態を確定する・別軸を積層する」の修正3点を突きつけてきました。

方向性相談 Fable5の実行結果図解

そして同じ継承軸を、私の人生と接続してきました。「がんサバイバーである運営者自身の『もし自分に何かあっても、家族と受講生に言葉を残せる』という実体験が、この軸に唯一無二の説得力を与える。競合が感情的に模倣できない領域」。さらに実装が具体で、隣接業界との差を一言化した「教えない、代行しない、写して渡す」の三否定コピー、「1期10〜20名の期制・コース30〜50万円+月額コミュニティ」という価格設計、海外先行事例(専門家のデジタルクローン課金・故人の語りを残すグリーフテック)まで並べ、「分身は信頼の増幅装置であり、ゼロからの信頼獲得装置ではない」という限界の言語化までしてきました。

比較考察:いちばん重要なのは、11視点もの長い検証を別々に走らせて、2つのAIが同じ「継承軸」に着地したという事実です(#2・#3に続き3回目の収束)。戦略仮説の検証で複数モデルの答えが重なった部分は、もう「私の思い込み」ではない——安心して張れる場所です。分担も明確で、Opusは資産の思想(魂シート=モデルを乗り換えても持ち運べる、という設計哲学)を、Fable5は実装と値札(確率×致命度のリスク表・市場規模の試算・価格と期制)をくれました。投資家に見せるメモはFable5から、プロダクトの背骨はOpusから作れます。けんすうさんの「何十回も議論を繰り返す」という本の教えの最短版が、この2モデル突き合わせでした。

#10 レッドチーム反論プロンプト(問い)——意地悪な人を、会議の前に呼んでおく

レッドチーム演習 反論プロンプトの図解

「私の提案に、論理的に反論してくる人になって。反論を10個。それへの再反論も」——会議の前に意地悪な質問を先取りして潰しておく演習。お題は#9と同じ「分身AIの5媒体展開」です。両モデルとも容赦がなく、「『魂を写す』は検証不可能なレトリックだ」「5媒体ぶんのチェック地獄が増えるだけでは?」「本人が倒れたら全部止まる」と急所を突いてきました。

Opus
回答の全体像:反論10連発——劣化コピーになる/AIは平均的で毒が出ない/チェック地獄が増えるだけ/プラットフォーム規制で崩れる/5媒体は器用貧乏の制度化/士業なりすまし事故/売れた瞬間に本人が詰まる/受講者が3週間で放置する/モデル陳腐化で資産が無価値化/そもそも財布が開かない——に、1本ずつ再反論(防御線)を張る完全応酬。そして10個の反論を出し切った後のまとめ方が実戦的でした。「10個は突き詰めると3つの急所に収束する——①再現度(答えは魂シート+人間の味見)②全自動という誤解(下書きAI・承認は人間で固定)③スケールと需要(工程の製品化+既存1万名で実証)。この3点を提案資料の冒頭で先に潰しておけば、会議で意地悪な質問が出ても揺らがない」。

レッドチーム反論 Opusの実行結果図解

Fable5
回答の全体像:こちらの反論10本は角度が微妙に違い——「魂を写す」は検証不可能なレトリック/規制で前提が崩れる/N倍に薄めた発信はブランドを毀損する/ターゲットの大半はコアの発信自体を作れない/大手が無料で出したら終わる/少人数運営でスケールしない自己矛盾/士業はコンプラ地雷/成果の前に解約が来る/読者は分身を嫌う/本人が倒れたら全部止まる——最後に「修正を要求する反論は3つ、防御線で反転可能な反論は7つ」と仕分けまでしてきました。中でも一番痛い反論——「読者が『この発信、AIが書いてるらしい』と知った瞬間、信頼が一撃で壊れるのでは?」——への防御が見事でした。

レッドチーム反論 Fable5の実行結果図解
破壊的なのは「隠していた場合の発覚」であって、AI活用自体ではない。歌手が作詞家と組んでも「偽装」と呼ばれないのは、歌うのが本人だからだ。味見して世に出すのが本人である限り、発信の主体は本人である。

