
AI仕事術
AIアプリの二次創作で元作者に還元する仕組み|規約ではなく決済を握る
2026年8月29日
家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は「自分の作ったAIアプリを、他人が改造して売っていい」にした時、元作者に還元する仕組みは作れるのかを、世界の実例で確かめた記録を置いていきますね。
3行でわかるポイント
- 規約に書いても守れない。NFTのロイヤリティは規格が自分で「任意」と書いていて、実際に崩れました
- 決済を握れば守れる。Roblox・HighLevel・Stripe Connectでは、送金の瞬間に自動で分かれるので請求そのものが要らない
- 料理で言うとね。レジを自分の店に置くか、よその店に置くか——味の良し悪しより、そこで勝負が決まっていました
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この記事の全体像。規約では守れないところから、決済で守る設計まで、8つの論点を1枚にまとめたよ。
「改造していいよ」で渡した、その先が空白だった

配るところまでは進むのに、その先が空白のまま残ります。
AIアプリを作って仲間に配る。ここまでは、もうみんなやっているんだよね。GPTsでもClaudeのスキルでも、自分の業務のコツを丸ごと詰めて「これ使って」と渡す。渡された側は喜ぶし、私も嬉しい。ここまではいい。
問題はその次です。渡した相手が中身を自分の商売用に作り替えて、値段をつけて売り始めた時——元作者に、何が返るのか。二次創作を許したまま、元作者に還元する仕組みは作れるのか。
答えは、たいてい何も返りません。ゼロ。
で、ここで多くの人が「じゃあ規約に書いておこう」と考えます。私もそう考えました。「改変して販売する場合は売上の10%を」みたいな一文を添えて渡せばいい、と。……でもね。その一文が実際に効いた話を、私はひとつも聞いたことがなかったんです。
だから調べることにしました。きっかけはニコニコ動画のクリエイター奨励プログラムのページ。あそこには「親作品」と「子ども手当」という言葉が、20年近く前から普通に置いてあるんだよね。二次創作にお金を回す仕組みが、日本の動画の世界にはとっくにあった。だったらAIアプリでもできるはずじゃない? その一点から、AI秘書の凛ちゃんと一緒に世界中の実例を洗いました。
結果を先に書きます。「規約で守る」は全部負け、「決済で守る」は全部勝ち。例外がひとつも無くて、正直ちょっと怖いくらいでした。
料理で言うとね。レシピの端に「このレシピで作った料理を売ったら1割ください」と書いておくのが規約。お客さんのお会計を自分の店のレジで受けて、そこから1割を分けるのが決済。紙に書いた文字は読み飛ばせるけど、レジは通らないと会計が終わらない。差はそれだけです。
入口はニコニコの「子ども手当」。親に払っても、子の取り分は減らない

親に払っても子の取り分は減らない。原資をプラットフォームが持つからです。
まず、いちばん最初に見たニコニコの話から。ここには思想として大事なものが入っていました。
ニコニコでは、二次創作した動画に「親作品」を登録すると、その盛り上がりに応じて親にも奨励金が回ります。これがいわゆる子ども手当。で、公式のFAQにこう書いてあるんです。
親作品登録によって、直接、あなたの奨励金が減ることは基本的にありません
(ニコニコヘルプ「クリエイター奨励プログラム」より)
これ、地味に見えてすごい設計なんだよね。親に払う分を子から取っていない。原資はプラットフォームが持っている。だから二次創作する側は「親に登録したら自分の取り分が減る」と身構えなくていい。登録するデメリットがゼロなら、みんな登録します。
ただね。ニコニコには弱点もあって、還元率が完全に非公開なんです。「工作防止と法令遵守の観点から公開を控えている」と明記されていて、理屈は分かる。分かるんだけど、これだと参加する人が事業計画を立てられない。今月いくら入るのか、事前に誰も計算できないんだよね。
そこで数字の手本を探したら、Robloxが持っていました。公式ドキュメントに、転売が発生した時の分け方がそのまま書いてあります。
| 受け取る人 | 取り分 | ひろくん構想でいうと |
|---|---|---|
| リセラー(売り直した人) | 50% | アプリを作り替えた人 |
| 元クリエイター | 10% | 親アプリを作った人 |
