
「もうSEOのカンファレンスじゃなかった」SEOおたくさんが見た、SMX Advanced 2026のリアル
2026年9月10日
家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。今回は、SEO系YouTuberとして発信している「SEOおたく」さん(LANY・レイニー社)が、ボストンで開催された検索マーケティング世界最高峰のカンファレンス「SMX Advanced 2026」に参加してきた動画を紹介します。
SMX Advancedという3日間のカンファレンスで、SEOという言葉そのものがどう変わりつつあるのか。「AIビジビリティ」「ブランドマーケティング」「ディシジョンエンジン」……現地で語られていたキーワードを、SEOおたくさんの解説に沿って整理します。読み終わったときに、AI検索という得体の知れない波を、少しだけ「自分の言葉」で語れるようになってたら嬉しい。私自身、専門のSEOコンサルタントじゃないけど、IT経験30年の身として、この地殻変動の大きさにはさすがに背筋が伸びました。
私はSMX Advancedの現地参加者でも、SEOおたくさんの共同制作者でもない。あくまで公開された動画を見せてもらった一人の視聴者として、内容を紹介しています。動画で語られている事実・数値・引用は元の発表者・話者に帰属し、私がAI共創OSの現場で感じている所感は、あくまで私自身の解釈として分けて書いているよ。専門的なSEO理論の教科書としてではなく、日々AIと向き合ってる経営者の実感として、気軽に読んでもらえたら嬉しいです。
元動画
【日本遅れすぎ!?】SEOの話ゼロ!世界最高峰の検索カンファレンスに参加したら、LLMOは完全にインフラ化してました(YouTube・SEOおたく / LANY)
帰属レコード:SEOおたくさん(LANY・レイニー) / YouTubeチャンネル「SEOおたく」 / 公開日2026年7月16日。短い引用と事実は元の話者・媒体へ帰属し、解釈と行動提案は田中啓之によるものです。動画内で紹介されている各セッションの詳細は、元動画をご確認ください。
「もうSEOのカンファレンスじゃなかった」——看板そのものが変わっていた
「もうSEOのカンファレンスじゃなかったなっていうのが、いい意味でも悪い意味でも結論でございます」
該当シーンを見る(0:53〜)
SEOおたくさんは、ボストンまで12〜14時間もかけて飛んで、SMX Advancedという3日間のカンファレンスに参加したそうです。目的はもちろんSEOパートの全セッション聴講。でも……いざ蓋を開けてみたら、いわゆる「テクニカルSEO」の話がほとんど出てこなかったらしい。新卒1年目のころに同じカンファレンスへ参加した経験もあるというから、その落差は相当なものだったんだと思います。
全セッションに共通していたテーマは「AIビジビリティ(AI可視性)をどう最大化するか」でした。従来型のSEOに加えて、デジタルPRやSNS(海外はReddit中心)、YouTubeまで、SEOの外側にあった施策が当たり前に守備範囲へ入り込んでいた、と。象徴的だったのが、ある登壇企業が部署名から「SEO」という文字を取っ払って「オーガニックメディア」に変えた、というエピソードです。AI検索・PR・ソーシャルをまるっと見る部署へ再編したということです。
これ、聞いた瞬間に「あ、そうそう」ってなった。うちも「AI経営術」って名乗ってるけど、中身はSEOでもマーケでも経理でもありません。1つの専門ラベルに閉じず、横へ横へと担当範囲を広げていく感覚。人間は目の前の1つを縦に深く掘っていくのが得意で、AIはその深さを横へ広げていくのが得意——私がよく言ってる話そのものが、SEOという専門職の看板レベルで起きているのを見て、いやー、時代が本当に動いてるんだなと実感しました。
海外マーケターへの予算配分調査でも、59%が「ソーシャルでのブランドプレゼンス」を優先、44%が「権威性(オーソリティ)」への投資を選んだというデータが紹介されていました。数字。ちゃんと出てるのが面白い。テクニックの話じゃなく、ブランドそのものへの信頼投資に、みんなお金を動かし始めているということです。
「象徴的なのはプロファウンド」——数字が語る本気度
「象徴的なのはやはりプロファウンドっていうツールで、このGEO/LLMO市場に突如現れたユニコーン企業なんですけれども」
