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「AIを使わない社員」が人事評価でこっそり切られていく、という話

2026年9月28日

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。今日は、はてな匿名ダイアリーに投稿された、あるWEB制作会社の課長さんの告白を読んで、感じたことを整理していきます。エンジニアはAIを使い倒し、デザイナーは足踏みしている。そのギャップが、そのまま人事評価にこっそり反映されている、という現場の話です。AI活用そのものより、評価する側とされる側のあいだで何が伝えられ、何が隠されているか、という部分に注目して読み解いていきます。

ある企業の人事考課に、「生成AIの積極的な活用、あるいは知識習得への意向」という項目がこっそり追加されました。しかも本人には評価軸を伝えないままです。投稿者は、この会社でフロントエンドエンジニアチームの課長をしている人物です。他部署のデザイナーが、この新しい評価軸のせいで低評価をつけられそうになっている様子を、同じ人事考課のプロセスを通して間近で見ています。この告白を読んで、私は考えさせられました。「隠して評価する」やり方の危うさと、AIとの向き合い方そのものについてです。

3行でわかるポイント

  1. 評価基準に「AI活用」が新設。11月からの新給与体系に合わせて配点も大きく、エンジニアとデザイナーで活用度に差が出ている
  2. 本人には伏せたまま加点。1on1では「協調性の欠如」というすり替えフィードバックが人事から指示されている
  3. 業界全体への波及を告白者自身が予感。反AI人材、請負型企業、内製人材の順に淘汰が進むと投稿者は書いている
01

人事評価に「生成AIの活用意欲」という新項目ができた

投稿者(評価新設)・元記事より

このMTGでは……今年の成果を決める項目の中で「生成AIなどの積極的な活用、あるいは知識習得などの意向はあるか」という項目が新設されたことが説明された。しかも配点が結構大きい。

人事評価シートに『生成AIなどの積極的な活用、あるいは知識習得などの意向はあるか』という項目がこっそり追加されたことを示す図。旧評価シートと新評価シートの対比
はてな匿名ダイアリー元記事のスクリーンショット。人事考課の成果項目に「生成AIなどの積極的な活用、あるいは知識習得などの意向はあるか」という項目が新設されたと説明する本文部分
元記事キャプチャ: 評価項目に「生成AIの積極活用・知識習得の意向」が新設された部分

投稿はシルバーウィーク直後の金曜から始まります。人事部と上長陣との合同MTGです。

11月から新給与体系に変わります。人事考課の評価軸に「生成AIの積極活用・知識習得の意向」が新設されました。しかも配点が大きいと投稿者は書いています。

個人個人の自己評価シートを検収するタイミングでした。評価軸そのものが静かに書き換わっていた。それがこの話の出発点です。

私はAIを「本人から生やす拡張装置」だと捉えています。外から別人格を貼り付けるものじゃありません。鏡にも、シミュレーターにも、実行役にもなる。あくまで本人の延長です。

そう考えると、会社がAI活用を評価基準に据えること自体は、時代の流れとして自然な動きだと思います。業務の道具として定着しつつあるものを、成果を決める項目に入れるのは筋が通っています。

ただし「拡張装置」を評価するなら、その装置の使い方まで一緒に手渡さないと意味がありません。基準だけ作って使い方を渡さないのは、拡張装置の説明書を隠したまま試験だけするようなものです。

評価する側が「配点が大きい」とだけ決める。使い方の手引きを用意していない。それなら評価される側は手探りで正解を探すしかなくなります。

次の1on1か人事考課の面談までに、自分の評価シートを5分だけ見直してください。AI活用に関する記述があるかを確認できれば、それで完了です。記述があれば、具体的な使い方まで案内されているかもあわせて見てください。

投稿の中には、AIを使えば評価が上がるという具体的な改善点が伝えられていない、という指摘もあります。基準を作ること自体は経営判断として正しい。でも「何をどうすれば上がるか」を伝えないままにしておくと、評価は選別の道具に変わってしまいます。評価と育成は本来セットのはずです。

02

エンジニアは使い倒し、「AIを使わない社員」だけが足踏みしている

投稿者(活用格差)・元記事より

エンジニアチームは当然Claudeを会社で契約していることもあり当たり前にチーム全体でバカスカ使いまくっている。ところがデザイナーチームの方では生成AIの利用が中々進んでいないらしい。

AIを使い倒すエンジニアはまっすぐ速く進み、AIを使わない社員はその場で足踏みしていることを示す対比図
はてな匿名ダイアリー元記事のスクリーンショット。エンジニアチームは会社契約のClaudeを使い倒している一方、デザイナーチームは生成AIの利用が進んでいないと書かれた本文部分
元記事キャプチャ: エンジニアは使い倒し、デザイナーは利用が進んでいないと書かれた部分

