
過去の自分に、今の自分を分析させる——Fableで話題の「セッション履歴プロンプト」が暴く、あなたが本当に欲しかったもの
2026.07.16 | AI氣道 コラム
Claude Codeを毎日触っている方のマシンには、いま静かに、自分自身の「本音の全記録」が溜まっています。この記事では、それを占いではなく証拠として読み解くプロンプトについて紹介します。
Xで話題になったあるプロンプトがきっかけです。日記でも、セラピーでもありません。「コーディングエージェントに投げてきた数千回のリクエスト」を材料に、AIがあなたという人間を言い当てる、そんな6フェーズの自己分析プロンプトが登場しました。AI氣道主宰の田中啓之は、これを「読者が今日そのままコピペして試せる、完成形の鏡」と評価しています。
この記事では、そのプロンプトの中身を6フェーズすべて分解し、田中が自チームで実際に構築した「過去の自分と話す検索基盤」との違いを比較表で整理し、最後にプログラミングをしない人にも関係がある理由まで届けます。話題のレシピをただ紹介するのではなく、包丁の入れ方から火加減、そして家庭のキッチンでどう再現するかまで一緒に見ていく回だと思ってください。
導入:Fable最後の夜、彼は「アプリ」ではなく「自分」を作らせた
このプロンプトを世に出したのは、Machina(@EXM7777)という人物です。2026年7月7日、Anthropicの新モデル「Fable」がサブスク枠内で使える最後の数時間が迫るなか、彼はこう書きました。元記事はMachina氏のX Articleで全文が読めます。
みんなが最後の夜に「もう一つアプリを作ろう」としているとき、Machina氏は「もっと100倍面白いこと」をさせました。それが ~/.claude/projects という、ほとんどの人が存在すら意識していないフォルダに触れる自己分析です。閉店間際の厨房でみんなが新作を仕込むなか、彼だけは「これまで作ってきた全レシピの注文履歴」を引っ張り出して、自分がどんな料理人なのかを調べ始めた、という感じでしょうか。
彼の導入文の一節を、原文のまま引用します。
there’s a folder on your machine that knows you better than some of your friends… every request you ever typed, every project you started and abandoned, every 2am spiral, every fix you asked for three times and never automated… timestamped
あなたのマシンには、友人の何人かよりもあなたをよく知っているフォルダがある……あなたが今までタイプした全てのリクエスト、始めて放棄した全てのプロジェクト、深夜2時の全てのスパイラル、3回頼んで結局一度も自動化しなかった全ての修正……その全部が、タイムスタンプ付きで残っている。(→ 元記事を見る)
日記やSNSでは、人は無意識に「見せる自分」を演じます。でもコーディングエージェントに向かって、人は演技しません。観客もいないし、ポーズを取る必要もない。ただ「本当に欲しかったもの」を、何千回も、剥き出しのまま打ち込んできただけです。
Machina氏は、日記とセッション履歴の違いをこう表現しています。
your journal holds the version of you that writes for a reader / your session history holds the real one
あなたの日記は、読者に向けて書いたバージョンのあなたを持っている。あなたのセッション履歴は、本物のあなたを持っている。(→ 元記事を見る)
プロンプト本体の冒頭には、こう書かれています。
People lie in journals. They perform in therapy. Nobody performs for a coding agent.
