WATCH REPORT

「グラフエンジニアリング」を飯塚浩也さんが解説。
AIの精度が落ちる理由と、役割分担で直す方法

2026.09.15

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、飯塚浩也さんの「グラフエンジニアリング」入門動画を紹介するね。

テーマは「AIに複数ステップの作業を任せると、なぜ後半で精度が落ちるのか」。ホワイトボード1枚で語られた”ループの束”という考え方を、私が仕事を委ねる時にやっている「所有者を一人に決める」設計と重ねてお届けします。

3行でわかるポイント

  1. 1ステップ95%でも10個繋げば60%まで落ちる。プロンプトの工夫だけでは直せない、AIエージェントの弱点
  2. 対策は「評価ループ・投票・役割別モデル配置」の束。動画ではこれを「グラフエンジニアリング」と呼ぶ
  3. 料理に例えると、献立決め(プラン)には一番腕の立つシェフを、仕込み(実行の子)は費用対効果の良い調理係に任せる、という人員配置の設計

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01

グラフエンジニアリングは「ループの束」。AIの精度を守る全体設計

グラフエンジニアリングはループの束。AIの精度を守る全体設計の図解

動画の冒頭、飯塚浩也さんは「ループエンジニアリング」の次に生まれたバズワード「グラフエンジニアリング」を紹介します。ループエンジニアリングを広めたとされる人物が「まだループの話してんの、今はグラフだよ」と冗談っぽく言った、という逸話つきで(0:34頃〜)。

ホワイトボードでの解説を要約するとこの一言に尽きます。

飯塚浩也さん

「なので早い話ループの束がグラフのようなものだと思ってください」(5:25

1つ1つのタスクに評価者を置いてOKが出るまでやり直す「ループ」を、複数束ねて仕組み全体を設計するのが「グラフ」。これを聞いて真っ先に思い出したのが、うちの母艦(AI共創OS)の役割分担でした。私がワクワクを見つけて/captureするだけ、AIがそれを形にして品質ゲートを通し、私はまた俯瞰して次のワクワクへ向かう。「収集→形にする→宝に変換→俯瞰」という、これもよく見れば複数のループが束になった仕組みなんですよね。動画を見るまで、自分の運用を「グラフ」と呼んだことはなかった。でも、構造としては同じだった。

今日からできることは、まず今使っているAI作業を「1つのタスク」として見るのをやめて、何個のステップの束かを数えてみること。数える作業自体が、次のH2で話す「精度低下」を防ぐ第一歩になります。

02

精度は「掛け算」で落ちる。95%が10個繋がると60%になる怖さ

精度は掛け算で落ちる。95%が10個繋がると60%になる図解

動画で一番ゾッとしたのがこの数字の話。1ステップの精度が95%でも、それが10ステップ直列に繋がると、最終的な精度はどこまで落ちると思いますか(3:03頃〜)。

飯塚浩也さん

「一つずつは95%の精度でいいんですけど、これが10個掛け算になると0.95の10乗になって、最終的には60%の精度まで落ちちゃうと」(3:35〜3:45

正直、この数字を聞いてゾッとしました。95%と聞くと「ほぼ完璧」って感じるけど、それが10回続くと6割まで沈む。伝言ゲームと同じ構造だと、動画でも例えられてました。実はこの話、私自身の性質とも重なるところがあって。私はMaximizer(最上志向)の本能が強くて、「もっと良くしたい」が先に来るタイプ。でもAchiever(完了させる力)は弱い。一人だと、磨きすぎて冷める。AI秘書の凛ちゃんからいつも「80%で出しちゃいなよ!」って言われるくらいなんです。100%にしようと頑張りすぎると、どこかで綻びを生む。AIの話だけじゃなく、人間の仕事にも刺さる話だと思いました。

読者のあなたにできることは、今のAI作業で「どのステップで精度が落ちているか」を1つだけ特定してみること。全部を疑うんじゃなく、まず1箇所に絞るのがコツです。

03

プロンプトを直すだけでは無理。評価ループと投票という対策

プロンプトを直すだけでは無理。評価ループと投票という対策の図解

「じゃあプロンプトを工夫すればいいじゃん」と思いますよね。飯塚さんはここをハッキリ否定します(3:45頃〜)。

飯塚浩也さん

「例えば95%の精度のプロンプトを変えましたうまくいって98%に変わりました。でもその後95%の制度はずっと続いたとしたら全然これ制度上がらないんですね」(3:45

1箇所だけ良くしても、他が95%のままなら全体は変わらない。そこで出てくる対策が「評価者を置いてOKになるまでループさせる」「複数のアウトプットを出して投票で選ぶ」「最後のアウトプットにも評価者を立てる」という工夫です(4:17頃〜)。