さらに「大手が同じ機能を無料で出したら終わる」への切り返しも。「『AIに書かせてみたが自分らしくならなかった』という体験者こそ、魂写しの価値を最も理解する見込み客。大手の参入は脅威ではなく、リード生成装置である」。そして最後の反論(本人が倒れたら止まる)には、「『魂を写す』技術を最初に適用すべき対象は運営者自身だ。弱点への備えを商品の実演として公開することが、この事業の誠実さと強さの源泉になる」。

比較考察:ここは他の12本と決定的に違う発見がありました。2セットの反論10本が、ほぼ別物だったんです(重なったのは規制・属人依存など3つ程度)。診断系プロンプト(#2・#3・#9)では収束が価値でしたが、攻撃系では逆で、視座が違うから攻撃の角度が増える。2モデル合わせて実質17種類の反論を事前に浴びられた——レッドチーム演習こそ、複数モデル並走の効果が最大になるプロンプトです。まとめ方の性格も対照的で、Opusは17の攻撃を3つの急所に圧縮して「提案書の冒頭で先回りして潰せ」と言い、Fable5は「歌手と作詞家」のような比喩の盾を1枚ずつ配ってくれる。守りの設計図はOpus、質疑応答の切り返しはFable5。この2人を通した提案は、本番の会議が消化試合になります。

#11 分解と統合プロンプト(問い)——不満20個から事業3案を組み上げる

分解と統合によるアイデアビルディングプロンプトの図解

「市場の不満を20個挙げる→AIで解ける課題を選ぶ→サービス3案を作り、各案をMVP・収益化・リスクまで整理」という新規事業の組み立てプロンプト。お題は「非ITの中小経営者向けAI活用支援」市場です。両モデルとも不満20個・3案・5項目を完走しました(個数の手抜きなし)。

Fable5
回答の全体像:仮定4つ(従業員0〜30名・「もらったExcelは開ける」レベル・月1万円を超えると配偶者と税理士への”稟議”が発生・組み合わせて出す開発体制)→不満20個→「頻度×痛み×代替の弱さ」の3基準で7課題を選定→3案それぞれを「誰の不満・何が良くなる・MVP・収益化・最初のリスク」の5項目で完全記述→最後に20個の不満を「入口がない・毎日の作業に沈む・全部自分の頭の中」の3層に畳んで、3案を1本の階段として統合しました。

分解と統合 Fable5の実行結果図解

不満20個の生々しさが一枚上でした。「カタカナと英字略語で説明された瞬間に思考が止まる。分からないと言うのも恥ずかしくて黙ってしまう」、そして20個目——「『自分が倒れたら会社が止まる』という漠然とした恐怖を抱えたまま、健康診断の再検査を後回しにしている」。ドキッとしました(私は後回しにした側の人間です)。案の名前もまた具体で、音声を投げるだけの「しゃべれば終わる事務室」(”入力という概念自体をなくす”)、社長の頭の中を写す「分身番頭」。リスク対策も仕様レベルで、「金額と社名は原文ママ抽出を強制し、下書きに必ず【要確認】マークを自動付与。AIは下書き係、送信は社長——の役割線をUI上で物理的に固定する」。

Opus
回答の全体像:仮定→不満20個(「セミナーは平日昼で行けない」「相談相手がいない孤独」など心理面が厚い)→6課題選定→3案×5項目を完走。案の名前は「あいぼうず・スターター」「プロエコ・コンバーター」「委ねるOS・伴走パートナー」——気づきました? 全部、私の既存の語彙(相棒・プロセスエコノミー・委ねるOS)から作られているんです。ここでも内向き。そして持ち味は統合でした。3案を作った上で、バラバラにせず束ねる。

分解と統合 Opusの実行結果図解
3案は別物ではなく1本の導線で繋がる。案1(無料診断で課題に気づく)→案2(日々の作業が発信資産に変わる)→案3(伴走と場で定着し、孤独が消える)。分解してから統合したことで、「聞かれて答えるだけ」の哲学が、そのまま事業の骨格になる。