日記では、人は嘘をつく。セラピーでは、人は演技する。誰もコーディングエージェントに対しては演技しない。(→ 元記事を見る)
Fableについては、こうも書かれています。
it holds months of your behavior in one analysis and finds the pattern you’ve been hiding from yourself, the kind of read that used to require a great therapist and a year of sessions
Fableは、あなたの数ヶ月分の行動を1回の分析にまとめ、あなた自身から隠していたパターンを見つけ出す。かつては優秀なセラピストと1年間のセッションを必要とした類の読解を、だ。(→ 元記事を見る)
つまりこのプロンプトは、盛った自己申告ではなく、時間の使い方という動かぬ証拠からあなたを描き出そうとするものです。Claude Codeを使い込んでいる人ほど、その材料はすでに大量に揃っています。
ここで、田中が3年近く言い続けてきた「カルピス原液」という考え方と、この話がどう交差するかに触れておきます。田中自身の定義はこうです。
過去に自分が話した言葉・書いた文章・撮った動画・残したメモの全部を、「濃く凝縮された自分の資産」と見立てる発想のこと。
そして、その核心はここでした。
書くんじゃなくて、集める。これが「カルピス原液」発想の核なんだよね。
Machina氏のプロンプトは、この「集める」を極端なところまで押し進めたものだと言えます。しかも、集める対象が違う。ここが今回いちばん面白いところなので、比較のセクションで詳しく書きます。
前半3フェーズ:発掘 → 抽出 → インタビュー
プロンプト本体は英語のXML形式で、6つのフェーズに分かれています。まず全体像を1枚の表にまとめます。
Phase 1「Excavate(発掘)」
最初のフェーズは、マシン上に散らばったAIエージェントとの会話ログを発掘する作業です。最低限チェックするのは、~/.claude/projects/(Claude CodeのJSONLログ)、~/.claude/history.jsonl、~/.codex/sessions/、~/.config/opencode/、~/.pi/、~/.grok/ といった場所。ツール名、パス、ファイル数、合計サイズ、日付の範囲を記録していきます。
プロンプトはこのフェーズの終わりに、明確な一時停止を指示しています。
Show me the inventory and your mining plan (which sources, what sampling). Wait for my go.
発掘した一覧と、これからのマイニング計画(どのソースを、どうサンプリングするか)を見せてほしい。私のGOを待つこと。(→ 元記事を見る)
冷蔵庫と冷凍庫と物置を全部開けて「何が、いつから、どれだけあるか」を棚卸しする工程に近いです。勝手に全部を読み漁らず、まず献立を見せて許可を取る。この一拍が地味に効いています。
Phase 2「Distill(抽出)」
技術的にいちばん巧妙なのがこのフェーズです。セッションのアーカイブは、AIが一度に読める容量よりはるかに大きいので、全部を頭から最後まで読もうとするとすぐにパンクします。そこでこのプロンプトは明確な上限を設けています。1ファイルにつき最大150行、合計で最大200ファイルまで。
ファイルの選び方も工夫されています。直近の15セッション+最古の10セッション+その中間からランダムに20セッションをサンプリングする。新しい自分、始めたばかりの頃の自分、そして無作為に選ばれた素の自分。この3層を混ぜることで偏りを減らしています。
読み込んだら、grepやrg(リグレップ)で特定のパターンを一掃します。「いや、そうじゃなくて」「また」「やめて」といった訂正・苛立ちのフレーズ、数週間にわたって繰り返される同じリクエスト、3回以上登場して消えていったプロジェクト、作業する時間帯、「すぐやって」という短気さと長い熟考のバランスなど。
そして知見は evidence.md(証拠ファイル)に25ファイル読むごとに追記し、生のログはメモリから捨てます。evidence.md は次の6セクションで構成されます。
個人的に唸らされるのが最後の「⑥盲点」です。「不在もデータである」という発想は、記録に一度も現れないものが、無意識に避けているものを映すという考え方です。田中のチームが分身AI日記 DAY84で「叱責ログの51%が実はhook由来のノイズだった」と気づいた話とも響き合うところがあります。
このフェーズには厳格な証拠ルールもあります。1つの主張には必ず日付付きの根拠が必要で、3回以上出現して初めてパターンとしてカウントする。1回だけはノイズ、3回でパターン、11回はもうキャラクター、元のプロンプトはそう言い切っています。
Phase 3「Interview(インタビュー)」
証拠が揃うと、AIは最も強い仮説を5つ立てますが、それを直接は言いません。プロンプトにはこう書かれています。
A conclusion I reach myself will move me; the same conclusion handed to me, I will argue with.
