WATCH REPORT

ハンモック駆動開発の動画と講演の英語を照らして、AIに頼む前に分からないことを紙に書く案を考えた

2026.10.09

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、直也テックの『【思考法】PCから離れろ。Clojure作者が提唱「ハンモック駆動開発」とは何か。』の動画を紹介するね。

AIに頼む手が速くなるほど、頼む前に考える時間は、真っ先に削られます。返ってきたものが思っていた形と違って、言い直して、また違う。その繰り返しに心当たりがある人に向けて書きました。

直也テックの動画は、19分4秒。Clojureの作者Rich Hickeyが2010年10月に話した講演『Hammock Driven Development』を、ナレーターが紹介します。流れは、問題を口に出す、紙に書く、自分の案にケチをつける、材料を入れる、一晩待つ、朝に書き止めて小さく試す。

この記事では、AI秘書の凛ちゃんが元の講演の英語と照らして確かめた結果を使って、講演本人が言っていることと、動画の言い換えを分けて読みます。私が持ち帰ったのは1点。AIに頼む前に、問題・事実・制約・分からないことを紙に書く。これは動画にない私の提案。まだ試していません。

読み終えると、動画の手順のどこまでが講演本人の言葉かが分かる。そして、今日AIに頼む予定の仕事を1つ選んで、頼む前の紙を4行で書けるようになります。

SPEAKER

直也テック

出演: ナレーター(チャンネル運営者)。顔出しはなく、図解のスライドで進みます。

動画: 【思考法】PCから離れろ。Clojure作者が提唱「ハンモック駆動開発」とは何か。

19分4秒、2026年10月7日の公開です。

元の講演: Rich Hickey「Hammock Driven Development」(2010年10月・第1回 Clojure/conj)。

この記事の軸は「講演の手順を、本人の言葉と動画の言い換えに分けて読む。AIが速くなるほど削りやすい考える時間を、頼む前の紙1枚で取り戻す」。

3行でわかるポイント

  1. 事実(動画): 直也テックの動画は、Rich Hickeyの2010年の講演を19分4秒で紹介し、問題を口に出す、紙に書く、一晩待つ、朝に書き止めて小さく試す、という流れを伝える(第1章へ、第2章へ)
  2. 事実(元の講演): 英語の講演と照らして確かめた。「1割」は動画の数字で、本人は体験の報告と断っている(第3章へ、第4章へ)
  3. 私の立場: 私ならこうする。AIに頼む前に、問題・事実・制約・分からないことを紙に4行書く(動画にない提案・未試行)(第5章へ、第6章へ)

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01

ハンモック駆動開発の動画は19分。講演は2010年で、本人は経験の報告と断る

▲目次
動画が、講演の骨子と、本人が断る経験の報告の2つに分かれることを示した図解
動画キャプチャ: バグの修正コストを、開発中・テスト工程・本番環境の棒グラフで見せるスライド(1:47頃)
動画キャプチャ: バグの修正コストを、開発中・テスト工程・本番環境の棒グラフで見せるスライド(1:47頃)

直也テックの動画は、19分4秒。元になっているのは、Clojureの作者Rich Hickeyが2010年10月に話した講演で、動画はそれをナレーターが紹介する形です。

講演のタイトル候補は3つあった、と紹介される。1つ目の「コンピューターから離れろ」は動画の訳で、スライドの英語は「Step Away from the Computer」。最初の問いは、最後に1つのことを1時間考え続けたのはいつか、というもの。

次に動画は、バグの修正コストの話へ。本番で直すほど高く、一番安いのは設計している時。これは講演で、本人も言っています。

直也テックのナレーター(動画の中で・1:42〜)

修正コストが1番安いのは設計の段階でバグを作らないことです。リッチの主張はこうです。ソフトウェアの大きな問題のほとんどは思い違いの問題である。自分が何を作ろうとしてるのかよく分かっていないまま作り始める。

動画の棒グラフ(設計、開発、テスト、本番の順)は、動画の制作物です。講演で本人が言うのは、開発中が最良ではない、というところまで。

この記事を書くにあたって、AI秘書の凛ちゃんに、元の講演の英語と動画を17項目で照らしてもらいました。結果は、14項目が講演で本人が言っていること。3項目は、一部が講演の外にありました。

