コラム

AI 2040 Plan Aとは?2035年に一度止める提案をやさしく解説

AI Futures Project の90ページと、池田朋弘さんの解説を読んで考えたこと

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。

今回は「AI 2040: Plan A」という未来シナリオと、それを解説した池田朋弘さんの記事を読んで考えたことを、経営者目線でやさしくお届けします!

3行でわかるポイント

  1. 2035年に一度止める提案——超知能の到来を10年わざと遅らせよう、という約90ページの勧告。予測ではなく提案として書かれている
  2. それでも2030年代の仕事は激変する——遅らせる対象は超知能だけ。「トップ専門家並みのAI」と働く時代は計画のうち。猶予はもらえるが、免除はもらえない
  3. 冷蔵庫が空なら、名シェフがいても何も出てこない——空いた時間で何をするかは、AIが決めてくれない。材料を仕込むのは自分の仕事
約2分|AI 2040 Plan Aをやさしく解説(クレイ調アニメ)

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AI 2040 Plan A の全体像。年表・5つの道・3本柱を1枚にまとめた図解

AI 2040: Plan Aってなに?──「予測ではなく、勧告だ」と言い切った90ページ

Plan Aってなに?予測ではなく勧告であることを示す図解

きっかけは、X(旧Twitter)で読んだ池田朋弘さん(@pop_ikeda)の記事だった。タイトルは『AI 2040』から考える働き方の未来——AI時代に価値観を取り戻す3ステップ

読みながら、何度も手が止まった。で、こう思ったんだよね。「これ、原典に当たらないとダメなやつだ」って。

それで開いたのが AI 2040: Plan A のサイト。まずはこっちの中身から書いていくね。

作ったのは AI Futures Project というチーム。中心にいるのはダニエル・ココタイロさん。去年、超知能への最短経路を月単位で克明に描いた『AI 2027』で世界的に読まれた人だね。今年公開されたこの『AI 2040』は約90ページある。

『AI 2027』が「このままだと、こうなる」の書だったとすれば、『AI 2040』は「だから、こうしよう」の書。同じチームが、今度は処方箋のほうを書いた。

提案の中身は、率直に言って過激だ。米中が2029年までに合意して、超知能の到来を2040年まで意図的に遅らせる。彼ら自身の見立てでは、何もしなければ超知能は2030年前後に来る。つまり「10年、わざとブレーキを踏もう」という提案なんだよね。

面白いのは、著者たちが冒頭できっぱり断っていること。

「Plan A と名付けたのは、これが予測ではなく勧告だからだ(It’s called Plan A because it’s a recommendation, not a prediction.)」

出典: AI 2040: Plan A(AI Futures Project)

冒頭にはアイゼンハワーの言葉も引かれている。「計画そのものに価値はない。計画を立てるという行為が全てだ(Plans are worthless, but planning is everything.)」

これ、私はすごく好きだった。畑と同じだなと思ったんだ。天気は読めない。台風が来るかもしれない。でも「今年は何を植えて、いつ水をやるか」を考えた人と、考えなかった人では、同じ台風が来ても残るものが違う。

そしてもう一つ大事なのが、これを書いているのが誰かということ。AIの能力向上を最前線で追ってきた人たちなんだよね。この業界で「遅らせよう」は、長いあいだ言いにくい言葉だった。進歩を止める側に回った瞬間、技術が分かっていない人の意見として片づけられるから。そのタブーを、アクセルの構造を一番よく知っている側が破った。だから真顔で読まれている。

柱は3つ。透明化・並走・「相互確証計算破壊」

透明化・並走・相互確証計算破壊というPlan A 3本柱の図解

提案の中身は、3本の柱でできている。

1. AI研究の完全な透明化

どの企業が、どれだけの計算資源を使い、何を訓練しているのか。それを相互に検証できる形で開示する。政策メニューには Covert AI Projects(隠れて進めるプロジェクトの検出)という項目まで並んでいる。