自分で辿り着いた結論は私を動かす。渡された同じ結論には、私は反論する。(→ 元記事を見る)
だからAIは1問ずつ質問を投げ、ユーザー自身に気づかせようとします。もし回答が証拠と矛盾したら、根拠のログを見せてもう一度問い直す。答えを押し付けず、舌で気づかせる対話に近いです。
後半3フェーズ:鏡 → レバレッジ → 残滓
前半で証拠を煮詰め、味見までさせました。後半は、いよいよ一皿を客の前に出し、厨房の動線を引き直し、レシピカードに残すところまで進みます。
Phase 4「The Mirror(鏡)」
4つ目のフェーズで、AIはようやく鏡になります。伝えるのは、あなたが実際に信じていること(口で言ったことではなく、時間を使ったこと)、思考の動き方(速い所と、ループしてしまう所)、本当に得意なこと、避けていることとその回避が何を守っているのか、そして記録の全ページに滲み出ているのに一度も口に出したことがないこと。
すべての観察には根拠のログが引用されます。そして重要なルールがあります。一番厳しい真実は、最後に一度だけ伝えること。プロンプトはこう念を押しています。
Deliver the hardest truth last, and deliver it once. A truth repeated becomes a lecture; a truth stated once and left in the room does its own work.
一番厳しい真実は最後に、一度だけ届けること。繰り返された真実は説教になるが、一度だけ言われてその場に置かれた真実は、それ自身で仕事をする。(→ 元記事を見る)
渾身の一皿を出したあと、核心を去り際に一度だけ添えるようなイメージです。何度も言えば小言になりますが、一度なら余韻として残ります。
Phase 5「Leverage(レバレッジ)」
鏡で自分が見えたら、次は時間がどこで死んでいて、どこで増幅するかを洗い出します。AIに永久に渡してしまうべきこと、完全にやめるべきこと、そして自分だけが触るべき1〜2のこと、この3つに仕分けていきます。
田中がハーネス設計を語った記事で繰り返す「AIに渡す部分と、人間が握る部分の線引き」と近い思想が、ここに個人スケールで現れているように思います。
Phase 6「Residue(残滓)」
最後は成果物を残すフェーズです。ユーザーの同意を得たうえで、判明した人物像に合わせてツールを再構築します。具体的には mirror.md(自己像のまとめ)、30日ロードマップ、そして CLAUDE.md やスキルの更新案です。
プロンプトの結びには、こうあります。
leave artifacts, and with my consent, rebuild my tools around who I turned out to be
成果物を残し、私の同意のもとで、私が何者であったかに合わせてツールを再構築すること。(→ 元記事を見る)
ここにも安全弁があります。すべての変更は、ファイルに触れる前にdiff(差分)で見せる。「こう書き換えますが、いいですか」と下書きを見せてから初めて手を動かす設計です。占いなら「はい、これがあなたです」で終わりますが、このプロンプトは「明日から使える作り置き」まで残して去る。ここが個人的には面白いと感じたところです。
比較:セッション履歴プロンプト vs 田中啓之のDAY73「検索基盤」
実は田中のチームも、これとよく似た「過去の自分と話す」試みを、もっと本格的なインフラとして構築しています。分身AI日記 DAY73「過去の自分と話せるようになった日——3916発言を意味で検索する仕組み」がそれです。目的は似ていますが、作りも使い方もまるで違います。
読者から見た「手の届きやすさ」も対比しておきます。