比較考察:分解の解像度はFable5、統合の設計はOpus——プロンプト名(分解と統合)の前半と後半を、2つのAIが得意分野として分け合った格好です。そして案の「名前」にまで視座の向きが貫通していたのが面白い。Fable5の「しゃべれば終わる事務室」「分身番頭」は初見のお客さんに一発で通じる外向きの言葉、Opusの「あいぼうず」「委ねるOS伴走」は私の世界観を知る人に深く刺さる内向きの言葉。新規顧客向けのLPならFable5の名前、既存コミュニティへの案内ならOpusの名前が正解で、同じ商品に2つの名前があっていい——という発見までもらいました。事業アイデアに悩んでいる方は、この1本だけでも両モデルで回す価値があります。

#12 状況を明確化するプロンプト(問い)——自分の現在地を、一段上から言い換える

状況明確化プロンプトの図解

「今やっていること」を上位視点で言い換え、属している大きな構造・現在位置・リスクを整理させるプロンプト。入れたのは「家事と子育てのスキマで三方よしAI共創コンサルをやっている。AIで誰でも発信できる時代に、埋もれず選ばれ続けたい」。ここは両方とも名文で、正直、読みながら背筋が伸びました。

Opus
回答の全体像:言い換えを3段階で深めていく構成(AIの使い方を教える人→潰れかけた経営者のOSを書き換える伴走者→「凸凹のまま生きていい」という生き方の許可証を渡す人)。属する構造はAI市場の3層(基盤層/実装層/生活・個人層)で分析し、価値の発生点を「この人が言うから信じられる、という信頼の瞬間」に置き、最大の依存=単一障害点を「本人の時間と身体」と特定しました。

状況の明確化 Opusの実行結果図解

「あなたは単なる『AIの使い方を教える人』ではなく、『家事と子育てのスキマで経営する』という事実自体が商品。語る人ではなく、生きて見せている人——ロールモデルの実演者」。そしてリスクの指摘が、いちばん深いところに刺さりました。

価値の源泉が本人に集中しているほど、あなたの時間・体調が事業の天井になる。「抱え込みOS」に逆戻りすれば、身体に再び現れる。手放し(委ねるOS)を実装できないと、自分の哲学に自分が殺される——という最大の皮肉リスク。

Fable5
回答の全体像:言い換え4段(通訳者→三方よしの秩序でAI導入を設計する調停者→「制約を抱えたまま経営が回ることの生きた実証実験」→商品仕様)。構造分析では、市場に走る2つの地殻変動——生成コストの暴落と、信頼コストの高騰——を対で捉え、リスク4つ(量産物の海に沈む・単一障害点のまま拡大・「無料のいい人」への滑落・「AIの人」という看板ごと陳腐化)を提示しました。同じ場所を、市場の言葉で言い切ってきたんです。「『家事と子育てのスキマで経営している』は謙遜の枕詞ではなく、商品仕様そのもの」「あなたがいるのは、成果物の価値が暴落し、人格の価値が高騰する——追い風と向かい風が同時に吹く断層の真上」「情報(What)はAIが量産する時代でも、実証(Being)は量産できない」。そして一枚看板まで作ってきた。「今後のポジションは『AIを教える人』ではなく『AI時代の生き方の見本市。その館長』」。

状況の明確化 Fable5の実行結果図解

比較考察:リスクの診断がここでも収束しました——両モデルとも①コモディティ化に沈む②本人が単一障害点③「無料のいい人」への滑落、をこの順で挙げてきた。つまり私の現在地のリスクは、モデルの癖ではなく構造の事実です。逃げられない。違ったのは処方の言い方で、Opusは「委ねるOSを自分に最初に適用せよ(=哲学の自己適用)」、Fable5は「見本市の館長になれ(=ポジションの再定義)」。内側の生き方で解くOpusと、外側の看板で解くFable5——同じ病気に、漢方と外科手術の2つの処方が出た感じです。自分の現在地は、自分がいちばん見えない。年に1回、このプロンプトを両モデルに投げて2枚の診断書をもらう「経営者の健康診断」、おすすめです。

