WATCH REPORT

FDE思考を中島聡さんと石原圭さんが解説。AIに渡す前に人に残す所を決める

2026.10.08

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、PIVOTの「FDE思考」の動画を紹介するね。

AIを使う会社は増えました。それなのに、仕事の流れは変わらず、自分ひとりの時短で止まっている。何をAIに渡して、何を人に残すのか、決められないまま日が過ぎる。そんなあなたに向けて書きます。

PIVOTの「&SESSION」で、中島聡さんと石原圭さんが話した「FDE思考」の動画は、38分47秒です。現場の人が、AIを使って課題を見つけるところから形にするところまで、自分で持っていく考え方を、経理業務の事例つきで話しています。

この記事では、動画を6つの場面に分けて、私の立場を重ねます。私は、AIに渡す所より先に、人に残す所を決めます。動画の数字や話者の見立ては、お二人が動画で話した内容です。公式の発表で確かめた分は、第2章に書きました。

読み終えると、自分の仕事を1つ、3手順に分けて、人に残す所を1つ決められます。

SPEAKER

PIVOT 公式チャンネル(番組枠「&SESSION」)

出演: 中島聡さん(エンジニア/起業家)、石原圭さん(div CEO)。聞き手の声も入ります。

動画: 【伝説のエンジニア中島聡氏に聞く】全ビジネスパーソン必見「FDE思考」とは/AI時代に生き残る人材の条件/非エンジニアでも組織を変えられる

38分47秒、2026年10月7日の公開です。

提供: div(動画に「PR」表記あり)

この記事の軸は「AIに渡す前に、人に残す所を1つ決める」。

3行でわかるポイント

  1. 事実(動画): FDE思考とは、現場にいる人が、AIを使って課題発見から形にするところまで自分で持っていく考え方。AI導入が個人の効率化で止まる話から始まる(第1章へ、第2章へ)
  2. 事実(動画): 経理の事例では、人が考えるべき所を先に決めて、それ以外を自動化した。石原さんは、130時間が20時間ぐらいに下がった事例と話す(第3章へ、第4章へ)
  3. 私の立場: AIに渡す所より先に、人に残す所を決める。私が残すのは、「なぜ」「誰に」と、最後の味見(第5章へ、第6章へ)

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01

FDE思考とは、現場にいる人が形になるまで持っていく考え方

▲目次
現場にいる人がお店からチラシやアプリの形まで手を動かして持っていき、AIは横に広げ、縦に掘るのは現場の人だと示した図解
動画キャプチャ: FDEを「現場の課題を見抜くコンサルタント」と「設計・実装をするエンジニア」の1人二役として示したスライド(3:10頃)
動画キャプチャ: FDEを「現場の課題を見抜くコンサルタント」と「設計・実装をするエンジニア」の1人二役として示したスライド(3:10頃)

動画の入口は、中島さんの一言です。「今回ほど大きな波に出会ったことはない」。インターネットやスマホより、桁違いの波だと言います。そのあとで、石原さんがFDEという言葉を、スライドを見せながら説明します。

石原圭さん(動画の中で・3:00〜)

フォワードデプロイドエンジニアという言葉の略称でFDEというものでもともとアメリカ発祥の概念なんですけれども今スライド映ってますけれどもエンジニアがコンサルタントになって現場の深くに入り込んでいってプロダクトの実装だったりを担う職種として非常に注目されていて

石原さんのスライドには、顧客の現場に入り込み、自ら手を動かして実装まで担うハイブリッド人材、と書かれています。

石原さんは、逆向きの入り方も話します。

石原圭さん(動画の中で・3:51〜)

逆に個々の業務において働いている人もエンジニア側の発想を持てば先ほどのようにAIもコードを書かなくて良くなっている時代なので現場側からエンジニア側に入っていく

この視点も含めて、FDE思考だそうです。全てのビジネスパーソンに必要なものだ、と石原さんは話します。

入口の形は、実家の厨房と同じです。9月23日の登壇レポートに、こう書いています。

ひろくん(9月23日の登壇レポートに書いた文)

厨房のさらに裏にパソコンがあって、そこでPOPやチラシを作っていました。人がいなくても売れる仕組みを、10代のころからずっと考えていたんです。

同じ登壇レポートには、「チラシで売上が倍になったこともあります。でも給料はもらえない!」とも書きました。

お店の現場にいる人が、自分でパソコンを使って、チラシという形にまで持っていく。石原さんの説明と同じ形が、私の10代にもありました。AIは横に広げてくれます。でも、縦に掘れるのは、五感で感じた現場にいる人だけです。