田中の整理はシンプルです。DAY73は「検索基盤を作った裏側」の話であり、今回のMachina氏のプロンプトは「読者が今日、自分のマシンでそのままコピペして試せる完成形」。片方は自分でキッチンを設計した記録、もう片方は誰でも今夜作れるレシピという関係で、どちらが上というより入口と運用の違いだと思います。
ただ、もっと大事な違いが1つあります
ここからは、正直あまり気持ちのいい話ではありません。
田中がこれまで集めてきた「カルピス原液」——朝LIVEで話した2年分・900本の言葉(それをAIエージェントで1冊の本にした話も書いています)、Obsidianに書き溜めたメモ、記事に残した体験。これらには、ある共通点があります。
全部、誰かに向けて残した言葉なんです。
LIVEには視聴者がいます。メモにも「あとで自分が読む」という読者がいます。記事にはもちろん読者がいる。田中は「書くんじゃなくて、集める」と言ってきましたが、集める段階ですでに、無意識の選別が働いています。残す価値があると判断したものだけが、原液の樽に入っている。
一方、~/.claude/projects の中身は違います。誰にも見せるつもりがなかった言葉です。むしろ、捨てるつもりで書いた言葉です。3回同じことを頼んで放置したことも、深夜2時に何を言っているのか自分でもわからなくなった記録も、選別されずにそのまま残っている。
つまりMachina氏のプロンプトは、カルピス原液の考え方にとって、けっこう痛いところを突いてきます。集めてきた原液そのものが、実は「見せたい自分」でろ過されていたかもしれない、という話だからです。
これは、プロンプトが evidence.md の6番目に置いた「⑥盲点——ログに明らかに欠けているもの。不在もデータである」と、きれいに重なります。原液の樽に入っていないものこそ、その人が無意識に避けてきたもの。樽の中だけ見ていても、それは見えません。
料理でいえば、こういうことです。田中が作ってきたのは、選び抜いた食材で取った上等な出汁でした。実際、その出汁からいい料理が何皿も生まれています。でもMachina氏が言っているのは、「あなたが捨てた野菜くずのほうに、あなたの食べ方の真実がある」ということなんです。
正直な現在地:AI氣道はまだ自分のマシンで走らせていない
ここは正直に書きます。AI氣道として、このプロンプトを自分たちのマシンでフル実行した検証は、この記事の時点ではまだ終えていません。だから「実際に走らせたら、こんな衝撃の分析が出ました」という体験談を、いま盛って書くことはできません。
話題のレシピを読み込んで構造は分解できましたが、まだ自分の厨房で一度も火を入れていない状態です。これは弱みというより、線引きの問題でもあります。セッションログには日々AIに投げてきた素の思考がそのまま入っているので、どのマシンで、どんな環境で走らせるかは慎重に選びたい。証拠なしに「試しました」と書くのは、田中が最も嫌う類の嘘だからです。
一方で、構造の検証は済んでいます。150行×200ファイルという上限設計、3層サンプリング、evidence.md への逐次退避、3回以上でパターン認定というルール。これらは「AIのメモリを溢れさせずに大量ログを扱う」定石として理にかなっていると思います。田中がClaudeとObsidianで9ヶ月セカンドブレインを運用して見えた壁で書いた「情報は貯めるより、いかに減らして意味を取り出すかが本番」という学びとも、この設計思想はきれいに一致します。作りの筋は良いので、あとは自分の厨房で火を入れる番だと思っています。
非エンジニアにも関係ある話
「でも私、~/.claude/projects なんてフォルダ触ったことないし、コードも書かない」——そう思った方にこそ、この話の本質を届けたいです。
このプロンプトの偉さは、技術そのものではありません。「自分が演技していない場所の記録を、証拠として振り返る」という発想にあります。そしてその発想は、プログラミングと関係なく誰にでも応用できます。
