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「たいやき ともえ庵」を辻井啓作さんが解説。150円を300円にした発信の尖らせ方

2026年9月20日

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、阿佐ヶ谷のたいやき店「ともえ庵」店主・辻井啓作さんが語った「発信でお店を強くする」という記事を紹介するね。

150円のたいやきが、いつのまにか300円になっている。阿佐ヶ谷の「たいやき ともえ庵」は、そんな店です。店主の辻井啓作さんは中小企業診断士でもあり、著書『片手間PR術』もある方です。そのインタビューを読んで、値段が上がった理由は味だけじゃないと分かりました。商品の「尖り」と「発信の設計」を両輪で回していたんです。今日はその中身を、私のEC事業や惣菜屋の実家の話とつなげて読んでいくね。

3行でわかるポイント

  1. 差別化は「一ひねり」で止める。二ひねりすると誰にも伝わらなくなります
  2. 書く相手を「お客さん」から「メディア」に切り替える。検索される文字情報が次の露出を生みます
  3. 判断の窓口を1つに絞ると、迷う時間が減ります。任せる設計と、集める設計は向きが違うだけです
01

たいやき ともえ庵の辻井啓作さんが解説する、情報発信の前にやるべき「尖る」こと

尖らなければ安売りしかない 図解

辻井啓作さん(たいやき ともえ庵 店主)「150円のたいやきを300円に」より

商売を大きくするにはまず「尖る」ことが大事ですよね。尖りたくなければ、商品を安く売るしか勝ち筋はありません。もちろん、尖るといっても、どこに刺さるかはわからないので、試行錯誤が必要ですけどね。

この「尖らなければ安く売るしかない」という話、正直、胸に刺さりました。

私は中卒フリーターから、リフォーム会社でWEB集客を独学で覚えました。言葉と写真と導線で人の行動が変わる。その魔法に魅了されて、EC事業を始めて、月商6,000万円まで伸ばしました。

振り返ると、あの頃の自分も、ずっと「尖り」を探していたんだと思います。安く売るしか勝ち筋がない状態は、正直、しんどいものです。

辻井さんの店も同じ構造です。150円のたいやきをただ焼いているだけなら、老舗の「柳屋」や「たいやき わかば」に勝てるはずがありません。だから自家製の白玉を使い、山椒をたっぷり混ぜた「青実山椒たいやき」まで育てた。安売りはしない。代わりに、尖る努力を先に払っているんです。

老舗は、長く続けていること自体が尖りになります。でも新しく始めたばかりの店は、その尖りをまだ持っていません。辻井さんが自分で「別軸の尖りを考えなければならない」と語っているのは、後発だからこその視点だと思います。

【今日からできること】自分の商品・サービスについて「これだけは他と違う」と一文で言えるか、試してみてください。言えなければ、まだ尖りは足りていません。

02

実家の惣菜屋で学んだ、「一ひねり」で止める勇気

差別化は一段階ずつ 一ひねり図解

辻井啓作さん「150円のたいやきを300円に」より

私が差別化の際に心がけているのは、既存の商品を「一ひねり」したものにとどめること。二ひねりすると、お客さまにとって理解できないものになってしまうんです。

「二ひねりすると伝わらない」というのは、うちの実家の商売にもそのまま当てはまる話です。

私は東京都板橋区の惣菜屋「山口屋」の生まれです。今でも食材の買い出しに行くと、新しい発見や特売品を見つけて、商売っ子の血が騒ぎます。

辻井さんは「梅干し白玉たいやき」を例に挙げて、この段階の踏み方を説明しています。「白玉たいやき」を知らない人にいきなり「梅干し白玉たいやき」を出しても、「結局どんな味?」で困惑させてしまう、という仮定です。だから、誰もが分かる「白玉たいやき」から始めて、定着してから次の一手を出す。順番を守るだけで、伝わり方はまったく変わります。

【今日からできること】自分の商品説明やLPを開いて、一度に伝えている工夫が2つ以上ないか数えてみてください。多ければ、1つに絞って出し直すだけで伝わりやすくなります。

03

地元の人は「地元にすごいものがある」とは思わない

評価は外からやってくる 図解

辻井啓作さん「150円のたいやきを300円に」より

えてして、地元の人は地元にすごいものがあるとは思わないんですよ。よそで評価されてはじめて、地元のものの良さに気づく。その流れをつくるにはやはり、メディアに露出することが重要でしょうね。

