
AI秘書は「つなぐ」より「任せ方」が難しい
Hermes Agentで気づいた導入の順番
家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。
朝、Xを流し読みしていて、親指が止まりました。「月4000ドル相当の個人秘書が、実質無料で手に入る」。でも…私を止めたのは、その数字じゃない。中身が、半年前に私が打ち合わせで喋っていた構想そのものだったからです。
今日は、そのブックマーク1本から考えたことを書きます。テーマは「AI秘書」。ただし、便利ツールの紹介記事ではありません。
今回は「AI秘書は道具をつなぐより、任せる仕事を決めるほうが難しい」という気づきを、私自身が何百回も破ってきた失敗つきでお届けします。
3行でわかるポイント
- Hermes Agentは実在のOSSエージェント。半年前に私が構想していた「音声で吹き込むと勝手に整理される秘書」を、他人が先に実装していた
- 「実質無料」は言いすぎ。本体は無料でも、Free/Plus/Super/Ultraの料金ティアがある
- 本当に難しいのは、つなぐことより「何を任せるか」を決めること。ここは道具が増えても自動では解決しない
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GPTs研究会に参加する(無料・8,800名突破!)手が止まった投稿は、半年前の私の言いっぱなしの答え合わせだった

止まったのは、この投稿。AI Edge氏の投稿で紹介されていた、Hermes Agent(ハーメス・エージェント)というAIエージェントの話でした。
打ち出しはかなり強めで、「月4000ドル相当の個人秘書が実質無料で手に入る」という趣旨の紹介でした。この数字は後でちゃんと分解する。先に言っておくと、この表現は言いすぎだと私は思っています。
でも、私が手を止めたのは金額のほうじゃなかった。
これ、半年前に私が仲間との打ち合わせで喋ってたやつだ。
——読んだ瞬間に浮かんだ言葉
2026年1月、洋平との打ち合わせ。私はこんな構想を語っていました。
「入り口はSlackでもChatworkでもLINEでもいい。思いついたことをその場で音声で放り込むと、そこから自動で処理が動いて、AIが勝手に中身を整理して溜めてくれる。で、朝になったらAIのほうから『今日はこれをやったらどうですか』と聞いてくる」
——2026年1月、洋平との打ち合わせで話していた構想(当時の言い方を、今の私の言葉で書き直したもの。実装はしていなかった)
2月には、かえるさんとの打ち合わせで、もっと生活に近い言い方をしていました。
「感覚としては電話と一緒だよ。AI秘書に『今月のトレンドを調べて、ブログ10本ぶんのネタにしといて』と頼むと、しばらくして結果がLINEに返ってくる。それくらいの距離感で使いたい」
——2026年2月、かえるさんとの打ち合わせで話していた使い方イメージ(当時の言い方を、今の私の言葉で書き直したもの)
どちらも構想止まりでした。私は実装していない。そして今日、それを他の人たちが先に形にしていました。しかも、オープンソースで公開までして。
🍳 料理に例えると
「こういう鍋料理があったら最高だよね」と厨房で喋っていたメニューが、半年後によその店の看板メニューになっていた感じです。
で、悔しいか? これが自分でも意外だったのですが、そんなに悔しくありませんでした。強かったのは答え合わせができたという感覚のほう。「あの方向で合ってたんだ」って。しかも読み込んでいくうちに、もっと大事なことに気づきました。それは後半で書く。
ちなみに「AI秘書」というキーワード自体、今すごく動いています。少し前にExcelがAI秘書に進化?という最新AIニュース解説でも取り上げましたが、表計算ソフトすら「聞けば動く相棒」になろうとしている時代です。道具側は、放っておいてもどんどん進化します。
Hermes Agentって何?——刺さったのは「エージェント1つ、記憶1つ、接点は全部」

まず元ネタを正確に押さえておきます。Hermes Agentは、Nous Research(ナウス・リサーチ)が開発・公開しているオープンソースのAIエージェントです。ライセンスはMIT。ソースコードはGitHubのNousResearch/hermes-agentリポジトリで公開されており、使い方の詳細は公式ドキュメントにまとまっています。
The Agent That Grows With You / One agent, one memory, every surface.
