AIのトークン削減 実測4手順|1ターン38%減

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。
AIに毎日の仕事を任せるようになって、使用量の画面を見た。……えっ、こんなに使ってる?
で、最初に疑ったのは「賢いモデルを使いすぎたせい」だった。安いモデルに落とせば減るだろう、と。ぶっちゃけ、これは外れ。
私の環境を実測したら、費用の64.6%は「同じ会話を何千回も読み直していた分」だった。AIが実際に文章を書いた分は7.5%しかない。
この記事は、そこから実際にやった4つの手順をそのまま渡す。効果・所要時間・リスクも全部書くから、上から順に自分の環境で試せるはず。結果は1ターンあたり27〜38%減——質は落とさずに、だよ。
この記事でできるようになること
- 自分に当てはまるかを3つのサインで判定できる
- どこが燃えているかを1つの指標で測れる
- 効果の大きい順に4手順を実行できる(所要1分のものから)
AIの使い方を毎朝いっしょに学ぶ場があります

ステップ0:自分に当てはまるか、3つのサインで判定する

先に切り分けよう。次の3つのうち2つ以上当てはまるなら、この記事の手順がそのまま効く。
| サイン | 当てはまる状態 |
|---|---|
| ①会話を切らない | 同じチャットを何時間も、あるいは何日も続けて使っている |
| ②長い素材を貼る | 文字起こし・ログ・資料をまるごと貼り付けることがある |
| ③返事が鈍い | 途中から指示の抜けが増えた、前に言ったことを忘れる感じがする |
③が出ているなら、費用だけの問題じゃない。精度も一緒に落ちている合図なんだよね。
料理に例えると——注文を1つ受けるたびに、分厚いレシピ本を1ページ目から全部読み直してから包丁を握る。2品目も、3品目も、10品目も毎回。読むこと自体が仕事の大半になっていく。これがAIの中で起きていること。
ステップ1:測る。見るのは「1ターンあたりの読み直し量」だけ

手を動かす前に、必ず測る。感覚で削ると、たいてい効かないところを削って終わる。
見る数字はひとつ。1回の返事あたり、何トークンの履歴を読み直しているか。使用量の画面に「キャッシュ読み込み」に相当する項目があれば、そこ。
私の環境の実測がこれ。7日分・42,974ターン。
| 何に使ったか | 割合 |
|---|---|
| 会話履歴の読み直し | 64.6% |
| 履歴の保存 | 27.9% |
| AIが実際に書いた文章 | 7.5% |
1回の返事あたり、平均365,372トークンを読み直していた。文庫本にすると数冊分を、返事のたびに。
さらに分布を見ると、こうだった。
| 会話の長さ | 本数 | 1回あたりの読み直し | 費用の占有 |
|---|---|---|---|
| 1000回超 | 11本 | 406,629 | 33.9% |
| 501〜1000回 | 27本 | 386,204 | 49.2% |
| 50回以下 | 337本 | 87,012 | 2.1% |
たった38本、全体の9%が費用の83%を食っていた。短い会話なら1回8.7万トークン、長い会話だと40.7万。同じ1回でも4.7倍重い。
ここまで分かれば、あとは順番に潰すだけ。トークン削減は、勘でやると必ず外れる。
手順1:落としたら困るものを、先に縛る(所要5分・効果ゼロ・でも必須)

やること:AIへの指示ファイルの冒頭に「圧縮しても原文のまま残せ」を書く
効果:削減はゼロ(保険)/所要:5分/リスク:なし
飛ばすと:手順2で事故る
順番の話から。AIは会話が長くなると履歴を自動で要約して圧縮する。便利。でも要約なので情報が落ちる。
実運用36,000メッセージを比較した調査だと、圧縮で真っ先に落ちるのが「どのファイルを作ったか」の追跡だった。全方式で最低スコア。ファイル名やIDが消えると、AIは「さっき作ったやつ、どれだっけ」になる。
だから先に縛る。私が書いた指定はこれ。
圧縮する時、次は原文のまま残せ:①作ったファイルのパスと成果物ID ②確定した決定とその根拠 ③残件と次の一手 ④承認が要る操作のルール全文
減らす前に、落としたら困るものを固定する。これをやってから手順2に進む——ここ、逆にすると痛い目を見るから注意してね。
手順2:自動圧縮の発火を早める(所要1分・効果いちばん大きい)