| 売った人・アフィリエイト | 10% | 紹介したプロモーター |
| Roblox | 30% | マーケットプレイス |
ひとつ注意。この4分割は「みんなが作ったLimitedアイテムの転売」の時の数字で、最初に売れた時は別レート(作者30%・売った人40%・Roblox 30%)です。しかも公式に「日本のアカウントはこの転売の対象外」と書いてある。日本から同じ体験はできない……ここは正直に置いておきます。仕組みの手本として見る、という話。
思想はニコニコ、数字はRoblox。この2つを足すと「二次創作の収益分配」の原型が、もうそこにあるんです。しかもこの4分割、私が考えていた登場人物とそっくり1対1で対応していました。あ、そうそう、ここで大事なのは元クリエイターの10%が「永久」だという点。1回目の販売だけじゃなくて、その後の転売でも入り続けます。
AIアプリ業界だけ、この配管が誰にも敷かれていなかった

リミックスできる棚はあるのに、元作者へ戻る配管だけが通っていません。
ゲームやコンテンツの世界には配管がある。じゃあAIアプリはどうなんだろう、と思って片っ端から見ていきました。OpenAI、Microsoft、AWS、Salesforce、Lovable、Bolt、Replit、v0、Hugging Face、Dify——名前を知っている限り全部。
結果、笑うしかありませんでした。ひとつも無い。
OpenAIのGPT Storeは2024年1月に「Q1から収益分配を始める」と告知したまま、2026年8月になっても米国のごく一部のビルダーとテストしているだけで、追加の受け付けはしていません。Apps SDKの公式ドキュメントを読むと、開発者向けの収益分配そのものが存在しません。決済は原則として自分のドメインで完結させる形。ChatGPTの中で完結する決済もあるにはあるけど、そちらはまだ一部パートナー限定のベータです。
いやー、これは意外でした。世界最大のAIアプリ流通網が、作者にお金を流す配管をまだ作れていないんだからね。
Microsoftに至っては、できないことを公式に書いています。
Microsoft Marketplace doesn’t have the ability to specify margin for resellers or pay it to them directly and automatically
(Partner Center 公式FAQ・2026年7月24日更新/日本時間)
「リセラーへのマージン指定も、自動支払いも、うちには機能がありません」。世界最大級のB2B市場がそう言い切っている。つまり三者間の自動分配は、まだ誰の標準機能でもないということです。
「リミックスできます」と言いながら、1円も流れていない
もっと露骨なのがAIアプリビルダーの一群でした。Lovableにはテンプレート集がある。Boltにもある。Replitには「Remix an app」というボタンがある。Hugging Face Spacesの「Duplicate this Space」は、もはや文化として定着しています。
で、そのリミックスで元の作者に入るお金は……全社ゼロ。Lovableの公式ガイダンスは「クレジット(謝辞)を入れましょう」まで。Difyは提携経由のアフィリエイトがあるだけ。Zapierに至っては制度が無かった結果、Zapテンプレの売買が場外の第三者マーケットへ流出しています。
で、唯一の例外がHostinger AI Builder(もとのHorizonsから改称しました)。自作アプリをリミックス可能なテンプレートとして公開して、他の人がそれをリミックスして、その人がこのプランを買ったら元の作者に20%(上限150ドル)が入ります。AI領域でこの配管を敷いているのは、私が調べた限りここだけ。
ただし、よく読むと原資が違いました。返ってくるお金の出どころは「派生アプリの売上」ではなく「Hostingerのプラン料金」。つまり「派生物が作られたらアフィリエイト報酬」であって、「派生物が売れたらロイヤリティ」ではないんだよね。ここの差が、まだ誰も埋めていない空き地でした。
ちなみにNotionのテンプレートマーケットは、複製して自分の商品として売る文化がいちばん成熟しているのに、元作者への還元だけがありません。手数料は公式表記で8%+1件40セント。米国の外にいる作者はさらに為替で1%。それでも作者は9割前後を持っていける。持っていけるけど、その作者が誰かのテンプレを下敷きにしていても、元の人には何も戻らない構造です。