(訳:あなたと一緒に育つエージェント。エージェントは1つ、記憶も1つ、そしてあらゆる接点で使える。)
「One agent, one memory, every surface(エージェント1つ、記憶1つ、接点は全部)」。この一文が、私はいちばん刺さりました。公式サイトが挙げている機能を、料理の厨房にたとえながら整理するとこうなります。
- どこからでも呼べる(Connect):Telegram、Discord、Slack、WhatsApp、Signal、Email、CLI。厨房への注文口が、店頭・電話・出前アプリ・LINE、全部つながっている状態です
- 覚えている(Remember):やり取りが記憶として残り、作業のやり方を「スキル」として自動生成して溜めていく
- 勝手に動く(Schedule):「毎朝7時にレポートを出して」のような自然な言葉でスケジュールを組めます
- 子分に振れる(Delegate):サブエージェントに仕事を切り出し、別の会話・別のターミナルで並列に動かせる
- 調べて作れる(Search):Web検索、ブラウザ自動化、画像生成、音声読み上げ、複数モデルの使い分け
- 安全に試せる(Experiment):ローカル・Docker・SSH等、複数のサンドボックスに対応しています
さらに、Composio(コンポジオ)という外部サービス連携の仕組みを組み合わせると、カレンダー・メール・タスク管理まで、WhatsAppやテキストのやり取りだけで24時間動かせます。これは実際にできる使い方だ。
Connect Claude or ChatGPT to the apps you already use — Gmail, Slack, Notion, Calendar, and 1,000+ more. One prompt, real work, done.
(訳:ClaudeやChatGPTを、あなたがすでに使っているアプリ——Gmail、Slack、Notion、カレンダーほか1,000以上——につなぎます。ひとこと頼めば、実際の仕事が終わる。)
「ひとこと頼めば、実際の仕事が終わる」。ここだけ読むと、明日から社長業が変わりそうに見えます。実際、つなぐ技術としてはそこまで来ている。ただ——ここから先が今日の本題です。
💡 その「ひとこと」を、誰が決めるの?
入り口も、記憶も、手足も、ひととおり揃っています。半年前に私が「こんな鍋があったらいいよね」と喋っていたものが、レシピと材料つきで置いてある状態。素直にすごいと思います。でも、何を作るかまでは、どこにも書いていません。
「実質無料」は言いすぎ。お金の話をちゃんと分解する

ここは正直に書いておきたいところです。私は「AIで売上10倍」のような大風呂敷に、本気で腹が立つタイプです。「これで全部タダ」のような煽りも同じ。自分が過去に情報商材で痛い目を見ているから、余計にそう思います。
だから、元の投稿にあった「月4000ドル相当が実質無料」という打ち出し。あれもそのまま鵜呑みにしないほうがいいと思っています。事実はこうです。
- ソフトウェア本体は、たしかにオープンソースでMITライセンス。ここは公式サイトに明記されています(”Open Source • MIT License”)。ダウンロードして自分のパソコンやサーバーで動かすぶんには、Nous Researchにお金を払う必要はありません
- ただし、公式には Free / Plus / Super / Ultra という料金ティア(階層)が用意されている
All paid tiers include monthly credits for use in Hermes Agent, access to 300+ cutting-edge models and built-in tool use
(訳:有料ティアにはすべて、Hermes Agentで使える月間クレジット、300以上の最新モデルへのアクセス、組み込みのツール利用機能が含まれます。)
つまり、無料で始められるのは本当。でも「全部が無料」ではありません。ここを整理すると、こうなります。
表①:無料でできることと、お金がかかるところ
| 項目 | 無料の範囲 | お金がかかる範囲 |
|---|---|---|
| ソフト本体 | オープンソース(MITライセンス)。入手・改変・自分での運用は無料 | — |
| 動かす場所 | 自分のパソコンで動かすなら追加費用なし | 24時間動かすならサーバー(VPS)代が必要 |
| 頭脳(AIモデル) | 無料ティアでは無料モデル+標準的な利用制限 | 有料ティアで月間クレジット+300以上のモデルとツール利用が使える |