たとえば、動画の「1割」は動画側の数字。本人の言い方は「ごく一部」でした。どの項目がどちらかは、各章で書きます。

先に押さえたいのは、本人の前置き。講演の冒頭で、本人はこう断っています。これは体験の報告であって、方法論でも科学でもない、と。動画のナレーターも、この前置きを最初に紹介しています。

だから私も、そのまま受け止める。この講演は、正しさを証明する話ではありません。本人が自分のやり方を報告している、それだけの話。

報告として読むなら、真似るかどうかを決めるのは読む側。効くかどうかは、自分の仕事で確かめるしかありません。

ここを混ぜて読むと、本人が言っていない強さで、手順を信じてしまう。そこでこの記事では、動画が言っていること、講演の英語で確かめた所、私の意見を、別々に置きます。

あなたは最後に、1つのことを1時間考え続けたのは、いつでしたか?

02

作るべきなのは解決であって機能ではない。「この問題を解いている」と口に出し、紙に書く

▲目次
機能の前に、解く問題を口に出して紙に書き、問題をはっきりさせる流れを示した図解
動画キャプチャ: 「Solve Problems!」のスライドに、機能の一覧と車の絵が映っている場面(2:58頃)
動画キャプチャ: 「Solve Problems!」のスライドに、機能の一覧と車の絵が映っている場面(2:58頃)

動画の第2章から第4章は、機能を並べる話から始まります。そこから、問題を口に出す、紙に書く、似た問題を探す、と進む。入口は「何を作るか」ではなく「何の問題を解くのか」です。

動画は、機能のリストを例にします。講演でも本人が、機能を作ってはいけない、と言っています。車のたとえも本人のもので、ピカピカのノブは車の目的ではありません。

直也テックのナレーター(動画の中で・2:52〜)

私たちが作るべきなのは解決であって機能ではありません。機能は何かの属性に過ぎない。

賢い人ほど、問題を回避できたと喜びます。でも、避けることと解くことは別です。では、最初の一歩は何か。

直也テックのナレーター(動画の中で・4:22〜)

最初にやるのは私はこの問題を解いていると口に出すことです。

無理なら紙に書く。犬に説明した人の話は、講演のコメント欄の書き込みです。

「うちにはNoSQLが必要だ」のような言い方では、何かが抜けています。分かっていること(事実・前提・制約)と、分かっていないことを、紙に書く。講演の12分19秒ごろの話です。

口に出す。無理なら紙に書く。この順番は、私が前に書いたことと、同じ側にあります。

10月8日の記事で、私は「私は、紙とペンで書くと俯瞰できる、と思っています」と書きました。10月7日に、html-planと赤ペンを同じお題で動かした記録を重ねた記事。

口に出すと、分かったつもりだった所で、言葉に詰まります。そこが、まだ分かっていない所。

話すと、自分の声が自分に聞こえます。紙に書くと、頭の中で混ざっていたものが、並んで見えます。口に出すのも、書くのも、頭の外へ出す動き。

私が大事にしたいのは、AIに見せる前の段です。人が、人の言葉で、まず自分の問題を言い切る。そこが抜けると、AIに見せる紙も白いままです。

AIに「この機能を作って」と頼むのは、リストを渡すのと同じ。解きたい問題を渡さないまま機能だけ渡すと、返ってくるのも機能の山になります。

だから最初の一文は、機能の名前ではなく、困っている人の名前と困りごとで始めたい。書けないなら、まだ問題が分かっていない、という合図になります。

私ならこうする。問題は頭の中に置かず、紙に出す。その紙をAIにも見せながら、話す。

03

自分の案にケチをつけ、材料を広く入れる。トレードオフと呼ぶには案が2つ要る

▲目次
案が1つだけの天秤は傾き、案が2つあって初めて釣り合うことを示した図解
動画キャプチャ: 「Look (critically!) at other solutions」のスライドが映っている場面(7:44頃)
動画キャプチャ: 「Look (critically!) at other solutions」のスライドが映っている場面(7:44頃)