エンジニアチームは会社契約のClaudeを日常的に使い倒しています。一方でデザイナーチームでは、生成AIの活用が進んでいません。モックやイメージ図での利用にも、一部メンバーの反対があると投稿者は書いています。

この動きは1年ほど前から続いていました。会社側はいよいよ生成AI拒否勢の排除に乗り出したらしい、という一文が投稿の中盤に出てきます。

私自身、いまだに「抱え込みOS」が完全には書き換わっていません。抱え込みになる境界は、結果を自分で所有し、完成させなければならないと執着した瞬間だと身をもって分かっています。

デザイナーがAIに任せることへ足踏みするのも、同じ構造だと思います。手を動かして完成させる工程そのものに、その人の職人としての誇りが宿っている。そこを他人(AI)に明け渡すのは怖い。単純な「食わず嫌い」だけでは片付けられません。

投稿者自身も「エンジニアはAIと親和性のある性分の人が多い」と書いています。職種による向き不向きがあること自体は認めています。

AI氣道『AI活用度は、AIの出力がメモアプリObsidianに溜まるかどうかで3段階に分かれる』より

「レベル1はオブシリアンとAIが分かれちゃってること。ローカルとクラウドと分かれちゃってるので連携ができていない」

詳しくはAI活用度がObsidianへの記録の溜まり方で3段階に分かれるという話でも扱っています。今回のデザイナーチームの「足踏み」も、能力の差というより、記録の溜め方・指示の出し方の型がまだ無いだけかもしれません。

次にチームメンバーと話す10分で、AI活用の差を「やる気の差」で片付ける前に、その仕事のどの工程にこだわりがあるかを一つだけ聞いてください。答えが返ってきたら完了です。こだわりの中身が分かれば、そこを守ったままAIに任せる範囲を一緒に探せます。

投稿者は「デザイナーは宗教的にAI無理な人も多いわけで他人事ながら可哀想だな」とも書いています。「宗教的に無理」という強い言葉の裏には、単なる好き嫌いではないものがあります。価値観に近い抵抗感です。価値観に近い部分ほど、外から急かされて変えられません。

03

評価基準は本人に「伏せたまま」加点され、こっそり切られていく

投稿者(基準を伏せる)・元記事より

表向きトラブルは起こしたくないからAI活用の評価軸は伏せたまま本人には伝えない。しかし、評価にあたっては思いっきり点数に反映させる。

評価基準は本人に伏せたまま鍵付きの箱の中で点数だけがこっそり動くことを示す図。『本人には見えない』という注釈付き
はてな匿名ダイアリー元記事のスクリーンショット。AI活用の評価軸は伏せたまま本人には伝えないが、評価には点数として反映させると書かれた本文部分
元記事キャプチャ: 評価軸を伏せたまま点数に反映させると書かれた部分

会社は評価軸そのものを本人に開示していません。トラブルを避けたい思惑があると投稿者は推測しています。それでも点数には確実に反映される運用です。

表向きは荒立てない。中身だけしっかり反映させる。二重構造がここにあります。

私が本気で腹が立つのは、「誰でも簡単に」「今すぐ」という嘘です。AIは魔法じゃない。使いこなすには縦に掘る努力が必要です。それを隠して売りつける姿勢が許せません。

評価基準を隠したまま加点するのも、根っこは同じだと思っています。本当に必要なことを伝えずに結果だけ求めるのは、相手の努力の方向を奪う行為です。

基準を知らされていない側は、何をどれだけ頑張れば評価が上がるのか、自分で見当をつけるしかありません。それは努力の総量ではなく、努力の的の外し方を増やすだけです。

評価する側なら、次に評価シートを配る前に基準を1行書き足して先に伝えてください。評価される側なら、次の1on1の冒頭3分で基準を開示するよう率直に聞いてみてください。聞くこと自体は協調性の欠如ではありません。

投稿者は「表向きトラブルは起こしたくない」という会社側の意図を推測しています。でも隠すことでトラブルを避けられるという発想自体が、そもそも成立していません。隠された基準は、いずれ本人が気づいた時、隠されていた事実そのものへの不信感を生みます。

04

「協調性の欠如」というすり替えフィードバック

投稿者(すり替え)・元記事より

デザイナーチームのリーダーが1on1では本人にどうお伝えしたらいいですか?みたいな質問をしていたんだが、人事からは協調性の欠如的な方向性でフィードバックしてほしいと伝えられていた。