| 外部サービス連携 | 自分で設定すれば無料枠で試せるものもある | 連携先サービス側の有料プランが必要になる場合がある |
| 設計・運用の手間 | ゼロにはならない | 自分の時間というコストがかかる |
🍳 料理に例えると
レシピと調理器具は無料で配られています。でもガス代と食材費は自分持ち、ということです。
これは悪いことじゃない。むしろ健全だと思います。こわいのは「実質無料」という言葉だけを持ち帰ること。始めてから「あれ、思ったよりお金かかる」となる。それが一番よくありません。期待値は、先に合わせておきたいところです。
そしてもうひとつ。お金の話より重い「見えないコスト」があります。それが次の話です。
表で並べて分かった——Hermes Agentとの差は「つなぐ」の外側にあった

ここが今日いちばん書きたかったところです。
表②:半年前の私の構想 vs Hermes Agentの実装
| 私が半年前に語っていたこと | Hermes Agentでの実装 | 私の答え合わせ |
|---|---|---|
| SlackでもLINEでもいい、思いつきを吹き込むだけで動いてほしい | Telegram・Slack・WhatsApp・Signal・Email・CLIから同じエージェントを呼べる | 方向は合っていた。入り口を1つに絞らないのが正解だった |
| 吹き込んだ内容をAIが勝手にデータベースにまとめる | 永続記憶+スキルの自動生成 | 「まとめる」だけじゃなく「やり方ごと覚える」まで踏み込んでいた |
| 朝になったらAIのほうから「今日これやったら?」と聞いてくる | 自然言語でのスケジューリング(毎朝のブリーフィング等) | ここは完全に同じ発想。私はまだ雑にしか作れていない |
| AI秘書に「ブログ10本ぶんリサーチして」と頼むとLINEに届く | サブエージェント委譲+Web検索・ブラウザ自動化 | 「頼み方」は同じ。ただし品質を誰が見るかは別問題だった |
こうやって並べてみると、構想の方向はズレていませんでした。それは素直に嬉しい。一方で、目が覚めるような差もありました。私は「こういうのが欲しい」で止めた。彼らは「じゃあ作って公開する」まで行きました。この差は、技術力の差じゃないと思う。手を動かすところまで持っていく設計の差です。言いっぱなしの私と、公開までやった彼ら。差はそこにあります。
そのうえで、次の表を見てください。
表③:Hermes Agentが「つなぐ先」 vs 私が実際に「任せている仕事」
| 観点 | Hermes Agentが提供するもの | 私(ひろくん)が実際にやっていること |
|---|---|---|
| 入り口 | Telegram・Slack・WhatsApp等、どこからでも呼べる | 入り口はほぼ1つに固定。増やすより「どこで話しかけるか」を決めた |
| 記憶 | 会話とスキルを自動で溜める | 過去のやり取り・判断の記録を「原液」として蓄積し、そこから判断軸を作る |
| 手足 | Web検索・ブラウザ操作・画像生成・外部サービス連携 | 手足は必要なものだけ。増やすたびに壊れる箇所が増えるので慎重に |
| 判断 | モデルとプロンプトに依存 | 「何をやらせないか」「どこで止まるか」を先に決めている |
| 検証 | 実行結果はユーザーが確認 | AI秘書の凛ちゃんが仕上げたものを、私が最後に味見する工程を固定 |
| 失敗の扱い | 都度対応 | 失敗の記録を残して、次に同じ失敗が起きない仕組みに落とす |
見比べると分かるのですが、Hermes Agentが強いのは「つなぐ」の部分です。そこは本当に良くできている。でも私が日々いちばん時間を使っているのは、表の下半分でした。判断。検証。失敗の扱い。
このあたりは、以前書いたAI秘書はClaude Cowork+Notionで作れるという記事と対になる話でもあります。あちらは「AI秘書をどう作るか」=道具と置き場所の話。今回は「作ったあと、何を任せるかをどう決めるか」=決め方の話です。作り方が分かっても、任せ方は自動では決まりません。ここが分かれ目。
道具そのものについては、AIはどれも「器」、9割は自分の原液だったという記事でも書きました。器が良くなるのはありがたい。でも中身は自分で仕込むしかありません。今回、その実感がさらに強くなった。
正直な現在地——私の環境は、実はもう「つながって」いる

ここからは、カッコつけずに今の私の状態を書きます。私の環境は、実はもう「つながって」います。
たとえば昨日。手が離せないタイミングで、「一人社長がAIを入れるときの順番って、書き出す→分ける→1つ渡す、の3ステップじゃないか」と思いつきました。それを文章にせず、音声のまま放り込みました。整理はしてない。ただ喋っただけです。