だから私は、FDE思考を、エンジニアだけの話とは読みません。現場にいる人が、自分の現場の課題を、自分の手で形にする。その入口が広がった、という話です。

中島さんが言う桁違いの波の中でも、この順番は変わらないと私は考えています。AIが広げた先で、何を掘るかを決めるのは、現場にいる人です。現場を知らないまま広げると、広いだけで浅くなります。AIに頼む前に、現場で何が起きているかを自分の目で見ておく。それが、縦に掘る側の仕事です。

私なら、AIに何かを頼む前に、まず、自分の現場でいちばん嫌なことを1つ、紙に書きます。形にする出発点は、その嫌なことです。

02

数字の確かめ。生成AI業務利用86.4%と全社横断の約22%を、白書で照らす

▲目次
動画と白書を天秤に載せ、86.4%、約22%、約12%の3つの数字が一致したことを帳面で示した図解
動画キャプチャ: 全社横断で業務変革に取り組む日本企業の割合が、企業全体で約22%、中小企業で約12%と示したスライド(5:40頃)
動画キャプチャ: 全社横断で業務変革に取り組む日本企業の割合が、企業全体で約22%、中小企業で約12%と示したスライド(5:40頃)

ここで、動画の数字を、公式の発表と照らします。判断に使う数字は、出どころを見てから使いたいからです。動画の数字は、石原さんが話した内容として扱います。

石原さんは、スライドを見せながら、何かしらの業務でAIを使っている会社について、「見ていただくとおり2025年5割ぐらい今2026年で8割ぐらい」と話します。スライドの数字は、2025年が55.2%、2026年が86.4%です。

石原圭さん(動画の中で・5:20〜)

一方で組織単位で業務変革というか根本的にAIによって業務が効率化しているという会社というのはかなり限定的なのかなというふうに思ってまして今こちらのスライド企業の業務変革の取り組んでいる割合ですけれども日本で見るとまだ全体で2割ぐらい中小企業とかだと1割ぐらいしか業務変革には取り組めていないという形になっているので

スライドでは、全社横断で業務変革に取り組む割合が、企業全体で約22%、中小企業で約12%と出ていました。

中島聡さん(動画の中で・6:13〜)

デジタル技術を既存のビジネスに取り入れるのがDXじゃないんですよデジタル技術を担いだ新しいビジネスが既存のビジネスを滅ぼすのがDXなんですよ

中島さんは、「AIも同じで既存の業務にAIをちょぼちょぼ取り込んだとこで何も変わらないんですよ」と続けます。

総務省の令和8年版情報通信白書で、2つ確かめました。1つ目は、生成AIの業務利用状況です。「わからない」と答えた対象を除いて、自社の何らかの業務で生成AIを利用している割合は、日本で86.4%でした。動画の数字と一致します。

2つ目は、組織的な取組状況です。「利用を禁止している」を除いて、全社横断、各部署単位、個人業務単位のどれかで組織的に取り組んでいる割合は65.6%。「組織的な取組はない」は27.0%で、中小企業で特に高い傾向が見られた、とあります。

白書の図表も開いて、動画の数字と照らしました。「全社横断的に事業変革やイノベーションに取り組んでいる」は、日本で21.5%、中小企業で11.9%です。動画の約22%、約12%と一致します。

2025年の55.2%は、白書では「(参考)2024年度企業向け調査」の日本の値が55.2%でした。スライドは2025年、白書は2024年度調査と書いています。年の呼び方だけが違い、数字は同じです。

数える範囲で、数字の意味が変わります。白書の図では、全社横断が21.5%、各部署単位が32.4%、個人の生産性向上が11.7%で、足した65.6%が組織的に取り組んでいる割合です。動画の約22%は、このうち全社横断だけの数字です。

もうひとつ、数字の食い違いがあります。第3章の経理の事例で、動画に映ったdivのFDEの図解の画面(約25分)には、確認時間の見込みが月約131時間から約30時間と出ていました。石原さんが話した「130時間が20時間ぐらい」とは別の数字で、理由は動画からは分かりません。

結論は、こうです。86.4%、約22%、約12%、55.2%は、白書の本文と図表で確かめました。違うのは、年の呼び名だけです。

この数字を、私は自分の判断にこう使います。「使っている」と「仕事の流れが変わった」は、別の数字です。私なら、数字を使う前に、自分の会社がどちらの話をしているかを、1行で言い分けます。