規約に書いても守れない——NFTロイヤリティが証明してしまった

規格の原文が「支払いは任意」と書いてしまった時点で、崩れ方は決まっていました。
ここからが本題です。なぜ「規約に書く」ではダメなのか。いちばんきれいな証拠がNFTのロイヤリティでした。
クリエイターへのロイヤリティ支払いはEIP-2981という規格で決まっています。その規格の原文に、こう書いてある。
The royalty payment must be voluntary
(EIP-2981)
ロイヤリティの支払いは任意でなければならない。規格が自分で「これは義務じゃない」と宣言しているんです。しかも続けて「マーケットプレイスがこのEIPを実装しないと選んだ場合、二次販売で支払われる資金は無い」とまで書いてある。
で、実際そうなりました。ブラックリスト方式で迂回を防いでいたOpenSeaが、2023年8月にOperator Filterの廃止を発表して、8月31日に止めました。他のマーケットが別経路で素通りしていたから、守っている側だけが不利になっていたんだよね。そこから先はクリエイター料が任意。ただし全部が同時に任意になったわけじゃなくて、8月31日より前にOperator Filterを有効にしていたコレクションと、イーサリアム以外のチェーンにあった既存コレクションだけは2024年2月29日まで強制が続き、そこで切れました。
同じことがWordPressの世界でも起きています。Envatoで売られているテーマやプラグインはGPLなので、正規に買った人が改変して再販するのは完全に合法。だからGPLクラブと呼ばれるサイトが月16ドルで全ライブラリを配っていて、元の開発者には1円も入りません。合法なんだよね。文句のつけようがない。
Creative Commonsに至っては、条文で還元権の放棄を明記しています。RAILもBSLもELv2もSSPLも、制限は次に継承できるけどお金だけは継承できない。ライセンスというのは、そもそもそういう道具でした。
ぶっちゃけ、ここで一度あきらめかけました。世界中の頭のいい人たちが20年やって守れていないものを、私が一文添えたくらいで守れるわけがない……。でね。視点を変えたら、ちゃんと守れている側が別にいたんです。
決済を握れば守れる。実際に回っている3本の配管

送金の瞬間に分かれるので、誰かが払い忘れる場面がそもそも生まれません。
守れている側には、共通点がひとつだけありました。子が親に「払う」んじゃなくて、送金の瞬間に自動で分かれている。請求という行為が存在しないから、履行率が落ちようがないんだよね。
1本目: Roblox——分けてから届く
さっきの4分割がまさにそれです。誰かが誰かに振り込むんじゃなくて、Robloxが受け取ったお金を分けてから配る。作り替えた人が「親に払い忘れる」という事象が、そもそも発生しません。転売でも元クリエイターに10%が入り続けるのは、この構造だからこそ成り立ちます。
2本目: HighLevel——値段を二階建てにする
これが私の構想にいちばん近い実装でした。開発者が「ベース価格」を決めて、代理店が自分のマークアップを乗せて自社ブランドで再販する。公式の例だと、SMSのベース価格1ドル(英国向けの例)に代理店が50セント乗せて、顧客は1ドル50セントで買う。開発者にはベース価格の1ドルが自動で入ります。
面白いのはプラットフォーム手数料です。公式ヘルプにこう書いてある。「We currently do not deduct any commission. You receive the entire payment from our customers.」——手数料は取りません、全額あなたのものです、と。じゃあ何で稼いでいるかというと、代理店から取る月額です。売上の何%ではなく、定額と卸値で稼ぐ形。
これ、実はすごく大事な発明で。親の取り分が「売上の%」じゃなく「卸価格」として先に決まっているから、二次創作する側が値付けを完全に自由にできるんだよね。1ドル50セントで売っても、3ドルで売っても、上振れは全部その人のもの。だから熱が出る。
注意点もひとつだけ。手数料0%の文には「currently(現時点では)」が付いています。いつか取る余地を、自分で文面に残しているということ……。真似するなら、ここは真似しない方がいいと思っています。