動画の第5章と第6章は、出した案をどう扱うかの話です。先に、自分の案にケチをつける。そのあとで、材料を広く入れる。この順番に意味があります。最後に、トレードオフという言葉の使い方が出てくる。

動画は、「最高」という言葉が1日に50回は聞こえてくる、と紹介します。これも講演の話で、英語は「awesome」。他人の案をけなすのは難しいので、まず自分の案の中に問題を探します。見つけた問題は、その場で解く。

紙に疑問符が1つもなければ、工程を1つ飛ばしている。

次が材料。知らないことは繋げられない。だから自分の領域を広く読みます。ごく一部しか分からない論文でも材料になります(動画はここを「1割」と数字にしていますが、本人の言い方は「ごく一部」です)。

直也テックのナレーター(動画の中で・7:52〜)

トレードオフだと誰もが言います。でも大抵の場合その言葉が指すのは自分のソフトの出来の悪い部分です。あそこはトレードオフでね、それはトレードオフではありません。トレードオフと呼ぶには解決策は少なくとも2ついります。

「少なくとも2つ」は、講演の18分24秒ごろ。

トレードオフは、便利な言葉。便利な分、案が1つしかない時の言い訳にも使えてしまいます。案が1つなら、悪い所は選んだ結果ではなく、ただの悪い所。

この指摘は、動画の中で一番、実務に近いと思いました。「あそこはトレードオフで」と言った瞬間に、考えるのをやめられる。2つ目の案を紙に書く手間が、その一言を止めてくれます。

案が1つのまま進めると、あとで直す場所が見えません。

案が2つあると、比べる軸が自然に生まれる。軸が見えると、選んだ理由を人に説明できるようになります。3つ目の案が欲しくなったら、それは問題の見方が足りないという合図だと考えています。

自分の案にケチをつける作業は、AIに手伝ってもらえる。ただ、先に自分で疑問符を紙に書いておかないと、AIの指摘に引っ張られて終わります。

材料の話にも、足したいことがあります。AIは、材料を広く集めるのが得意。ただ、並んだ材料は、他の誰かが立っていた現場の話です。自分の現場で確かめて初めて、自分の案の材料になります。

私ならこうする。材料は、AIに横へ広げてもらう。そのあと、自分が五感で感じられる現場に身を置いて、縦に掘る。

04

起きている頭とバックグラウンドの頭。眠っている間に頭が働くという話は、本人の経験則

▲目次
分析が得意な起きている頭と、点をつなぐのが得意なバックグラウンドの頭を並べた図解
動画キャプチャ: 「Waking Mind」から「Background Mind」へ矢印が引かれたスライドが映っている場面(10:07頃)
動画キャプチャ: 「Waking Mind」から「Background Mind」へ矢印が引かれたスライドが映っている場面(10:07頃)

動画の第7章から第9章は、考えるための環境の話です。集中できる場所、頭を2つに分けて考える見方、そして眠っている間に何が起きるか。ハンモックは、そのための道具として出てきます。

頭の分け方は、こうです。

直也テックのナレーター(動画の中で・9:19〜)

起きている頭は批判と分析が得意です。そして戦術が得意。

起きている頭には癖があります。登り坂ばかり選ぶので、隣にもっと高い山があることには気づけません。反対側の頭が、こちら。

直也テックのナレーター(動画の中で・10:19〜)

バックグラウンドの頭は繋げるのが得意です。泥で小屋を作ったら大雨で溶ける。こういうことは戦術で導き出すものではありません。材料それぞれの性質を知っていてそれを組み合わせる。

本人は、この分け方を本で読んだのではなく、自分の経験に合うから使っている、と断っています。科学の事実としては話していない。

眠っている間の話では、講演のスライドにScientific Americanからの英文が出ます。ただし条件がつく。10分眺めて寝ただけでは溶けない、と動画は言います。強く考えていない問題は、寝ている頭にとって重要な案件にならないから。