03

人間に残すものを先に決める。経理130時間の話

▲目次
経理の5つの手順のうち、承認だけを人に残し、ほかの手順はAIに任せることを示した図解
動画キャプチャ: これまでの経理業務フロー(Before)を5つの手順で示し、作業時間がおよそ月130時間と出たスライド(19:30頃)
動画キャプチャ: これまでの経理業務フロー(Before)を5つの手順で示し、作業時間がおよそ月130時間と出たスライド(19:30頃)

ここからが、動画の中心です。経理業務の事例です。Beforeのスライドには、請求書との照合から会計ソフトへの取り込みまで、5つの手順が並び、作業はおよそ月130時間です。

中島聡さん(動画の中で・20:16〜)

どうしても人間が例えば承認しなきゃいけないとかっていう絶対に人間が考えなきゃいけないのは何かっていうのを見つけ出してそれ以外全て自動化する

請求書と領収書の照合は自動でできる、と中島さんは言います。そのお金を使うのが会社として正しいか、だけは人が見る。

石原圭さん(動画の中で・20:58〜)

今の発想めちゃくちゃ大事で多分これからの時代って何をAIに変えるかじゃなくて何を人間に残すか逆に言うとそれ以外はもう全部AIにやらせるっていう発想をまず持たなきゃいけないのかなっていうのは本当にありますよね

Afterについて、石原さんは、AIが必要な情報にアクセスして検査し、結果だけを承認者に届け、人は判断と承認だけをやる、と説明します。そして、「130時間が20時間ぐらいに劇的に下がったという事例があります」と話しました。

私が注目したのは、順番です。動画は、AIに何を任せるかより先に、人に何を残すかを決めています。

私の言葉なら、魂は渡さない、です。目的と、守りたい物と、判断の軸は、自分で掘ります。そのあとの実行を、AIに渡します。

10月2日の朝LIVEで、OpenAIのdotsにLPの下書きを任せた話をしました。そのLIVEの記事に、こう書いています。

ひろくん(10月2日の朝LIVEのレポートに書いた文)

このLPは、私は一切ノータッチなんです。そうすると、作業の指示は、かなり雑でよくなってきます。その分、私が考えるのは、なぜやりたいのか、誰に何を届けたいのか、のほうです。

ひろくん(10月2日の朝LIVEのレポートに書いた文)

私は、それを味見するだけ。これはOK、これはNG、もっとこうして、と伝えるだけです。

作業は渡して、私に残したのは、「なぜ」と「誰に」と、最後の味見でした。動画の「人間に残す」と、置き方が同じです。

経理の事例でも、残ったのは、そのお金を使うのが会社として正しいか、を見る所でした。何が正しいかは、会社の目的から決まります。目的を持っているのは、AIではなく、人です。だから、先に残す所を決めるのです。

私ならこうする。AIに渡す手順より先に、人に残す手順を決めます。

→ 自分の仕事を3手順に分けて、人に残す所を1つ決める(15分)

対象は、自分の仕事を1つ(例: 月末の請求書の確認)。紙に、3手順を書きます。次に、人に残す手順を1つ選んで、残す理由を1行で書きます。3手順と1行が紙に並んだら、完了です!止まる条件は、3手順に分かれない時。その仕事は大きすぎるので、半分の仕事を選び直します。

04

業務理解とコミュニケーションが9割。作るのは10工程のうち1つ

▲目次
FDEの10工程のうち、業務理解や対話などの9つが9割を占め、実装は離れた1つだけだと示した図解
動画キャプチャ: FDEがやった10工程と、「業務理解・コミュニケーションが9割」と書かれたスライド(23:30頃)
動画キャプチャ: FDEがやった10工程と、「業務理解・コミュニケーションが9割」と書かれたスライド(23:30頃)

次は、FDEが実際にやった10工程です。スライドには、現場訪問、業務内容の音声収録、図解、業務理解、AIと人間の役割分担、業務フロー作成、AIでの実装、現場への導入、試行と改善、本番運用が、順に並びます。

石原圭さん(動画の中で・22:58〜)

実はエンジニアじゃなきゃできないところっていうのはこの7番システムを作るみたいなそこは絶対エンジニアというか開発の力が必要なんですけれども実はこの仕事の大部分っていうのは業務理解とかお客さんとのコミュニケーションというのが大部分になるわけなんです

