『ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書』天田幸宏さんの書評と全7章の要約

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。

今回は『ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書』を読みます。著者は天田幸宏さん、監修は藤屋伸二さん。日本実業出版社の本です。

2019年に出た本で、電子版は2021年に出ています。

この記事では、第1章の「値決めの主導権」と、第2章の「適切な利益が確保できる自社の望む価格で買ってもらうこと」から読みます。

キーワードは、安売りしないこと。

その本の言葉の横に、私が値段や相手を考える時の言葉を並べます。本の話と私の話を、章ごとに噛み合わせていく書き方です。

この記事の3行ポイント

  • 強みと顧客を絞り、望む価格で買ってもらう事業の組み立て方が、7章で順に並ぶ本です
  • 値段の章には、高く売る理由と「エコシステムになるかどうか」という私の基準を重ねます
  • 場づくりの章では、本の勧めと私の捉え方の違いを、違いのまま並べます
『ひとり起業の強化書』全7章の地図。強み・コンセプト・ニーズ・競争しない・理想客・コミュニティ・ストーリーの島が航路でつながり、値決めの主導権の札が立つ
図1|『ひとり起業の強化書』全7章の地図。強み・コンセプト・ニーズ・競争しない・理想客・コミュニティ・ストーリーの島が航路でつながり、値決めの主導権の札が立つ
天田幸宏『ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書』の表紙

ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書

天田幸宏 著

藤屋伸二 監修

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※Amazonアソシエイトのリンクです。リンク経由でご購入いただくと、当サイトに紹介料が入ります。

監修によせて・著者による「はじめに」

監修によせてとはじめにの見開き。望む価格で買ってくれる顧客、熱心なファン、小さくても新しい市場、継続して儲かる仕組みのチェックリスト
図2|監修によせてとはじめにの見開き。望む価格で買ってくれる顧客、熱心なファン、小さくても新しい市場、継続して儲かる仕組みのチェックリスト

最初に、本の背骨を見ておきます。

監修の藤屋伸二さんは、冒頭で「ドラッカーは大企業向けの理論では?」という疑問に答えています。ドラッカーの『マネジメント』には、学園都市で大学の教職員を専門にする個人の不動産屋の事例が出てくる。そう紹介しているんです。

藤屋さんは、ドラッカーを250回以上読み込んだと書いています。

主宰する「藤屋式ニッチ戦略塾」の例も出てきます。開業前に入塾し、開業1年後に、平均的な開業弁護士の2倍近い売上をあげた弁護士の方です。

この方の言葉がおもしろいんですよね。強みを活かせて、競争がなく、十分な売上が確保できるように分野と顧客を絞った。それが当たり前だと思っていたのに、地方都市でそう考える同業者はほとんどいなかった。

著者の天田幸宏さんは、起業家向けの雑誌『アントレ』の編集者として、3000人を超える起業家を取材してきた人です。その取材とドラッカー理論をかけ合わせたのが本書だ、と書いています。

「はじめに」で、著者はフリーランスとひとり起業を分けます。

フリーランスは「職」。ひとり起業は、人に雇われずに自らで「事業」を行うこと。

目を引くのは、成功の定義です。

最初の項目は、望む価格で買ってくれる顧客がいること。熱心なファンがいる。価格競争に巻き込まれず、適切な利益が得られている。小さくても新しい市場を創る。継続して儲かる仕組みがある。

仕事が楽しいこと、過去の辛い体験の克服、自己実現や社会とのつながりまで並びます。

売上の大きさは、この並びに出てきません。

成功している起業家の共通点は7つにまとめられ、それがそのまま7章の設計です。強み、コンセプト、顧客ニーズ、独自の市場、理想の顧客、コミュニティ、ストーリー。

事例はどれも、2019年の出版時点の話として読んでください。

一冊を私の言葉でまとめると、強みと顧客を絞って、望む価格で買ってもらい、場の価値で続く事業をつくる話です。

天田幸宏さんの『ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書』を全7章の要約で読む

Chapter1 ひとり起業は「強み」を活かしてしっかり稼ぐ

私の強みは何だと思いますか?という問いに、自分の見立てはコンサル力、顧客の見立ては電話にすぐ出る、と答えが食い違う比較図
図3|私の強みは何だと思いますか?という問いに、自分の見立てはコンサル力、顧客の見立ては電話にすぐ出る、と答えが食い違う比較図

第1章は、強みの定義から入ります。

本書の定義は「強み=利益を生み出す源泉になるもの」。だから、過去の経験や実績は、厳密には強みと呼びません。「○○力」と言い換えられるものが望ましい、と書いています。

強みを明らかにする方法は、顧客に聞くこと。

独断で決めると、ひとりよがりになりやすいからです。

税理士の例がわかりやすいんですよね。本人は「コンサルティング能力」が強みだと思っていた。ところが顧客に聞くと、いつ電話をしてもすぐに出てくれるスピード感が安心だ、という答えでした。

強みって、自分では見えにくい。

自分で認識している強みと、顧客が認識する強みは一致しないことが多い。ここが章の要です。

聞き方も具体的です。正直に答えてくれそうな人に「私の強みは何だと思いますか?」と聞く。できれば何人にも聞いて、答えの共通項を探します。

自分への問いも並んでいます。最も達成感を得られた仕事。感謝されたこと。子どもの頃に熱中したこと。お金を払ってでもやりたいこと。

クレーム対応の専門家として独立した堀北祐司さんの例も出てきます。何気ない会話から、本当の強みが見つかる。それは、無意識に見出した「ストレスとうまく付き合う生活習慣」でした。そこから出版企画を立て直し、本が出ています。

後半は、独自化と差別化の区別です。

差別化は、技術やスキルを磨くこと。顧客や同業者に「そこまでやるか!」と思わせる状態です。

独自化は、小さくても独占的な立ち位置を確保すること。第三者の反応は「何それ?」になります。

この節のPOINTは独自化で「値決めの主導権」を手に入れる。値決めの主導権を一度手放すと、市場に翻弄される経営が待っている、と本書は書きます。

独占市場をつくる要素として挙がるのは、業界の非常識への挑戦、同業者や顧客から見て面倒なこと、社外から儲かる仕組みがわからないこと、大企業が入ってこない市場規模です。

冷凍食品メーカー出身の西川剛史さんは、プロ向けではなく一般の生活者に向けて活動すると決めました。肩書きは「冷凍生活アドバイザー」。業界の人から見れば、まさに「何それ?」の側です。