この「地元の人は気づかない」という話、私はこう読みました。評価は内側では生まれない、ということです。

辻井さんの「青実山椒たいやき」に火がついたのは、2025年冬にあるアイドルグループのYouTubeチャンネルで紹介されたのがきっかけでした。店の前を毎日通る地元の人が気づかなかった価値を、外の誰かが先に見つけたわけです。

そこから先の展開も具体的です。地元メディア「高円寺経済新聞」に「たいやきの開き」という商品が取り上げられ、それを見たニュース番組のスタッフが自分の番組で紹介し、さらにさまざまなWebメディアへ広がっていった。1つの露出が次の露出を呼ぶ流れを、辻井さんはあらかじめ想定して種をまいています。

ただし、こうして振り返って説明できても、テレビ番組に取り上げられること自体は「まぐれでしかない」とも辻井さんは語っています。勝利の方程式は無い。だからこそ、まぐれを起こすために普段からやれることをやっておく、というスタンスなんです。

自分の内側だけで「これはいいものだ」と思っていても、外から見てもらう仕組みがなければ、その評価は生まれません。場を外に開くことも、発信の一部なんです。

これは私自身の実績にも重なります。KADOKAWA出版・テレビ出演多数という実績が、今の私にはあります。

【今日からできること】自分の実績や商品を見せられる「外の場」を1つ思い浮かべて、そこへの接点を今週中に作ってみてください。

04

お客さんではなく「メディアに向けて」書く、という発想の転換

お客さんではなくメディアへ書く 図解

辻井啓作さん「150円のたいやきを300円に」より

新商品を出したら公式ブログで「つくった経緯」を細かく書くようにしています。テキストにして、検索できる状態でネットの海に浮かべておく。動画など発信手段は増えていますが、検索で引っかかるのは基本的に文字情報ですからね。

「検索で引っかかるのは文字情報」という一言、正直、痺れました。

私は毎朝、紙にマインドマップで頭の中を書き出しています。もやもやがFIXされて、新しいアイデアも湧いてきます。iPadでは駄目です。紙とペンじゃないと出てこないものがあります。AI活用の最前線にいながら、一番大事な道具がアナログの紙とペンなんです。

辻井さんの「つくった経緯を文字で残す」も、外に出す作業という意味では同じ構造です。動画は見た瞬間にしか届きませんが、文字は検索されて残ります。「お客さんに読ませようと思って書いてないですよね」と記者に言われるくらいの粒度で書くから、取材する側は「ここは空振りがない」と思えるわけです。検索を意識した発信は、後から見つけてもらうための投資なんです。

たいやきは300円ほどの商品です。判断基準は、おいしいかおいしくないかだけで十分です。でも、メディアに紹介してもらうには、それだけでは足りません。「おいしい」という浅い情報だけでは、取り上げてもらえないからです。

書く相手をお客さんからメディアへ切り替える。この発想の転換だけで、同じ文章の重みが変わります。

【今日からできること】直近の新商品・新しい取り組みについて、つくった経緯を検索される言葉で1本書いてみてください。

05

「判断はまとめて引き受ける」——窓口を店主ひとりに絞るという設計

窓口を1つに絞る 図解

辻井啓作さん「150円のたいやきを300円に」より

「メディア対応を優先させる」という意識を自分だけでなく、スタッフの間にも浸透させています。たとえ営業なのか取材なのかよく分からない連絡が来ても、スタッフだけで対応させることはありません。「自分に判断を一任していい」と常々伝えています。

この話、正直、私とは逆の方向でした。

がんの治療で入院して、朝LIVE配信を続けられなくなったことがあります。ただっちが代わりに配信を続けてくれました。病室からその様子を見た時、「居場所を奪われた」という複雑な感情もありました。でも、ありがたさもありました。結果的に、ただっちも成長して、番組はより良くなり、自分の負担も減りました。手放したら良くなった、という経験です。

辻井さんは逆の設計を選んでいます。迷う連絡が来たら、スタッフだけで対応させず、判断を自分に集める。任せて手放した私と、集めて引き受ける辻井さん。向きは正反対です。でも、どちらも判断の置き場所を経営者が意図して決めている点は同じなんです。

辻井さんは「店頭こそ一番のメディア」とも語っています。テレビに出ても、店頭で魅力が伝わらなければ売れません。連絡先や電話番号を分かりやすい場所に公開しておくことも、メディアに取材してもらうためのコストだと割り切っている。この地道さが、窓口を一本化する設計を支えています。