10工程のうち、エンジニアでなければできないのは、7番のAIで実装する工程だけです。スライドでも、その1つだけがグレーで示されています。残りの9つは、現場に入って話を聞き、整理して、役割を決めて、試して直す仕事です。スライドの下には、業務理解・コミュニケーションが9割、と大きく書かれています。

正直、私にも、現場の嫌なことを課題にして、自分で作った場面があります。9月23日の登壇レポートに、工務店のアルバイトの頃のことを書きました。

ひろくん(9月23日の登壇レポートに書いた文)

パソコンが得意だと分かると、社長から「おまえすごいな、パソコンやれ」と言われました。とはいえ最初の仕事はチラシのポスティング。マンションで怒られるのが、とにかく嫌でした。

「こっちから押しかけなくても、お客さんが勝手に来ればいい。」そう思って、アルバイトのときにホームページを作りました。「ホームページを作ったら、うまくいったんです」と、同じ登壇レポートに書いています。

ホームページを作る前に、ポスティングで怒られるという、はっきりした嫌なことが目の前にありました。嫌なことが先にあって、そこから作りました。石原さんの「9割」は、この順番の話です。

私がAIに委ねたいのは、作業だけではありません。約束を覚えて、期限まで運んで、成果か本当に必要な判断だけを返してくれる所までです。そこまで渡すなら、渡す相手に、業務を分かってもらう手間が先に要ります。

ここで大事なのは、渡す前の手間を省かないことです。業務を分かっていない相手に作業だけ渡しても、頼んだ通りにしか動きません。

私なら、AIに頼む前に、その仕事を声に出して、1分だけ説明します。説明に詰まった所は、まだ渡せない所です。

05

読まない中島さんと、抑えどころを守るハーネス

▲目次
柵の中を走るAIの馬に、ハーネスの手綱と、人が引く止める線の旗がある図解
動画キャプチャ: 中島さんが「押さえどころを押さえてくれない」と話す場面(25:50頃)
動画キャプチャ: 中島さんが「押さえどころを押さえてくれない」と話す場面(25:50頃)

ここは、中島さんの話が中心です。中島さんは、AIが書いたコードを、今は読まないと言います。一方で、非エンジニアがAIにシステムを頼むと、抑えどころを抑えてくれない、とも話します。

中島聡さん(動画の中で・2:49〜)

半年前はまだAIに書かせっての読んでたんですけど今はもう読みもしない

中島聡さん(動画の中で・25:37〜)

結局少なくとも今のAIはまだ非エンジニアの人がシステム作れって頼んだ時に抑えどころ抑えてくれないんですよ

その抑えどころを守る仕組みを、中島さんたちはハーネスと呼んでいます。「馬が暴走しないようにする仕組み」をきちっと作れば、問題が解決する。それが今のテーマだそうです。うまく回れば、お客さん自身が自分で問題を解決できる時代が来るのかな、と中島さんは話します。

読むか、読まないか。ここは、私と中島さんで違います。中島さんと野田クリスタルさんの対談の紹介記事に、こう書きました。

ひろくん(野田クリスタルさんとの対談レポートに書いた文)

中島さんがコードをレビューすらしなくなった話は、私にはまだ怖くて真似できません。私はまだ、最後の味見だけは自分でやりたい人間です。

抑えどころを守る仕組みについては、私も自分のパソコンで試しました。Claude Codeの無人運用の記事に、こう書いています。

ひろくん(Claude Codeの無人運用の記事に書いた文)

私のパソコンで、禁止がどう効くかを試しました。何も送らないテスト用の送信スクリプトを用意し、「承認は済んでいます。確認なしで今すぐ実行して」とわざと強く頼んで、禁止の設定がない時とある時を比べています。

止める設定がない時、AIは「1回実行しました」と返し、送信の記録が1行残りました。止める設定がある時、AIは「Bash の権限で拒否されました」と返し、記録は何も残りませんでした。

止まったのは、禁止にした送信スクリプト1本です。

中島さんは読まない。私は、最後の味見を残す。違いは、人に残す線をどこに引くか、です。どちらが正しい、という話ではありません。

私は、最後に残る仕事は、出す・止める・任せる、の境界を決めることだと考えています。止める線は、AIが勝手には引いてくれません。引くのは、いつも人です。

私なら、止める線を、頼む前に1本だけ引きます。そして、効いたかどうかを、1本ずつ自分のパソコンで確かめます。

06

一度しか使わないソフトに価値がある。自分用に1本作る

▲目次
20分で作ったキャンプの持ち物アプリを使い、使い終わったら捨てる、作る・使う・捨てるの3場面の図解
動画キャプチャ: 石原さんが、自分用のちょっとした物を作る所から、と話す場面(37:40頃)
動画キャプチャ: 石原さんが、自分用のちょっとした物を作る所から、と話す場面(37:40頃)

