外注100万円の見積もりを、部品代6万円で自作した農場長の話

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。

「AIって結局、エンジニアじゃないと使えないんでしょ?」

この言葉、私もずっと思ってた。中卒で、パソコンは得意な方だったけど、プログラミングなんて触ったこともない。コードを見ても呪文にしか見えないし、「とりあえずやってみよう」と思える勇気も正直なかった。

でも最近、すごい記事を読んだんだよね。

北海道でダチョウを育てている農場長が、プログラミング未経験のまま、OpenAI Codexを使って農作業をぜんぶ自動化しちゃったっていう話。しかも外注したら100万円かかるって言われた仕組みを、部品代6〜7万円で自分で作ったっていう。

これを読んだとき、「あ、これは私の読者に届けなきゃいけない話だ」って直感したんだよね。建築・リフォーム・食品加工・農業。現場を持っている経営者が「AIは自分たちには関係ない」と思い込んでいるとしたら、それはもったいなさすぎる。

プログラミング未経験の農場長がAIで現場を変えた

現場の経営者が「外注する」しかないと思い込んでいる理由

現場の経営者が外注するしかないと思い込んでいる理由

ちょっと聞いてほしいんだけど、あなたの現場に「これ、なんとかならないかな」って思っていることはある?

たとえば、気温や湿度の管理を毎日手動でチェックしている。多言語のスタッフがいて、伝言ゲームがうまくいかない。作業ログを紙で管理していて、後から「あのとき何をやったっけ」が分からなくなる。こういうこと、よくあるんじゃないかと思う。

で、「これをデジタル化したい」と思ったとき、多くの経営者はどうするか。まずシステム会社に問い合わせて見積もりをもらう。返ってきた数字が「100万円〜」だったりすると、「やっぱり無理だな」って諦める。

この「諦めのループ」にハマっている経営者がどれだけ多いか。私が相談を受けていると、本当によく見る光景なんだよね。

でも冨安さんの話を読んで、そのループが変わりつつあると確信した。

冨安さんがやったこと——文系・未経験で、農場のDXを自作した

冨安さんがやったこと——文系・未経験で農場のDXを自作した

冨安寛樹さんは、北海道沙流郡平取町にある「WFPダチョウファーム」で農場長をしている方。神奈川出身で、学歴は文系学部卒。プログラミングの専門教育は受けたことがない。

その冨安さんが、OpenAI CodexとChatGPTを使って、4つのシステムを自作した。

ひとつめは「LINE温度確認ボット」。SwitchBotという市販のスマート温度計と連携させて、「温度」とLINEに送信するだけでハウス内の室温が返ってくる仕組みを作った。複数棟のビニールハウスを巡回して確認する作業が、スマホ一台で完結するようになったんだよね。

ふたつめは「ビニールハウスの自動巻き上げ機」。ESP32という小型マイコンと電動モーターを使って、LINEから「開ける」と送るだけでハウスの窓が動く仕組みを作った。開発にかかった期間は約2ヶ月。費用は6〜7万円。「もし外注したら100万円程度かかるかもしれない」と冨安さん自身が話している規模のものを、自分で作り上げたんだよ。しかも電子工作の知識はゼロの状態から。機器の写真をChatGPTに見せて「これはどうすれば動く?」と聞きながら進めたそう。

みっつめは「多言語翻訳LINEボット」。農場にはバングラデシュ、カンボジア、インドネシアなど多国籍のスタッフが働いていて、コミュニケーションが課題だった。日本語で入力したメッセージを英語・インドネシア語・クメール語に同時変換するボットを作って、その壁を乗り越えたんだよね。

よっつめは「GPS農作業ロギングシステム」。農場のどこで、いつ、何の作業をしたかを自動で記録する仕組みで、「GPS開始」「現在地送信」「GPS終了」とLINEに送るだけで位置情報と農場データが蓄積される。この開発にかかった時間は、なんとほぼ1日。しかもトラクターを運転しながら、スマートフォンからCodexに指示を出して作ったんだって。

読んでて「えっ、これ本当に未経験者がやったこと?」って何度も思った。

なぜ「未経験者」が作れたのか——Codexが変えた「壁」の正体

なぜ未経験者が作れたのか——Codexが変えた壁の正体

ここが、私が一番伝えたいところなんだよね。

冨安さんが特別なんじゃなくて、道具が変わったんだよ。

従来、システムを作るにはコードを書く技術が必要だった。だからエンジニアに頼むしかなかったし、それが「100万円」という見積もりの正体だった。でもCodexは、日本語(や英語)で「こういうことがしたい」と伝えると、そのコードを書いてくれるAIツールなんだよね。