そして今朝、最初に開いた画面。AI秘書の凛ちゃんが昨日の喋りを整理して、「今日はこれをやったらどうですか」の並びにして出していました。並びの先頭は、こうでした。「昨日の音声、記事の3ステップとして書き出しませんか」。
半年前に「こうなったらいいな」と喋っていたことは、形としてはだいたい動いています。じゃあ完成かというと…まったくそうじゃない。いま私が毎日いちばん時間を使っているのは、これです。
💡 「これは任せていい仕事か、任せちゃいけない仕事か」を決めること
情報を集めてくる→任せていい/集めた情報を要約する→任せていい/要約から記事の下書きを作る→任せていい/その下書きを世に出すかどうか決める→任せられない/人にお金の話をする、謝る、断る→任せられない/「これは私の言葉じゃない」と気づいて止める→ここが一番むずかしい
道具の接続は、手順書があれば進みます。でも切り分けには、手順書がありません。自分の商売と価値観の話だから、他人の正解をコピーしても合わない。しかも、つなぐ先を増やせば増やすほど、この切り分けが効いてきます。
以前AIエージェントは増やすほど止まるという記事を書きましたが、あれと同じ現象です。人数を増やしただけの厨房は、料理が早くならない。「誰がどこまでやるか」が曖昧なぶん、皿が止まります。
正直に言うと、私はこの切り分けにまだ答えが出きっていません。日々、味見しながら線を引き直している最中。そして今日の答え合わせで、私の中でひとつはっきりしたことがあります。
これは技術の話じゃなくて、決め方の話だった。
——今日の答え合わせで気づいたこと
Hermes Agentのようなツールがどれだけ増えても、「何を任せるか」が決まっていなければ意味がありません。道具が増えただけで終わります。逆に、任せる仕事さえ決まっていれば、道具は今あるもので足りることも多い。
判断軸をどう作るかは、52万発言の「カルピス原液」でAIが分身になるという記事で詳しく書きました。自分の過去のやり取りを溜めて、そこから「自分ならこう判断する」を取り出す作業です。この作業は、正直めんどくさい。でも、ここを飛ばすと、AIは平均的な答えしか返してきません。
私の環境には、過去の失敗メモが600件を超えて溜まっています。同じ失敗を二度やらせないための記録だ。これは道具を買ったら付いてくるものではありません。毎回の失敗を、その場で書き残してきた蓄積です。1件、そのまま出す。
「○○禁止」「○○なし」「○○だけ」——制約の言葉が入っているときは、一次解釈だけで着手しない。必ず復唱確認をする。
——私自身の失敗メモから
パッと見、AI側のミスの記録に見えるかもしれません。でも、これを書かせた原因は私です。今年の春、動画を作らせるときに、私は指示書に「キャラ装飾禁止」とだけ書いて渡した。スライドの飾りの話のつもりでした。AIは「キャラを全部消せ」と受け取った。結果、キャラが1人も出てこない動画がまるごと1本でき上がって、YouTubeに上がるまで誰も気づきませんでした。私が見て「キャラいないじゃん」で発覚。作り直しです。どこまでが「装飾」か。それを決めずに渡したのは、私でした。
で、白状すると言ったのは、ここからです。溜まったメモを読み返すと、AIが賢くなかった記録より、私が「どこまで任せるか」を決めずに投げた記録のほうが目につく。つまり私は、この記事で偉そうに書いている「決めてから渡す」を、自分で何百回も破ってきた側なんです。
任せる仕事を決めるのが難しい、と私は書いた。正確に言うと、難しいと言いながら、決めないまま投げてきたのが私です。
つなぐのは1日でできる。溜めるのは半年かかる。
——この非対称さは、たしかにある
でも、そこからもう一段、いやなところまで降りてしまいました。なんで私は…決めないまま投げるんだろう。ずっと、能力の問題だと思っていました。切り分けが下手だから決められないんだ、と。でも記録を読み返して、思い当たったことがあります。
決めていないうちは、まだ自分が握っていられる。「ここまでは任せる」と線を引いた瞬間、その仕事は私の手を離れます。曖昧なまま渡しておけば、いつでも「思ってたのと違う」と言って引き取れる。決めないことは、手放さないための保険でした。
私は昔から、なんでも自分で抱え込む人間でした。人に振るより自分でやったほうが早い、で全部やってきた。その癖は、今も完全には抜けていません。だとすると、話がひっくり返る。
決めるのが難しいんじゃなくて、私が手放したくないだけだった。能力じゃなくて、性格の話。
——今日いちばん腹に落ちたところ
これは、道具では直らないやつです。
人を雇うとき、難しいのは机と電話を用意することじゃない