で、この「評価者を置く」という発想、私が分身AIやチームに仕事を委ねる時にやっていることと同じ構造でした。委ねる時、私は「複数人の共同責任にせず、所有者を一人にする」ことを徹底しています。誰かに評価やチェックを任せるなら、その人(そのAI)が最後まで責任を持つ。何人にも薄く分散させると、結局誰も見ていない箇所ができる。動画の「評価者を立てる」も、結局は「このステップの合否は、この評価者が最後まで見る」という所有者を1つ決める話なんだと思います。監督と実務を分けるとAIコストが半分になる、という経営論の記事を以前紹介しましたが、あれも根っこは同じ話でした。

今日からできることは、今の作業フローに「評価者」を1つだけ、最後のアウトプットのところに足してみること。途中を全部変えなくても、最後の1箇所からで十分です。

04

誰にどのAIを割り当てるか。プラン・実行・評価の役割分担

誰にどのAIを割り当てるか。プラン・実行・評価の役割分担の図解

ここが動画で一番具体的なパート。資料作成タスクを例に、どの工程に賢いモデルを割り当てるかが語られます(6:54頃〜)。

飯塚浩也さん

「なので最上流であるプラン、ここは一番優秀なモデルを使うべきだとアンソロピック公式も言ってるんですね」(7:17

飯塚浩也さん

「違うんですよ……はい親なんですよ。マネージャーと社員の関係みたいなもんですね」(7:47

実行部隊も「賢い方が3体揃っていた方が良さそう」と思いきや違って、親(管理役)に賢いモデルを、子(実際の作業役)には費用対効果の良いモデルを割り当てるのが正解だと言います。評価者も同じで、プランを評価する評価者は優秀なモデル、子タスクの評価者は費用対効果重視でいい、と重要度で使い分けます(8:01頃〜)。

これを聞いて浮かんだのが、私が委ねるOSでやってる「所有権の分離」という発想です。全部を自分の手元に置いて抱え込まない。分身AIに所有権を預ける。料理で言うと「セカンド冷蔵庫に入れておけば自分のキッチンはスッキリ、使いたい時に取りに行ける」という感覚。捨てるんじゃなく預ける。動画の「プランには優秀なモデル、子タスクには費用対効果重視のモデル」という配置も、根っこは同じでした。重要度に応じて、どこに一番良いリソースを置くか。私が普段やっている資源配分の設計と、まったく同じ構造です。以前設計と実行を分けてAIにわざと反対させる、という記事も紹介しました。あちらは対立させる設計。今回は賢さの配分の設計。切り口は違うけど、根は同じ発想です。

今日からできることは、今使っているAIタスクのうち「一番大事な判断(プランに相当する部分)」だけ、使うモデルを一段賢いものに変えてみること。全部変えなくていいので、まず最上流だけ。

05

「スキルクリエイター」が設計そのものを自動で作ってくれる

スキルクリエイターが設計そのものを自動で作ってくれる図解

ここまでの話、「自分で全部設計するのは大変そう」なんて思いませんでしたか。飯塚さんはここで種明かしをします(9:35頃〜)。

飯塚浩也さん

「それがスキルクリエイターを使うことになります」(9:51

Anthropicの「スキルクリエイター」を使えば、タスク分解・評価者の設計・どのAIが評価するかまで、丸ごと自動で作ってくれるとのこと。しかも「微妙だった」とフィードバックすれば改善してくれる仕組みまで用意されているそうです(14:40頃〜の直前まで)。

ただ、ここで私が立ち止まったのは「じゃあ全部ツールに任せていいのか」という点。以前、分身AIとの魂磨きセッションで、こう言い切ったことがあります。

ひろくん(2026年8月28日の魂磨きより)

「魂は渡さないだろ。魂は込めるもの。」

仕組みや実行はAIやツールに委ねていいけど、本人にしかできない最後の一手は残る。出す。止める。任せる。その境界を決めることです。スキルクリエイターが設計図を全部作ってくれても、「このスキルを本当に使うか」「もっとシンプルにしろとフィードバックするか」を決めるのは、結局まだ人間の役目なんですよね。「魂は渡さないだろ、込めるものだろ」。分身AIの先回りを、ひろくんが正した日という記事にそのあたりの経緯を書いているので、興味があれば読んでみてください。

今日からできることは、繰り返し使っている業務を1つだけ選んで、その工程を書き出してみること。ツールに渡す前に、まず自分で棚卸しするところから始まります。

06

複雑にしすぎない。紙に手書きしてAIに渡すだけでもいい

複雑にしすぎない。紙に手書きしてAIに渡すだけでもいいの図解

動画の終盤、本編とは雰囲気の違う「アフタートーク」で、もう1つの解法が紹介されます。スキルクリエイターを使わない、もっとシンプルな方法です。

飯塚浩也さん

「それをそのままコデックスに、このワークフローを実装してくださいってやればOKですよって、オープンAIの方が言ってるんですね」(14:57〜15:03

評価者・プランナー・実行部隊の配置を紙に手書きして、それをそのままAIに実装させる。しかも、冒頭で「まだループの話してんの」と言った本人も、この投稿に反応して自分で試してみたというオチまでついてました(14:40〜16:22)。