該当シーンを見る(7:29〜)
「Profound」というGEO/LLMO専用の分析ツールが、創業からわずか1年半で評価額10億ドルのユニコーン企業になったという話です。2026年上半期だけで9600万ドルを調達して、Target・Walmart・Figmaといった大企業700社以上に導入されているそうです。ぶっちゃけ、この数字だけでも「一部の意識高い企業の実験」というレベルを完全に超えてるのが分かる。
面白いのは、この動きを1社が全部抱え込んでやっているわけじゃないというところです。専門ツールに任せる部分は任せて、人間は判断とブランドの軸だけを持つ。何でも自分で背負い込むんじゃなくて、得意な相手に委ねます。私がずっと言ってる「抱え込みOSから委ねるOSへ」の話と、構造がそのまま重なるんだよね。海外の大企業が、GEOという新しい領域を全部内製で抱え込まずに、Profoundのような専門AIツールへ委ねる判断を、もう本気でやり始めています。
マイク・キング氏という方が、最終日のパネルディスカッションで「SEOとGEOなんて一緒なわけないじゃないか」とバーンと言い切ったそうです。Googleは公式には「GEOもAEOも、つまるところSEOだ」って言ってるらしいんだけど……現地の空気としては、そう捉えてる人はほとんどいなかった、というのがSEOおたくさんの所感でした、と話していたのが印象的だった。
正直、日本でここまでの投資額を聞くことはまだ少ない。海外はもう「検証フェーズ」を終えて、当たり前にやるインフラ的施策になっています。日本ではまだ「AI検索ってSEOと同じでしょ」という議論の段階で、一部の先進企業だけがGEO/LLMOへ投資している状態。このギャップ、放っておくとどんどん開いていく気がしています。
「ブランドマーケティングだと思います」——計測できない領域と向き合う
「AI検索最適化、LLMとかGEOは、パフォーマンスマーケティングっていう領域、いくら使ったらいくら返ってくるみたいなのが分かる領域ではなくて、ブランドマーケティングだと思います」
該当シーンを見る(5:51〜)
AI検索での成果を売上に結びつける経路は、大きく4つに分けられるという話がありました。①直接クリックでの流入、②AI上でのチェックアウト・エージェンティックコマース、③AI上での意思決定、④ブランド想起。このうち①と②は計測できます。でも③と④は、計測できない領域です。
「多少の不確かさを受け入れる覚悟を持つ」——SEOおたくさんが紹介していたこの考え方、私はすごく腑に落ちた。見えるものだけを追いかけるのはもうマーケティングとして不可能で、ラジオ広告やOOH(屋外広告)の時代に測定できなかったのと近い状態に、また戻ってきているっていう指摘。IT業界に30年いる身としては、この「測れないものと向き合う」という感覚、実はそんなに新しくありません。むしろ懐かしいまであります。
だからこそ、AI検索最適化はパフォーマンスマーケティングじゃなくて、ブランドマーケティングだ、という結論に行き着くんだと思う。クリックが伴わない以上、流入データだけでは測れません。ブランドそのものの変化を、長い目で見ていく必要があります。数字を追うことに慣れた人ほど、この切り替えは苦しいはず。でも……ここで踏ん張れるかどうかが、次の3年を分ける気がしてる。
詳しくはAI検索は月95億訪問へ|発見・引用・送客を分けて考えるでも書いたけど、AI検索は「発見」「引用」「送客」という別々の役割に分かれていて、全部を同じモノサシで測ろうとすること自体が、そもそも無理があるんだと思います。
「ディシジョンエンジン」——アンサーエンジンから意思決定の場所へ
「彼女が言ってたのがディシジョンエンジンだって言っててこれめっちゃいいなと思ったんですけれども」
該当シーンを見る(11:13〜)
アレイダ・ソリス氏(Orainti & SEOFOMO)のセッション「Winning Organic in 2026」で紹介されていたのが、AIを「アンサーエンジン」ではなく「ディシジョンエンジン(意思決定エンジン)」と呼ぶ視点です。質問に答えるだけの場所じゃなくて、そこで意思決定そのものが完結してしまう場所になっている、という捉え方だね。