#13 本書のまとめプロンプト(問い)——AIに仕事を渡して、残ったものがZ軸

本書のまとめ Z軸発見プロンプトの図解

最終プロンプトは本全体の実践版です。「①AIに取られそうな仕事を書く→②AIにやらせてみる→③『これは私じゃないとできない』部分に線を引く(=Z軸)→④その視点を加えて作り直させる」。私が入れたのは「AIニュース記事の量産執筆」——この記事を書いている私自身の、いちばんヒリヒリするお題です。

Fable5Opus
両者の回答の全体像:②の段階では、両モデルとも完璧な量産システム(自動収集→3基準の選別→テンプレ執筆→ファクトチェック→多チャネル展開→改善ループ)を提示してきて、「私の仕事は本当に取られる」が事実確認されました。③の書き直しでは、これも両者同じ改造をしてきます——選別基準の最上位に「かつての自分が、この作業で苦しんでいたか」を追加し、テンプレに「私の昔の話」ブロックを新設し、検査項目に「格好つけていないか・弱さを隠していないか」を足す。Fable5はさらに改善指標を「PVより『自分のことかと思った』という反応の数」に差し替えてきました。面白いのはそこからです。書き直されたサンプル記事が、双子のように似た、どちらも胸に来る手紙になったんです。

本書のまとめ Fable5の実行結果図解 本書のまとめ Opusの実行結果図解
Opus版:夜中の1時間が、まるごと消える。その1時間で、寝てる子どもの顔を見にいける。たった1時間。でも、がんで倒れて分かったんだ。その1時間が、命だったって。
Fable5版:夜中の1時間が、まるごと消えます。数分になった、という話ではないんです。その1時間で、寝ている子どもの顔を見に行けます。私は大腸がんになって初めて、作業に溶かしていたあの時間が命の時間だったと知りました。

ほぼ互角です。どちらも泣ける。つまりこの実験の前に私が持っていた「Fable5=ロジック、Opus=情緒」という整理は、雑でした。情緒の量では、もう差がつきません。Opusにしかなかったのは、渡した文脈の「細部」への密着度——私の造語「振ろう→不労→浮浪→フロー→不老」を織り込み、チームの合言葉「80%で出しちゃいなよ」まで引用してくる、あの食い込み。Opusは書き直しの核心を「実体験という、替えのきかない出汁」と呼びました。一方Fable5は、結論の付け方が見事でした。

「AIニュース記事の量産執筆」は、確かにAIに取られる。「取られてよかった」が正しい結論でした。収集・型・検査・配信をAIに全部渡した結果、残った2ブロック——実体験と凸凹——は、最初からAIには渡しようがなかったものであり、そここそが唯一の持ち場だと、この実行で確認できました。

比較考察:13本の最後にして、この実験全体の答え合わせになった1本です。手紙が双子だった事実は「情緒の量ではもう差がつかない」ことの証明であり、それでも残った差——Opusの文脈密着と、Fable5の「取られてよかった」という結論の付け方——は、最初から一貫していた「視座の向き」そのものでした。そして本の最終メッセージ「AIに渡せるものは渡せ。残ったものがあなたのZ軸」を、2つのAIが図らずも実演で証明してくれた。AIが完璧な量産システムを見せてくれたからこそ、渡せない2ブロック(実体験と凸凹)の輪郭がはっきりした——Z軸は、AIに仕事を渡してみるまで見えない。13本の実行を締めくくるのに、これ以上ない着地でした。