縦軸に独自化、横軸に差別化を置いた図も出てきます。どちらも曖昧ならレッドオーシャン。中途半端な真ん中は不毛の領域。目指すのは右斜め上のブルーオーシャンです。

縦軸に独自化、横軸に差別化を置いた2軸の地図。レッドオーシャン、不毛の領域、ブルーオーシャンと、何それ?そこまでやるか!の吹き出し
図4|縦軸に独自化、横軸に差別化を置いた2軸の地図。レッドオーシャン、不毛の領域、ブルーオーシャンと、何それ?そこまでやるか!の吹き出し

差別化と独自化、どちらの道から向かうか。両方を均等に進むのは現実的でないので、自分のアイデアと強みを見極めて一歩を踏み出す。これが第1章の締めです。

私の場合|凸凹は本人のもの、価値は噛み合った所に出る

本書は、強みを「利益を生み出す源泉になるもの」と定義していました。だから、強みは自分で決めずに顧客に聞く。自分で認識している強みと、顧客が認識する強みは、一致しないことが多いからです。

この章に私が重ねたいのは、高崎さんと朝LIVEをしていた時に、私の側から見えていたものです。「パーパスも近くて共鳴。波長が合う」と答えたあと、高崎さんのどんな行動にそれを感じたのかを聞かれて、私はこう答えています。

凸凹ありのまま自由に自分らしく動いてる事

私の答えが指しているのは、高崎さんの「何ができるか」ではないんですよね。凸凹のまま、自由に動いている姿そのものです。何をしていたのかを続けて聞かれた時も、「自分のペースで人を気にせずありのまま手を動かしていること」と答えています。

本人にとっては、ふつうに動いているだけなんだと思います。推測: 自分のペースで動くことは、本人には当たり前すぎて、強みとして数える対象に入りにくいのかもしれません。本書が強みを独断で決めるなと書く理由を、私はここで受け止めます。

この章をいま読みながら、私は二つのものを分けて受け止めておきたいと思いました。凸凹と、相手にとっての価値です。手がかりは、高崎さんの動き方を答えたあとに続けた私の言葉にあります。高崎さんの動き方が私の凸凹とも噛み合って、「お互いがワクワク夢中フロー状態になっていた」。二人がフローに入ったのは、凸凹が噛み合った所でした。だからこの章を読む時、私は凸凹をそれぞれの中にあるもの、価値をその間に出てくるものとして、分けたまま持っておきます。それが今の私の読み方です。

本書の言う強みは、利益を生む源泉。私の言葉に置き換えると、相手との間で噛み合った時に出てくる価値の方です。凸凹そのものは、誰かと噛み合っても噛み合わなくても、その人のもの。だから私は、凸凹と価値を一つの言葉にまとめず、分けたまま持っておきます。

そう読むと、顧客に強みを聞く意味も少し変わって見えます。返ってくる答えは、こちらの凸凹のうち、相手と噛み合った面なのかもしれない。凸凹は、自分では見えにくい。噛み合った面は、相手から見える。推測: 本書の税理士の電話の速さも、本人には当たり前の動き方で、顧客との間で安心として噛み合ったのかもしれません。

人を見る時も、同じ順番でいたいと思っています。誰かの凸凹が見えた時、すぐに「それが強みですね」と札を付ける前に、まず凸凹のまま動いている姿として受け止める。噛み合うかどうかは、そのあとで分かればいいんです。

下の図は、凸凹・噛み合い・価値を分けた、私の読み方を一枚にしたものです。

私の読み方の図。本人の凸凹のピースと相手のピースが噛み合う所に価値が出る、と本の「利益を生む源泉」と比べる
図5|私の読み方の図。本人の凸凹のピースと相手のピースが噛み合う所に価値が出る、と本の「利益を生む源泉」と比べる

Chapter2 ひとり起業は「コンセプト」で選ばれて稼ぐ

黄金のコンセプトの羅針盤。針先に誰に・何を・どのように、下に望む価格の値札
図6|黄金のコンセプトの羅針盤。針先に誰に・何を・どのように、下に望む価格の値札

第2章は、コンセプトの章です。

入り口に置かれているのは「顧客の創造」という考え方。本書は、起業すると顧客に買ってもらい、利益を伴う売上をつくり続けなければならない、と書きます。

ただし、たくさん売ればいいわけではありません。

利益が出ないほど安売りすれば、事業そのものが続かないからです。

重要なのは、顧客に「適切な利益が確保できる自社の望む価格で買ってもらうこと」。本書はこれを「顧客の創造」の原点に置いています。

顧客の存在そのものが事業である、とも書いています。

事業の目的と経営の目的も分けています。事業の目的は、顧客にどんな効果や価値を届けるか。経営の目的は、創業の動機や、価値を届けたうえで成し遂げたい未来像です。

続いて「黄金のコンセプト」。誰に、何を、どのように提供するかを、ひと言で表したものです。

例として、高齢者の部屋探しに絞った不動産会社が出てきます。高齢というだけで入居を断られる現状を変えたい、という思いから始まった事業です。

この人にだけ評価されればいい。その割り切りがあると、対象者のほうから問い合わせが来る、と本書は書いています。

コンセプトを評価する軸は、顧客がどう変化し、成長したか。ビフォー・アフターです。

ここから先がおもしろいんです。

「何をするか」ではなく「何をしないか」がコンセプトになる。著者自身、あれこれ抱えていた時期があったと書いています。ビジネス書のプロデュースが軌道に乗ったところで、ライターの仕事は受けないと決めた。それで本業に専念できた、という流れです。

この節のPOINTは、これだけはやらないリストをつくろう、です。

肩書きの節では、強み×対象者×提供価値で独自の肩書きを決める方法が出てきます。事業承継を中心にコンサルティングをする松崎由之さんが「事業創造士」と名乗ってから、創業社長の反応が変わった例です。

この節で本書は、ドラッカーの『チェンジ・リーダーの条件』から、患者の利益になることなら行うべきで、その収支を合わせるのが自分たちの仕事だ、という考えを紹介しています。患者は、ビジネスでは顧客です。

最後は見直しです。習慣化コンサルタントの古川武士さんは、コーチ、ドリームコンサルタント、セールスコーチ、モチベーションコンサルタントと、肩書きを何度も変えました。自分の強みが「習慣化の技術」だと思い出したところで、コンセプト探しが終わります。

強み×対象者×提供価値=独自の肩書きのかけ算の図と、何をしないかのメモ
図7|強み×対象者×提供価値=独自の肩書きのかけ算の図と、何をしないかのメモ

私の場合|望む価格を、相手の結果まで届く値段として読む

本書は、顧客に「適切な利益が確保できる自社の望む価格で買ってもらうこと」を、顧客の創造の原点に置いていました。利益が出ないほど安売りすれば、事業そのものが続かない。安売りしない、という所は私も同じ側に立ちます。