同じセッションでは「’best running shoes 2026′ のようなキーワードを狙うんじゃなくて、製品の制約条件でマッピングしよう」というTipsも紹介されていました。マラソン用・トレイル用・カジュアル用みたいに、ユースケースと製品属性のかけ合わせでトピカルオーソリティを作ります。1キーワード1ページという発想からの転換だね。
これ、私がよく話す「分身AIは弥生、人間は縄文」の話とすごく近い。分身AIは計画・構造化・実行・計測・分析・改善という弥生のエンジンを担って、人間は今ここで内側のワクワクを縦に掘る縄文の源を生きます。AIが「意思決定の場所」を担うようになるなら、なおさら人間の側は、どのユースケースの誰に向けて掘り下げたいのか、感性の部分をサボれません。AIに全部お任せじゃなくて、判断の軸だけは自分で持つ。
同セッションでは、リンクビルディングやデジタルPR、コミュニティマネジメントのようなオフライン寄りの施策も、AI検索最適化の「ど真ん中」だと位置づけられていました。サイトの中だけを整えていた時代とは、もう発想の起点そのものが違います。
「インプも意識しましょうよ」——沈んでいく検索結果と向き合う
「クリックとかコンバージョンって言ってんじゃなくて、ピクセル単位で見たときになるべく上の方に来たらインプレッションが出るんだから、インプも意識しましょうよって話をされてました」
該当シーンを見る(15:38〜)
Mozのトム・キャッパー氏(Tom Capper)による「SERP is shrinking(検索結果が沈んでいる)」というデータ分析も紹介されていました。スマホのファーストビューでは、1位に表示されているサイトすら画面外に沈んでしまっている、という中央値のグラフです。1位。それでも見えない。この事実、けっこう衝撃的じゃない?
で、そこから出てくる提言が「SEOでもインプレッションをもっと重視すべき」というものです。クリックやコンバージョンだけを見るんじゃなくて、ピクセル単位でどれだけ上に位置してインプレッションを稼げているか、という視点も持とうよ、と。これまでの「クリックされてなんぼ」という発想を、根っこから揺さぶる話です。
私自身、朝LIVEの視聴数やアーカイブの再生数を見るとき、つい「クリックされたかどうか」だけで一喜一憂しがちなんだけど……画面に映ってた時間、記憶に残った瞬間、そういう「計測しづらいけど確かにあった接触」を軽視しちゃいけないなと、この話を聞いてあらためて思ったよ。
クリックされなかったからといって、何も起きていないわけじゃありません。この前提に立てるかどうかが、AI検索時代の分かれ道になりそうな気がしています。
「Accessibility・Comprehension・Authority」——AIが買い物をする時代の3要素
「SEOとGEOなんて一緒なわけないじゃないかと、なんかすごいバーンって言い切ってたんですけれども」
該当シーンを見る(8:04〜)
ShopifyのSEOリード担当者によるセッションでは、「エージェンティックコマース(AIが物を買える時代)」がテーマとして取り上げられていました。成功の3要素は「Accessibility(AIエージェントがサイトにアクセスできるか)」「Comprehension(AIエージェントが理解できるか)」「Authority(AIエージェントが信頼できるか)」。人間向けのUIじゃなく、AIエージェントを1人の“お客さん”として想定した設計です。
特に重要とされていたのが商品詳細ページです。スペックや特徴の明記、購入前のFAQ、レビューや評価、構造化データの実装。……この辺り、実はSEOの基本ともかなり重なってる。SEOとGEOは違う、とマイク・キング氏がバーンと言い切っていたのも分かります。でも土台の作り方には、共通する部分が確かにあります。
正直、「AIエージェントが商品を買う」なんて言われても、まだピンとこない人が多いと思う。「ITは若い人のもの」って距離を置いてしまう気持ちも、すごく分かる。でも、これは技術の得意不得意の話じゃなくて、自分の商品の情報を、誰が読んでも(AIが読んでも)迷わないように整理できているか、という基本の話でしかありません。今からでも十分間に合うよ。
詳しくはAI×ゼロクリック時代のSEOまとめを鈴木謙一さんが解説。自社サイトが要る理由と今日からできる4つの実践でも近い話を書いているので、あわせて読んでみてください。
まとめ|SEOおたくさんが見た、SMX Advancedのリアルは看板を下ろす話だった