ここ、非エンジニアの人にこそ読んでほしいところです。「Telegramと連携」「サンドボックス」「サブエージェント」。こういう言葉が並ぶと、「あ、これ自分には関係ないやつだ」と閉じたくなりますよね。分かります。私も昔そうだった。
でも、今日の話の芯を日本語に置き換えると、こうなります。
人を雇うとき、いちばん難しいのは机と電話を用意することじゃない。何をお願いするかを決めることだ。
——AIじゃなくて人の話でも同じこと
私はよく、一人でやっている社長さんからこういう相談を受けます。
- 「うちのUSP(強み)が何なのか、自分でも分からない」
- 「下請けがメインで、話を聞けるお客さんが身近にいない」
- 「何か、探すヒントになるものはありませんか」
こういう相談に対して、「じゃあAIを導入しましょう」は答えになっていません。だって、任せる仕事が決まっていない状態でAIを入れても、指示を出す仕事が増えるだけだから。
順番はこうです。
- 自分の1週間の仕事を、実際に書き出す(頭の中で数えない。紙に書く)
- その中から「私じゃなくても結果が変わらない仕事」に印をつける
- その印の中から、失敗しても取り返しがつくものを1つ選ぶ
- それだけをAIに渡す
この順番は、AIの使い方より先に、”欲しい道具”を思いつける頭になるという記事で書いた話とつながっています。道具のカタログを眺める前に、「自分は何に困っているんだっけ」を先に出す。順番が逆になると、いつまでも道具を見比べる時間が続きます。
🍳 料理に例えると
包丁を10本買ってから何を作るか考える人はいませんよね。作りたい料理があって、そのために必要な包丁を選びます。AIも同じ。
そして一人社長の場合、これがそのまま時間の話になります。人を雇う余裕がないということは、あなたの時間が事業の全部だということ。だからこそ、「何を手放すか」を決めることに、いちばん頭を使う価値があります。
今日から始められる3ステップ(新しいツールは1つも要らない)

読んで終わりだと意味がないので、今日できる形にしておきます。新しいツールを入れる必要はない。
順番については、私は分身AI講座のグループコンサルでも同じことを話しています。
「まず1つの作業をスキルとして言語化する。それを組み合わせて、ワークフローにする。そこに門番役と採点役を置いて、最後に自分で直っていくループにする。この順番を飛ばして先に量産すると、増えた数だけ直す量が増えるだけなんだよね」
——2026年7月、分身AI講座のグループコンサルで話した段階論(当日の話を、今の私の言葉で書き直したもの)
要するに、量産の前に言語化。ここを飛ばさないための最小の3ステップが、これです。
ステップ1:1週間ぶんの「私がやったこと」を書き出す(所要20分)
紙とペンでいいです。今週やったことを、思い出せるだけ書き出します。メール返信、見積作成、材料の発注、電話、SNS投稿、請求書、雑談。粒の大きさは揃えなくて大丈夫です。参考までに、私の今週から3つ挙げるとこうです。「ブログの下書きを書く」「朝のLIVEをやる」「分身AI講座のグループコンサルで話す」。大事なのは、頭の中で数えないこと。書き出すと、想像より多いです。私も毎回びっくりします。
ステップ2:3色に分ける(所要10分)
書き出した1つずつに、印をつけます。
- ◎ 私にしかできない(判断・謝罪・お金・関係性・最終決定)
- ○ 私じゃなくてもいい(調べる・まとめる・下書き・整形・記録)
- △ そもそもやらなくていい(惰性で続けている作業)
さっきの私の3つで言うと、「ブログの下書きを書く」は○です。書いてもらって、私が味見します。でもその下書きを世に出すかどうか決めるのは◎。ここは代われません。お金の話をする、謝る、断るも同じ◎です。ここでの発見はたいてい2つ。「△が意外とある」と「○が想像より多い」。この2つが見えるだけでも、20分の価値があります。
ステップ3:○の中から「1つだけ」選んで渡す(今日中)
全部渡そうとしないのがコツです。1つだけ。しかも、失敗しても取り返しがつくものを選びます。たとえば「今週のニュースを3行にまとめる」「問い合わせメールの下書きを作る」あたりから。使うのは、今あるChatGPTでもClaudeでも構いません。
Hermes Agentのような本格的なエージェントを入れるのは、この1つが回り始めてからで間に合う。
そして渡したあと、必ずやることがあります。結果を味見して、直したところをメモに残すことです。「ここが違った」「この言い回しは私は使わない」。このメモが、あなただけの判断軸になります。ツールは買えますが、このメモは買えない。ここが、一人社長がAIで戦える唯一の場所だと私は思っています。
よくある質問
Q1. Hermes Agentは、パソコンが苦手でも使えますか?