ここでのポイントは、道徳ではなく動機の話をしていること。隠れて先に行けるなら、誰かは必ず隠れて先に行く。だから、隠れること自体を成立させない。性善説をやめる設計になっている。

2. 複数企業・複数国での並走

超知能に向かう道を、1社や1国が独走しない。あえて複数のプレイヤーが横並びで進む状態を作る。

普通に考えれば非効率だよね。一番強いところに資源を集めたほうが速く着く。それでも並走させるのは、速さより「誰も単独では決められない状態」を優先しているから。意図的な非効率、と言い換えてもいい。

3. 相互確証計算破壊(Mutually Assured Compute Destruction)

3つ目がいちばん物騒な名前をしている。合意を破った国の計算資源を、他国が破壊できる状態を相互に作っておく。つまり「抜け駆けしたら、あなたのデータセンターは止まる」という抑止だ。

この名前には元ネタがある。冷戦期の核抑止、相互確証破壊(Mutually Assured Destruction/MAD)。頭に「Compute」を足しただけなんだよね。

正直に言うと、3本目の現実味は一番低いと思う。他国のデータセンターを止められる状態を、両国が納得ずくで維持する。文章にすると1行だけど、実装は途方もない。ただ、この語彙が出てきたこと自体が一つの情報だと思っている。AIの安全性を語るのに、いま人類が持ち出せる比喩が「冷戦」しかない。扱っている対象を、彼らは核と同じ棚に置いているということだから。

3本はセットでないと機能しない
透明化がなければ違反が見えない。見えなければ抑止は働かない。抑止がなければ並走は崩れる。どれか1つだけ実現しても意味がない、という設計になっている。

背景にある危機感はストレートだ。

“we do not expect humans to maintain effective control as their AIs become superintelligent”
(AIが超知能になったとき、人間が実効的な制御を保てるとは思っていない)

出典: AI 2040: Plan A

時間割は2029・2035・2040。でも一番静かで怖いのは2030〜2035

2029年合意・2035年一時停止・2040年解除の年表図解

『AI 2040』が具体的なのは、年号が入っているところだね。

起きること
2027年AIが労働力として定着し、議会が「で、これを支配するのは誰なんだ?」と気づく
2028年AIが選挙の主要争点に。候補者ごとに違うAI政策を掲げる
2029年合意。米中を軸に、透明化と相互監視の枠組みを成立させる
2030〜2035年段階的な到達。AIが各分野のトップ専門家に並ぶ水準まで上がる。ここは止めない
2035年一時停止。人間が制御を保てる範囲に留めるための踊り場
2040年解除。制御の仕組みが整った前提で、超知能へ進む

2029年が最初の、そしておそらく最大の関門だと思う。あと3年で、いま最も対立している2国が、最も戦略的な技術について手の内を見せ合う。前提として相当に厳しいよね。

でも私がこの時間割を眺めていて一番引っかかったのは、2035年の停止じゃなかった。その手前の、2030年から2035年までの6年間だった。

ここは「遅らせる」対象に入っていない。むしろ計画どおりに進む前提で書かれている。

つまり Plan A が完璧に実現したとしても、2030年代の前半、私たちは「各分野のトップ専門家と同じ水準のAI」と一緒に働くことになる。医師と同じ精度で読み、弁護士と同じ精度で条文を追い、トップコンサルタントと同じ精度で戦略を書く相手が、隣の席にいる状態。しかもそれは、ブレーキ計画が成功した場合の話。

いまが2026年。あと4年だよ。

そしてその6年間は、いま40代の人が50代になり、50代の人が定年を視野に入れる期間とそっくり重なる。この計画のいちばん静かな部分が、私たちの現役期間を丸ごと覆っているんだよね。

5つの道と、彼らが滅亡と並べて恐れている「力の一極集中」

Plan AからPlan Sまで5つの道の比較図解

2029年に提示される道は、5つある。

プラン中身
Plan A検証しながら減速する。透明化と相互監視のもとで段階的にスケール
Plan B中国と戦う。競争を加速して米国が主導権を握る
Plan Cリードを燃やす(”burn the lead”)
Plan D超知能への競争。一気に全部上げる(”Race to ASI”)
Plan S全部止める(”Shut it all down”)