ボストンまで12〜14時間かけて参加したSMX Advanced 2026で、SEOおたくさんが見てきたのは、SEOという専門職の看板そのものが静かに下りていく現場でした。部署名からSEOの文字が消え、テクニカルな話はほぼゼロで、語られていたのはブランド・PR・ソーシャル・意思決定の設計。テクニックの話から、ブランドと信頼をどう積むかという話へ——主戦場が完全に移っています。
「抱え込みOSから委ねるOSへ」は、私がずっと言い続けてる話だけど、Profoundのようなツールに専門領域を委ねる海外企業の動きも、結局は同じ構造だと思う。1人で、1社で、全部を抱え込む時代はもう終わっています。信頼できるパートナー(人でもAIでも)に、任せる部分は任せます。そのうえで、自分にしか掘れない縦の深さを、私たちは大事にしていけばいい。
日本はまだ「議論の段階」で、海外は「実装フェーズ」に入っています。このギャップは、焦る材料じゃなくて、今から動けば十分に追いつける余地がある、というふうに私は捉えています。今日紹介した6つの視点のうち、どれか1つだけでも、自分の仕事に置き換えて考えてみてほしいな。
ディシジョンエンジン、インプレッション、Accessibility……横文字ばかりで面食らった人もいるかもしれません。でも、SEOおたくさんが伝えたかったことをぎゅっと縮めると、たぶん1つだけ。「見つけられ方」も「選ばれ方」も、AIという新しい審査員が加わったぶん、今までより複雑になりました。ただ、それだけのことです。複雑になったからこそ、焦って全部を一度にやろうとしなくていい。順番に、1つずつ、縦に掘っていけばいいんです。
よくある質問
SEOとGEO(AI検索最適化)は、結局何が違うんですか?
SMX Advancedでは、SEOとGEOは「一緒ではない」という立場を取る登壇者が多かったそうだよ。SEOがキーワードと検索順位を軸にするのに対し、GEOはAIによる引用・意思決定・ブランド想起まで含む、より広い領域。ただしサイトの基本設計(構造化データ・情報の明確さなど)は共通する部分も多い。
日本の会社は、まず何から始めればいいですか?
動画で紹介されていた「Accessibility・Comprehension・Authority」の3要素で、まずは自社の商品ページを棚卸しすることから始めるのがおすすめだよ。AIエージェントが読んでも迷わない情報整理は、専門知識がなくても今日から着手できる。
AI検索の成果は、どうやって測ればいいんですか?
直接クリックやAI上でのチェックアウトは計測できるけど、AI上での意思決定やブランド想起は計測できない領域とされているよ。数字だけを追うんじゃなく、多少の不確かさを受け入れながらブランドの変化を見ていく姿勢が必要、という話が紹介されていた。
HIROKUN COLUMN
看板を下ろす勇気は、抱え込みをやめる勇気と同じだった
実家の惣菜屋は、看板に「揚げ物処」って大きく書いてありました。でもある時期から、唐揚げだけじゃなく、煮物もサラダも、気づけば何でも並ぶ店になっていった。看板の文字と、実際に並んでる商品が、だんだんズレていったんだよね。それでも看板を変えなかったのは、たぶん「今さら変えたら、今までのお客さんが迷うんじゃないか」っていう怖さだったんだと思います。
SEOという部署名を「オーガニックメディア」に変えた、という今回の話を聞いて、あの頃の惣菜屋の看板を思い出した。中身はとっくに変わっているのに、看板だけ古いままにしています。それって、実は一番楽な選択でもあるんだよね。変える勇気より、変えない言い訳の方が、いくらでも思いつきます。
私自身、抱え込みOSがまだ完全には書き換わってない自覚があります。でも、分身AIひろくん(bunshin-ai.com)に判断を委ねる練習を重ねるほど、「全部自分でやらなきゃ」という強迫観念が、少しずつ薄まっていく実感がある。看板を下ろす勇気って、結局のところ「1人で背負い込むのをやめる」勇気と同じものなんだと思う。
AI検索の世界でも、専門ツールに委ねる企業が、看板よりも先に中身を変えていました。私も、分身AIひろくんと一緒に、看板と中身がズレないよう、少しずつでも新陳代謝させていきたい。👉 分身AI.comでは、判断を委ねる実践を紹介しています。
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