私が読み替えたいのは「自社の望む」の所です。誰が、何のために望む値段なのか。安売りしないことについて聞かれた時、私はこう答えています。

高く売ることでしっかりサポートやサービスも通じて結果に導ける。講座だけでも利益再投資でよりよい講座にできるのもある

私にとっての望む価格は、受け取りたい額の話より先に、相手を結果まで導けるかの話です。サポートやサービスを付けられる。利益を講座に戻して、講座そのものをよくできる。値段が、相手のアフターまでの道のりを支えます。

本書は、コンセプトを評価する軸を、顧客がどう変化し成長したかに置いていました。推測: 値段と変化を別々に考えると、安く売れても、アフターまで支える手が足りなくなることがあるのかもしれません。私は、この二つを一本の線で読みます。

相手については「相手に投資以上の還元をして3方よしにしていきたい」と答えています。それが何の基準かを聞かれた時の答えは「循環して共進化。」でした。

そして、値段を下げる場面でも削れないものとして挙げたのが「エコシステムになるかどうか」でした。

本書の物差しは、自社に適切な利益が残るかどうか。私の物差しは、その値段で相手と私と講座が回り続けるかどうか。利益はその輪の中に入っていますが、主役ではありません。だから本書の望む価格は、私には、循環が止まらない価格と読めます。

値決めの時、この読み方は私に問いを返してきます。値段を上げたい時も下げたい時も、先に、その値段で相手に何が返るかを見る。返るものが薄くなる値下げは、安くしても相手のためにならない。逆に、高くしても結果まで届けられないなら、その高さには根拠がない。第1章の値決めの主導権は、私にとっては、この問いを自分で持ち続けることなのかもしれません。

下の図は、本の物差しと私の物差しを並べた、私の消化の形です。

私の消化の図。本の「自社の望む価格」の値札と、結果に導ける・相手に何が返るかを回す「循環が止まらない価格」の輪を比べる
図8|私の消化の図。本の「自社の望む価格」の値札と、結果に導ける・相手に何が返るかを回す「循環が止まらない価格」の輪を比べる

Chapter3 ひとり起業は「ニーズ」をとらえてシンプルに稼ぐ

普遍的なニーズと変化するニーズの円が重なり、重なりに勝機と書かれたベン図
図9|普遍的なニーズと変化するニーズの円が重なり、重なりに勝機と書かれたベン図

第3章は、ニーズの章です。

本書は顧客のニーズを、普遍的なニーズと変化するニーズに分けます。

お腹がすいた、は普遍的。今人気のお店のラーメンが食べたい、は変化するニーズ。ひとり起業の勝機は、その重なりにある、という整理です。

普遍的なニーズは市場が大きく、大企業も多い。変化するニーズは、狙い通りに当てるのが難しい。だから重なりを狙います。

変化の兆しのとらえ方として、本書は捨てる勇気をもつこと、改善を続けること、他社や自社の成功例を分析することを挙げます。

介護用品で起業した中村太一さんの例が強烈です!

床ずれ予防マットは売れずに撤退。ところが、同じ素材でヘルパー向けにつくっていたTシャツに、大手のトレーニングジムが目をつけます。疲労回復ウェアとして発売したら大ヒットになった。マットに固執しなかったことがポイントだ、と本書は書いています。

ニーズは、相談を受けることで見えてくる。

著者自身、取材の現場で「いつか本を出したい」という声を聞くようになり、出版社とつなぐ仕事をパッケージにしました。それが雑誌の仕事以上の事業になった、と書いています。

ニュースから仮説を立てる手順も具体的です。住宅ローンの借り換え相談が増える、という表面の事象から、金利・子育て・老後の不安を探る。そこから雇用延長・生涯現役という未来像を描き、人生100年時代のキャリア相談という仮説にたどり着きます。

「住宅ローンの借り換え相談が増える」というニュースの事象から、その背景として考えられる「金利・子育て・老後の不安」を探り、そこから見えてくる未来像「雇用延長・生涯現役」を描いて、最後に自分が提供できそうなこととして「人生100年時代のキャリア相談」というニーズの仮説を立てる、推論の手順を示した図
図10|「住宅ローンの借り換え相談が増える」というニュースの事象から、その背景として考えられる「金利・子育て・老後の不安」を探り、そこから見えてくる未来像「雇用延長・生涯現役」を描いて、最後に自分が提供できそうなこととして「人生100年時代のキャリア相談」というニーズの仮説を立てる、推論の手順を示した図

面倒なこと、頼みにくいことも事業になります。

草むしりの代行は、訪問範囲と対象を個人宅に絞り、料金を明確にしたことで、従来の造園業者とぶつからない市場をつくりました。

この節のPOINTは「頼みにくいこと」は未来の事業になる。実家の墓参りの代行も、同じ並びで出てきます。

同業者がやりたがらないことにも、ニーズがあります。

店舗をかまえない「ノマド魚屋」の浅井和浩さんは、魚のさばき方の指導、結婚式での本マグロの解体ショー、海外旅行者向けの魚市場ツアーで事業を組み立てています。

本書は、ドラッカーが、顧客になってもおかしくないのに顧客になっていない人をノンカスタマーと呼び、変化はそこから起こると指摘したことも紹介しています。

章の最後は「顧客の創造」です。寝ている赤ちゃんを撮る「おひるねアート」は、趣味のブログ投稿から始まり、認定講師を育てる事業になりました。

価値の届け方を、提供型・対応型・共創型に分ける表も出てきます。顧客が実践しないと結果が出ない経営コンサルティングは、典型的な共創型だと本書は書いています。

私の場合|自分で解こうとしている人の課題に、心が動く

本書は、ニーズを普遍的なものと変化するものに分け、その重なりに勝機があると書いていました。相談を受けること、面倒なこと、頼みにくいこと、同業者がやりたがらないこと。その面倒を代行すると事業になる、という流れも出てきます。

この章で私が引き寄せたいのは、力を尽くしたいと気持ちが動いた場面を聞かれた時の答えです。私はこう答えています。

自分で動き、実行して、人に押し付けていない。自立している。その上でチャレンジしていて悩み課題をAIで解決したいと言っている公ちゃん

本書の枠で読むと、ここにも二つのニーズが重なっています。悩みや課題を解決したい、は普遍的。AIで、は今の時代に変わってきた所です。ただ、私の答えの並びを見ると、ニーズの話は最後に出てきます。自分で動いている。人に押し付けていない。自立している。そのうえで挑戦している。課題は、そのあとです。

この答えの並びを見て、私は自分に一つ問いを向けました。私は、どんな課題の真ん中で人と関わりたいのか。草むしりや墓参りの代行にお金を払う人がいるのは、本書の通りだと思います。面倒なことを代行すると事業になる、という筋も、一つの事業の形として受け取ります。そのうえで今回読みながら浮かんだのは、相手が自分で解こうとしている課題に、私は関わっていたい、という思いでした。自分で動いている人が越えようとしている所に、力を尽くせる関わり方をしたいんです。