📖 13本のプロンプト全文は、本でチェック

この記事で実行した13本のプロンプトの原文は、すべて『メタスキル』に載っています。原文を手元に置いて、あなたの実状況で試すところまでがこの実験のゴールです。

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Fable5を使う価値——「市場の言葉への翻訳機」

Fable5を使う価値

13本の比較で炙り出された、Fable5を使う理由を4つにまとめます。

  1. 問題の再定義:「集客不足」を「配管工事」に(#3)。悩みの定義そのものを書き換えて、頑張る場所を変えてくれる。
  2. 財布の切り替え:「番頭」「暖簾」のように、商品が比較される棚ごと動かす名前が出る(#6)。値づけの桁が変わる。
  3. 実在の物差し:ピン工場の240倍(#8)、ベルトラン競争と偽装コスト(#5)、価格設計と期制(#9)——実例と実数と理論で裏を取りながら話す。空中戦にならない。
  4. 構造の硬さ:症状・原因・急所・打ち手の骨組みがカチッとしていて、抜け漏れが少ない(#1・#2・#11)。

ひとことで言えば、Fable5は「自分の中にあるものを、市場の言葉に翻訳する機械」です。企画の壁打ち、ネーミング、事業の再定義——「これ、外の世界にどう置けば売れる形になるの?」という問いには、Fable5が最短で答えます。

使い分けの実務ガイド+AIにも「社風研修」が要る話

場面別 Fable5とOpusの使い分け

13本×2モデルの読み比べから作った、そのまま真似できる使い分け表です。

場面任せる相手理由(根拠の比較)
企画を「売れる形」に翻訳するFable5市場の棚・財布・カテゴリの言葉で返してくる(#4・#6)
ネーミング・商品コンセプトFable5比較対象ごと変える名前が出る(#6 番頭・暖簾)
構造分析・問題の再定義Fable5「配管工事」のような定義の書き換えが強い(#3)
理念・世界観を自分の言葉にするOpus渡した原体験・口癖・造語に食い込んでくる(#6・#13)
心を動かす文章の最終仕上げOpus文脈の細部を覚えていて、使ってくる(#13)
自分の棚卸し・Z軸探し両方に投げて読み比べ外の地図と内の鉱脈、両方が見える(#12)。診断が収束したら信じていい(#2・#3・#9)

そしてもう1つ、実務で大事な発見。AIにも「癖」があります。Fable5は回答を「承知しました。」から書き始める癖があり(13本中7本でやりました)、Opusは熱が入ると一人称が「俺」に滑ることがありました(私の記事は「私」が決まりです)。優秀な新入社員ほど、入社初日に社風を教える必要がありますよね。AIも同じで、モデルを増やすことは、社風研修をする相手が増えることです。「うちの記事は名乗りから始める」「一人称は私」——そういう流儀は、モデルごとに教え直す。ここをサボると、優秀さがそのまま事故になります。

いちばんの発見:モデル選びより「渡す文脈」が資産になる

モデルより渡す文脈が資産になる図解

最後に、この実験でいちばん視座が上がった発見を書きます。

どちらのAIも、私が言語化して渡した分しか、掘れませんでした。

「ぬか床AI」も「デジタル番頭」も、天からは降ってきていません。私が入力に、がんの話、借金の話、家事と子育ての話、8,730名のコミュニティの話を——つまり自分の物語を言語化して——渡したから出てきた言葉です。もし入力が「AI講座を売りたい40代の経営者」だけだったら、Fable5もOpusも、そこそこ賢い一般論を返して終わっていたはずです。実際、26本の出力の中で光っている箇所は例外なく、私が渡した固有名詞の周りに生まれていました。

『メタスキル』という本の核心は「AIに渡せる仕事は渡して、自分にしか出せないZ軸に立て」というメッセージです。今回の徹底比較で私が身体でわかったのは、その続きでした。Z軸はAIの中にはない。AIに渡す「自分の文脈」の中にある。そして——ここが大事なんですが——モデルは毎年新しくなります。Fable5の次も、Opusの次も、必ず出る。乗り換えればいい。でも「渡す文脈」、つまり自分の物語の言語化だけは、誰も代わりに作ってくれない、どのモデルにも持ち運べる資産です。

AIモデルの比較実験をしたつもりでした。終わってみれば、これは「自分がどれだけ自分を言語化できているか」を測る実験でした。2つのAIは、性能を競う相手ではなく、私の棚卸しの深さを映す、向きの違う2枚の鏡だったんです。