3本目: Stripe Connect——3人に分けるのは標準機能だった
技術的にどうやるの、という話。答えは拍子抜けするくらい普通でした。Stripe Connectの「支払いと送金の分離(separate charges and transfers)」を使うと、1回の決済を複数の連結アカウントへ送金できると公式に書いてあります。
つまり「作り替えた人・親アプリの作者・紹介したプロモーター」の3者に、1回のお会計から自動で分けるのは、もう特殊なことじゃない。標準機能です。返金の扱いだけは決済の立て方で変わります。子の側に決済を立てる「ダイレクト支払い」だと、手数料の返却を明示しないと子が損をかぶる。分割送金のほうは、返した分をこちらの残高から引いて、必要なら送金を差し戻す。どちらを選ぶかで後始末が変わる、と覚えておけば大丈夫です。
もうひとつ、決済を握る例として鮮やかだったのがホロライブのholo Indie。二次創作ゲームについて「ガイドラインを守るなら無料配布は個別の許可なしでOK。有償にしたいならうちのブランドから出してね」という形にしています。禁止していない。流通の入口を一本にしただけ(掲載には審査があります)。塞ぐんじゃなくて、通した方が得にする——考え方はUnreal Engineとも共通していました。
率を決める前に読む失敗リスト——後から締めた会社は、全部おかしくなった

締めた会社は荒れて、緩いままの会社は荒れていない。差はそこだけでした。
配管ができたとして、次は率をいくつにするか。ここでも先人が壮絶に転んでいました。並べます。
| やったこと | 何が起きたか |
|---|---|
| Unity: 後から遡ってインストール課金を作った | 2023年9月12日に発表→10日後に謝罪・修正→約1か月後にCEOが即日付で退任→ちょうど1年後に全廃 |
| Shopify: 「毎年100万ドル免除」を「生涯100万ドル」に変更 | 2025年4月24日に発表、6月16日に施行。累計のカウントは2025年1月1日以降の売上から |
| Envato: 作家の手数料を12.5%から一律50%へ | 79ドルの販売で作家の取り分が58.62ドル→33.50ドルに |
| Udemy: サブスク分配を25%→20%→17.5%→15%と毎年引き下げ | 「毎年現状以上を維持する」という約束が破られたと報道 |
| ストアカ: オンライン送客の手数料を20%→30%へ | 2020年7月1日から適用。対面は20%のまま据え置き |
| Fortnite: 報酬を滞在時間ベースのプール按分に | 2023年9月の830人(16%)整理解雇で、Epic自身が「レベニューシェアの大きいクリエイター主導で低マージン化した」と説明 |
共通しているのは「後から締めた」という一点だけ。緩めた会社は誰も炎上していない。締めた会社は例外なく離反かフォークを招いています。HashiCorpもRedisも、ライセンスを締めた結果まるごとフォークされちゃった。しかもね。Redisはその後ライセンスを緩め直したのに、フォークのほうは残ったまま。一度締めると、あとで緩めても信頼は戻らないってことなんだよね。
逆に、10年以上ほとんど無風なのがUnreal Engineです。ライセンス原文はこう。
All lifetime gross revenue above $1M that is directly attributable to the UE product, regardless of who collects it, will be subject to a 5% royalty.
(Unreal Engine ライセンス)
最初の100万ドルまでは0%。超えた分に5%。しかも「誰が集金しようと」と書いてあるので、間に会社を挟んでも逃げられません。でも私がいちばん唸ったのは4つ目の条件でした。Epic Games Store経由で売れば免除される——つまり逃げ道を塞ぐんじゃなくて、乗った方が得な道を親が自分で用意しているんだよね。
報酬の物差しは「量」じゃなくて「単価」に置く
もうひとつ、地味だけど効く教訓。Fortniteは滞在時間のプール按分にした結果、低品質な島を量産させてしまいました。Skillshareも視聴分数でプールを按分する方式で、作り手が増えるほど1人あたりが薄まるゼロサム。頑張った人の分が、他人が増えただけで減っていく。