たとえば、スマホの検索履歴。深夜にだけ検索している言葉には、昼間の自分が認めたくない関心が滲みます。あるいはChatGPTやClaudeとの過去チャット。同じ悩みを表現を変えて3回聞いていたら、それはもうテーマと呼べます。買い物アプリの購入履歴、カレンダーで毎回リスケする予定、下書きのまま送らなかったメッセージ、どれも盛っていない自分の記録です。
冷蔵庫の中身で、その家の食生活が全部わかるのと似ています。本人が「健康志向です」と言っても、冷蔵庫にプリンが5個並んでいれば、真実はそちらにある。Machina氏の6フェーズは、この「冷蔵庫を証拠として読む」作業を、AIエージェントのログに対して体系化しただけとも言えます。中身の考え方——繰り返しを探す、放棄したものを見る、避けているものに気づく——は、手帳一冊あれば誰でも今日始められます。
今日から始める手順
実際にこのプロンプトを試したい人向けに、具体的な手順を整理しておきます。
まず、材料があるか確認すること。自分のマシンに ~/.claude/projects/ があるか、ターミナルで覗いてみてください。Claude Codeを日常的に使っているなら、JSONLファイルがずらりと並んでいるはずです。Codexなら ~/.codex/sessions/ も確認してみてください。
次に、バックアップを取ること。分析にかける前に、ログのコピーを別フォルダに退避しておく。万一プロンプトが誤ってファイルに触れても、原本が無事なら安心です。
プロンプトを丸ごと渡して、Phase 1のGATEで一度止めることも大事です。元プロンプトはPhase 1の終わりで「発掘した一覧とマイニング計画」を見せて止まる設計なので、ここで計画をよく読み、想定外のフォルダを触ろうとしていないか確認してからGOを出してください。
evidence.md は自分の目で読むこと。AIの結論だけを鵜呑みにせず、6セクションの証拠ファイルを自分で確認する。特に「④繰り返し税」と「⑥盲点」は、自分でも驚く発見が出やすい部分です。
最後に、Phase 6のdiffは一枚ずつ確認すること。CLAUDE.md やスキルの更新案が出ても、diffを一つずつ吟味してから採用する。良い提案だけ取り入れて、ピンと来ないものは捨てて構いません。
もしClaude Codeでこの手のログ活用をもっと深めたいなら、『メタスキル』の13プロンプトをFable5とOpusで徹底比較した記事も合わせて読むと、モデルごとの向き不向きが見えてくると思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. セッション履歴のプライバシーが心配です。安全ですか?
セッションログには、AIに打ち込んだ思考がそのまま入っています。だからこそ、分析はできればローカル環境で完結させて、ログを外部に無断でアップロードしないことが大前提です。前述のPhase 1のGATE(計画を見せて止まる仕組み)とバックアップは、まさにこの不安に対する安全弁として効いてきます。
Q2. Claude Codeをほとんど使っていなくて、履歴がありません。どうすれば?
~/.claude/projects/ が空でも、諦める必要はありません。このプロンプトの本質は「演技していない記録を証拠として読む」ことです。ChatGPTやClaudeの過去チャット、スマホの検索履歴、手帳の書き込みなど、素で残した記録なら何でも材料になります。まずは1ヶ月ぶん、自分の記録を繰り返し・放棄・盲点の3つの目で読み返すところから始めればいいと思います。
Q3. AIの分析結果は、どこまで信じていいですか?
このプロンプトの賢い点は、すべての主張に日付付きの根拠を要求し、3回以上出現したものだけをパターンと認める設計になっていることです。とはいえ、AIの解釈が常に正しいとは限らないので、最終的な判断は必ず evidence.md の生の証拠を自分の目で確かめてから下すのがいいと思います。
Q4. Fableがもう使えなくても、このプロンプトは意味がありますか?