推測: 自分で動いている人の課題に手を貸すと、その人の動きを止めないまま、課題だけが前に進むのかもしれません。全部を引き取ると、課題は片づいても、動いていた手が止まることがある。私が見ていたいのは、片づいた課題より、動き続けている手の方です。

本書の最後に出てくる共創型価値も、ここにつながって読めます。顧客が実践しないと結果が出ないもの。私が心を動かす課題は、最初から共創型の形をしているんだと思います。相手がやる。私は、相手が動き続けられるように関わる。

そう受け止めると、ニーズの探し方も変わってきます。何に困っているかだけを聞くと、困りごとの大きさで相手を見てしまう。私が先に見たいのは、その人が自分で動いているか、何に挑戦しているか。ニーズは、挑戦の途中で出てくる越えたい所の方にある。相談を聞く時も、その順番で聞いていたいと思っています。

下の図は、代行のニーズと、自分で解こうとしている人の課題を並べた、私の受け止め方です。

私の受け止め方の図。悩みや課題を解決したいとAIでの重なりから、自分で解こうとしている課題と動き続けている手、共創型へつながる
図11|私の受け止め方の図。悩みや課題を解決したいとAIでの重なりから、自分で解こうとしている課題と動き続けている手、共創型へつながる

Chapter4 ひとり起業は「競争しない」で賢く稼ぐ

市場を細分化する、独占できそうな市場を選ぶ、市場に名前をつけるの順に狭まる漏斗
図12|市場を細分化する、独占できそうな市場を選ぶ、市場に名前をつけるの順に狭まる漏斗

第4章は、競争しないための市場選びです。

本書は戦略を、誰に(市場)、何を(商品)、どのように(流通経路)提供するかで決まる、と定義します。極論すれば、どんな市場を選ぶかで事業の成否が決まる。

見極め方はシンプルです。小さくてもいいので、ライバルや大手企業が入ってこない、独占できる可能性のある市場。

手順は、市場を細分化する、独占できそうな市場を選ぶ、市場に名前をつける。

選ぶ時の基準は、強みを活かせることと、変化するニーズに対応できることです。

例は、洋裁とカフェをかけ合わせたお店です。カフェも洋裁も大きな市場。でも、かけ合わせるだけで「洋裁カフェ」という類を見ない市場ができた、と本書は書きます。

この節のPOINTは、生み出した市場の「名づけ親」になろう。

市場規模は小さいほどうまくいく、とも書きます。大きな市場には大企業がいて、ゆくゆくは価格競争になるからです。

中川ケイジさんのふんどしの例が象徴的です。ふんどしの市場規模は、下着全体の0.1%程度。そこから「ふんどし×おしゃれ×女性」と、さらに絞りました。

かけ合わせるものが多いほど、市場は小さくなる。

洋裁とカフェをかけ合わせた洋裁カフェと、ふんどし・おしゃれ・女性のかけ合わせで市場が小さくなる比較
図13|洋裁とカフェをかけ合わせた洋裁カフェと、ふんどし・おしゃれ・女性のかけ合わせで市場が小さくなる比較

儲けの仕組みが外からわからないほど、ライバルは少なくなる。企業研修の講師、小中学生向けのプログラミング教室、システム開発の受託という柱をもった原正幸さんの例が出てきます。何の専門家かわかりにくくても、それでいい、と。

本書は、ドラッカーが専門化と多角化を、相反するものではなく共存できるものと捉えた、と紹介しています。

手間がかかって大変そうなことから、イノベーションは生まれる。

キックボクサーの夫のためにパンツやガウンを縫っていた谷和美さんは、格闘家ウェアのひとりメーカーとして独立しました。制作実績は2000着、と本書は書いています。

この節の終わりに、本書はイノベーションをこう説明します。現存するものに新しい用途を開発したり、既存の何かと何かを組み合わせて新しい何かをつくったりすること。始まりは小さな気づきだ、と。

最後は、業界の常識への挑戦です。自社のウェブサイトでしか本を売らないダイレクト出版。バスガイドの説明にプレゼンの要素を見出した、伊藤誠一郎さんの「バスガイド流プレゼン術」。

伊藤さんは、企画が成立するまで何十回もバスツアーに参加して研究した、と書かれています。思いつきに見えて、裏側は地道なんですよね。

私の場合|潜在能力と組み合わせを一組で持ち、効き目を広げる

本書は、既存の何かと何かを組み合わせて新しい何かをつくることを、イノベーションに数えていました。洋裁とカフェ。ふんどしとおしゃれと女性。かけ合わせるものが多いほど市場は小さくなり、大企業やライバルが入ってこない。ここでの組み合わせは、小さく独占できる場所をつくる道具です。

好きなことを好きなだけやっていて、いちばん夢中になったことは何か。そう聞かれて、私はこう答えています。

潜在能力を感じる。何かと何かを組み合わせしてレバレッジをかける

答えにあるのは、二つの文です。潜在能力を感じること。何かと何かを組み合わせて、レバレッジをかけること。本書の記述と私の答えは、書かれたままの事実です。以下は、今の私の読み方です。

私は、この二つを一組で受け取ります。組み合わせだけを取り出すと、本書と同じかけ算の話になります。かけ合わせる数が増えるほど、場所は細くなる。潜在能力を感じることだけを取り出すと、その感触は私の内側に置かれたままです。二つがそろう所で、てこが効く。組み合わせは板で、潜在能力を感じた所は、その板を当てる場所なんだと思います。

そう読むと、同じ組み合わせでも、向いている方向が違って見えます。本書の組み合わせは、市場を小さくする。独占できる広さまで絞り込み、価格競争から離れる道具です。私の組み合わせは、効き目を大きくする。感じた潜在能力に別の何かを当てて、その力が届く範囲を広げる道具です。

二つの向きは、反対のものとも思っていません。本書は、市場を選ぶ基準に「強みを活かせること」を置いていました。洋裁カフェにも、店主の洋裁の強みが活かされています。絞り込みの中にも、本人の中にあるものと何かを組み合わせる形が入っているんですよね。推測: 私が潜在能力と呼ぶものと、本書が強みと呼ぶものは、重なる所が多いのかもしれません。

そのまま受け取れないのは、儲けの仕組みを外からわからなくして、目立たずにこっそり稼ぐ、という所です。大手に気づかれずに小さな場所を守る理屈はわかります。ひとりで事業をする人にとって、守ることは大事です。それでも、私の答えの「レバレッジ」は、効き目を広げる言葉です。隠して守る方向とは、私の中で向きがそろいません。隠して守ると、感じた潜在能力が届く範囲も、隠した囲いの中に収まる、と私は受け止めています。