逆にDLsiteは高単価ほど作者の取り分が増える累進制にしています。いまの公式表記だと、税込4,400円以上なら作者の取り分は80%。110円で売ると手数料は50%。ただし80%はインボイスの登録番号を届け出ている人だけで、出していないと少し下がります。とはいえ安売りの量産を、罰則ではなく構造で抑えている点は変わりません。しかもね、これなら誰も怒らない。
日本市場についても、ひとつ発見がありました。卸価格を公開している事例が、ほぼ存在しないんです。「お問い合わせください」が標準。ということは二次創作したい人は、事前に採算計算ができない。ここは相当な空白でした。だから逆張りで最初から公開する、というのは充分に戦い方になると思っています。
じゃあ私はどう組むか——通行料をやめて、乗った方が得な線路を敷く

自力ルートは完全に自由。門を置くのは、私の集客に乗った時だけです。
ここからは、調べたうえで私が組もうとしている形を書きます。まだ確定じゃない。ただのたたき台です。それでも出しておくのは、隠したまま完成させるより、先に見せて叩いてもらった方が、たぶんずっと良くなるからなんだよね。
「通行料」を取るのをやめて、「乗った方が得な線路」を敷く。ツールそのものは無料のまま配る。分配が発生するのは、私の集客に乗って売った時だけ。
売り方を二階建てにする
「分配なんて決めても、どうせ迂回されるでしょ」という反論があります。私も自分でそう思ってた。その答えは、たぶん迂回を認めることです。
| ルート | 誰の集客か | 分配 | 迂回されるか |
|---|---|---|---|
| 自力ルート | 作り替えた人が自分で集めた客 | 親も本部も0%(完全に自由) | 迂回する意味がない。元から0%だから |
| 本線ルート | 私のコミュニティとマーケットプレイス経由 | 分配あり | 迂回すると集客を失う。迂回した方が損 |
これ、私の発明でも何でもなくて、ストアカが「自己集客なら10%、ストアカ送客なら30%」でやっていることと同じ。Udemyも「講師の紹介リンク経由なら講師97%、Udemy集客経由なら37%」で同型です。日米ともに実証済みの形なんだよね。
で、この形にすると、さっきの反論が構造として成り立たなくなります。「通行料のかからないルートを自作する」——どうぞ、そのルートは最初から通行料ゼロです。私が取るのは、私が連れてきたお客さんの分だけ。
分配率のたたき台
本線ルートで、作り替えられたアプリが売れた時の分け方。数字はRobloxの転売分配をベースに置いています。
| 役 | 取り分 | 置いた理由 |
|---|---|---|
| 作り替えて売った人(子) | 50% | Robloxのリセラー50%と同じ。ここが動かないと何も始まらない |
| 元アプリを作った人(親) | 10% | Robloxの元クリエイター10%と同じ。これがAIアプリ版の子ども手当 |
| 紹介した人(プロモーター) | 20% | BrainやTipsの実勢10〜50%の真ん中あたり |
| 場を維持する本部 | 20% | Salesforce 15%・Tips 14%・Brain 12%・Notion 8%を見ると、30%は高すぎた |
紹介者がいない時は、その20%を作り替えた人に乗せて70%。取れるところから取るんじゃなくて、いない役の分は現場に返す——そういう考え方です。
小さいうちは、1円も取らない
Unrealの「最初の100万ドルは0%」を、日本の個人や小さな会社の0→1に翻訳するとどうなるか。私の案は1本あたり累計で一定額に届くまでは分配ゼロ。その額はまだ決めていません。決めていないけど、考え方だけは先に固定しておきます。
効果は心理面が大きいと思っていて。最初の会話が「で、いくら取られるの?」じゃなく「まず1本出してみたら?」になるんだよね。ここ、けっこう大事です。
そして率そのものは最初から決めて、公表して、あとから変えない。しきい値以下が0%なだけ。……さっき並べた失敗リストの死因は、全部「後出し」でしたから。
規約で守れないなら、4つの門を実物で握る

決済・集客・看板・台帳。4つ揃って、やっと溶けない形になります。
じゃあ何で分配を担保するのか。規約では無理だと分かったので、握るものを4つ用意します。1つでも欠けたら溶けると思っています。
| 門 | 中身 | 迂回されたら |
|---|---|---|