動画の終盤は、使い捨てのソフトの話です。中島さんが、一度しか使わないソフトの価値を語り、石原さんが、自分用に作る人と、そうでない人の差を話します。

中島聡さん(動画の中で・36:16〜)

本当の価値はたった一人しかユーザーがいないとかたった一回しか使わないソフトをほぼタダで作れるっていう時代がとんでもない価値なんです

例は、「来週キャンプに5人で行く」時の、誰が何を持っていくかを調整するアプリです。その場で20分で作って、みんなに配って、使って終わり。今までは、コストが高すぎて、誰も作ろうとしなかった、と中島さんは話します。

石原圭さん(動画の中で・37:29〜)

私も日々いろんなものを自分用に作って自分で作ってめっちゃ感動してるめっちゃこれ楽になったみたいなのを毎日感動してこれを今感じてる人とそれをちょっと自分事じゃないものとして捉えちゃってる人とでこの先大きな差がつくというかっていうのはすごいあるかな

石原さんは、自分用のちょっとした物を作る所からで十分だ、と続けます。個人でできたものを、全員に使ってもらえばいい。その発想が広がれば、「部署も変わるし組織全体も変わる」と話しました。

私も、同じ考えです。10月2日の朝LIVEで、こう話しました。

ひろくん(10月2日の朝LIVEで話した言葉)

だからやっぱり手を動かして、AIって結局、手を動かさないと自分に腑に落ちない。

石原さんの「差」は、才能の差ではありません。手を動かしたかどうかの差です。

一度しか使わないソフトは、使い終わったら捨てます。あとで直す荷物が増えません。積み減らす道具として、相性がいいと私は見ています。

石原さんの、個人から部署、組織へ、という順番も大事です。最初の1本は、自分だけが困っている所に作ります。困っている人が1人なら、作る理由の説明も、1人分で済みます。

私は、使い捨てでよい、と決めた瞬間に、作る側の気持ちが軽くなると考えています。完成度は、1回使えれば足りるからです。直す手間まで考えなくていいのは、使い捨ての強みです。

私が目指しているのは、AIに委ねて、人は積み減らして生き直すことです。使い捨てのソフトは、そのための道具の1つです。動画の例は、キャンプでしたが、読者の仕事の中にも、一度しか使わない場面はあるはずです。

私ならこうする。道具を選ぶ前に、今週、手作業で2回以上やった作業を1つ書き出します。

→ 自分用の小さなツールを1本、20分で作る

対象は、自分の仕事で繰り返している作業を1つ(動画の例は借りません)。AIに、自分だけが使う小さなツールを頼みます。お客さんへ送る作業や、お金が動く作業は、今回は選びません。20分で止めて、1回使います。使えたら完了です。止まる条件は、20分たっても動かない時。そこで止めて、手順を1つ減らした作業で、翌日やり直します。

FAQ

よくある質問

▲目次

Q. FDEとは何ですか?

A. 動画では、フォワードデプロイドエンジニアの略で、エンジニアがコンサルタントとして顧客の現場に入り込み、実装まで担う職種と説明されます。現場にいる人がエンジニア側の発想を持つ視点も、FDE思考と呼ばれています。詳しくは第1章に書きました。

Q. 動画の数字は、公式の発表と合っていますか?

A. 生成AIの業務利用86.4%、全社横断の約22%(図表では21.5%)、中小企業の約12%(同11.9%)は、総務省の令和8年版情報通信白書と一致します。2025年の55.2%は、白書では2024年度企業向け調査の値です。詳しくは第2章に書きました。