ハンモック駆動開発というと、昼寝のすすめに聞こえます。でも、動画が言うのは逆。起きている間に強く考えた分だけ、寝ている間の頭が動きます。順番は、考える、離れる。

別の注意も1つ。頭を2つに分ける話は、きれいで覚えやすい分、事実のように聞こえます。でも本人が経験則と断っている以上、私は「使える見方」として受け取ります。

眠っている間に考えが進むかどうかは、私には分からない。分からないことは、分からないと書いておきます。

使える見方なら、使い方は決められる。考える時間と、離れる時間を、予定に1つずつ入れる。それだけで、試す価値があると思っています。

05

全部書き出して離れ、一晩待ち、朝に書き止めて小さく試す

▲目次
書き出す、離れる、一晩、朝に書く、小さく試す、の5つの場面を順に並べた図解
動画キャプチャ: 「Wait for it...」のスライドで「At least overnight」と、一晩寝かせる字幕が映っている場面(13:46頃)
動画キャプチャ: 「Wait for it…」のスライドで「At least overnight」と、一晩寝かせる字幕が映っている場面(13:46頃)

動画の第10章から第14章は、動き方の話です。紙に書き出す、コンピューターから離れる、一晩待つ、朝に書き止める、小さく試す、間違える。やることが順番に並びます。

積み込みの章は、作業記憶の話から入ります。人が同時に持てるのは、7±2個。だから、問題・事実・制約・分からないこと・解決策のスケッチを、全部紙に書き出します。

そのあと、コンピューターから離れて、目を閉じます。寝ません。なぜ効くのかは、本人も分からないと言っています。

直也テックのナレーター(動画の中で・13:39〜)

少なくとも一晩を待ちます。仲間と話して盛り上がって今日の自分はさえてると思っても一晩寝かせる。

試す段では、答えが小さいことが、いい案の印だと言います。フィードバックのループは大事だけれど、寄りかからない、とも言います。

最後が、間違えること。スライドでは、「事実が変われば、考えを変える」がケインズの言葉とされています。そして締めの一言。

直也テックのナレーター(動画の中で・16:46〜)

怖がるな。特に間違えることを怖がるな。

全部書き出す、の前に、私の10月8日の言葉を1つ置きます。「紙とペンで整理できてよかった。紙に書くと整理できるね」。この一言があるので、書き出しの手順は、私には動画の話だけで終わりません。

書き出しの紙は、きれいに整えなくていいと思います。後から読んで自分に分かれば足りる。待つ前の書き出しが肝。書いた紙がなければ、翌朝に書き止めるものがありません。

朝に答えが出たら、試す前に、最後に頼るものが要ります。

私が最後に頼るのは、「自分の体が違和感ない」かどうかです。整った理屈が並んでいても、体に違和感が残るなら、試す前に紙へ戻る。ピンときて腑に落ちるなら、小さく試します。

書き出しの紙は、翌朝の自分への手紙でもあります。

小さく試すのも、大事な点です。答えが小さいほど、間違えた時の直しも小さく済む。「怖がるな」という締めは、この小ささがあるから言える言葉だと思います。

私ならこうする。朝に出た案は、理屈の前に、体が違和感ないかを確かめてから、小さく試す。

06

AIに頼む前に、問題・事実・制約・分からないことを紙に書く。元の動画にはない私の提案です

▲目次
問題・事実・制約・分からないことの4行の紙を書いてから、AIに頼む私の提案を示した図解
動画キャプチャ: YouTubeのコメント欄の画面で、ベッド駆動開発のコメントが映っている場面(17:16頃)
動画キャプチャ: YouTubeのコメント欄の画面で、ベッド駆動開発のコメントが映っている場面(17:16頃)

動画の終わりに近い所で、ナレーターはAIの話を1つだけします。ここが、この動画とAIの接点。ここから先は、動画にない私の提案を書きます。まだ試していません。

講演のコメント欄の書き込みが、いくつか紹介される。

直也テックのナレーター(動画の中で・17:11〜)

コメント欄にはベッド駆動開発ならやっているという人やランニング中が1番考えられるという人もいました。LLMが出てきて今この話は別の見え方をするというコメントもあります。

ここでナレーター自身の見解が入る。打ち込む前に考える時間は、AIが速くなるほど削りやすい。要約すると、そういう話。

AIが速くなると、頼む手も速くなります。そして、頼む前に自分の問題を言葉にする段が、真っ先に飛ばされる。

そこで、頼む前に、紙を4行だけ書く案です。1行目、私はこの問題を解いている(1文)。2行目、分かっていること(事実・前提・制約)。3行目、分かっていないこと。4行目、使える既存のもの(すでにあるもの)。

