WATCH REPORT / AI×経営

WWDC26「Discover what’s next」をAppleのシャシャンクさんが解説。AIに”丸投げしない”設計から学べること

2026.08.13

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、Apple公式チャンネルが配信した開発者向けセッション「Discover what’s next: The biggest updates from WWDC26」を紹介するね。

72分、Appleのエンジニアたちが自社のAI基盤を語り尽くす回です。ぶっちゃけ、iPhoneアプリの作り方の話なんだけど、聞いていくと「AIをどこまで信じて、どこで疑うか」という、私が毎日AI秘書の凛ちゃんと向き合っている話とまるごと同じ構造でした。専門用語は多いんだけど、置き換えると全部、私の日常の話に変換できるんだよね。

シャシャンクさん
Apple Technology Evangelism(AI基盤担当)/動画出演者

アンジェリカさん
Apple Technology Evangelism(開発ツール担当)/動画出演者

3行でわかるポイント

  1. AIは「1つのAPI」に統一しました。オンデバイスも、クラウドも、他社モデルも、同じコードで呼べる設計にしています。
  2. エージェントに複数の役目を渡す時、Appleは「セッションを引き継ぐ」仕組みを新設した。担当は替わっても、記憶は途切れない。
  3. 出力がブレるAIには「毎回測る仕組み」が必要です。Appleはこれを機能ではなく専用フレームワークとして用意しました。

この記事でやること

Appleが「AIをアプリに組み込む時」に設計した3つの境界線を借りて、自分の仕事の中で「AIに渡していい部分」と「自分の舌で確かめる部分」を、もう一段はっきりさせます。読み終える頃には、あなた自身の「渡していい部分」も一つ具体化できているはずです。専門用語は最小限に留めます。

🎬 元動画

WWDC26記事アイキャッチ兼全体図
72分のWWDC26セッションで語られた6つのAI設計思想と、ひろくんの仕事の重ね方

「一つの入り口から、好きなモデルへ」——Foundation Models Frameworkが選んだ統合という答え

一つの入り口から
端末の中・クラウド・他社モデル。バラバラな入り口が一つの扉に集まる

72分の冒頭、シャシャンクさんはAppleのAI戦略をこう言い切りました。あちこちの会社のパーツを寄せ集めて、開発者が自分で組み立てる——そういうAI業界のよくある複雑さを、Appleは選ばなかったんです。

“It’s one common API, the foundation models framework, and it allows you to point basically the same code at whichever model you want, and you get to decide what fits.”
(訳:一つの共通API——Foundation Models Frameworkがあれば、同じコードのまま、どのモデルにでも向けられます。何が自分に合うかは、あなたが決めればいい)

シャシャンクさん — 3:32〜

オンデバイスのモデルでも、クラウドの重いモデルでも、GoogleやAnthropicが作った他社モデルでも、呼び方は同じ。しかもこの春から、フレームワーク自体がオープンソースになるといいます。

で、これ、私が普段やってることそのものなんだよね。私のところではClaude・Codex・Gemini・GLMを、案件の重さで振り分けるルーティング表を作っています。判定はOpus、量産はSonnet、機械的な作業はHaiku。モデルが変わっても、渡す作業の型は変えない。Appleが「一つのAPI」でやろうとしていることを、私は「一つの振り分け表」でやっているだけの違いだと思う。増やしたのはツールの種類じゃなく、振り分ける基準の解像度だったんだよね。

今の自分を一行で(2分):今、自分が使っているAIツールを全部書き出します。その中で「同じ考え方で振り分けられそうなもの」に丸をつけます。

「推論の請求書がない」——オンデバイスAIという、抱え込まなくていい設計

請求書がない
手元で完結できることは手元で。無理な時だけ外へ、という線引き

面白かったのは、Appleが「オンデバイス(端末の中で動くAI)」を最初の入り口に置いたこと。理由も明快でした。

“It’s private, works offline, there’s no inference bill, and it’s fast because it’s running on Apple silicon that’s built just for this purpose.”
(訳:プライベートで、オフラインでも動いて、推論の請求書がない。専用に作られたApple Siliconの上で動くから速いです)

シャシャンクさん — 3:09〜

で、重い判断だけ必要な時は「Private Cloud Compute」という、外に出ても中身は覗かれない仕組みに切り替わります。手元で済むものは手元で。無理な時だけ外に頼る——この線引き、実はすごく健全だと思います。