| ① 決済 | Stripe Connectの分割送金で、1回のお会計を送金の瞬間に4者へ自動で分ける。子が親に払うという場面をそもそも作らない | 迂回=自力ルート=元から0%。誰も損しない |
| ② 集客 | 私が持っている無料コミュニティへの露出。ここが実弾 | 迂回すると集客を失う。作り替えた人が損をする |
| ③ 看板 | 「このアプリは◯◯さんの親アプリ製」の表示を必須にする。お金ではなくブランドで親を見えるようにする | 看板が無い=信用が無い=売れない |
| ④ 台帳 | 親子関係を中央に記録する。Skoolの「あなたのグループから誰かがグループを作ったら、自動であなたに帰属します」と同じ考え方 | 台帳に無い=本線ルートに乗れない |
①が技術の核、②が私の独自資産、③が文化、④が長い目で見た堀。4つ揃って、やっと溶けない形になります。
孫まで追いかけるか問題は、追いかけない方から始める
親Aのアプリを子Bが作り替えて、それをさらに孫Cが作り替えたら? 実はこの語彙を先に作った人たちがいて、Story Protocol(2026年6月にDATA Foundationへ名前を変えました)というプロジェクトが2つの型を定義しています。全世代に及ぶLAP型と、直接の親だけに返すLRP型。呼び名は公式のコードにそのまま残っています。
私はLRP型(直接の親だけ)から始めます。理由は3つ。
- 全世代に按分すると、作り替える人が自分の手取りを事前に計算できなくなる。採算が読めない設計は、日本市場でいちばん人が離れるところでした
- 世界最大の実装であるRobloxも2階層で止めている。それで足りているという実例がある
- 台帳には全世代の親子関係を記録しておく。あとから「やっぱり孫まで」と広げるのは緩める方向だから安全。逆はできません
ここでも原則は同じです。最初は狭く始めて、あとから緩める。締める方向には動かさない。
Brainの炎上を、先回りして潰しておく
紹介率を出品者が自由に決められる仕組みは、Brainが日本で最大規模に実装して、そして開始直後から「情報商材の温床」と言われました。星5レビューばかりで、本当のおすすめと報酬目的の宣伝が見分けられない、と。あ、そうだ。これは避けて通れない道なので、最初から3つ入れておきます。
- 親の味見ゲート——作り替えたアプリを並べる前に、元の作者が承認する
- 返金される出品前払い——Robloxの publishing advance と同じで、濫造に小さなコストを置いて、売れたら返す
- 累進制——DLsite型で、高単価ほど作者の取り分が増える。滞在時間や本数で配るFortnite型は採用しません
そしてもうひとつ、卸売の許諾そのものはTipsのモニター機能をそのまま借ります。親が承認した相手は、そのアプリを買っていなくても中身を見て、自分のお客さんに売れる。これがあると「教えながら売る人」が成立するんだよね。習いたい人と教えたい人をつなぐ役が、機能ひとつで立ち上がります。
よくある質問
Q. 規約に「改変販売時は10%」と書くのは、まったく無意味ですか?
無意味ではありませんが、それだけでは守れません。EIP-2981は規格の原文で「ロイヤリティの支払いは任意でなければならない」と定めていて、実際にOpenSeaのOperator Filter廃止で崩れました。EnvatoのGPL資産も同じ理由で還元が抜けています。書くなら、書いたうえで決済経路を握ってください。
Q. 個人でもStripe Connectの分割送金は使えますか?
Stripeの公式ドキュメントには「支払いと送金の分離」で1回の決済を複数の連結アカウントへ送金できると明記されています。特別な契約が必要な機能ではありません。ただし返金時に手数料の返却を明示しないと連結アカウント側が損をかぶるので、そこだけ設計時に確認してください。
Q. AIアプリのマーケットプレイスに出せば、還元は自動でやってくれませんか?
2026年8月時点では、やってくれる場所がほぼありません。Microsoftは公式FAQで「リセラーへのマージン指定も自動支払いもできない」と明記しています。OpenAIのApps SDKにも開発者向け収益分配はありません。Hostinger AI Builder(もとのHorizons)だけが元作者へ20%(上限150ドル)を配管していますが、原資は派生アプリの売上ではなくプラン料金です。