評価の本当の理由『AI活用度』が、伝えられる理由『協調性の欠如』にすり替えられることを示す図
はてな匿名ダイアリー元記事のスクリーンショット。1on1では「協調性の欠如」という方向性でフィードバックしてほしいと人事から伝えられていたと書かれた本文部分
元記事キャプチャ: 「協調性の欠如」というフィードバック指示が書かれた部分

1on1で本人に本当の理由を伝えません。AI活用の評価不足、という理由です。代わりに「協調性の欠如」というフィードバックが人事側から指示されていたと投稿者は書いています。

デザイナーチームのリーダー自身も「本人にどう伝えたらいいですか」と迷いながら聞いていました。伝える側も、この指示に納得しきれていない空気が伝わってきます。

難しいカタカナ用語で煙に巻く業者を見てきました。私が一番許せなかったのは、説明された側が「自分が分からないだけかも」と自己嫌悪に陥ることでした。

「協調性の欠如」と言われたデザイナーも、きっと同じです。見当違いの理由で自分を責めることになります。本当の理由を隠されたまま自己嫌悪に落とし込まれる。一番残酷なすり替えだと思います。

指摘された側は、直すべきなのが「人との関わり方」なのか「AIとの関わり方」なのか、見分けがつかないまま悩み続けることになります。

次に誰かへフィードバックを渡す直前の1分で、本当の理由と違う言葉になっていないか自分に問い直してください。一致していれば、そのまま渡して完了です。遠回しな言葉のほうが優しいとは限りません。

板挟みになっているのは、評価される本人だけではありません。間に立って伝える役割の人も同じです。すり替えの構造は、伝える側の負担も増やしています。

05

「AIを使わないなら辞めてね」と言った方が誠実、という話

投稿者(率直な提示)・元記事より

もういっそうちの会社ではAIの活用を積極的に推進するから合わないなら進退考えてね、みたいなことまで伝えたほうがいいんじゃない?とも思ったね。

遠回しな評価(曲がりくねった道)より『AIを使わないなら辞めてね』という率直な提示(まっすぐな道)の方が誠実であることを示す対比図
はてな匿名ダイアリー元記事のスクリーンショット。AIの活用を積極的に推進するから合わないなら進退を考えてね、と伝えた方がいいのではと書かれた本文部分
元記事キャプチャ: 「合わないなら進退考えてね」と伝えた方が誠実では、と書かれた部分

投稿者自身は、遠回しな評価より、方針を明確に伝えた方が誠実ではないかと感じています。ただし正社員雇用のため、退職勧奨のようなことは難しいだろうとも書いています。

隠したフィードバックより、はっきりした方針表明の方がまだマシだ。この感覚は、投稿の中でも一番率直な部分だと私は感じました。

私が大事にしている「育自」は、外の基準へ自分を無理やり合わせることではありません。変わらない核心から、体験を重ねて感性や経験を育てていくことです。

「合わないなら進退を考えて」という最後通牒は、一見ドライに見えます。でも実は、本人の育自の機会を奪う一番乱暴なやり方だと思います。

誠実さは、方針を明確に伝えることと、育つ時間を一緒に渡すことの両方でできています。方針だけ伝えて、育つための時間も手段も渡さない。それはただの選別であって、育成ではありません。

AI氣道『AIに委ねる前に、自分を知るのは、遠回りなのか』より

「委ねる判断も、自分を知る判断も、どちらも経営の判断です。大事なのは、その判断を誰かに預けきってしまわないこと。」

詳しくはAIに委ねる前に自分を知るのは遠回りなのかという討論回でも扱っています。会社が評価方針を本人へ預けきらず自分たちで握ったまま伏せている今回の話と、地続きだと感じています。

次にチームへ方針転換を伝える機会の前日までに、伝える文章に「合わせるための時間と手段」の一文を1つ足せているか確認してください。足せていれば完了です。

正社員雇用である以上、実際に退職勧奨のようなことは難しいはずです。だからこそ会社は、はっきり言い切る代わりに、遠回しな評価という形を選んだのだと思います。でも遠回しにした分だけ、本人が事実に近づく道は塞がれてしまいました。

06

反AI人材の次は、請負型の会社そのものが淘汰される

投稿者(淘汰の予感)・元記事より

業界としても10年後にはうちみたいな請負型のWEB制作会社は縮小しているんだろうし時代の流れが怖いわ……個人開発がデフォみたいな世界になるんだろうな。

個人の次は請負型の会社そのものが速さで淘汰されることを示す図。個人の階段の上に会社の階段が重なり、速い矢印が追い抜いていく
はてな匿名ダイアリー元記事のスクリーンショット。業界としても請負型のWEB制作会社は縮小していくだろうと投稿者が予感を書いた本文部分
元記事キャプチャ: 請負型会社自体が淘汰されるという予感が書かれた部分