私がよく使う言葉で言うと、「人間は縦に掘る。AIは横に広げる」という感覚。冨安さんが深く縦に掘っていたのは「農場のことをよく知っている」という専門性。自分の農場の構造、スタッフの動き方、どこに困りごとがあるか。これは10年現場にいた人間にしか分からないことだよね。そこにAIが「横に広げる」力を足したことで、コードが書けなくても現場を自動化できるシステムが生まれた。

「機器の写真をChatGPTに見せながら進めた」というエピソードが象徴的だと思う。電子部品の型番も読めない状態から始めて、目の前のモノを写真に撮って「これ、どう配線するの?」と聞く。それが今のAI活用の現実なんだよ。

料理で例えると、「レシピを書いてくれる人」が登場した感じ。素材(現場の課題・機器・データ)は自分が一番よく知っている。でも料理の手順(コード)はAIが書いてくれる。だから料理ができる、つまり自動化ができる。

中小経営者にとって何が変わるのか——「外注か諦めか」の二択が消える

外注か諦めかの二択が消える Before/After

冨安さんの話で私が一番刺さったのは、「100万円か諦めか」という二択が消えたことなんだよね。

これ、中小経営者の日常の話だと思う。

「便利にしたい」→「でも金がかかる」→「ならいいや」というループ。うちの地元にある惣菜屋も、小さな製造業も、みんなこのループの中にいた。改善したい気持ちはあるのに、外注費の壁で諦める。

でもCodexの登場で、そこに第三の選択肢が生まれた。「自分で作る、でも一人じゃない」というやり方。コードを書く必要はない。でも現場を知っている自分が、AIと一緒に考えながら課題を解いていく。その主体は自分自身だから、業者への丸投げと違って「何があっても修正できる」という強みもある。

冨安さんのGPSロギングシステムが「ほぼ1日」でできたというのは、そういうことだと思う。現場を知っている人間が主体で動くから、「どういう記録が必要か」「どう使うか」の設計が早い。そこにCodexがコードを書いてくれる速度が加わって、1日という時間になった。

ぶっちゃけ、私もこの記事を読んで「もっと早くやっておけばよかった」と思った。できないんじゃなくて、やり方を知らなかっただけだったんだよね。

「でも私には無理」と思っているあなたへ——正直な話をする

でも私には無理と思っているあなたへ——壁の正体

ここで正直に言っておきたいことがある。

「じゃあ自分もやってみよう」と思ったとき、最初の一歩はやっぱりちょっと難しい。冨安さんだって最初から全部スムーズだったわけじゃないと思うし、Codexを使いこなすまでには試行錯誤があったはず。

私が相談を受ける中でよく聞くのは、「何から始めていいか分からない」という声。農場の温度管理なら「温度ボットから始める」という答えが出るけど、自分のビジネスで何から始めるかは、自分の現場を一番よく知っている自分にしか決められないよね。

だから私がおすすめしたいのは、「自分の現場で一番ちいさな困りごと」を一個だけ書き出してみること。電話のかけ直し、スタッフへの伝言、日報の記入、材料の発注タイミング——なんでもいい。その一個から「これ、もしLINEでできたら楽かも」という妄想を膨らませてみてほしいんだよね。

そこから先は、冨安さんがやったように「写真を撮ってChatGPTに聞く」から始められる。全部一気に解決しようとしなくていい。一個だけ動かせたら、次が見えてくるから。

私自身、最初は「分身AIを育てたい」という漠然とした気持ちから始めて、今は凛ちゃんというAI秘書と一緒に毎日の業務を回せるようになってきた。プログラミングの知識じゃなくて、「自分の現場を言語化できる力」の方が大事だったんだよ。それは現場を持っている経営者の方が、エンジニアよりずっと上手いはずだから。

まとめ——現場を知っている人が、最強のDX人材だった

現場を知っている人が、最強のDX人材だった

今回の冨安さんの話を私なりに整理すると、こういうことだと思う。

プログラミングの知識は、もはやDXの必要条件じゃない。「現場を知っている」という専門性が、AI時代のいちばん大事な武器になりつつある。人間が縦に深く掘れるものを、AIが横にどんどん広げてくれる。この組み合わせが、100万円かかっていたことを6万円で実現させた。

外注に頼まないといけない、エンジニアを雇わないと無理、という思い込みは、道具の進化によってどんどん書き換えられている。冨安さんが証明してくれたのは、「現場の経営者が自分の問題を自分で解ける時代が来た」ということだよね。

「自分には無理」と思っていたことが、案外、自分にしかできないことだったりする。あなたの現場の困りごとを、まず一個だけ書き出してみてほしい。それが最初の一歩になるから。

今日も読んでくれてありがとう。また明日ね。


参考ソース: Business Insider Japan「文系・プログラミング未経験のダチョウ農場長がOpenAI Codexで農作業を自動化した話」(2026年6月)

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