私は昔、全部を自分の頭の中で抱え込んでました。134kgまで太った頃の私は、経営判断も現場作業も、全部自分でやらないと会社が止まると思い込んでいた……「抱え込みOS」って呼んでいるやつだ。 オンデバイスAIの発想はこの逆で、「自分の中で完結できることは、外に頼らず自分の中で済ませる」設計です。委ねる先を選ぶって、実は「何でも外に投げる」ことじゃなくて、こういう線引きの技術なんだよね。以前Claude Code×Google Cloudに学ぶ「委ねるOS」という記事を書いたけど、今回のオンデバイスAIの線引きも、結局は同じ話なんだと思う。抱え込みをやめる技術は、境界線を引く技術と同じ場所にあるんだよね。

今の自分を一行で(3分):今抱えている仕事のうち「本当は自分だけで完結できるのに、わざわざ人に確認を求めているもの」を一つ探します。3分で十分です。

「セッションはそのまま、担当だけ替わる」——Dynamic Profilesと、ただっちが継いでくれた朝

担当だけ替わる
担当が入れ替わっても、記憶の糸は一本につながっている

ここが今回いちばん唸ったところです。旅行アプリの例え話が出てきます。「フライト時刻を教えて」というプランナーAIへの質問から、「フライトが遅れたからホテルを取り直したい」という予約AIへの引き継ぎ——従来はここで会話が分断されていたのが、今年から変わるという。

“This year, we adding a new capability called dynamic profiles to handle all of this for you. Agents now have shared context and all of this happens within one session preserving continuity across handoffs.”
(訳:今年、Dynamic Profilesという新機能を追加しました。エージェント同士が文脈を共有し、担当の受け渡し(ハンドオフ)をまたいでも、一つのセッションの中で連続性が保たれます)

シャシャンクさん — 20:59〜

担当のモデルやツールは変わっても、それまでのやり取りの記憶は引き継がれます。あ、そうだ、これ、私に一番刺さる話だった。私ががんで入院して、朝のLIVE配信を強制的に中断せざるを得なかった時があったんです。 あの時、ただっちが代わりに番組を継いでくれました。病室からその光景を見た時、正直「居場所を奪われた」みたいな複雑な気持ちもあった……でも結果的に、ただっちも成長したし、番組もむしろ良くなったんだよね。手放したら、全部良くなった。

Appleのdynamic profilesが技術でやろうとしていることを、私は人間同士で先にやっていた、ということなんだと思います。担当が替わっても、文脈——つまり「何のためにこれをやっているか」——だけは引き継がれます。それさえあれば、誰が続けても大丈夫なんだよね。

今の自分を一行で(1分):もし明日、自分が急に動けなくなったら、今の仕事の「文脈」を誰かに渡せる状態になっているか考えます。なっていないなら、1分でその理由を書き出します。

「かわいい、で片づけられた吸血鬼の子猫」——出力がブレるAIに、なぜ味見の仕組みがいるのか

毎回、測る
AIの出力は毎回ブレる。だから毎回、味見して測る

ここ、笑いながらも一番本質的な話でした。書籍レビューからジャンルのタグを自動生成するアプリを作った、という例え話。開発者本人が試した時は完璧だったのに、友だちに使わせたらこうなりました。

“…the model tripped up and tagged it as cuddly. I guess a type of cuddly familyfriendly kittens, vampire kittens.”
(訳:モデルがつまずいて、「かわいい」というタグをつけてしまいました。かわいい・ファミリー向けの、子猫みたいなやつだと思ったようです——吸血鬼の子猫、というタグでした)

シャシャンクさん — 23:52〜

ドラキュラの書評に「かわいい家族向け」というタグをつけてしまった話。従来の機能はテストすれば毎回同じ答えが返るから、これでOKこれでNGって単純なテストで検証できてたんだよね。でもAIの出力は毎回ブレます。だから「毎回測る仕組み」——Evaluations Frameworkという専用の機能を、Appleは別立てで作りました。