電話番号を公開すれば、営業電話もかかってきます。その対応も必要になります。それでも、電話番号を公開していなければテレビの取材依頼すら来ない、と辻井さんは言い切っています。コストは引き受ける。それが前提です。だから、窓口を一本化できるんだと思います。

【今日からできること】自分の仕事の中で、判断の窓口を「自分に集める」か「人に任せる」か、意図して選べているかを点検してみてください。

06

バズる発信と売れる発信は別物。「直接紹介」だけが売上になる

バズる発信と売れる発信は別物 図解

辻井啓作さん「150円のたいやきを300円に」より

実はSNSの発信でも、売り上げにつながるバズとつながらないバズがあるんですよ。前者の代表は、コロナ禍でつくった「たいやきマスク」を紹介するXの投稿でした。マスクだけで300万〜400万円の売り上げを立てることができました。ただ、それで味をしめてつくった雑貨は、何ひとつ売れていません(笑)。この2つの事例の差って、商品が直接的に紹介されているかどうかなんです。

「バズっても売れないことがある」という話、正直、身につまされました。

辻井さんの「たいやきマスク」は8,000リポストされて、商品そのものが主役として拡散し、300万〜400万円の売上になりました。ところが、その勢いに乗って作った雑貨は、何ひとつ売れなかったそうです。同じ店主が、同じ勢いの中で、判断を誤ることもある。ここが正直なところだと思います。

もう1つの例が「タピオカたい焼き」の投稿でした。話題としては面白くても、実際にその商品を店で扱っていませんでした。だから売上には結びつかなかった。話題と商品がずれていたわけです。「タピオカたい焼きって売れそうじゃないですか?」と聞かれることもあるそうですが、あのブームは10年前に全国的に流行ったものです。専門店もほぼ絶滅しています。

話題を作る力と、それを直接の商品紹介に変える設計。この2つは、揃って初めて売上になる別の仕事なんだと思います。

私も朝LIVEで毎日人と繋がり、アイデアを外に出して磨いています。ただ、それは日々の習慣であって、毎回バズることを狙っているわけではありません。

【今日からできること】最近バズったのに売上に繋がらなかった発信を1つ思い出して、「商品が直接紹介されていたか」を確認してみてください。

07

「つくっただけ」では「やった」ことにならない

つくっただけではやったことにならない 図解

辻井啓作さん「150円のたいやきを300円に」より

つくっただけでは「やった」ことにならない。知ってもらってはじめて「やった」ことになる、という意識が大切でしょうね。

「つくっただけではやったことにならない」。この一言、正直、耳が痛いです。

作って満足して終わる。それは仕事の半分でしかないという意味だと受け取りました。知ってもらって、初めて「やった」ことになる。

辻井さんは、メディア露出で行列ができても、常連客が離れる心配はそこまでしていません。「並べば買える」ので、お客さまの満足度がそこまで下がらないと観察しています。むしろ、地元の人が「ここ、テレビに出た店だよ」と会話しながら通り過ぎる。その積み重ねが、売上のグラフより先に、ブランドイメージとして残っていく。

売上そのものも、一直線には伸びていないそうです。ワッと上がって、通常に戻って、また上がって、戻る。その波を繰り返しながら、じわじわ底が上がっていく感覚だと辻井さんは語っています。一気に伸びることより、この繰り返しに耐えられるかどうかが分かれ目なんだと思います。

作ることと、知ってもらうこと。この2つを両方やって、初めて「やった」ことになるんだと思います。

私が朝LIVEを無料で開放しているのも、人が集まる理由を先につくるためです。

【今日からできること】自分の商品やサービスについて、人に思わず自慢したくなるような一言を、1つ考えてみてください。

FAQ

よくある質問

Q. 小さな店や個人事業でも、この発信術は真似できますか?

A. 真似できます。辻井さんの店も社員2名・アルバイト7〜8名という規模です。差別化を一ひねりに絞ることも、公式ブログに経緯を書くことも、今日から始められます。まずは自分の商品の「一ひねり」を言葉にするところからで十分です。規模の大きさよりも、地道な積み重ねの回数がものを言います。15年続けてきた実例として、参考にしやすいと思います。

Q. 生成AIは発信のどこで役立ちますか?

A. 辻井さんは、レコーダーに話した内容を生成AIにアップロードして文字起こしと編集をしてもらうと語っています。長文を書く手間が減った、という発言がそれです。書く力ではなく、話す力があれば発信を続けられる時代になっています。文章が苦手だからと発信をあきらめていた人にとっても、始めやすい環境が整ってきています。

