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新人教育の同じ説明を減らす。DeNA勝野さんがClaude Codeで作り替えた受け入れの仕組み

2026年10月7日

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、DeNAの勝野侑馬さんが、新メンバーの受け入れをClaude Codeが伴走する形に作り替えた記事を読んで、解説します。

この記事は、私が保存したブックマークの1つです。私の過去の記事と重なる所がありました。溜めた物は、気づかないうちに古くなる。引き継ぎには、読む量がある。任せる範囲を広げても、人が決める場所は残る。勝野さんの仕組みの中に、その向きの考え方を見つけました。

元ネタは、DeNAのデータ分析チームの話です。会社の規模は違います。でも、スタッフや外注さんを迎えて仕事を教える立場なら、自分の仕事に引き寄せて読めます。私は、元記事を読んで、自分の仕事に引き寄せて整理する立場です。DeNAの運用は勝野さんのものとして、新人教育の同じ説明を減らす、という視点で順に見ていきます。

新人教育のたびに同じ説明を繰り返し、手順書はいつの間にか古くなる。DeNAの勝野侑馬さんは、その受け入れを、GitHubのリポジトリ1つとClaude Codeの伴走に作り替えました。この記事では、会社の規模に関係なく使える考え方を、スタッフや外注さんを迎える立場で読み解きます。

3行でわかるポイント

  1. 勝野さんは、教材の本文を持たせず、正本(一番元になる資料)の場所だけをsources.ymlに持たせました。転記した瞬間に腐るからです。
  2. AIの出力が揺れたときは、モデルを疑う前に、期待する出力の形をSKILL.mdに書きました。さらに、任せる範囲と人が決める範囲を、先に分けています。
  3. 検証には、新人役をAIに6周演じてもらいました。44件のリンク切れや、sudo rm -rfが13行入ったスクリプトまで見つかっています。
01

新人教育の同じ説明を減らす。DeNA勝野さんが見ていた、新メンバーが迷う理由

新メンバーが迷う3つの理由(情報が散らばる、進み方が人で変わる、受け入れ担当の工数が読めない)と、作り替える4つの方針(導線を1つのリポジトリに、Claude Codeが伴走、環境構築は自動化、道は1本)の図解。初日に終わる人と2週間かかる人が出る。汎用Botは最初から対象外

勝野侑馬さんの記事「オンボーディングをAIエージェントに任せたら、もはや別ゲーだった」の「「これ、次どこ見ればいいんですか」問題」の節

結果として、初日に終わる人と2週間かかる人が出ます。本人の資質の問題ではなく、そうなる設計になっていたのが問題でした。

元記事のコトのはじまりの節の画面。受け入れ担当になる前から見えていた3つの課題のうち、情報の散らばりと、進み方が個人のスキルに依存することが書かれている
元記事キャプチャ: コトのはじまり

引用が伝えているのは、遅れる人が悪いのではない、ということです。遅れるように作られていた、という話です。

勝野さんは、DeNAのデータサイエンス部で、新メンバーの受け入れを見直しました。見直す前から、課題が見えていたそうです。順に書きます。

1つ目は、情報の散らばりです。手順はConfluenceにありました。データ仕様書はGoogle Drive。項目一覧と進捗はスプレッドシート。質問はSlackです。

ものすごく古い資料も混ざっていたと書かれています。

2つ目は、進み方が個人のスキルで変わることです。データアナリストのチームは、統計や分析に強い一方で、エンジニアリングに明るくない方も少なくありません。それでも最初に、環境構築が待ちます。

Docker(アプリを箱ごと動かす道具)でコンテナーを立てます。CLI(文字で操作する画面)から認証を通します。失敗したら、ログを読んで切り分けます。ここが関門です。

結果、初日に終わる人と2週間かかる人が出たそうです。

最後は、受け入れ担当の工数が読めないことです。人が変わるたびに、同じ説明を繰り返します。環境構築とツールの説明だけで、想定以上の時間が溶けていきます。

対応の方針は、4つに整理されています。1つ目は、導線を1つのGitHubリポジトリ(資料やコードを置いておく場所)に集めること。2つ目は、Claude Codeが伴走すること。