で、これ、私も痛い目を見た話でね。AIエージェントに長時間の作業を任せた実験で、「11件の見落としがあります」と、それはもう自信たっぷりに報告してきたことがあったんです。ところが一つひとつ確かめてみると、10件が誤判定でした。自分が少し前に「完了済み」にした記録すら見落としてた……いちばん高い食材を使っても、味見をしなければ焦げる。それとまったく同じ形の話が、Appleのキーノートでも語られていたわけです。だから私は今、AIに何かを任せる時は必ず「最後にどう測るか」を先に決めるようにしています。前に「消していい確認」と「手放せない理解」という記事で書いたけど、確認を全部残すのも、全部消すのも違う。measure.pyとかverify-article.pyとか、名前は無骨だけど、要はあれ、味見の道具なんだよね。

今の自分を一行で(5分):直近でAIに任せた作業のうち、結果を「ちゃんと測らずに信じてしまった」ものを一つ思い出します。5分で、どう測ればよかったかを書き出します。

「名詞と動詞を渡す」——App Intentsが教える、AIに仕事を頼む時の言葉の設計

名詞と動詞を渡す
あいまいな指示を、名詞(何を)と動詞(どうする)に分解して渡す

Siriがアプリの中身を理解して動けるようにする「App Intents」という仕組みの説明が、妙にわかりやすかったんです。

“If entities were the nouns, then you can think of intents as being the verbs for your app. The things that your app actually does.”
(訳:エンティティ(データ)が名詞だとしたら、インテントはアプリにとっての動詞だと考えていいです。アプリが実際にやること、そのものです)

シャシャンクさん — 34:47〜

カレンダーの予定は名詞、それを「送る」「移動する」が動詞。この名詞と動詞をきちんと定義しておくと、Siriが「その3番目のイベント開いて」みたいな曖昧な言い方でも、正しく動作するんだよね。設計の手間は増えるけど、指示する側の負担は逆に減るはず。

で、これ、私が作ってる「スキル」という仕組みとまるっきり同じ発想だと気づいたんです。AI秘書の凛ちゃんが動く時は、まず「何のデータを扱うか(名詞)」「何をするか(動詞)」を先に言葉で定義してあるスキルを呼び出します。あいまいな「なんかいい感じにやって」ではなく、「このデータに、この動作を」と、名詞と動詞をセットで渡す——ここが肝心。AIへの指示が雑だと、Siriと同じで見当違いのことをやりだします。逆に言うと、名詞と動詞さえきちんと渡せる人が、これからのAI時代に強い人なんだよね。

今の自分を一行で(2分):最近AIに出した指示を一つ思い出し、「名詞(何を)」と「動詞(どうする)」に分解します。分解できないほど曖昧だったなら、それが伝わらなかった理由です。

「Claude、Codex、Gemini——好きな相棒で書ける」——Xcode27が体現した道具を選ぶ自由

好きな相棒で書ける
一つの道具に縛られず、その時に合う相棒を選ぶ道具箱

後半、開発ツール担当のアンジェリカさんが語ったXcode27の話も見逃せません。開発環境そのものに、複数のAIエージェントが組み込まれました。

“We worked with Anthropic, OpenAI, and Google to bring Claude, Codex, and Gemini directly into Xcode, so you can code with the agent you prefer.”
(訳:AnthropicやOpenAI、Googleと協力して、Claude・Codex・Geminiを直接Xcodeに組み込みました。自分の好きなエージェントでコードが書けます)

アンジェリカさん — 52:26〜

しかもプラン(計画)モードまで搭載されて、いきなりコードを書かせるんじゃなく、まず段取りを立てさせてから作業に入れる。他社のツールとも連携できる「Model Context Protocol」も標準対応しています。特定のAIに囲い込まれない設計を、Apple自身が選んだんだよね。

いやー、これ、私の日中の過ごし方そのものでした。 Claude CodeとAI秘書の凛ちゃんで、あれこれ試しながら遊び探求してるのが、私の日中のいちばんワクワクする時間なんだよね。 一つのツールに縛られず、案件によってClaude・Codex・Geminiを使い分けます。Xcode27がやっていることは、まさにこの「相棒を選べる自由」を、開発者全員に配ったということなんだと思います。道具が増えたから偉いんじゃなくて、選べることが偉い。

今の自分を一行で(1分):今使っているAIツールを、もし全部一つに固定されたらどう困るか考えます。1分で、困る理由を書いてみて。それが「選べる自由」の値打ちです。

ご注意

本記事で紹介した機能・仕様は、すべて動画内でのApple担当者(シャシャンクさん・アンジェリカさん)の発言、および動画公開時点(2026年7月)の情報に基づきます。各機能の対応OS・提供地域・詳細な条件は、Apple公式の開発者サイトで最新情報をご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Foundation Models Frameworkとは何ですか?