Q. 値上げをして、お客さまが離れることはなかったのでしょうか?

A. 辻井さんは、行列で一時的に待ち時間が増えても「並べば買える」ので満足度がそこまで下がらないと語っています。「テレビ出たからしばらく買えない」と言っていたお客さまも、行列が落ち着いたらまた来店することが多いそうです。値上げそのものより、値上げに見合う「尖り」があるかどうかが先だと思います。業態によっては事情が違う場合もあるはずなので、自分の商売に当てはめて考えてみてください。

Q. バズを狙うより、まず何から始めればいいですか?

A. この記事の中では「まず尖る」が最初のステップとして語られています。差別化のないまま発信だけ先行させても、何を紹介すればいいのか自分でも分からなくなります。商品や仕事の「一ひねり」を言葉にしてから、発信の設計に進むのがおすすめです。順番を間違えると、せっかくの発信力が空回りしてしまいます。

MATOME

まとめ:発信は「尖った商品」と「文字情報」の両輪で進む

150円を300円にした値上げは、一夜にしてできたわけではありません。辻井啓作さんが語っていたのは、特別な広告テクニックではありません。地道な積み重ねでした。商品を一ひねりして尖らせる。外の評価を経由させる。お客さんではなくメディアに向けて文字で書く。判断の窓口を1つに絞る。話題と商品を直接結びつける。どれも今日から始められることばかりです。

150円が300円になった裏側には、尖りと発信の設計が丁寧に積み上げられていました。値段を上げるという行為そのものより、その手前にある設計を真似るほうが、多くの人にとって現実的な一歩だと思います。「勝利の方程式はない」とまで語る辻井さんが、それでも普段からやれることをやり続けているのが、地道さの正体なんだと思います。

辻井さんの店は社員2名、アルバイト7〜8名という小さな体制です。それでも15年続いて、年商は3,100万円まで育っています。大きな組織でなくても、尖りと発信の設計さえ揃えば、ここまでできるという証拠だと思います。今日紹介した7つの視点のうち、まずは1つだけでいいので、今週中に試してみてください。

判断の窓口を自分に集める設計も、人に任せる設計も、どちらが正解ということはありません。自分の商売の規模と体力に合わせて、どちらの向きで設計するかを意図して選ぶことが大切だと思います。向きを決めないまま曖昧に運用するのが、一番良くないんです。今日決めて、明日から変えてみてください。

COLUMN

モーニングページと、公式ブログの「つくった経緯」は同じ役目をしている

モーニングページと公式ブログは同じ役目 コラム図解

私は毎朝、紙にマインドマップで頭の中を書き出しています。もやもやがFIXされて、新しいアイデアも湧いてきます。iPadでは駄目です。紙とペンじゃないと出てこないものがあります。辻井さんが公式ブログに「つくった経緯」を細かく書くのも、頭の中を外に出す作業という意味では同じだと思います。

違うのは、外に出した先です。私の紙のノートは自分だけが見返すためのもの。辻井さんの公式ブログは、検索されてメディアの記者に見つけてもらうためのものです。同じ「外に出す」作業でも、誰に見つけてもらうかを決めるだけで、文章の役目はまったく変わります。

本人も「最近はあまり書けていないのですが」と語っていました。毎回きれいに書き続けることより、書ける時に外へ出しておくことのほうが、後から効いてくるんだと思います。

続けることと、完璧に書き切ることは、別の話だと思います。頭の中にあるものを全部外に出し切ることより、外に出す習慣そのものを切らさないことのほうが、続けやすいやり方です。完璧を目指すと、続かなくなります。

今日から、自分が頭の中だけで済ませていることを1つ、紙でもブログでもいいので外に出してみてください。誰かに見つけてもらうためか、自分の頭を整理するためか。目的を決めるだけで、書き方は自然と変わります。外に出す習慣は、続けているうちに自分でも気づかなかった考えを引っ張り出してくれます。今日の1行が、半年後に誰かの目に留まることもあります。

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REF

参考リンク

📄 今回紹介した記事

著者花沢亜衣(取材・文)/加藤岳(写真)
媒体おなじみ(LINE Corporation運営)
公開日2026年9月18日
元URL150円のたいやきを300円に。阿佐ヶ谷「ともえ庵」の客単価を上げる発信術

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