環境構築は、可能な範囲で自動化します。新メンバーがたどる道も、1本にします。

ゴールは、オンボーディング(新しく入った人が仕事に慣れるまでの立ち上げ)が終わった時点で、案件にアサインできる状態です。部のことなら何でも答える汎用Botは、最初にスコープ外と決めました。

全部をエージェントで済ませると、部の人と話す機会が減るからです。

02

AIエージェントとオンボーディングのリポジトリ1つ。9つのスラッシュコマンドで進む初日から毎日の流れ

リポジトリ1つに新メンバーの道が全部ある図解。sources.yml、guide、docs、workspace、skills、CLAUDE.mdの6つの置き場と、初日(setup-connectors、init、setup-env)、毎日(onboarding next、onboarding progress、daily-report)、気づいたとき(feedback、ask)、受け入れ担当(maintain)に分かれる9つのコマンド

勝野侑馬さんの記事「オンボーディングをAIエージェントに任せたら、もはや別ゲーだった」の「作ったもの」の節

新規メンバーはこのリポジトリをcloneしてClaude Codeを起動し、スラッシュコマンドでオンボーディングを進めていきます。

元記事の作ったものの節の画面。リポジトリ analyst-onboarding のフォルダ構成と、スラッシュコマンドの一覧表
元記事キャプチャ: 作ったもの

新メンバーは、リポジトリをcloneします。Claude Codeを起動します。あとはスラッシュコマンド(「/」で始まる決まった呼び出し)で進めます。引用は、その動きがシンプルだと伝えています。

リポジトリの名前はanalyst-onboarding/です。中のknowledge/sources.ymlは、正本(一番元になる資料)のレジストリです。

knowledge/guide/には、学習ガイドが入ります。

docs/には、チェックリストと運用の文書を置きます。workspace/は個人作業の場所で、年と名前の階層です。.claude/skills/には、Claude Codeのスキルが入ります。

CLAUDE.mdには、ドメイン知識と禁止事項が書かれています。

スラッシュコマンドは、9つあります。/setup-connectorsは、コネクタ(ConfluenceやGoogle DriveなどとAIをつなぐ仕組み)の接続確認で、最初に1回だけ使います。

/initは、ワークスペースとブランチを作ります。Draft PRも作ります。

/setup-envは、環境構築のタスクをHuman-in-the-loop(途中で人が確認を入れる進め方)で順に進めます。/onboarding nextは、次にやるべき項目を案内します。

/onboarding progressは、進捗をフェーズ別に表示します。

/ask <質問>は、正本を引いて答えます。/daily-reportは、日報を作ってワークスペースに保存します。/feedbackは、改善提案をimprovements.mdにためます。

/maintainは、教材の鮮度点検と更新の反映です。受け入れ担当向けです。

流れは、初日と毎日と、気づいたときに分かれます。それぞれで使うスキルが決めてあります。勝野さんは運用の節で、受け入れ日に渡すのはリポジトリのURLだと書いています。

伝えるのは、まず/setup-connectorsと/initを叩いてください、の一言です。地味です。でも、ここが肝です。

03

AIに教材の本文を持たせない設計。転記した瞬間に腐るので正本の場所だけを持つ

教材の本文を持たない設計の図解。最初の版はConfluenceからリポジトリへ本文を転記して2か所に同じ内容があり、どちらかが古くなる。今の形はsources.ymlにidだけ持ち、実行時に正本へ取りに行く。本文を直すなら正本側で

勝野侑馬さんの記事「オンボーディングをAIエージェントに任せたら、もはや別ゲーだった」の「設計の話1:教材の本文は、持たない」の節

二重管理は必ずどちらかが腐ります。ならば書ける場所を1つに絞ってしまえば、腐りようがありません。

元記事の設計の話1の節の画面。記録票のスプレッドシートから sources.yml、guide、実行時にConfluenceとGoogle Driveから本文を取得する流れを示す図
元記事キャプチャ: 設計の話1:教材の本文は、持たない

引用が伝えているのは、同じ情報を2か所に書くと、必ずどちらかが古くなる、ということです。書ける場所を1つに絞れば、古くなりようがありません!