投稿者は未来を予感しています。反AI人材の足切り、請負型会社の縮小、内製人材の減少、個人開発のデフォ化。4段階です。「取っ掛かりが見えてほんとこえー」と投稿は締めています。

この一件の人事考課の話から、投稿者は業界全体の未来を逆算して見ています。

がんで強制的にライブ配信を中断した時、仲間のただっちが代わりに続けてくれました。正直「居場所を奪われた」という複雑な感情もありました。

でも結果的にただっちも成長し、番組はより良くなり、私の負担も減った。「手放したら全部良くなった」の生きた証拠です。

投稿者が感じている「こえー」は、私にもよく分かります。でも構造が入れ替わる怖さの先に、手放して良くなる側面もある。自分の体験からは言えます。

AI氣道『「AI恐怖論」をあおるのは誰か。湯川鶴章さん×遠藤太一郎さんが読む、Amodei対トランプの攻防』より

「社会的な大義と自分の利益が重なった時に声が大きくなるだけ」

詳しくは「AI恐怖論」をあおるのは誰かという回でも扱っています。AIの安全性を巡る恐怖論が誰の利益のために増幅されるのかを扱った回で、今回の投稿者が感じている「こえー」という個人の恐怖と、恐怖論そのものが道具として使われる構造は、地続きの話だと思っています。

怖さを否定する必要はありません。怖さと一緒に、次の形を試してみることはできます。

自分の仕事のうち、抱え込んでいる工程を一つだけ選んで、試しにAIか他の人へ委ねてみてください。全部を一気に手放す必要はありません。まずは一つで十分です。

投稿者自身も「まぁ正社員雇用だから」と書いています。雇用の枠組みが今すぐには変わらないことも理解した上での話です。急に世界が変わるわけではありません。少しずつ足元から変わっていく。そんな感覚に近いのだと思います。

FAQ

よくある質問

Q. この記事は元の投稿者を特定する内容ですか?

A. いいえ。元記事ははてな匿名ダイアリーへの匿名投稿で、投稿者・会社名とも特定できる情報は書かれていません。この記事も元記事にある内容以上の推測は行っていません。

Q. 人事評価にAI活用の項目を入れること自体は問題なのですか?

A. 評価項目に入れること自体は、時代の流れとして自然な動きだと私は思います。問題は、基準を本人に隠したまま加点し、別の理由(協調性の欠如など)にすり替えてフィードバックしている運用の仕方にあります。

Q. AIを使いたがらない人にどう向き合えばいいですか?

A. 「やる気がない」で片付ける前に、その人がどの工程にこだわりを持っているかを確認することをおすすめします。抱え込みは怠慢ではなく、結果を自分で所有し完成させたいというこだわりから生まれることが多いからです。こだわりの正体が分かれば、そこだけは守った上で、他の工程からAIに任せる範囲を広げていく、という順番が組めます。

Q. 自分の会社にも同じような「隠れた評価基準」がないか、どう確認すればいいですか?

A. まずは自分の評価シートの項目名を上長に確認し、AI活用や新しい取り組みに関する記述の有無と配点を率直に聞いてみてください。まずはそこから始めます。聞いた結果、具体的な使い方の案内までセットで用意されているかどうかも、あわせて確認すると運用の誠実さが見えてきます。

MATOME

評価基準を隠すより、拡張装置の使い方を一緒に渡そう

今回読んだ投稿は、現場のリアルな告白でした。AI活用が人事評価にこっそり組み込まれています。本人には別の理由でフィードバックされます。

AIを評価基準にすること自体は自然な流れです。でも、基準を隠したまま加点するやり方は、評価される側の努力の方向を奪ってしまいます。

「協調性の欠如」という見当違いのフィードバックが、本人を余計に迷わせています。この点も見過ごせません。

AIは本人から生やす拡張装置です。評価するなら、装置の使い方まで一緒に手渡す。それが、今日の投稿から私が受け取った一番大事な視点でした。

投稿者自身も感じていた「こえー」という怖さは、業界構造が入れ替わる痛みそのものです。怖さを否定せず、まず自分の手元で一つだけ委ねてみる。そこから、次の形が見えてきます。

この投稿が刺さるのは、AIの話であると同時に、もっと普遍的な話だからです。評価される側の立場に立たされたことがある人なら誰でも覚えがあります。「本当の理由を教えてもらえないもどかしさ」を、具体的な場面として描いているからだと思います。

