案内を考えるときは、年齢より先に困っている場面を一行で書いてみる

マーケティング図解 第3回
家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。
お客さんは「30代の会社員」。そこまでは書けたけれど、投稿や案内文に何を載せたらいいか、手が止まる……。今回は、顧客像を年齢だけで決めないための話です。同じ属性の二人を、困っている場面から描いてみます。
持ち帰ってほしいこと
いつ、何に困り、何を確認したい人かを一行にする。まだ聞いていないことには「仮説」と書き、本人に確かめる。後半の記入ワークで、一行を書いてみよう。

自転車店と二人のお客さんは、説明用の架空例です。実際の顧客回答は未取得で、修理方法や走行の可否を判断する記事ではありません。
顧客理解は、困っている場面を考えるところから

年齢や職業は、相手を考えるときの手がかりです。使う言葉やサービスの対象条件を検討するとき、必要な情報になることもある。ただ、それだけで「この人には、この案内」と決めるには、まだ材料が少ないんだよね。
たとえば、同じ30代の会社員でも、出かける直前と、休日の予定を立てているときでは、探す情報が違うかもしれません。属性は同じ。場面は別。その違いを、案内を書く前に見ておきたい。
あ、そうだ。「30代会社員は急いでいる」と置き換えるのも、ここでは一度止めます。急いでいるかどうかは年齢から分からないから。何をしようとしていて、どこで手が止まったのか——そこを一人ずつ描くんです。
この回でいう顧客理解は、相手がその場で必要としている情報を確かめること。立派な人物設定を完成させることより、まだ分かっていないところを見つけるところから始めます。
通勤前と休日。同じ二人でも、探す案内を分けてみる

説明用に、架空の自転車店を考えます。二人とも30代の会社員。一人は通勤前に自転車の不調に気づき、もう一人は休日に整備の相談をしたい人です。ここから先の「知りたいこと」は、私たちが置く仮説だよ。
| 架空の場面 | 確認したい情報の仮説 | 案内先の候補 |
|---|---|---|
| 通勤前、不調に気づいた | 今、相談できるか。持ち込みの受付はどうするか | 相談の受付案内 |
| 休日、整備の相談を考えている | 何を相談できるか。予約は必要か | 相談内容と予約の案内 |
でね、通勤前の人へ、店の歴史や設備の説明を最初から全部並べるとどうでしょう。もし探しているのが受付方法なら、その答えへたどり着く前に文章を読み進めることになる。そこで、受付について確認できる入口を先に置く案が出てきます。
休日の人には、相談できる内容を見てから、予約の要否を確かめる順番が合うかもしれません。同じお店の情報でも、読み始める場所を変える。分けるのは人の価値ではなく、そのときの問いです。
ここで「今すぐ対応します」「予約なしで大丈夫」と、お店の条件まで作らないこと。今回は架空例なので、実際の受付時間も予約条件も設定していません。案内の分け方と、店が本当に提供できることは、それぞれ確認する必要があるんだね。

欲しそうな情報と、本人が探した情報を混ぜない

図にすると、二人の違いが見えた気がする。ここが、ちょっと気をつけたいところです。線や矢印がきれいにつながっても、相手に聞いたことにはならない……。通勤前の人が先に知りたかったのは、別の情報かもしれないから。
まだ仮説。ここは残しておきます。たとえばメモを「受付方法を知りたい人」と断定する代わりに、「受付方法を先に知りたいかもしれない。本人への確認はこれから」と書く。次に何を確かめるかまで見えるメモになります。
英国政府の利用者のニーズを学ぶガイドでも、利用者から得ていない意見や提案は、調査で確かめる仮定として扱っています。行政サービス向けの資料ですが、相手の言葉と作り手の想像を分ける考え方を、今回の案内づくりにも取り入れているんだね。
ぶっちゃけ、AIに詳しい顧客像を作ってもらうと、名前や趣味まで埋まって読みやすくなることがあります。でも、詳しさは確認の証拠ではないんだよね。AIが作ったペルソナと実際の顧客理解を考える記事も、ここであわせて読んでみてください。