この読み方は、組み合わせを考える時の確かめ方にもなります。この組み合わせは、市場を細くするためのものか。感じた潜在能力の効き目を広げるためのものか。どちらの向きを持たせたいかを、自分で言葉にしておく。私の答えには、誰の、何の潜在能力かは書かれていません。人にも、道具にも、場にも当てはまる言い方です。だから、何に潜在能力を感じたのかも、組み合わせと一組にして書き留めておきたいと思っています。

下の図は、潜在能力と組み合わせを一組にして、本の向きと私の向きを並べた、私の解釈です。

私の解釈の図。中央で潜在能力を感じると組み合わせを一組に結び、左に市場を小さくする向きと隠して守る箱、右に効き目を大きくする向きを並べて比べる
図14|私の解釈の図。中央で潜在能力を感じると組み合わせを一組に結び、左に市場を小さくする向きと隠して守る箱、右に効き目を大きくする向きを並べて比べる

Chapter5 ひとり起業は「理想客」を見つけてこっそり稼ぐ

理想事業の設計シートから矢印で理想客の輪へつながる図
図15|理想事業の設計シートから矢印で理想客の輪へつながる図

第5章は、誰を顧客にするかの章です。

八方美人でいると成果に結びつかず、達成感も得られない。本書は、ひとり起業では精神的な苦痛をコストと考えます。

せっかく顧客を選べる自由を手に入れたのに、望まない顧客と付き合うことは精神衛生上もよくない。ここ、はっきり書いてあるんです。

顧客像の前に描くのは、理想の事業です。1枚のシートにまとめると、ぴったりの顧客像が見えてくる。

例は、福本陽子さんの男性専門の料理教室です。1回目に集まった人数は少なくても、続けるうちにテレビで紹介される教室になりました。料理の技術だけでなく、参加者が会話を楽しめる空間にもこだわった、と本書は書きます。この節のPOINTが理想顧客は「理想事業」から生まれるです。

いちばん利益をもたらす顧客は誰か。名古屋で美容室を展開する社長が、経営で最も重視する点を「顧客1人あたりの年間消費額」と即答した話が出てきます。

商品の側から考える例もあります。弁理士の崎山博教さんは、特許出願書類の作成を最短2時間で行うサービスを、通常の倍の料金で出しました。それが新規客を呼ぶフロント商品になった、と本書は書いています。

顧客を絞ると、ブランドが浮かび上がる。子育て中の親に向けて、保育士が常駐するシェアオフィス「マフィス」を開いた高田麻衣子さんの例です。

価値には、心理的価値、機能的価値、経済的価値がある。顧客のファン化には、心理的価値を追求するのがいちばんだ、と本書は書きます。機能や安さは比べられやすく、競争に巻き込まれるからです。

新規顧客1人を獲得するコストは、既存顧客の5倍かかるといわれる。だから、ファンが離れない仕組みをつくる。他社への乗り換えに手間がかかる、スイッチングコストの考え方です。

心理的価値・機能的価値・経済的価値の比較。心理的価値からファン化へ矢印が伸びる
図16|心理的価値・機能的価値・経済的価値の比較。心理的価値からファン化へ矢印が伸びる

胸の大きい女性のためのアパレルを立ち上げた和田真由子さんは、月に1度顧客に集まってもらい、意見を交わして商品の改良に役立てています。

顧客のことは、顧客に聞く。

手間はかかっても、顧客との対話を愚直に続ける。本書はそれを、ひとり起業を成功させる大切な方法と呼んでいます。

章の最後は、見込み客との出会い方です。POINTは、定期的な情報発信が見込み客を育てる。

私の場合|理想の相手を、自分の足で立つ人として描く

本書は、先に理想の事業を一枚のシートに描くと、ぴったりの顧客像が見えてくる、と書いていました。望まない顧客と付き合うことは精神衛生上もよくない。ひとり起業では、精神的な苦痛をコストと考える。誰と付き合うかを大事にする所は、私の感覚とも重なります。

高崎さんとの朝LIVEの場面をたどったあと、「この人となら力を尽くしたい」と思える相手を今の言葉で一文にすると、と聞かれて、私はこう答えました。

パーパスがあう、波長が合う、話ししてるだけでワクワクする、軸がブレない他責思考でない自己実現段階以上の人

並べてみると、本書のシートとは描き方が違います。シートには、事業の目的や3年後の目標、自社の強み、提供内容といった事業の側の設計と、対象顧客や顧客の悩み、現状といった相手の側の事情が、一枚にまとまっています。事業をどう組み立て、誰に何を届けるかを描く紙です。私の一文に並んでいるのは、パーパス、波長、ワクワク、軸。パーパスと波長は、二人が合うかどうか。ワクワクは、話している時の私の状態。軸は、相手がどう立っているか。どれも、相手と私の間で起きることを確かめる言葉なんですよね。私はこの並びを、何を届けるかより先に、誰と一緒に立っていたいかを書いた一文として読みます。

「他責思考でない」と感じた理由は「自分で責任持って行動してるから」。「自己実現段階以上の人」と感じた理由は「承認欲求を求めていないから」と答えています。どちらの答えも、見ているのは相手の立ち方です。相手が自分の足で立っているかどうかに、私の目は向いていました。

だから私は、本書の、いちばん利益をもたらす顧客は誰か、という問いを一番には置けません。利益は大事です。ただ、私の一文には利益の言葉が一つも入っていない。自分の足で立つ人との間で、利益も生まれる関係を、私はどう考えたいのか。今の私はこの章を、その問いとして受け取っています。推測: 自分で責任を持って動く人とは、関わる側が支えすぎなくても進むので、無理のない形で続きやすいのかもしれません。

もう一つ、私が引っかかるのは、顧客が浮気しない仕組みです。乗り換えに手間がかかるようにして、離れにくくする。自分で責任を持って動き、承認を求めない人を、そういう仕組みで囲うのは、私の一文とは向きが逆に見えます。私が残したいのは、離れられないから続く関係より、離れられるのに続く関係の方です。

そしてこの一文は、相手を選ぶ物差しであると同時に、私自身にも向いてきます。誰かのお客さんになった時、私は自分で責任を持って動いているか。承認を求めていないか。理想の相手を描いた言葉は、私がその人にとって一緒にいたい相手かどうかを確かめる言葉にもなるんだと思います。