勝野さんの最初の版は、Confluenceやスプレッドシートの内容を、コネクタ経由でMarkdownに転記していました。リポジトリを開けば全部読める状態が、いちばん親切だと思ったからです。

でも、これは失敗でした。

転記した瞬間から、同じ情報がConfluenceとリポジトリの2か所にある。正本が更新されても、リポジトリはついてこない。

勝野さんは、DRY原則(同じことを2か所に書かないという原則)違反ですね、と書いています。

方針を変えて、本文の転記をやめました。流れはこうです。記録票のスプレッドシートが上流です。そこからsources.ymlへ、page_idとfile_idを転記します。

guideとチェックリストは、idだけを持ちます。実行時に、ConfluenceとGoogle Driveから手順の本文を取りにいきます。

リポジトリが持つのは、正本がどこにあるか。それと、その教材で何を身につけるべきか。それだけです。

規約は、次のとおりです。1つ目は、正本のURLとidを書く場所を、sources.ymlだけにすること。2つ目は、ガイドに「正本: <id>」としか書かないこと。アンカー(見出しへの飛び先)も書きません。

見出しが変わった瞬間に、参照が切れるから。最後は、手順の本文をリポジトリで直さないこと。直すなら、正本側で直します。

版が動くデータ仕様書は、固定IDを持たせません。カタログから最新の承認済版を辿る、という解決ルールを書きました。ここでハマった点があります。版の新旧を、更新日時で判定してはいけません。

承認済みの版にも、後から編集が入るから。ファイル名に含まれる版の表記で判定するルールに、落ち着いたそうです。

外部との連携は、自前のMCPサーバではなく、Claude Codeのコネクタ機能だけです。Atlassianは必須です。Google Driveも必須です。Slackは任意です。

新メンバーがやるのは、ブラウザから認証を1回通すことだけ。

AI氣道『Claude Codeのフォルダ設計の考え方を、7つの法則で順に解説』より

「中に溜めた物ほど、気づかないうちに古くなっていくんですよね。だから、どこに置くかと同じくらい、いつの物かを見ておきたいんです。」

この考えを、私は『Claude Codeのフォルダ設計の考え方を、7つの法則で順に解説』で書いています。

勝野さんの「転記した瞬間に腐る」と、私の「いつの物かを見ておく」は、同じ向きだと読みました。置き場所を1つに絞るのも、いつの物かを見るのも、古くなった物を見つけやすくする工夫です。

私は、正本の場所に更新日を添えて持つと、さらに迷いが減ると考えています。

04

Claude Codeの出力を安定させるには、モデルを疑う前に期待する形を先に書く

AIの出力の形を固定する図解。書く前は判断の過程が冒頭に並ぶ、手順書のパスだけ示す、分岐を全部展開する。書いた後は次のタスクは結論のみ、3から5ステップに圧縮、正常系だけ展開。SKILL.mdにルールを書く。性能の問題ではなく形を書いていなかっただけ

勝野侑馬さんの記事「オンボーディングをAIエージェントに任せたら、もはや別ゲーだった」の「設計の話2:出力の形を固定する」の節

これらはモデルの性能の問題ではなく、期待する出力の形をこちらが書いていなかっただけでした。

元記事の設計の話2の節の画面。出力の形を固定する前と後を並べたBefore・Afterの図。判断の過程とリンクと分岐で埋まる出力と、結論と手順だけが残る出力
元記事キャプチャ: 設計の話2:出力の形を固定する

引用が伝えているのは、出力が揺れたのはAIの性能の問題ではない、ということです。期待する形を書いていなかっただけでした。書き足せば直ります。

/onboarding nextの出力が安定しなかったとき、勝野さんが気になった点がありました。1つ目は、冒頭に判断の過程が並ぶことです。「#Xは保留」「#Yは受け入れ担当のタスク」といった文です。

読み手は、次にやることだけ知りたいのに。

2つ目は、手順書へのパスを示すだけで終わることです。毎回リンク先を開かないと作業できません。集約した意味がないですよね。最後は、手順書の条件分岐を全部展開することです。

実際には踏まないケースの説明で、本筋が埋もれます。

そこで、SKILL.md(スキルの中身を書くファイル)にルールを足しました。次のタスクは、結論のみ出します。スキップの理由は、聞かれたときだけ答えます。

手順書は、読んだうえで3〜5ステップに圧縮します。複数画面のスクリーンショットが前提のものだけ、リンク誘導にとどめます。正常系だけ展開します。

分岐は書かず、「うまくいかなかったら詰まったポイントを教えて」と一文添えます。すると、ぴたりと安定したそうです。ここが肝です。

最後のルールには、狙いがあります。新メンバーに「AIに相談すれば解決できる」という体験を積んでもらうことです。

成果物の形も、決め打ちにしました。日報には、やったことを書きます。つまったことも書きます。明日やることも書きます。notes/improvements.mdの改善メモは、5項目に固定しました。