肯定的なビジョンとして提案されているのは Plan A だけ。面白いのは、両端が両方とも否定されていること。全開でアクセルを踏むのもダメ、全部止めるのもダメ、と言っている。

料理でたとえると
強火で焦がすのでも、火を消して生煮えにするのでもなく、中火でコトコト煮ながら、何度も味見する感じ。

そして、なぜここまでして遅らせようとするのか。理由は2つ並んでいる。

分かりやすいほうが制御の喪失。人間が扱えない知能が先に生まれてしまうリスク。これは想像しやすい。

もう一つが、少し毛色が違う。極端な力の集中(an extreme concentration of power)だ。

こっちには滅亡がない。誰も死なない。世界はむしろ整然と運営されるかもしれない。それでも彼らは、それを避けるべき結末として滅亡と並べている。だから3本柱の2つ目が「複数での並走」なんだよね。あれは効率の話でも公平の話でもなくて、一箇所に集めないための設計だった。

で、この「誰も選んでいないのに全体が動く」構造は、国家間だけの話じゃない。

いま多くの経営者も、AI導入を積極的に選んでいるわけじゃないと思う。競合が使えば自社も使わざるを得ない。使わない判断をした会社は、数年で追いつけなくなる。誰も望んでいない方向に、全体が一斉に動いていく。米中が競争をやめられないのと、同じ形だ。

「うちの会社、この先AIをどう使うかは誰が決めるの?」——気がついたら、決めていたのは自分じゃなくて、まわりの空気だった。これ、他人事じゃないよね。

池田朋弘さんの記事で腹に落ちた。「猶予はもらえますが、免除はもらえません」

抱え込みOSと委ねるOSの対比図解

ここで、冒頭のきっかけに戻るね。私にこの文書を教えてくれた池田朋弘さんの記事の話。

原典を90ページぶん読んでから、もう一度あの記事を読み直した。そうしたら、1回目より何倍も刺さった。私が原典で読み流していたところを、池田さんは真正面から言語化していた。

「猶予はもらえますが、免除はもらえません。」

出典: 池田朋弘さん 『AI 2040』から考える働き方の未来

この一文で、背筋が伸びた。

そして池田さんは、AIの導入で最初に失われるのは雇用じゃない、と書いている。失われるのは「手応え」だと。心理学の自己決定理論(自律性・有能感・関係性)を引きながら、AIが真っ先に触るのは「有能感」だと指摘している。

これ、痛いほど分かる。出てくるものは良くなっている。速いし、抜け漏れも少ない。なのに、うれしくない。徹夜で作った不格好な資料のほうが、なぜか記憶に残っている。あの感覚だよね。

さらに刺さったのが、この指摘だった。

「日本人が失った大きな物語は、宗教ではなく会社でした。」

出典: 同上

新卒で入り、年次で昇進し、家を買い、子どもを大学に入れ、定年で花束をもらう。この筋書きは、自分がいま人生のどのあたりにいるのかまで教えてくれていた。それが崩れたところにAIが来る。時間が空くんじゃなくて、時間の中身が空く。

ここからは、私の話をさせてほしい。読んでいて途中から、国の話にも働き方の話にも聞こえなくなった。自分の話に聞こえた。

2025年1月、私は直腸がんの手術台にいた。麻酔が落ちる直前、無機質な蛍光灯を見上げながら「もし目が覚めなかったら」と考えた。そのとき頭に浮かんだのは仕事じゃなくて、家族の顔だった。

「癌」という漢字は、やまいだれに「品の山」と書く。仕事のプレッシャー、経営者としての責任、借金。全部を一人で抱え込んだ結果が、身体に腫瘍として出た。

20代のころは、返しきれない借金を背負い込んで、体重は134kgまで増えた。あの頃の私は、Plan D をやっていたんだと思う。「一気に全部上げる」「止まったら死ぬ」。アクセルしか踏み方を知らなかった。でも身体のほうが先に止まった。