やること:自動圧縮が始まるタイミングを、半分くらいまで前倒しする
効果:大(今回の削減の主力)/所要:1分(設定1行)/リスク:中(要約で情報が落ちる。だから手順1が先)
戻し方:設定を元に戻すだけ
私の環境は「約58万トークン貯まってから圧縮」だった。シンクが一杯になる寸前まで洗い物を溜めて、まとめて洗う感じ。
これを約30万で洗い始めるように変えた。設定1行。
ポイントはいきなり最小まで絞らないこと。私は「まず半分、1週間走らせて様子を見る」にした。絞りすぎると圧縮の回数が増えて、そのぶん情報が落ちる機会も増える。
設定項目が見当たらないツールを使っているなら、代わりにタスクが変わったら会話を新しく始める。これはタダで、効果はほぼ同じ。
手順3:AIに毎回読ませているルールを減らす(所要1時間・質も上がる)

やること:常時読ませる指示ファイルから「条件付きのもの」を別ファイルへ移し、索引だけ残す
効果:中(全ターンに効く固定の削減)+指示の遵守率が上がる/所要:1時間/リスク:中(移設漏れ)
コツ:削除ではなく移設。中身は1文字も捨てない
ここ、私が一番こたえた話。
私はAIに、自分のルールを書いたファイルを毎回読ませている。「これはやるな」「こう報告しろ」。同じ失敗を繰り返させないために、気づくたびに書き足してきた。それが合計48,322文字になっていた。
で、公式ドキュメントを調べたら、そのまんま書いてあった。
Bloated CLAUDE.md files cause Claude to ignore your actual instructions!
(肥大した指示ファイルは、あなたの実際の指示をAIに無視させる)If Claude keeps doing something you don't want despite having a rule against it, the file is probably too long and the rule is getting lost.
(ルールがあるのに直らないなら、たぶんファイルが長すぎてルールが埋もれている)
裏付けの論文もある。20モデル・7社を横断した検証で、指示を500個積むと最良のモデルでも遵守率は68%。しかも先頭に書いた指示ほど守られるという偏りが出る。
あ、そうだ。ここで背筋が寒くなったのがこれ。「同じことを言わせないため」に足してきた行為そのものが、ルールが無視される確率を上げていた。
やり方は単純。①今すぐ要るものだけ壁に残す ②使う時だけ要るものは別ファイルへ ③壁には「どこにあるか」の索引だけ貼る。私は18本を移して48,322字→29,572字にした。41%減。中身は捨てていない。
厨房の壁に貼り紙を500枚貼った状態、と言えば伝わるかな。1枚1枚は正しい。でもコックはもう、入口の数枚しか読まない。減らすんじゃなくて、引き出しにしまう。
手順4:重い素材は「別の頭」に読ませる(所要半日・上級)

やること:文字起こしや巨大ログの読解を、本編とは別のAIセッションに任せて、要約とファイルの場所だけ受け取る
効果:大(重い素材を扱う人ほど効く)/所要:半日/リスク:中(受け渡しが痩せる)
受け渡しのコツ:要約に頼らず、決まった見出しのメモファイルに書かせる
重い素材を一度でも本編に読み込むと、以降の全ターンでそれを読み直すことになる。1回の判断が、その後ずっと課金され続ける感じ。
最初、私は指示文に「別のAIに任せてね」とお願いを書いた。……効かなかった。実測したら委譲は0回。
ここでまた公式が刺さる。指示ファイルは文脈であって、強制される設定ではない。どうしても守らせたいなら機械的なゲートを使え、と書いてある。お願いは守られないんだよね。
だから関所を作った。一定サイズを超える素材を丸ごと読もうとした瞬間に止めて、「別の頭に投げ直せ」と手順を返す仕掛け。本番で2回発火して、そのセッションはちゃんと別の頭を5回使っていた。
ツールを自作できない人でも、運用でほぼ同じことができる。素材の読解だけ別のチャットでやって、結果の要約と保存先のリンクだけを本編に貼る。それだけ。
やってはいけない3つ