よくある質問(FAQ)

Q. Fable5とOpus、どっちから使えばいい?

仕事の「向き」で選ぶのがおすすめです。外向きの仕事(企画・ネーミング・市場分析)はFable5、内向きの仕事(理念の言語化・自分の言葉での仕上げ)はOpus。迷ったら、同じ問いを両方に投げて読み比べてみてください。作風の違いが一発で体感できます。

Q. 比較して優劣はなかったの?

場面ごとの得意は明確に分かれましたが、全体の優劣はつきませんでした。26本読み比べてわかったのは、差は性能ではなく「視座の向き」だということ。外へ翻訳するFable5と、内へ食い込むOpusで、任せる仕事が違います。

Q. AIの出力の質を上げる、一番のコツは?

モデル選びより先に、自分の状況・原体験・実際の数字を言語化して、入力として渡すことです。今回の実験で、光る出力は例外なく「渡した固有名詞の周り」に生まれていました。一般論を渡せば一般論が、物語を渡せば物語が返ってきます。

まとめ

『メタスキル』のプロンプト13本を、Fable5とOpusで全部実行してわかった収穫は、3つでした。①差は性能ではなく視座の向き——外へ翻訳するFable5、内へ食い込むOpus。②だから使い分けは「どっちが優秀か」ではなく「この仕事はどっち向きか」で決まる。③そして、どちらのAIも渡した文脈の分しか掘れない——つまり本当の資産は、モデルではなく、自分の物語の言語化のほうにある。

まずはあなたも、手元の悩みを1つ、自分の実話つきで2つのモデルに投げてみてください。返ってきた2枚の鏡に映るのは、AIの性能差ではなくて、あなた自身の輪郭です。それが見えた瞬間、AIモデルの使い分けは「設定の話」から「経営の話」に変わります。そして繰り返しになりますが、13本のプロンプトの原文はこの記事には載せていません。『メタスキル』(Amazon)を手に取って、原文であなた自身の実験を始めてください。

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比べていたのは、AIではなく私だった

比べていたのはAIではなく私だった 2枚の鏡の図解

最初はね、モデル比べのつもりだったんです。新しいFable5がどれだけすごいか確かめてやろう、って。でも13本×2モデルを読み終えて手元に残ったのは、AIの採点表じゃありませんでした。

Fable5が「デジタル番頭」と名づけた瞬間、私の中の”売る目”が開きました。Opusが「ぬか床AI」と書いた瞬間、私の中の”生きる目”が潤みました。でも冷静になると、どっちの言葉も、元をたどれば私が渡した私の話——がんの話、借金の話、家事と子育ての話——から生まれているんですよ。AIが天才なんじゃない。渡した物語が、働いている。

だから私が分身AIという「自分の文脈を貯める器」を作り続けている理由も、あらためて腹落ちしました。モデルは毎年変わります。でも器に貯めた物語は、どのモデルに渡しても働く。分身AIひろくんが私の代わりに話せるのも、結局は、そこに貯めてきた言葉の分だけです。

AIを2つ並べて競わせる時代の、ほんとうの主役は「渡す側」。あなたの物語は、もう言葉になっていますか? なっていないなら、モデル選びの前に、そこからです。私はそれを、AIに教わりました。

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この記事について:新刊『メタスキル』(深津貴之/けんすう/尾原和啓・NewsPicksパブリッシング)収録の13プロンプトを、AnthropicのFable5とOpusで同条件実行し、26本の出力を全文読み比べた実験レポートです。引用はすべて実際のAI出力からの抜粋です。書籍リンクはAmazonアソシエイトを利用しています。

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この記事はAIツール(Claude Code)を活用して制作しています。構成・文章生成・画像制作にAIを使用し、最終的な内容の確認・編集・公開判断はひろくん(田中啓之)本人が行っています。「分身AIひろくん」(bunshin-ai.com)とは別のコンテンツです。

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