Q. 記事に書かれた分配率は決定事項ですか?
たたき台です。子50%・親10%・紹介20%・本部20%という数字はRobloxの転売分配と国内外の手数料実勢から置いた案で、まだ動きます。ただし「率は最初に決めて公表し、あとから締めない」という原則のほうは動かしません。
まとめ|結局どこで勝負が決まっていたか
二次創作を許したまま元作者に還元する仕組みを、調べる前の私は、いい条文を書けば作れると思っていました。違いました。条文の良し悪しでは何も決まっていなくて、お会計がどこを通るかだけで全部決まっていたんだよね。
いやー、これは身も蓋もない結論です。でも身も蓋もないぶん、やることははっきりしました。
- 還元をライセンスや善意に委ねると、例外なく溶ける。NFTロイヤリティが規格ごと証明してしまった
- 決済を握ると守れる。Robloxもホロライブも、禁止ではなく流通の一本化で解いていた
- 率は最初に公表して、あとから締めない。締めた会社は全部おかしくなった
- 報酬の物差しは量ではなく単価に置く。滞在時間で配ると低品質が増える
- AIアプリ領域は、この配管がまだ空いている。ここが今いちばん面白いところ
私はよく「競争より共創」と言っています。二次創作を許すって、まさにそれなんだよね。しかもね。作り替えてもらうって、抱え込みOSを手放す練習でもあるんです。自分の手元で完成させ切らずに、途中で人に渡す。ただ、共創が続くには「作った人にもちゃんと返る」という配管が要る。返らない共創は、たぶん長続きしません。
だからね。もしあなたが自作のAIアプリを誰かに渡す予定があるなら、渡す前にひとつだけ決めておきませんか。そのアプリが売れた時、お会計はどこを通るのか。決めるのはそこだけでいい。一緒にやってこう。
COLUMN
「守ってね」とお願いし続けていた頃の私へ

お願いを足していく道と、門を1本置く道。効くのは右側だった。
この調べものをしていて、途中で妙に居心地が悪くなった瞬間がありました。NFTロイヤリティの規格に「支払いは任意でなければならない」と書いてあるのを読んだ時です。ああ、私がやっていたのはこれだ、と思ったんだよね。
渡す時に「改変して売る時は言ってね」と添える。相手も「もちろんです」と返してくれる。お互い誠実で、悪意なんてどこにもない。それでも、実際に何かが起きた時に効く仕組みは、そこには1つも無かったんです。私がやっていたのは設計じゃない。ただのお願いだったんだよね。
AI秘書の凛ちゃんに「規約で守れている実例を探して」と頼んで、返ってきたのがゼロ件だった時は……正直、けっこう堪えました。20年ぶんの世界の試行錯誤が、まるごと「その方法では守れません」と言っていたわけだからね。
でね。同じ話を、私は自分のAIとのやり取りでも通ってきていました。分身AI.comのほうに書いたAIの「ガードレール」は作っただけでは効かない——承認を「言葉」から「通行証」に変えた話が、まさにそれ。「勝手にやらないでね」と言葉で頼んでいるうちは効かなくて、通行証という物に変えた瞬間に効きました。人に対しても、AIに対しても、構造はまるっきり同じ。
もうひとつ、線引きは「外に出るか、取り消せるか」だけだった話も地続きでした。全部を禁止しようとすると誰も動けなくなる。だから、取り消せることは自由にやってもらって、取り消せないことだけ門を置く。今回の二層構造も、結局そこに落ちています。自力ルートは完全に自由。門を置くのは、私の集客に乗った時だけ。
ぶっちゃけ、昔の私はこの区別ができていませんでした。信用したいから全部自由にする。でも不安だから規約を厚くする。両方やって、どっちも効かない——そういう中途半端をずっと続けていたんだよね。お願いを増やすんじゃなくて、通る道を1本だけ用意する。今の答えはそれです。
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関連記事
何を売るのかという話。今回の記事が「売れた時にどう分けるか」なので、セットで読むと立体になります。
作ったものが勝手に回り続ける形の話。二次創作の分配は、その回し方のひとつです。
自作のAIアプリを人に渡す現場の回。渡した先の話が、まさに今回のテーマです。
記事に出てきたHugging Face Spacesの棚を、実際に漁った回。複製文化の現場が見られます。
量より単価という話の別角度。作り込みがそのまま値段になる例として読めます。
参考リンク
親作品と子ども手当の考え方。今回の調べもののスタート地点です。
「親作品登録によって奨励金が減ることは基本的にありません」の原文はここ。
転売時にリセラー50%・元クリエイター10%・売手10%・Roblox 30%と明記されています。
「The royalty payment must be voluntary」の一文が読めます。規約で守れない理由の一次情報。
1回の決済を複数の連結アカウントへ分けて送金する方法。配管の実装はここが起点です。
開発者のベース価格と代理店のマークアップを二階建てで持つ実装。卸売の直系です。
最初の100万ドルは0%、超過分に5%。10年変えていない条文の原文です。
リセラーへのマージン指定と自動支払いができないと明記されている箇所。
未購入でも元作者の承認があれば紹介できる仕組み。卸売の許諾に最も近い国内実装です。
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この記事はAIツール(Claude Code)を活用して制作しています。構成・文章生成・画像制作にAIを使用し、最終的な内容の確認・編集・公開判断はひろくん(田中啓之)本人が行っています。「分身AIひろくん」(bunshin-ai.com)とは別のコンテンツです。