Plan A が言っている3つを、自分に当てはめるとこうなる。

  • 透明化 → 一人で握らない。失敗もプロセスも外に出す
  • 並走 → 自分ひとりが暴走しないように、仲間とAIを横に置く
  • 抑止 → 「やった」と言うだけで終わらせず、確かめる仕組みを先に作る

私がやってきた「抱え込みOS → 委ねるOS」の書き換えと、同じ構造だった。

さらに言うと、私の抱え込みの一番深い根は、タスクじゃなかった。感情を笑いに変換して、一人で処理していたことなんだ。太っていることも借金も、子どもの頃からずっと自虐でネタにしてきた。「笑いの鎧」。誰かの前で、ネタにせずに「怖い」「辛い」と素で言えたことがなかった。

透明化って、たぶんそこまで含む。データを出すことじゃなくて、握りしめているものを開くこと

私はよく「AIは横に広げ、人間は縦に掘る」と言っている。Plan A の透明化は、AIの側を横に広げる話に見えて、実は人間が自分の内側を縦に掘って外に出す話でもあるんだよね。掘って出したものが、他の人の判断材料になる。悪いことこそ宝物、というのはそういう意味。

がんで入院しているあいだ、仲間の「ただっち」がAIライブを続けてくれていた。スマホ越しにその光景を見たとき、震えた。「俺がいなくても、この場は続くんだ」って。あれが私にとっての Plan A の実証実験だった。

じゃあ、空いた時間で何をするか。私の答え

1つ渡して、確かめて、次を渡す。AI導入の順番の図解

池田さんの記事は、最後に「価値観を取り戻す3ステップ」を出している。人類が価値観を手にする方法は、共同体に教わる・体験して痛む・誰かと対話する、の3つしかない、と。

これが私のやってきたことと見事に重なったので、自分の言葉で並べ直してみるね。

① 場は「参加する」より「作る」側に回る

参加者は価値観を受け取る。作る側は毎回それを決めなきゃいけない。誰を呼ぶのか、何を話すのか、どういう空気にしたいのか。5人の勉強会でも、開催のたびに「自分はどんな場にしたいのか」を問われる——池田さんのこの指摘は、本当にそのとおりだと思う。

私にとってはGPTs研究会と毎朝のLIVEがそれだった。畑を耕すのと同じで、場は勝手には育たない。でも一度耕した畑は、自分が寝込んでいるあいだも作物を育ててくれる。入院中にライブが続いていたのは、私が優秀だったからじゃなくて、場を開いていたからだった。

② 浮いた時間は「体験の原資」にする

効率化の目的を言い換える。余暇を作るためじゃなく、体験の原資を作るため。AIで時間が浮いたとき、人は2種類に分かれる。浮いた時間をまた効率的な仕事で埋める人と、その時間で経験を買う人。5年後、この2人は別の場所にいる。

処理量は、来年もっと安いAIが出た瞬間に値下がりする。体験は値下がりしない。ここは私も本当にそう思う。

私は「AIの人なのに、一番大事にしているのはリアルの手触り」だと自分で思っている。買い出しに行く、紙のノートに手で書く、朝のLIVEで仲間と話す、子どもと遊ぶ。全部、効率とは無関係な現場だ。AIは横に広げてくれるけど、縦に掘れるのは五感で感じた現場からだけなんだよね。

③ AIで「自分」を掘る(ただし順番を守る)

ここでようやく対話の出番。池田さんは4つのコツを挙げていて、どれも実践的だった。未来ではなく過去を掘ること。怒りと嫉妬を材料にすること。毎回「反論してください」と頼むこと。一度で決めず、2ヶ月後に同じ問いから始めること。