ステータスと現状。問題と改善案。それから参照です。チェックリストは、進捗の単一の情報源です。

日報は、当初「AIが質問してから書く」流れでした。でも、AIのほうが、行動記録から新メンバーの状況を客観的に把握できます。そこで、タスク進捗や困りどころはAIに書かせます。

本人には、自由形式で書いてもらう形にしたそうです。

AI氣道『CLAUDE.mdは何行までが目安?200行以内でも起動時の文字数は増える』より

「引き継ぎを伝えるにも、読む量がある。私なら「何を書くか」と一緒に、「仕事を始める時に何文字読むのか」を数えます。お願いを増やす前に、毎回渡している全体を確かめたい。」

この見方を、私は『CLAUDE.mdは何行までが目安?200行以内でも起動時の文字数は増える』で書いています。

勝野さんの「期待する出力の形を書いていなかった」と、私の「毎回渡している全体を数える」は、同じ向きだと読みました。

AIの出来が悪いと感じたとき、先に確かめるのは、こちらが何を渡し、何を書いていないか、なんです。

05

AIエージェントにできないことを先に決める。認証は人、要約はAI、正しさの判断は人

AIにできないことを先に決める図解。人は認証、ブラウザ操作、教材の正しさの判断。AIは手順の要約、次の項目の案内、日報の作成。分からないときは正本が未登録なら担当に確認し、推測で埋めない。限界は十数万文字のページが1回で入らないことと、取得の失敗をAI自身が判定できないこと

勝野侑馬さんの記事「オンボーディングをAIエージェントに任せたら、もはや別ゲーだった」の「設計の話3:AIにできないことを、先に決めておく」の節

自動化の可否には、書いた時点で希望的観測がかなり混ざります。ここは素直に負けを認めてドキュメントを訂正しました。

元記事の設計の話3の節の画面。コネクタの認証はAI側から実行できないこと、自動化の可否は実測して訂正したこと、AIが推測で答えないルールが書かれている
元記事キャプチャ: 設計の話3:AIにできないことを、先に決めておく

引用が伝えているのは、「自動化できる」と書いた時点では願望が混ざる、ということです。だから実際に測り直して、違えば素直に直した。そういう話です。

任せられない作業を先に決めておかないと、AIが「やったつもり」で先へ進みます。事故になります。勝野さんは、そう書いています。ここは大事です。

例は、コネクタの認証です。AI側からは実行できません。認証用のツールを呼んでも、「/mcpを実行させてください」と返ってくるだけ。そこで/setup-connectorsを用意しました。

環境構築は、CLIで完結する範囲を、承認のうえAIが実行します。ブラウザ操作は人です。申請フォームも人です。第三者への依頼も、人に投げます。

この切り分けは、机上で決めませんでした。実際に手を動かして、測り直しています。当初「自動化できる」と書いた項目のいくつかが、実測すると人手が必要だったそうです。

AIが推測で答えないルールも、CLAUDE.mdに書きました。正本が未登録の項目では、「正本が未登録なので受け入れ担当に所在を確認してください」と答えさせます。手順は、推測で埋めさせない。

新メンバーは検証する手段を持たないので、厳しめに縛ったとあります。

繋いでみて分かった限界が、2つあります。1つ目は、長すぎるページです。全社共通のハブページのように十数万文字あるものは、1回のツール呼び出しに収まりません。

2つ目は、取得の失敗をAI自身が判定できないことです。元ページの表が、取得した本文から丸ごと消えることがあるそうです。

まとめの節で、勝野さんは線引きを書いています。認証は人です。手順の要約はAIです。教材の正しさの判断は、人です。

AI氣道『AI社員とは何か。何を渡せば動くのかを経営者向けにまとめる』より

「私の運用でも、正本を渡さずに書かせたメールは、私の文章になりませんでした。整理したアンケートを、AIが開かなかったこともあります。答える問いの数そのものも、詰まりになっていました。送る1回と方向を決める1回は、自分で持ちます。任せる範囲を広げても、人が決める場所は残るんです。」