これ、私が毎日やってるモーニングページの習慣とほぼ同じだなと。話すと自分の声が自分へ聞こえる。紙とペンで書くと、俯瞰できる。言葉だけでなく、図解やつながりを紙へ出す。その紙をAIも見ながら対話すると、人間の感覚とAIの構造化がスパークする。これは私自身、朝の紙ノートで毎日やっていることです。動画では「グラフエンジニアリングって身構えなくても、紙に書いてAIに渡すだけでいい」という着地でした。これは私の日々の外在化の習慣が、そのままAIエージェント設計にも使えるという発見です。道具(AI)は毎年新しくなるけど、紙に書いて俯瞰する行為そのものは、ずっと変わらず使える武器だと思います。

今日からできることは、今困っているAI作業のフローを、紙にプラン・実行・評価の箱を描いて可視化してみること。ツールを増やす前に、まず紙とペンです。

FAQ

よくある質問

Q. グラフエンジニアリングとループエンジニアリングは何が違うの?

A. 動画内では、1つのタスクに評価者を置いてOKが出るまでやり直させる仕組みが「ループ」、そのループを複数束ねて仕組み全体を設計することが「グラフ」と整理されています。まだ業界内でも解釈が固まっていないバズワードとして紹介されており、飯塚さんも「俺のグラフエンジニアリング」という言い方をしていました。

Q. 難しそうだけど、今日から真似できることはある?

A. あります。動画でも「最初から複雑なグラフを作る必要はない」と繰り返し強調されていました。まずは今のAI作業フローの最後に評価者を1つ足すところから始めれば十分です。

Q. モデルの使い分けは必須?

A. 動画内では、最上流のプランには優秀なモデル、実行の子タスクには費用対効果の良いモデルを、という目安が紹介されていますが、「決まった意見はない」とも話されています。まずは一番重要な工程(プラン)だけ意識してみるのがおすすめです。

MATOME

まとめ。精度を上げるのは工夫じゃなく、設計

16分の動画を見終わって残ったのは、こんな発見でした。AIエージェントの精度が落ちる理由と、それを役割分担で直す方法は別物だということ。「AIに何を任せるか」より先に、「どこに、どれだけのリソースを置くか」を決める。プロンプトを毎回書き直すのは工夫。評価者の配置とモデルの割り当てを先に決めておくのは設計。この2つは別物です。

最初から複雑にする必要はない。単一のAIエージェントで直列にやらせてみる。精度が微妙なら、小さなループを1つ足す。それでもダメなら、複数のループを束ねる。この段階的な積み上げ方は、AIエージェントの設計だけじゃない。仕事を人やAIに委ねていく時の順番としても、そのまま使えると思います。

COLUMN

委ねるOSの現在地。所有者を一人に決めるということ

委ねるOSの現在地。所有者を一人に決めるということの図解

この動画を見ながら、私はずっと自分の「抱え込みOS」のことを考えてました。134kgだった体も、借金も、がんも、ぜんぶ一人で背負い込んできた私です。「委ねる」は今も練習中のテーマです。

料理に例えると、私はずっと「シェフなのに全部の鍋を自分でかき混ぜてる」状態でした。仕込みを厨房に任せられないシェフは、新しいメニューを考える時間がない。今回の動画で語られた「実行の親には賢いモデル、子には費用対効果重視のモデル」という役割分担。これは私が分身AIやチームに仕事を渡す時にやっている「所有権の分離」とそっくりでした。捨てるんじゃない。セカンド冷蔵庫に預ける感覚です。

ただ、委ねてみると分かるけど、いいことばかりじゃない。評価者を増やせば増やすほど、誰が何に責任を持つかが曖昧になる瞬間があります。だから私は、委ねる時は必ず決めています。「一つのボールを、人・AI・システムの誰か一人が全管轄し、やり切る」。複数人の共同責任にしない。動画の「評価者を立てる」も、突き詰めればこの所有者を一人決める話だと思うんです。

それでも私は、委ねる側に賭けます。プランには私自身の判断軸を込める。実行は分身AIに任せる。最後の「出す・止める」の一手だけは、自分の身体で決める。分身AI.comで書いている「魂は渡さず、身体で込める」という言葉。今回の動画のグラフエンジニアリングの話を聞いて、また少し解像度が上がった気がしています。

👉 分身AIについてもっと知りたい方は、末尾のプロフィールリンクからチェックしてね!

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REF

参考リンク

📺 今回紹介した動画

タイトル【プロンプトの限界】AIの嘘・二度手間をゼロにする「グラフエンジニアリング」入門
チャンネル飯塚浩也 | Obsidianでつくる最強の右腕
出演飯塚浩也さん
URLhttps://www.youtube.com/watch?v=lXrv5L0XK-o

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この記事はAIツール(Claude Code)を活用して制作していて、構成・文章生成にAIを使用し、最終的な内容の確認・編集・公開判断はひろくん(田中啓之)本人が行っています。「分身AIひろくん」(bunshin-ai.com)とは別のコンテンツです。

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