① いきなりモデルを安くする
これが一番よくある間違い。AIが実際に書いた分は費用の7.5%しかない。モデルの格下げで効くのはその一部だけ。上限7.5%の施策のために、賢さを捨てることになる。構造を直せば40%以上動くのに、だよ。
② 手順1を飛ばして圧縮を絞る
圧縮を強めるほど、要約で情報が落ちる機会は増える。落として困るもの(ファイル名・ID・決定事項・安全ルール)を先に固定してから絞る。順番だけの話だけど、逆にすると作業が飛ぶ。
③ 総額の増減だけで判断する
私も危うくやりかけた。日あたりの総額で見ると91%減と出た。……でもこれは意味のない数字。同じ期間に稼働量が88%落ちていたから。見るのは「1ターンあたり」。総額は、忙しさで簡単に上下する。
実測の結果:トークンは1ターンあたり27〜38%減った

| 指標 | Before | After | 差 |
|---|---|---|---|
| 1ターンあたりの読み直し | 358,477 | 228,675 | -37% |
| 1ターンあたりのコスト | 57,064 | 41,935 | -27% |
日を追うごとに下がって、直近の1日は38%減まで来た。
そしてここが大事なところ。短くすると精度は上がる方向なんだよね。128Kトークン対応を謳う13モデルを検証した論文だと、32Kの時点で11モデルが本来の性能の半分以下に落ちる。長い文脈は、それ自体が精度を落とす。
つまりこの4手順は、安くなって、かつ賢くなる。質を落とす取引じゃない。
よくある質問
Q. どの手順から始めるのが早いですか?
手順1(5分)→手順2(1分)の順で、まず今日中に終わらせてください。この2つで効果の大半が出ます。手順3と4は週末にまとめてで大丈夫です。
Q. 会話を圧縮すると大事なことを忘れませんか?
忘れます。だから手順1が先です。ファイル名・ID・決定事項・安全ルールを原文で残す指定を書いてから、圧縮を絞ってください。
Q. ルールファイルを削ると言うことを聞かなくなりませんか?
逆でした。公式が「長いほど追従性が下がる」と明記しています。ただし削除ではなく移設です。条件付きのものを別ファイルへ逃がして索引だけ残せば、中身は1文字も捨てずに済みます。
Q. 効果はどう確認すればいいですか?
1ターンあたりの読み直し量を、変更前と変更後で比べてください。総額での比較は稼働量に左右されるので、判断材料になりません。
まとめ:トークン削減の手順を今日2つ、週末2つ
| やること | 所要 | 効果 | |
|---|---|---|---|
| 今日 | 手順1:落としたら困るものを縛る | 5分 | 保険 |
| 今日 | 手順2:自動圧縮の発火を早める | 1分 | 大 |
| 週末 | 手順3:常時ルールを移設して減らす | 1時間 | 中+遵守率↑ |
| 週末 | 手順4:重い素材を別の頭に渡す | 半日 | 大 |
安くするために賢さを捨てる、はやらなくていい。まず測る。読み直しが何割かを見る。そこからだね。
COLUMN
「足す」で解決しようとしたのは、抱え込みOSだった

今回いちばん刺さったのは、費用の話じゃなかった。手順3の「ルールを足すほど守られなくなる」のところ。
私は同じ失敗を繰り返させないために、気づくたびにルールを書き足してきた。良かれと思って。でもそれ、AIに全部を抱え込ませていたんだよね。壁に500枚の貼り紙をして「全部読んで全部守れ」と言っていた。人間相手ならまずやらないことを、相手がAIだからやっていた。
直し方は、減らすんじゃなくて置き場所を変えるだけだった。今すぐ要るものは壁に。使う時だけ要るものは引き出しに。索引だけ壁に残す。これって、分身AIに仕事を任せる時のやり方とまったく同じ。
抱え込みOSは、自分が抱え込む時だけ発動するんじゃない。相手に全部持たせようとする時にも発動する。それが今回いちばんの発見だった。
委ねるって、渡す量を増やすことじゃない。渡す形を整えることなんだと思う。
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参考リンク
参考リンク
論文: NoLiMa — Long-Context Evaluation Beyond Literal Matching
32Kの時点で13モデル中11モデルが本来の性能の半分以下に落ちる検証。
この記事について
| テーマ | AIのトークン費用を、質を落とさずに減らす実践手順 |
|---|---|
| 実測期間 | 2026年8月9日〜8月22日(自環境ログ42,974ターン) |
| 書き手 | 田中啓之(ひろくん) |
| チャンネル | AI氣道 @AIKIDO-GPTs |