この線引きを、私は『AI社員とは何か。何を渡せば動くのかを経営者向けにまとめる』で書いています。

勝野さんの線引きと、私の「任せる範囲を広げても人が決める場所は残る」は、同じ向きだと読みました。どこまで任せてよいかは、AIの賢さより、先に人が線を引いたかどうかで決まる。私は、そう思います。

06

新人役をAIに6周演じてもらうと、人のレビューでは見つからない不具合が出た

新人役のAIに6周演じてもらった検証の図解。VPN確認が多要素認証より先になっていた、生成チェックリストのリンクが44件すべて切れていた、手順のスクリプトにsudo rm -rfが13行。一番のバグ発見器は初めて使う人で、AIは代用

勝野侑馬さんの記事「オンボーディングをAIエージェントに任せたら、もはや別ゲーだった」の「新卒が来ないので、AIに新規メンバーを演じてもらった」の節

生成されたチェックリストのリンクが44件すべて切れていました。テンプレートは1階層浅い場所にあり、相対パスがそのままコピーされていました。

元記事の新人役AIの節の画面。記録票からの転記の照合、sudo rm -rfを含む外部スクリプト、44件すべて切れたリンクなど、6周の検証の流れを示す番号つきの図
元記事キャプチャ: 新卒が来ないので、AIに新規メンバーを演じてもらった

引用が伝えているのは、作った本人が気づけない不具合が、新人役のAIで表に出た、ということです。リンク切れは44件。すべてです!

勝野さんがリポジトリを作ったとき、肝心の新卒の方は配属されませんでした。作った本人が触っても、まず詰まりません。書いた本人の前提が全部含まれているからです。

そこで、AIエージェントに新規メンバー役を割り当てました。初日のシナリオを、頭から通してもらいます。

観点を変えて、結局6周になりました。最後の1周でも、まだ問題が出てきた。ここがポイントです。

1つ目は、チェックリストの依存関係の矛盾です。番号順に進めると、多要素認証の設定より先に、VPN接続の確認が来ます。VPNの初回設定には、多要素認証が必要です。素直に番号順に進むと、必ず詰みます。

教材を読める人は暗黙に回避するので、レビューは素通りします。

2つ目は、生成されたチェックリストのリンクが、44件すべて切れていたことです。テンプレートは、1階層浅い場所にありました。相対パス(今いる場所からの道順)が、そのままコピーされていたんです。

テンプレートの位置で見る限り、正常に見えます。実際に生成して踏むまで、気づけません。

最後は、外部スクリプトを実行しかねない状態でした。手順には、Driveからスクリプトをダウンロードして実行する段があります。AIが見る文字列は、禁止コマンドのどのパターンにも一致しません。

でも、中身にはsudo rm -rf(管理者権限でファイルを消すコマンド)が13行ありました。

どれも、指示どおりにしか動かない役がいて、はじめて表面化したものだと、勝野さんは書いています。

設計として残った学びの最後には、こうあります。一番のバグ発見器は、その仕組みをはじめて使う人。AIに演じてもらうのは、あくまで代用だった、と。

07

DeNAの中途入社の方が約1か月使ったAIオンボーディング。改善が本人から上がり、5つの学びが残った

中途入社の方が8月から約1か月でオンボーディングを完了した図解。日報は毎営業日コミット。本人から権限の確認手順の食い違い、理解度チェックのずれ、古い形式の表が落ちる件が上がった。残った5つの学び

勝野侑馬さんの記事「オンボーディングをAIエージェントに任せたら、もはや別ゲーだった」の「ついに実戦投入:中途入社の方に1か月使ってもらった」の節

改善提案を書く場所と、それをPRにする道筋さえ用意されていれば、新規メンバーの「分からなかった」がそのまま教材の資産に変わります。

元記事の実戦投入の節の画面。中途入社の方が約1か月で完了したこと、実際に上がってきた3つの改善提案が書かれている
元記事キャプチャ: ついに実戦投入:中途入社の方に1か月使ってもらった

引用が伝えているのは、気づいたことを書ける場所と、それをPRにする道があれば、新メンバーの「分からなかった」が教材の資産に変わる、ということです。

8月に、中途採用の方がこのリポジトリを使いました。約1か月で、オンボーディングが完了しています。日報は、毎営業日コミット(記録として保存)されました。

/feedbackで気づいた点をimprovements.mdにため、PRにする流れです。実際に上がってきた指摘が、紹介されています。1つ目は、権限の確認手順が実態と食い違っていること。