下の図は、本のシートと私の一文の描き方を比べた、私なりの読み替えです。

私なりの読み替えの図で、本書の「いちばん利益をもたらす顧客は誰か」という問いを左の紙に置き、右にパーパスと波長が合う自分の足で立つ人と、離れられるのに続く関係を描いて、その問いを一番には置かず、自分の足で立つ人と一緒に立っていたいと読み替えたことを示す
図17|私なりの読み替えの図で、本書の「いちばん利益をもたらす顧客は誰か」という問いを左の紙に置き、右にパーパスと波長が合う自分の足で立つ人と、離れられるのに続く関係を描いて、その問いを一番には置かず、自分の足で立つ人と一緒に立っていたいと読み替えたことを示す

Chapter6 ひとり起業は「コミュニティ」を押さえて楽しく稼ぐ

場の価値と書かれた灯りを人が囲み、外から人が人を呼ぶ矢印で歩いてくる図
図18|場の価値と書かれた灯りを人が囲み、外から人が人を呼ぶ矢印で歩いてくる図

第6章は、場の章です。

ひとり起業において、つながりは大切な資産。協力者になるだけでなく、精神的な支柱にもなり得るからです。

本書は、まず自分に合いそうなコミュニティに参加し、自分が主体となって人が集まる場所をつくることを勧めます。どんなコミュニティをつくりたいか、イメージを描くところから。

著者自身の試行錯誤が書かれています。2017年2月、3人の塾生で始めた銀座塾。最初の1年は方向性を見失いそうになった。ほかの塾を見学して、自分のカラーを打ち出せばいいと気づきます。

そこで湧いたイメージが、ベースキャンプ。高所登山を支える運営基地です。経営者が毎月集まって学び合い、また現場へ戻る。

コンセプトは「挑戦する経営者のベースキャンプ」。自信のなさから半額にしていた受講料を規定の料金に上げても、塾生は快く応じた。一度退会した塾生が戻ってきたことが何よりうれしかった、と著者は書いています。

山の麓の挑戦する経営者のベースキャンプ。学び合うと現場へ戻るの札
図19|山の麓の挑戦する経営者のベースキャンプ。学び合うと現場へ戻るの札

コミュニティの魅力は、人が人を呼ぶこと。そのために欠かせないのが、参加者一人ひとりが活躍の場を得られることです。

日本図解協会の多部田憲彦さんは、図解を学ぶ場を「図解祭り」と表現し、各地域の核となるメンバーを応援団長に任命しました。2019年8月時点で、1100人以上が集うコミュニティになった、と本書は書きます。

コミュニティは、会費制にすれば毎月収益を生むストックビジネスにもなる。

そして著者は、コミュニティは仲良しグループではない、と書きます。互いの夢や目標のために貢献し合い、時には言いにくいことも指摘し合う関係です。

最後の節が、この章の山場です。誰もがカリスマになれるわけではない。では、どうするか。主宰者としての立場を保持しつつ、「コミュニティの価値」を主役に置き換えればよい。

誰のための場か。参加するとどんなメリットがあり、どんな問題が解決して、どんな気持ちになるか。それをひと言で表す。本書は、真似されにくい心理的価値を前に出すのが効果的だ、と書いています。

私の場合|場は抱えるものではなく、ボールが渡っていく所

本書は、誰もがカリスマになれるわけではないから、主宰者としての立場を保持しつつ「コミュニティの価値」を主役に置き換えればいい、と書いていました。参加者一人ひとりが活躍の場を得られること。日本図解協会では、各地域の核となるメンバーが応援団長に任命されていました。

自立して挑戦している公ちゃんに力を尽くしたいと思ったのは、どんな関係になれると感じたからか。そう聞かれた時の私の答えが、この章とつながります。

抱えないで相手にボールやポジション、場を提供するだけで相互利益3方よしになるから

本書の応援団長は、主宰者がポジションを渡した例として読めます。私の言葉でいえば、ボールとポジションと場が、相手の手に渡っていく。ここまでは、本書と私の向きがよく重なっています。そして私の答えには「抱えないで」という言葉が入っています。この章を読む時、私はこの言葉を、主宰者が場そのものを抱えないことまで含めて受け取ります。本書の「場の価値を主役に」を、主宰者の立場は保ったまま、場を抱え込まずに相手の手へ渡していく話として読みたいんです。

本書は、コミュニティは仲良しグループではない、とも書いていました。互いの夢や目標のために貢献し合い、時には言いにくいことも指摘し合う。私が話した場の姿は「同じ箱の中で同じ目的を共有しながら家族のようにファミリーとしてみんなでやること」でした。好きなことも独特なことも違うまま、同じ目的の箱に入っている。私はファミリーを、仲良しというより、違うまま一緒にいる関係として読みます。

本書と分かれるのは、場をつくる順番です。本書は、自分が主体となって人が集まる場所をつくり、理想のコミュニティを定義するよう勧めていました。私は、相手からの思いを受け取った時の気持ちを聞かれて、「みんなでやらなくても」と答えています。そのあとに続くのが「そのままみんなでやることにつながっている」でした。

私にとって場は、先に定義して人を集める箱というより、それぞれが夢中でやっていることが、結果としてつながる所なのかもしれません。推測: 主宰者が場を抱えるほど、参加者の手元に渡るボールが減って、人が人を呼ぶ流れも細くなるのかもしれません。

主宰者として、場の価値をひと言にすることは大事だと思います。ただ、そのひと言を私が握り続けたら、場はまた私の持ち物になる。ボールを渡したあと、そのボールをどう転がすかまで相手に任せられるか。場の価値を主役にするというのは、私にとってはそこまで含めた話です。

下の図は、場を抱える形と、ボールが渡っていく形を並べた、私の捉え方です。

私の捉え方の図。抱えないでボールとポジションと場を渡し、違う形のピースが同じ箱の中で結果としてつながる
図20|私の捉え方の図。抱えないでボールとポジションと場を渡し、違う形のピースが同じ箱の中で結果としてつながる

Chapter7 ひとり起業は「ストーリー」を自在に操り稼ぐ

開いた本から理想顧客の成功物語と心を揺さぶるエピソードの2本のリボンが立ち上がる図
図21|開いた本から理想顧客の成功物語と心を揺さぶるエピソードの2本のリボンが立ち上がる図

最終章は、ストーリーです。

本書の定義は、理想顧客の成功物語と、理想顧客の心を揺さぶるエピソード。営業が苦手な人ほどストーリーが効く、と書きます。

最も威力を発揮する場所は、現場。ストーリーによって心理的価値が届くからです。

中心の例は、ハウスメーカーの営業だった菊原智明さんです。7年連続で成績が上がらなかった。

転機は、家を建てたお客様の後悔のエピソード集を、見込み客に定期的に届けたことでした。そこからトップ営業マンになり、アプローチレター、レスポンスレター、クロージングレターと、営業の段階ごとに体系化します。ほかの営業マンも使える仕組みにした所が肝です。