本人には、困ったときの出来事から聞いてみる

では、何を聞くか。「受付情報が先に欲しいですよね」と答えを置く前に、相手が経験した場面を聞きます。「どんなときに困りましたか」「最初に何を知りたかったですか」。今回の動画で出てくる問いです。
その答えが返ってきたら、必要に応じて「そのとき、どこを見ましたか」と続ける。まだ相談していない相手へ、使ってみた感想を聞いても答えようがないよね。相談した人には実際の流れを、これからの人には今分からないことを、分けて尋ねます。
英国政府のインタビューのガイドでは、利用者の状況やサービスの使い方、必要としているものを知るために対話を使います。この記事の質問も、その場の出来事を聞く入口として用意したもの。答えを誘導するための台本ではありません。
しかもね、一人が答えてくれた内容は、その人のその場面での回答なんだよね。「30代の会社員は全員こうだ」と、また大きなくくりへ戻さない。回答は本人の言葉に近い形で残し、こちらの解釈は別に書きます。公開する事例や引用に使うなら、使ってよい内容と範囲も本人に確かめよう。
聞けないところは未確認のままで大丈夫。足りない情報が分かったら、それも次の材料です。相手に説明してもらう余地を残しておく——案を先に完成させすぎないためにも、ここを覚えておきたいね。
困る場面を一行にする、書き込みワーク

ここまで読んだら、あなたのお客さんを一人思い浮かべてみてください。まだお客さんがいなければ、案内を届けたい人の仮説で構いません。まずは一行。きれいな人物紹介を書こうとしなくていいんです。
そのまま書き込む欄
いつ:________
何に困っている:________
何を確認したい:________
根拠:仮説 / 本人に確認済み
確認済みの場合の記録:いつ・どんな場面で・どんな言葉を聞いたか____
つなげると、「__のとき、__に困り、__を確認したい人」になります。自転車店の通勤前の例なら、「通勤前、不調に気づき、今相談できるかと持ち込み受付を確認したい人」。この記入例の根拠は仮説です。
あ、そうそう。空欄が多くても、年収や趣味を足して埋めなくていいよ。欲しいのは、どんな暮らしかを全部言い当てることより、今回の案内につながる情報です。分からない欄を一つ選んで、次に本人へ聞く問いへ変えてみます。
一行ができたら、今ある案内を横に並べてみよう。相手が確認したい情報はどこにあるか。そのページを開く前のリンク文から、中身を予想できるか。第2回のプロフィールから記事へつなぐ点検は、この一行ができた後に使えるワークです。

AIで案を比べ、店の実際の案内へ戻す

AIへは、書けた一行と、実際に使っている案内文を渡します。確認済みの条件と、まだ仮説の部分が分かるように添える。そこで「何を先に伝える案があるか」を比べると、AIの提案を点検しやすくなります。
次の顧客場面と案内文を比べてください。 場面:[いつ・何に困り・何を確認したい人か] 根拠:[仮説/本人に確認済み。確認した言葉や場面] 店で確認済みの受付条件:[事実だけ] 今の案内文:[実文] 相手が確認したい情報を探すとき、どこで迷いそうかを仮説として示してください。 実際の顧客回答、営業時間、予約条件、効果を作らないでください。 足りない事実と、本人に聞く質問を分けてください。 書き換えるなら一か所だけ提案し、根拠を説明してください。
これは案内文を検討するための問いで、自転車の状態を診断するものではありません。実際の受付条件が未確認なら、AIが埋めた文章を公開せず、お店の担当者へ確かめよう。お客さんの情報を渡すときも、名前など今回の検討に不要な情報は省こう。
「人間は縦に掘る。AIは横に広げる」。今回なら、AIには案の比較を手伝ってもらい、人は実際の相手とお店の条件に戻って確かめる、という使い方です。
顧客像を年齢だけで決めない。そのための最初の一手は、案内を全部作り直すことではなく、困っている場面を一行にしてみること。仮説と分かる形で置いて、本人の答えを聞いて直す。ここから、自分の商売に合う案内を育てていきましょう。
よくある質問
年齢や職業の情報は、なくしてよいですか?
なくす必要はありません。必要な属性情報を残し、いつ、何に困り、何を確認したいのかを加えます。属性だけで必要な案内を決めないためのワークです。
まだお客さんに聞けない場合は、どう書きますか?
仮説と明記して書きます。本人の回答を取得したことにはせず、次に確かめたい問いを残してください。
この案内に変えると、問い合わせが増えますか?
増えるとは断定できません。この記事は、確認したい情報と案内の対応を考えるための架空例です。問い合わせや購入の変化は実際の運用で別に確かめます。