メンバーが入れ子のグループとして登録されていて、自分の名前を探しても見つからないそうです。

2つ目は、理解度チェックが、どの教材にも書かれていないことを問うている、という指摘です。最後は、Confluenceの古い編集形式で作られた表です。Markdown形式で取得すると、丸ごと落ちます。

AIエージェントの伴走ならではの不具合です。取得形式を変えて取り直す手順を、スキル側に足したそうです。

運用して見えた効き方は、4つあります。部が用意するものが、リポジトリ1つで済むこと。進捗が、毎日文章で残ること。実務のツールに、オンボーディングで慣れられること。質問のハードルが下がることです。

設計として残った5つの学びは、次のとおりです。転記した瞬間に腐るので、集約すべきは情報でなく導線。AIの出力品質は、スキルの書き方で決まる。「自動化できる」は、実測しないと嘘になる。

上流と正本は食い違うので、優先を先に決める。一番のバグ発見器は、初めて使う人。

私は、この5つを、引き継ぎ資料を整理するときの確認項目として読みました。AIには、たとえばこう頼めます。

「私の仕事の引き継ぎ資料を整理したい。次の前提で進めて。

①資料の本文はここに写さず、どこにあるかの一覧だけを作る②各資料に、いつ更新されたか(更新日)を一緒に書く③自動でできるかどうか分からない手順は、できるとは書かず、人に確認と書く④分からない所は、分からないと伝えて、誰に聞くかを教えて。

資料は次の場所にある: ○○。」

ただし、AIが返した一覧は、1回は自分の目で元の資料と見比べておきたいところです。勝野さんの記事にも、取得の失敗をAI自身が判定できない、とあります。

FAQ

よくある質問

Q. オンボーディングをAIエージェントに任せるとは、何を任せることですか。

A. 勝野さんの仕組みでは、手順の要約や次にやる項目の案内をClaude Codeが受け持ちます。日報の作成も、正本を引いた質問への回答もそうです。コネクタの認証は人が持ちます。ブラウザ操作や申請フォームも人です。教材の正しさの判断も人です。部のことなら何でも答える汎用Botは、最初からスコープ外にしたそうです。

Q. 資料の本文を持たないとは、どういうことですか。

A. 同じ資料をConfluenceとリポジトリの2か所に写すと、正本が更新されたときにリポジトリが古くなります。そこで勝野さんは、リポジトリにはsources.ymlで正本の場所(page_idとfile_id)だけを持たせました。本文は、実行時にコネクタで取りにいく形です。私は、いつの物かを見ておく考え方と同じ向きだと読みました。

Q. AIに新人役をやらせる意味は何ですか。

A. 作った本人が触っても、本人の前提が含まれているので詰まらないからです。勝野さんは、AIに新規メンバー役を割り当てて6周回しました。番号順に進むと詰む依存関係の矛盾が出ました。44件のリンク切れも出ました。sudo rm -rfが13行入ったスクリプトも見つかっています。ただし、一番のバグ発見器は初めて使う人で、AIは代用だったとも書かれています。

Q. AIに任せられない所はどこですか。

A. 勝野さんは、認証と教材の正しさの判断を人に残しました。手順の要約はAIです。コネクタの認証はAI側から実行できず、「自動化できる」と書いた項目にも、実測すると人手が必要なものがありました。私の過去記事の言葉では、任せる範囲を広げても人が決める場所は残る、となります。

Q. 自分の仕事の引き継ぎに使うには、どうすればいいですか。

A. 私は次のように読みました。資料の本文はAIに写させず、どこにあるかの一覧と更新日を作らせます。自動でできるか分からない手順は、人に確認と書かせます。分からない所は、分からないと伝えさせて、誰に聞くかを答えさせます。AIが返した一覧は、1回は元の資料と見比べると安心です。

MATOME

まとめ:資料の本文を2か所に持たない。AIに任せる前に、人が決める場所を決める

勝野さんの記事は、DeNAのデータ分析チームの話です。でも、考え方は会社の規模に関係なく使えます。正本の場所だけ持つこと。AIの出力は、期待する形を先に書くこと。AIにできないことを、先に人が決めておくこと。新人教育で同じ説明を減らすための考え方として、順に振り返ります。