後悔のエピソード集から、アプローチレター・レスポンスレター・クロージングレターの階段を上る図
図22|後悔のエピソード集から、アプローチレター・レスポンスレター・クロージングレターの階段を上る図

次の節は、心の整理がついた失敗談は最強の武器になる、です。

同じ失敗をした人はほぼいないので、他者と重ならない。学び取ったことを含めれば、誰かの教訓になる。

本書は同時に、心の整理がつかないうちは、失敗談をむやみに公開する必要はない、とも書いています。自分の心と向き合い、今だと感じた時に武器になる。

経営コンサルタントの大本佳典さんは、勤めていた会社の借入金の個人保証で、マイホームを手放しました。仕事が安定してから過去と向き合い、その体験と心の変化を「ストーリーシート」にまとめて、初対面の社長に手渡しています。

この節のPOINTは失敗を告白する勇気が、顧客の心を動かす。

そのあとに、できないことができるようになる話、ほしいからつくる話、世界を変えると叫ぶ話、社会の課題に挑む話が続きます。

ビリギャルの例では、成長する姿はギャップが大きいほど感動がある、と本書は書きます。猫好きの木津イチロウさんは、ペット不可の物件で猫を保護したことから、猫と暮らせるアパートを自分たちで建てました。日本唐揚協会は「唐揚げを通じて世界平和を目指す」を掲げています。

章の最後の問いは、あなたの「ミッション」は何ですか、でした。

私の場合|失敗談は、聞く人に何が返るかで出す

本書は、心の整理がついた失敗談は最強の武器になる、と書いていました。同じ失敗をした人はほぼいないから他者と重ならず、学び取ったことを含めれば誰かの教訓になる。その節のPOINTは、失敗を告白する勇気が、顧客の心を動かす、でした。

私にも、相手によいことが一つもなかった場面があります。古い商品を売った場面について、私はこう答えています。

相手によいこと一つもないよ値下げもしないで古い商品売って俺だけ儲けようとしたんだから

値下げもしないで、古い商品を売った。自分だけ儲けようとした。相手には何も返らなかった。本書の型に当てはめれば、これも語れる失敗の一つになるのかもしれません。

この章で私が問い直したいのは、その使い方です。この場面を、顧客の心を動かすための武器として出すとしたら、どうなるか。失敗の中身は、自分だけ儲けようとしたことなのに、それを語る理由が私の集客だけなら、形は同じになってしまう。相手によいことが一つもなかった場面を、もう一度、自分のためだけに使うことになるんですよね。

本書の中にも、手がかりがあります。菊原さんが見込み客に定期的に届けたのは、家を建てたお客様の後悔のエピソード集でした。本書はそれを、これから家を建てる人に役立つ情報として書いています。私は、失敗の話が武器になった理由に、聞く人の役に立つ形にしていたことを見ます。告白の勇気と、聞く人の役に立つ形が、同じ話の中にそろっていたんだと思います。推測: 心が動くのは、語り手の勇気に触れた時と、自分の次の一歩に使える何かを受け取った時が重なる所なのかもしれません。

だから私は、心の整理がついた失敗談に、もう一つ物差しを足して受け取ります。整理がついたかどうかに加えて、その話で聞く人に何が返るか。この場面なら、聞いた人が、自分の商売で相手によいことがあるかを確かめるきっかけになるなら、話す意味がある。私の集客にしか役立たないなら、まだ出す時ではないんだと思います。

この場面について私が話しているのは、何をしたかと、相手によいことが一つもなかったことまでです。だからこそ、物語らしく整えるより、その事実のまま、聞く人に何が返るかを考えたい。

本書の最後の問いは、ミッションは何か、でした。失敗をどう出すかも、その問いにつながっていると思います。自分をよく見せるためでも、心を動かして買ってもらうためだけでもなく、聞く人に、相手によいことがあるかという問いを手渡すため。私はこの章を、失敗の出し方より先に、失敗を誰のために出すかを問う章として受け止めます。

下の図は、失敗談を集客の道具にする形と、聞く人に何が返るかで出す形を比べた、私の問い直しです。

私の問い直しの図。心の整理がついた失敗談から、自分のためだけに戻る道と、聞く人に何が返るかへ向かう道に分かれる
図23|私の問い直しの図。心の整理がついた失敗談から、自分のためだけに戻る道と、聞く人に何が返るかへ向かう道に分かれる

監修者・著者による「おわりに」

想定外の成功と想定外の失敗の道標、手前に箸立てとして使われる分厚い湯呑み
図24|想定外の成功と想定外の失敗の道標、手前に箸立てとして使われる分厚い湯呑み

監修の藤屋さんは、自社の事業は自社の顧客が決める、と締めます。

顧客の心を読もうとしない。現場に出て観察し、発言に耳を傾け、質問する。

非顧客をよく見ることも重要だ、と書いています。自社から買っていない人のほうが、圧倒的に多いからです。

起業段階で大事なのは、想定外の成功。想定外の人が買ってくれた、想定外の使い方をしている人がいる。逆に想定外の失敗は、構想が思い込みにすぎなかったという市場からのシグナルです。

著者の天田さんは、成功したイノベーションのほとんどは平凡だ、というドラッカーの考えに勇気づけられている、と書きます。

たとえ話がいいんです。お寿司屋さんでもらった、大きくて分厚い湯呑み。日常で使うには重くて不便。でも、箸立てやペン立てとして使うことを思いつけば、それも立派なイノベーションだ、と。

新しい技術だけがイノベーションではない。第4章の組み合わせの話と、ここでつながります。

本書に登場した起業家は33人。答えは現場にあると信じ、可能な限り取材先に足を運んだ経験が本書を生んだ、と天田さんは書いています。

実践編:『ひとり起業』の強化書を自分の事業に移す

強みを人に聞く、やらないことを一行書く、値段の基準を一文にする、理想の顧客を一文にする、場の価値をひと言にするの5枚のカード
図25|強みを人に聞く、やらないことを一行書く、値段の基準を一文にする、理想の顧客を一文にする、場の価値をひと言にするの5枚のカード

読んで終わりにしないために、本書の問いを自分の事業に移してみます。

どれか一つからで大丈夫です。

強みを人に聞く

第1章のやり方です。正直に答えてくれそうな人に「私の強みは何だと思いますか?」と聞く。何人かに聞いて、共通項に印をつけます。

やらないことを一行書く

第2章の、これだけはやらないリスト。まず一行でいいので、受けない仕事を書きます。

値段の基準を一文にする

望む価格で買ってもらう前に、値段を決める物差しを一文で書きます。値段を上げ下げする時にも削らないものを書いてみてください。

あなたの基準は、何でしょう?