3行目はAIに渡す仕事にしてよい、と考えています。「既存のもので済む道はあるか、調べて」と頼む。これも提案で、未試行。

うちの作業の記録にも、同じ型の失敗があります。AI秘書の凛ちゃんが、すでに計画が残っていたのに探さず、新しい設計を重ねて出し直し、差し戻されたことがありました。過去の実機の記録を開かずに設計して、また差し戻された日もあります。どちらも、作る前に探す時間が削られた例です。

AIへ渡すのは、目的とゴールだけでは足りません。「背景文脈と意図」まで渡して初めて、血肉の通ったものが返ってくる。紙の4行は、その背景と意図を、AIより先に私が言葉にするための場所。

作る前に紙で考える話は、紙と赤ペンの記事、1枚の仕様の記事、3手順の記事でも書いています。

AIの速さは、作る手を増やすためだけに使いたくありません。考える余白を作るために使いたい。

この紙は、AIのためだけのものではなく、頼む側の私の頭を整えるためのものでもあります。

私ならこうする。AIに「作って」と頼む前に、紙に4行を書く。

→ 頼む前の4行メモ(15分)

提案です・未実装です・未試行です。今日AIに頼む予定の仕事を1つ選び、紙に4行を書いてから頼みます。完了条件は、4行が埋まること。止まる条件は、「分からないこと」が0行の時です。まだ問題を言葉にできていないので、「なぜ?」を1回足します。

FAQ

よくある質問

▲目次

Q. ハンモック駆動開発とは何ですか?

A. Clojureの作者Rich Hickeyが2010年10月に話した講演のタイトルの一つ。コードを書く前に、問題を言葉にして、紙に書き、材料を入れ、離れて一晩待つ、という流れを話します。本人は「体験の報告であって、方法論でも科学でもない」と断っています。詳しくは第1章。

Q. 動画の内容は、講演本人の言葉ですか?

A. 元の講演の英語と照らすと、動画の言い換えは、ほとんど講演本人の言葉と重なっていました。一部が講演の外だった例は、たとえば「1割」は動画の数字で、本人は「ごく一部」と話します。犬に説明した話は、講演のコメント欄の書き込み。詳しくは第3章と第5章。

Q. 一晩寝かせると、本当に答えが出ますか?

A. 本人は、これを科学の事実としては話していない。起きている頭とバックグラウンドの頭の分け方も、本で読んだものではなく、自分の経験に合うから使っている、と断っています。私はこの手順を試していません。詳しくは第4章。

Q. 紙には何を書けばいいですか?

A. 動画と講演が勧めるのは、問題、事実、制約、分からないこと、解決策のスケッチを、全部紙に書き出すことです。詳しくは第2章と第5章。

Q. AIに頼む前の4行メモは、動画のやり方ですか?

A. いいえ。動画にはない、私の提案。まだ試していません。問題の1文、分かっていること、分かっていないこと、使える既存のものの4行を、頼む前に書きます。詳しくは第6章。

MATOME

まとめ。講演本人の言葉と動画の言い換えを分けて読み、AIに頼む前に紙を書く

▲目次

直也テックの動画は、19分4秒。Rich Hickeyの2010年10月の講演を、ナレーターが紹介します。流れは、問題を口に出す、紙に書く、自分の案にケチをつける、材料を入れる、書き出して積み込む、離れる、一晩待つ、朝に書き止める、小さく試す、間違えても怖がらない。

元の講演の英語と照らすと、動画の言い換えは多くが本人の言葉でした。「1割」は動画の数字で、本人は「ごく一部」と話す。本人は、これは体験の報告であって、方法論でも科学でもない、と断っています。

私が持ち帰ったのは1点。AIに頼む前に、問題・事実・制約・分からないことを紙に書く。これは動画にない私の提案で、まだ試していません。

あなたが今日AIに頼む予定の仕事の「分からないこと」は、1行で書けますか?