1つ目は、転記した瞬間に腐る、という話でした!勝野さんは、書ける場所を1つに絞れば腐りようがないと書いています。私の「いつの物かを見ておく」とも、同じ向きだと読みました。

2つ目は、出力が揺れたのはモデルの性能ではなく、期待する形を書いていなかったから、という話でした。私の「毎回渡している全体を数える」と並べると、渡す側が先に整える点で重なります。

最後は、線引きです。認証は人。手順の要約はAI。教材の正しさの判断は人。任せる範囲を広げても人が決める場所は残る、という私の言葉とも重なりました!

そして検証です。新人役のAIに6周演じてもらうと、44件のリンク切れまで出ました。それでも勝野さんは、一番のバグ発見器は初めて使う人だと書いています。あなたも、引き継ぎ資料を作ったら、自分以外の誰かか、AIに頭から読ませてみてほしいなと思います。

この記事で学んだことを誰かに教えて恩送りして学びを深めよう!

COLUMN

レシピを壁に貼りすぎた調理場で、古い紙が料理を台無しにする話

小さなレストランの厨房で、ひろくんが壁に貼られた何十枚ものレシピの紙を見上げている情景。一部の紙は黄ばんで丸まり、脇には元のレシピ本が開いてある

たとえば、お店の調理場の壁に、レシピ本から写したレシピの紙を何十枚も貼ったとしましょう。最初は便利です。新しく入ったスタッフが、壁を見れば作り方が分かります。でも、元のレシピ本が改訂されたとき、壁の紙は古いままです。誰かが気づくまで、古い味付けのお皿が出続けます。その間も、新しい人は壁の紙を信じて作ります。疑いません。写した紙が増えるほど、どれが最新かは分からなくなります。勝野さんの最初の版と、同じ形だと思いました。

勝野さんは、壁に写す代わりに、元のレシピ本の場所だけをメモに残す形にしました。作る人は、そのメモを見て、必要なときに元の本を開きます。私の考えでは、そのメモに「いつの物か」を一緒に書いておくと、さらに迷いません。もう1つあります。調理場には、任せていい所と、料理長が味見で決める所があります。包丁を研ぐ段取りは任せても、お皿を出すか止めるかの味見は残ります。任せる範囲を広げても、人が決める場所は残るんです。

あなたの仕事で、スタッフや外注さんに渡している手順書があれば、1つ選んでみてください。その中に、他の場所から写した文章が何か所あるかを数えます。写した文章の横に、元の場所と、いつの物かを書き添えます。それだけで、どれが古くなりそうかが見えてきます。余裕があれば、AIに「この手順書の中で、他の資料から写した部分に印をつけて、元の場所を教えて」と頼んでみるのもいいと思います。ただし、印が合っているかは、1つは自分で確かめておきたいところです。

AIと一緒に、任せ方や確認の置き方を直して育てていく途中の記録は、分身AIと歩んだ100日の全まとめにも残しています。その中に、今回の話とつながる一節がある。

分身AI.com『分身AIと歩んだ100日──AIに任せて転びながら学んだことの全まとめ』より

「AIは「実装済みです」「チェック完了」と報告しておいて、実際はやってないことがある。私は同じ嘘を3回つかれた(DAY32)。対策は「じゃあ、その証拠を見せて」と確認すること。自己申告だけで完了にしない。」

この一節と、勝野さんの「取得の失敗をAI自身が判定できない」は、同じ向きだと読みました。AIが返した一覧は、1回は自分の目で元の資料と見比べる。自己申告だけで、確認が済んだことにはしない。

分身AIのことをもっと知るなら、分身AI.comもチェックしてね!

LINK

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REF

参考リンク

今回紹介した記事

著者勝野侑馬
媒体DeNA Engineering Blog
公開日2026年10月7日
元URLhttps://engineering.dena.com/blog/2026/10/ai-agent-onboarding/

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この記事はAIツール(Claude Code)を活用して制作しています。構成・文章生成にAIを使用し、最終的な内容の確認・編集・公開判断はひろくん(田中啓之)本人が行っています。「分身AIひろくん」(bunshin-ai.com)とは別のコンテンツです。

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