正直に答えると、今の時点ではハードルは低くありません。公式にはmacOS・Windows・Linux向けのインストール方法もデスクトップアプリもありますが、24時間動かしたい・外部サービスとつなぎたいとなると、サーバーの用意や設定の知識が必要になる場面が出てきます。だから私の意見はこうです。まず今使っているAIで「1つだけ任せる」を試してから、物足りなくなったら検討する。順番が逆だと、環境構築で力尽きてしまいます。詳しい仕様は公式ドキュメントを確認してみてください。
Q2. 「実質無料」って結局どうなんですか?
ソフト本体がオープンソース(MITライセンス)なのは事実です。でも公式には Free / Plus / Super / Ultra という料金ティアがあって、有料ティアには月間クレジットと300以上のモデルへのアクセス、ツール利用機能が含まれます。24時間動かすならサーバー代も乗ります。始めるお金は小さい、続けるお金はゼロじゃない。この理解がいちばん実態に近いと思います。
Q3. うちは従業員がいない一人会社です。AI秘書を入れる意味はありますか?
むしろ一人だからこそ意味がある、というのが私の考えです。実は私自身、がんで入院したとき、朝のLIVEを仲間が代わりに続けてくれた経験があります。人を雇えないということは、あなたが倒れたら全部止まるということだから。ただし、入れる順番は守ってください。ツールを入れる前に、この記事の3ステップ(書き出す→3色に分ける→1つだけ渡す)を先にやること。
Q4. 自分の判断軸をAIに覚えさせるって、具体的に何をするんですか?
いちばん地味で、いちばん効くのは「直したところをメモに残す」ことです。AIが出してきた文章を直したとき、「なぜ直したか」を1行でいいから書きます。「この言い方は上から目線だから使わない」「うちのお客さんはこの単語を知らない」。これが積み重なると、AIに渡せる判断材料になります。本文で出した「キャラ装飾禁止」のメモが、まさにその1件です。動画を1本まるごと作り直したあと、残したのは「制約の言葉が入っているときは復唱確認をする」の1行だけ。長い反省文より、この1行のほうが次に効きます。私の場合、これを長く続けた結果、失敗メモが600件を超えました。最初の1件を書くところからしか始まりません。考え方の詳細は52万発言の「カルピス原液」の記事にまとめてあります。
COLUMN
「先に作られた」を悔しがらなくなった話
昔の私だったら、今日の投稿を見て確実に凹んでいたと思う。「あれ、俺が言ってたやつじゃん」「なんで先にやられたんだろう」って。
でも今日は、不思議とその感情が出てこなかった。出てきたのは「あー、方向合ってたんだ」という安心と、「じゃあ私はどこを掘ろうか」という次の問いだった。
理由を考えてみたんだけど、たぶん自分の持ち場がはっきりしてきたからなんだよね。つなぐ仕組みを作るのは、世界中のすごい人たちがやってくれる。オープンソースで公開までしてくれる。ありがたい話だよ。
じゃあ私は何をするのか。自分の商売の中で、何を手放して何を握るかを決める。その決め方を、同じように一人で抱えている人に渡す。ここは、誰かが代わりにやってくれる仕事じゃない。
本文で書いた「手放したくないから決めない」。あれを私は昔から「抱え込みOS」と呼んでいて、今も完全には書き換わっていない。がんで入院したとき、朝のLIVEを仲間が代わりに続けてくれた。「あ、私がいなくても場は続くんだ」と知った。あのときの気持ちは、悔しさ半分、ありがたさ半分だった。今日の感覚は、あのときと似ている。似ているけど、悔しさの比率がだいぶ減った。
凸凹のままでいい。私の凹(作り込む速さ)は、誰かの凸が埋めてくれる。私の凸(決め方を言葉にすること)で、誰かの凹を埋められたらいい。競争より共創。今日もそれでいこうと思う。
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この記事はAIツール(Claude Code)を活用して制作しています。構成・文章生成・画像制作にAIを使用し、最終的な内容の確認・編集・公開判断はひろくん(田中啓之)本人が行っています。「分身AIひろくん」(bunshin-ai.com)とは別のコンテンツです。