Appleが用意した、一つの共通APIで複数のAIモデル(オンデバイス・クラウド・他社モデル)を呼び出せる仕組みです。動画内でシャシャンクさんは「同じコードのまま、どのモデルにも向けられる」と説明していました。

Dynamic Profilesとはどんな機能ですか?

複数のAIエージェントが役目を引き継ぐ時、それまでの会話の文脈(セッション)を保ったまま担当を切り替えられる新機能です。旅行アプリの例で、予定確認とホテル予約が別のエージェントでも一連の会話として続けられると説明されていました。

なぜAIにEvaluations Frameworkという専用機能が必要なのですか?

従来のソフトウェア機能は同じ入力に同じ出力が返りますが、AIの出力は毎回ブレます。動画内では書籍レビューのタグ付けが誤作動した例が挙げられ、AIの品質を継続的に測る仕組みが不可欠だと説明されていました。

まとめ|AIをどこまで信じるかは、結局は設計の問題

72分見終わって残ったのは、「AIがすごい」という話じゃなかった。一つのAPIに統一する、担当が替わっても文脈を引き継ぐ、出力を毎回測る、名詞と動詞で仕事を渡す、好きな相棒を選べるようにする——全部、AIをどこまで信じて、どこで人間が確かめるかを、Appleが先回りして設計していた、という話でした。専用のシリコンチップまで用意して守ろうとしていたのは、機能の派手さではなく、境界線の精度だったんだと思う。

私も、AI秘書の凛ちゃんに全部を丸投げしたことは一度もありません。渡す部分と、最後に自分で確かめる部分。その線引きさえ持っておけば、モデルが何度入れ替わっても怖くありません。むしろAppleほどの会社が、これだけ丁寧に「委ね方」を設計しているのを見て、私の毎日の運用は間違っていなかったんだな、と背中を押された回でもありました。

今日、あなたがAIに渡している仕事のうち、一つだけでいいから「測り方」を決めてみてほしい。それだけで、次からの委ね方が変わるはずです。書き出す先はメモでもいいし、口に出すだけでも十分だと思います。

COLUMN

ひろくんコラム ― 惣菜屋の寸胴と、Appleのキーノートは同じことを言っていた

惣菜屋の寸胴
実家「山口屋」の寸胴の前で、大人が黙って味見していた光景

ここまで仕組みの話を書いてきたけど、最後に本文に収まらなかったことを置いておくね。

私の実家は惣菜屋でした。「山口屋」という店。 子どもの頃、店の奥にある大きな寸胴の前で、大人がよく立ち止まっていたのを覚えています。小皿に取って、すすって、黙って、それからちょっと足す。それだけ。あの数秒が何なのか、当時は全然わからなかった……レシピはあるのに、なんでいちいち確かめるんだろう、って。

72分のApple発表を見終わって、私は「これ、寸胴の前の大人と同じことをしてるな」と思いました。Evaluations Frameworkは、味見の道具。Dynamic Profilesは、担当が替わっても味の記憶を引き継ぐ仕組みです。App Intentsは、レシピを名詞と動詞に分解して人に渡す作業。専用のシリコンチップまで作って、Appleがやろうとしていたのは、結局「安心して手放すための設計」だったと思います。

で、ここからが自分に刺さる話。私は仕事のほうでは、この味見をわりと簡単に手放してしまうことがあります。数字が出てると、それで納得してしまいます。AIが自信満々に「終わりました」と報告してきた時、深く確かめずに信じかけたことも一度や二度じゃない……実家では絶対にやらなかったことを、パソコンの前ではやってしまうんだよね。ぶっちゃけ、これは今も治っていない癖だと思います。

だからこそ、AI秘書の凛ちゃんに何かを頼む時は、必ず「最後は私が一口だけ食べる」と決めた工程を一つ残すようにしてる。全部は見られません。でも一口だけなら、毎回すすれる。Appleほどの会社が、専用フレームワークまで作ってこの原則を守ろうとしているのを見て、味見って別に古臭い考え方じゃないんだな、と思えた回でした。

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この記事は、YouTube動画の内容をもとにAIの支援を受けて構成し、田中啓之(ひろくん)が監修しています。動画内の発言・数値は元動画に帰属します。

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