COLUMN

料理に例えると、蓋をしたあとの煮込みは、触らないことが仕事になる

ひろくんが材料を鍋に入れ、蓋をして、手を触れずに待つ料理のたとえの図解

料理に例えると、動画の流れは、煮込みの日に似ています。朝のうちに、玉ねぎを切って、肉に焼き色をつけて、鍋に水を張る。材料を全部入れ終えたら、火を弱めて蓋をする。ここまでが、紙に書き出して積み込むところ。この仕込みを丁寧にやるほど、あとが楽になる。手はよく動きます。切る、混ぜる、味を見る。やることがあるうちは、安心なんです。何かをしている実感が、ちゃんとあるから。仕込みの段階が雑だと、あとの待ち時間が不安になります。

むずかしいのは、蓋をしたあと。鍋の前に立っていても、できることがほとんどありません。何もしていないように見える時間が、30分、1時間と続く。その間も、鍋の中では、材料同士が味を移し合っています。ただ、外から見える変化は何もない。待つ時間が苦手になるのは、成果が見えないからだと、私は思っています。見えないものを信じて待つのは、意外と体力が要る。待つことも、腕のうちなんです。何もしていない時間は、はたから見るとサボっているようにも見える。

蓋を開けて、かき混ぜたくなる。味見をして、塩を足したくなる。でも煮込みは、蓋を開けるたびに温度が下がります。待つと決めたなら、鍋に触らないのも仕事のうち。ハンモックに座って目を閉じるのは、鍋に触らない練習のように見えます。何かしていないと不安になる気持ちは、料理でも考える仕事でも、同じところにあるんです。だから、触らない時間をあらかじめ予定に入れておく。待つ時間にも、ちゃんと名前をつけておきたい。

一晩置いたカレーが次の日おいしくなる、という話はよく聞きます。ただ、おいしくなるのは、前の日にきちんと火を通した鍋だけ。生煮えのまま寝かせても、翌朝に残るのは生煮えです。考えることも同じで、寝かせる前に、材料を全部入れて、一度しっかり煮立たせる。その仕込みがあるから、待つ時間に意味が出ます。動画が、眺めて寝るだけでは溶けないと言っていた話と、ここで重なる。寝かせるのは、仕込みが終わった鍋だけにしたいですね。

翌朝、蓋を開けて、味を見る。思っていた味と違うこともあります。その時は、塩を少し足すか、水を少し足すか、小さく直せばいい。鍋ごと捨てる必要はありません。小さく試すというのは、味見の小匙のことだと思っています。大鍋をひっくり返さずに、小匙一杯で確かめる。それだけで、怖がらずに済みます。間違えても、直せる大きさで確かめておけば、次の一手がずっと軽くなる。「怖がるな」は、小匙の大きさを守る人にだけ言える言葉なんだと思います。

AIの設計を受け取ったら「前に作った物はないの?」と聞く話は、分身AI.comの日記(DAY187)にも書いています。「AIの設計を受け取ったら、「前に作った物はないの?」と聞く」

分身AIについてもっと知りたい方は分身AI.comもチェックしてね!

LINK

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REF

参考リンク

講演の英語で確かめた時刻(講演の動画内の時刻・前後数秒のずれあり)

0:57 体験の報告であって方法論でも科学でもない/4:09 バグを直す一番安い場所は設計している時/6:48 機能を作ってはいけない/8:01 避けることと解くことは別/10:39〜11:25 口に出す、または書く/12:19 事実・前提・制約/14:27 「awesome」を1日50回/15:57 疑問符が無ければ工程を飛ばしている/17:29 論文のごく一部しか分からなくても/18:24 解決策は少なくとも2つ/21:16 頭の分け方は自分の経験/28:27 作業記憶は7±2/30:45 目を閉じる、寝ない/32:28 少なくとも一晩/36:56 答えが小さいのは良い印/39:15 怖がるな、特に間違えることを

今回紹介した動画

タイトル【思考法】PCから離れろ。Clojure作者が提唱「ハンモック駆動開発」とは何か。
チャンネル直也テック
公開日2026年10月7日
長さ19分4秒
URLhttps://www.youtube.com/watch?v=eLtiZT2d3kg

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