理想の顧客を一文にする

第5章のとおり、先に理想の事業を描き、そこから一緒に仕事をしたい相手を一文で書きます。その一文に、どんな言葉が入るかを見てみてください。

場の価値をひと言にする

第6章の問いです。誰のための場か。参加すると何が解決し、どんな気持ちになるか。主宰者の魅力ではなく、場の価値として書きます。

どれも、紙に書くだけで進む問いです。AIに一つずつ聞いてもらうなら、次の依頼文が使えます。

AIに頼む文|この本の問いを、自分の事業で整理する

使い方:下のボタンでコピーして、ふだん使っているAIに貼ってください。枠の中にこの記事のURLが入っているので、AIは最初に記事を読みにいきます。読めなかった時は、その旨を伝えたうえで、枠の中の要点で進めます。

依頼文を開く
【記事のURL】https://ai-kidou.jp/hitori-kigyo-drucker-book-review/

最初に、上のURLを開いて記事を読んでください。
読めない時は「記事を読めませんでした」と伝えて、下の要点だけで進めてください。

【この記事の要点】
・強みは自分で決めず、顧客に聞く
・「何をしないか」もコンセプトの一部
・望む価格で買ってもらい、価格競争に巻き込まれない
・理想の顧客は、理想の事業から描く
・場づくりでは、主宰者の魅力より場の価値を言葉にする

【目的】
私の事業について、顧客との対話・やらないこと・場の価値を整理する。

【やってよいこと】
・短い質問を1つずつする
・私の答えに合わせて、次の質問を変える
・最後に、私の環境へそのまま貼れる追加プロンプトを1〜3本つくる

【守ること】
・設定の変更、送信、削除、購入はしない。必要な時は確認と提案だけにする
・パスワード、APIキー、顧客の個人情報などの秘密は貼らせない。貼られそうな時は止める
・記事にない数字や事例を作らない
・扱う範囲は、顧客との対話、やらないこと、場の価値に限る

【返す形】
1. 整理した内容(顧客に聞くこと/やらないこと/場の価値のひと言)
2. 追加プロンプト1〜3本(それぞれの先頭に【記事のURL】https://ai-kidou.jp/hitori-kigyo-drucker-book-review/ を入れる)
3. 自分の目で読み直す所(1行)

では、最初の質問を1つだけしてください。

よくある質問:『ひとり起業』の強化書

Q. ひとり起業をしていなくても読む意味はありますか?

本書が想定する読者は、ひとり起業家と、これから起業する人です。ただ、強みを顧客に聞くことや、やらないことを決めることは、事業の規模を問わず使える問いです。

Q. ドラッカーを読んだことがなくても読めますか?

著者は、専門用語をできるだけ使わないよう工夫したと書いています。各章でドラッカーの考えを紹介し、起業家の事例で説明する構成です。

Q. 事例は今も通用しますか?

事例は2019年の出版時点の話です。数字や活動の状況は、今とは違う可能性があります。考え方の部分を中心に読むのがおすすめです。

Q. 差別化と独自化は何が違うのですか?

本書では、差別化は技術やスキルを磨いて「そこまでやるか!」と思わせること。独自化は、小さくても独占的な立ち位置を確保して「何それ?」と言われることです。

Q. コミュニティは自分でつくるべきですか?

本書は、自分が主体となって人が集まる場所をつくることを勧めています。私の捉え方は第6章の箱に書いた通りで、本書とは少し違います。両方を並べて、合う方を選んでください。

Q. 最初に一つだけやるなら何ですか?

第1章に沿うなら、正直に答えてくれそうな人に「私の強みは何だと思いますか?」と聞くことです。

まとめ:ひとり起業の強化書は、値段と顧客と場を一本でつなぐ

値段・顧客・場の輪がつながり、中央に安売りしないの札がある図
図26|値段・顧客・場の輪がつながり、中央に安売りしないの札がある図

この本は、強みと顧客を絞って、望む価格で買ってもらい、場の価値で続く事業をつくる話でした。

根っこにあるのは、安売りしないこと。

強みは顧客に聞く。やらないことを決める。小さく独占する。理想の顧客を事業から描く。場の価値を言葉にする。失敗も含めて物語にする。

値段の話から入って、最後は場の話。あなたの事業なら、どこから読みますか?

天田幸宏『ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書』の表紙

ドラッカー理論で成功する「ひとり起業」の強化書

気になった章から、手に取って確かめてみてください。

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コラム|聞いてもらった時に、伝えたかったことが出てきた

2026年10月30日の問答

第1章は、強みを顧客に聞く章でした。本書は「正直に答えてくれそうな人」に聞くよう書いています。ここでは、聞いてもらった側からこの章を読み返します。

ひろくん(田中啓之)が相手から聞いてもらい、伝えたかったことをありのまま話している図。話した思いを相手も持っていて共鳴した、というコラムの場面
図27|ひろくん(田中啓之)が相手から聞いてもらい、伝えたかったことをありのまま話している図。話した思いを相手も持っていて共鳴した、というコラムの場面
相手から聞いてくれたことによって自分が伝えたかったことがスムーズに伝えられて、それがまた共感や共鳴を引き出した

何が噛み合ったのかと問われ、こう答えています。

ありのまま伝えたことが相手も思ってて共鳴

伝えた思いを、相手も持っていた。できないことをどう見ていたかも、同じ問答で聞かれています。

できないことはできないとか。そのまんまありのまんま伝えて

できないことも、そのまま伝える。そのうえで結果に執着せず、やりたい人にやりたいようにやってもらう、と続けています。こんな答えもあります。

でこぼこありのままワクワク夢中に遊び探求することだけでお互いのでこぼこが噛み合って幸せの総量が増える

聞いてもらった。ありのまま伝えた。できないことはできないと伝えた。話す側で守っていたのは「ありのまま」です。本書の「正直に答える」を、私はありのまま話すことだと受け取りました。

自分がワクワク夢中にありのままでいられること

別の問答で、譲れなかったことを聞かれた時の答えです。元の記事は「高く売るのは、自分が儲けるためじゃない」です。聞いてもらった時の話し方にも、譲れないものにも、同じ「ありのまま」が入っているんですよね。第1章は、話す側がありのままでいられるかの章としても読めます。

分身AIと過ごした最初の100日の記録は、分身AIと歩んだ100日の全まとめにあります。分身AIについては、分身AI.comにまとめています。

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🤖 AI生成コンテンツについて

この記事はAIツール(Claude Code)を活用して制作しています。構成・文章生成・画像制作にAIを使用し、最終的な内容の確認・編集・公開判断はひろくん(田中啓之)本人が行っています。「分身AIひろくん」(bunshin-ai.com)とは別のコンテンツです。

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