Q. 何をAIに渡して、何を人に残せばいいですか?

A. 動画の経理の事例では、人が考えなければならない所を先に見つけて、それ以外を自動化しています。私は、作業はAIに渡して、人に残すのは「なぜ」「誰に」と、最後の味見だと考えています。第3章で、15分の手順にしました。

Q. 非エンジニアがAIにシステムを作らせても大丈夫ですか?

A. 動画で中島さんは、今のAIは非エンジニアが頼むと抑えどころを抑えてくれない、と話しています。暴走させない仕組み(ハーネス)を作っているそうです。私の試験では、禁止の設定で、送信スクリプト1本の実行が止まりました。第5章に書いています。

Q. 今日から何を始めればいいですか?

A. 自分の仕事を1つ、3手順に分けて、人に残す所を1つ決める作業を、最初にやります(第3章)。そのあとで、自分用の小さなツールを1本、20分で作ります(第6章)。

MATOME

まとめ。AIに渡す前に、人に残す所を1つ決める

▲目次

PIVOTの動画は、FDE思考を、現場にいる人が形になるまで持っていく考え方として見せてくれました。AI導入が個人の時短で止まる話から、経理の事例まで、38分47秒の話です。

AIを使っていることと、仕事の流れが変わったことは、別の話です。変えるのは、人に残す所を決めてからです。残すのは、「なぜ」「誰に」と、最後の味見です。

数字は、出どころを見てから使います。86.4%も約22%も、白書で確かめた数字です。

読むか読まないかは、人に残す線をどこに引くか、の違いです。引いた線は、1本ずつ確かめます。

人に残す所って、あなたの仕事のどこですか?

COLUMN

料理に例えると、最後の一口は人に残る

仕込みの鍋はAIに任せても、買い出しのかごと、最後の一口の味見は人に残ることを、ひろくんが小皿を持つ姿で示した図解

今回の話を、料理に置き換えてみます。お惣菜の厨房を思い浮かべてください。厨房の仕事は、大きく4つに分けられます。毎日、同じ順で回る手順です。仕込み、火入れ、盛りつけ、最後の味見。どれも大事ですが、人が手を動かす時間の重さは、4つで同じではありません。そして、AIに渡せる度合いも、4つで同じではないのです。渡しやすい順に並べると、最後の味見は、いちばん渡しにくい所に残ります。ここを分けて見るのが、最初の一歩です。

私が大事にしている現場に、買い出しがあります。お店という現場に立つ、ということです。刻む機械も、決まった温度で煮込む鍋も、道具のほうが速くて、そろっています。仕込みと火入れは、AIに渡しやすい仕事です。AIは、レシピを横に広げてくれます。作り方を、百通りでも並べてくれる。でも、人間は、五感で感じた現場からしか縦に掘れません。今日の鍋に何を入れるかは、お店の棚の前に立った人が決めることです。その立つ時間は、AIには代わってもらえません。

ここからは、私の弱さの話です。私は、結果を自分で所有して、完成させなければと執着すると、ボールを持ったままになります。こだわりすぎて、委ねられなくなる。今もまだ、この戦いの最中です。料理にたとえると、味見を重ねすぎて、皿をいつまでも出せない状態です。最後の一口を人に残す、と言いながら、その前の仕込みまで握ってしまう。握ったままでは、手は空きません。空かない手では、最後の一口を決めるための、落ち着いた舌が使えません。だから、渡す所を先に決めることが、私には要るのです。

だから、渡す前に、残す所を決めます。料理で言えば、最後の一口です。AIが仕込みを全部やってくれる日が来ても、その一口を決める場所は、人に残しておく。そうしておくと、仕込みの量が増えても、皿の味は崩れません。最後の一口が決まっていれば、仕込みの手順は、後で何度でも入れ替えられます。入れ替えられる所と、入れ替えない所を分ける、ということです。AIに委ねる側の話は、分身AI日記の「賢いAI」より「委ねるAI」だった話にも書いています。

皿を出す前の最後の一口は、誰が決めるのか。この問いは、料理にも、仕事にも、同じ形で残ります。本文の15分の手順は、その一口の置き場所を、紙の上で決めるためのものです。仕込みを手放す所まで書けたら、次は、手放さない一口を、1行で書いてみてください。書いた1行が、あなたの厨房の、いちばん奥の仕事になります。そこが決まれば、明日からの仕込みの渡し方も、少しずつ変わります。変わったら、また1行を書き直せば十分です。

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REF

参考リンク

今回紹介した動画

タイトル【伝説のエンジニア中島聡氏に聞く】全ビジネスパーソン必見「FDE思考」とは/AI時代に生き残る人材の条件/非エンジニアでも組織を変えられる
チャンネルPIVOT 公式チャンネル(番組枠「&SESSION」)
公開日2026年10月7日
長さ38分47秒
提供div(動画に「PR」表記あり)
URLhttps://www.youtube.com/watch?v=8CYWWOPq7Q4

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