今日から試せることは3つに絞れます。評価する側なら次に評価シートを配る前に基準を1行足す。評価される側なら次の1on1の冒頭3分で基準を開示するよう聞く。抱え込みに心当たりがあるなら、工程を一つだけ選んでAIか他の人へ委ねてみる。どれも5〜10分で始められます。

ここまでは、はてな匿名ダイアリーへの1つの投稿だけを根拠にしています。投稿者本人にも、書かれている会社にも、私は直接取材していません。同じ構造が業界全体でどれだけ起きているかは、この記事だけでは分かりません。「1つの現場の告白として読む」という前提を、最後にもう一度お伝えしておきます。

COLUMN

拡張装置は、レシピを渡さずに味見だけさせても使えない

ひろくんのコラム図解。拡張装置(道具)は使い方(レシピ)を渡さずに味見だけさせても使えないことを、ヘルシオで生焼けのマグロを焼く様子で示す図

うちは1日3食、自炊が基本です。新しい調理器具を買った日のことを思い出しました。ヘルシオでマグロをグリルした時のことです。仲間と「しっとり火を入れたい」と話しながら、実際は生焼けになりました。道具そのものは悪くありません。使い方の情報が足りていなかっただけです。

道具の性能だけ見せられて、レシピも温度も渡されないまま「これで作って」と言われたら、誰でも失敗します。今回の投稿にあった話は、まさにこの状態だと感じました。「評価基準は伏せたまま加点する」という話です。基準という名の「道具」だけ渡されて、使い方という名の「レシピ」が渡されていないのです。

AIも同じです。「積極的に活用しろ」と言われても、どの工程で、どんな温度で使えばいいのか。それが渡されなければ、使いこなせなくて当然です。エンジニアがAIを使い倒せているのは、日々のコードレビューや壁打ちの中で、自然と「どこまで任せていいか」の温度感を掴む機会があったからだと思います。

デザイナーにその機会がなかったなら、差がつくのは能力の差ではありません。機会の差です。

私が大事にしているのは、AIを本人から生やす拡張装置として捉えることです。拡張装置を評価するなら、まず使い方という名のレシピを一緒に手渡す。それが順番だと思っています。「賢いAI」を求めるより「委ねるAI」に切り替えた時の話を、分身AI日記のこの回にも書きました。使い方を渡さずに任せることと、レシピごと渡して任せることは、似ているようで別物だと思っています。

順番を間違えると、評価される側は「なぜ低評価なのか」を自分のせいだと誤って受け取ってしまいます。性格のせい、努力不足のせい。そんなふうに受け取ってしまうのです。

今日紹介した投稿を読んで、自分のチームや自分自身の「隠れた評価基準」がないか、一度確かめてみてもらえたら嬉しいです。基準を隠す優しさより、レシピを渡す優しさの方が、結局は相手のためになると私は思っています。

新しい基準を渡す時、方針だけ言って、やり方を渡し忘れることは誰にでも起こり得ます。大事なのは、渡し忘れに気づいた時に、後からでもレシピを渡し直せるかどうかです。

「拡張装置」を評価する側には、道具を配るだけでなく、使い方まで届ける責任があります。今回の投稿を読んで改めて思いました。

レシピを渡すというのは、マニュアルを1枚配って終わりということではありません。実際に一緒にキッチンに立って、火加減を見せる。味見をさせる。失敗した時に理由を一緒に探す。そこまでやって初めて、道具は使いこなせるようになります。

評価基準も同じです。紙に書いて配るだけでは、レシピを渡したことにはなりません。配るだけで満足してしまうと、渡した側は「もう渡した」つもりでいます。受け取った側は「まだ何ももらっていない」と感じたままです。両者の認識だけがすれ違い続けます。

このすれ違いに気づけるかどうか。評価する側の一番の腕の見せどころだと思っています。配った基準がちゃんと使われているか、時々でいいので手元を覗きにいく。それだけで、隠れた評価基準は隠れたままでいられなくなります。

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REF

参考リンク

📄 今回紹介した記事

著者匿名(はてな匿名ダイアリー投稿者)
媒体はてな匿名ダイアリー
公開日2026-09-26
元URLhttps://anond.hatelabo.jp/20260926101532

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この記事はAIツール(Claude Code)を活用して制作しています。構成・文章生成にAIを使用し、最終的な内容の確認・編集・公開判断はひろくん(田中啓之)本人が行っています。「分身AIひろくん」(bunshin-ai.com)とは別のコンテンツです。

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