意味はあると思います。このプロンプトの価値は特定モデルの性能ではなく、6フェーズという読み方の設計そのものにあります。Opusやその後継モデルでも、長いログを扱う工夫(150行×200ファイルの上限、逐次退避)はそのまま活きるはずです。
まとめ:過去の自分は、今のあなたより正直だった
Machina氏のセッション履歴プロンプトが突きつけたのは、シンプルな事実だと思います。あなたのマシンには、あなたが一度も演技しなかった記録が、タイムスタンプ付きで眠っている。発掘し、煮詰め、味見させ、鏡を見せ、動線を引き直し、レシピを残す、この6フェーズは、その記録を占いではなく証拠として読むための丁寧な段取りでした。
田中のDAY73が「過去の自分と話す常設インフラ」だとすれば、このプロンプトは「今夜からコピペで試せる、一回きりの精密検査」。どちらが上でもなく、入口と運用の関係です。まずは入口を、自分の厨房でくぐってみるところから始めてみてはどうでしょうか。
ひろくんのコラム:過去の自分に、今の自分を分析させるということ
このプロンプトを知ったとき、私は不思議な既視感に襲われたんだよね。
私は2025年1月、直腸がんステージ3の告知を受けて入院していた。毎朝のAIモーニングLIVEは、もう続けられないと思った。ところが、GPTs研究会の仲間である”ただっち”が、私に断りもなく朝の代打を始めて、場をそのまま回し続けてくれた。あのときのことは、前に自分でこう書いている。
あ——私がいなくても、この”場”は、ちゃんと続くんだ。拍子抜けするくらい、ちゃんと回ってた。
あのとき私を救ったのは、他人の視点だった。自分では「俺がいないと回らない」と思い込んでいた場所を、外から見たら全然違う景色だったんだ。
このプロンプトがやっていることは、それと同じだと思うんだよね。過去の自分という他人に、今の自分を見せる。私が「これが大事だ」と口で言っていることと、実際に時間を注いできたことは、たぶんズレている。そのズレを、盛らずに、演技抜きで、日付付きで突きつけてくる。ちょっと怖い。でも、あのベッドの上で”ただっち”が見せてくれた景色と同じくらい、たぶん優しいかな。
それと、この記事を書きながら1つ、自分の足元が崩れた感覚があった。私はずっと「カルピス原液を集めろ」と言ってきた。過去の自分の言葉こそ資産だ、と。でも、集めてきた原液は全部、誰かに向けて残した言葉だったんだよね。LIVEには視聴者がいたし、メモにも「あとで読む自分」がいた。つまり私は、原液を集めているつもりで、実は原液を選んでいた。
一番濃いところは、樽の中じゃなくて、樽に入れなかったほうにあるのかもしれない。3回頼んで結局自動化しなかったあの作業とか、始めて放り出したプロジェクトとか。あれ、私はずっと「記録するほどのことじゃない」と思って捨ててきた。捨てた理由のほうが、たぶん私のことをよく語ってる。
正直、私はまだ自分のマシンでこれを走らせていない。でも、走らせる日は近いと思う。今度は選ばずに、全部飲んでみる番だね。
あなたも、よかったら一緒に。まずは冷蔵庫を、いや、~/.claude/projects を開けてみるところから始めよう。
参考リンク
- 元記事:Machina(@EXM7777)「セッション履歴による自己分析プロンプト」X Article(2026年7月7日)— https://x.com/i/article/2074492979709083649
- 過去の自分と話せるようになった日——3916発言を意味で検索する仕組み|分身AI日記 DAY73
- 朝のブクマで仲間と「カルピス原液」が被った日——分身AIに自分の言葉を覚えさせる3ステップと、共創の作法|分身AI日記 DAY70
- 2年分・900本の朝LIVEを、AIエージェントで1冊の本にしてみた
- 社長無人化計画|AIに経営を委ねるのは、あなたが人生の真ん中に還るため
- 分身AIが自分の声を半分聞き間違えていた——叱責ログ51%が「hook由来」だった日|分身AI日記 DAY84
- ClaudeとObsidianでセカンドブレインは15分で作れる。でも9ヶ月運用して分かった本当の壁
- Claude Codeで経営者の言葉をマーケ資産化|カルピス原液をAIで横展開する方法
- 『メタスキル』の13プロンプトをFable5とOpusで徹底比較|全部実行してわかったAIモデルの使い分け
- ハーネス設計が本質。Fable5・Grok4.5とAI経営術の土台づくり