特に2つ目。好きなことへの答えには建前が混ざるけど、怒りには混ざらない。腹が立つのは、大事にしているものが踏まれたときだけだから——これは膝を打った。

私にも消えない怒りがある。「AIで御社の売上が10倍になります」と大風呂敷を広げておいて、蓋を開ければChatGPTに文章を書かせて終わり。難しいカタカナ用語で煙に巻いて、経営者に「自分が分からないだけかも」と自己嫌悪させる。あれが本当に許せない。その怒りが、私の価値観の在りかを指している。

そして池田さんが最後に書いていた順番の話が、私の口癖とまったく同じだった。

「腕のいい料理人がいても、冷蔵庫が空なら何も出てきません。AIは驚くほど腕のいい料理人ですが、材料を持ってきてはくれない。」

出典: 池田朋弘さん 『AI 2040』から考える働き方の未来

私はふだんAIの話を料理で説明している。プロンプトはレシピ、データは食材、モデルは調理器具。だからこの一文は、そのまま自分の言葉として受け取った。①場を耕す ②体験で冷蔵庫を満たす ③AIと一緒に調理する。この順番を飛ばすと、いくら良いAIを使っても薄い料理しか出てこない。

おまけ:会社にAIを入れるときの順番

ちなみに、これは会社にAIを入れるときも同じだよ。Plan A のキモは「段階的」だった。人間の範囲で確かめてから、次に上げる。

いきなり全業務を自動化しない。1つ渡して、確かめて、効いたら次を渡す。この順番についてはAI秘書に任せる仕事の決め方で詳しく書いたので、あわせて読んでもらえたら嬉しい。段階の考え方そのものを整理したい人は、Graphエンジニアリングとは?AI活用5段階の違いも参考になると思う。

「なんかいい感じ」で受け取らないための確かめ方は、分身AIの運用で痛感したところで、「信じるな、確かめろ」をAIの引き継ぎルールにした話にも書いたよ。

よくある質問

Q. AI 2040: Plan A は「AIを規制しよう」という主張ですか?

単純な規制推進とは少し違うんだ。全部止めるPlan Sも否定されていて、推されているのは「速度を落として、透明にして、確かめながら進む」という中間の道。止めることが目的ではなく、制御を保ったまま進むことが目的として書かれているよ。

Q. Plan Aが実現したら、2030年代の仕事は今のままですか?

そうはならない、と文書自身が書いている。遅らせる対象は「超知能」であって、各分野のトップ専門家に並ぶ水準のAIは2030〜2035年に計画どおり到達する前提なんだ。つまり、世界で一番ブレーキを踏みたがっている人たちの計画ですら、2030年代に仕事が激変することは織り込み済み。猶予はもらえるけど、免除はもらえない、ということだね。

Q. 「相互確証計算破壊」って、実現しそうですか?

3本柱のなかでは一番ハードルが高いと思う。合意を破った国の計算資源を、他国が止められる状態をお互いに維持する——文章にすると1行だけど、実装は途方もない。ただ、AIの安全を語るのに人類がいま持ち出せる比喩が「冷戦」しかない、という事実そのものが情報だと思っているよ。

Q. 中小企業の経営者が、いま読む意味はありますか?

あると思う。国の政策としてではなく、「自分が今どのプランで走っているか」の物差しとして使えるから。全開で握りしめて走っているなら止まれない側、怖くて何も触っていないなら全部止める側。真ん中に寄せる余地がどこにあるか、見えてくるよ。

Q. サイトは英語ですが、日本語で読めますか?

本文は英語だけど、PDF版のダウンロードやFAQ、補足資料、経済成長を試算するツール(Economic Growth Explorer)も公開されている。ブラウザの翻訳機能で十分読めるから、まず年表の部分だけでも眺めてみるのがおすすめだよ。日本語で全体像をつかみたいなら、この記事で紹介した池田朋弘さんの解説記事が本当に分かりやすい。

まとめ

  • AI 2040: Plan A は、AI Futures Project が公開した約90ページの勧告。「予測ではなく勧告だ」と冒頭で言い切っている
  • 柱は透明化・並走・相互確証計算破壊の3本。3本セットでないと機能しない設計になっている
  • 時間割は2029年合意・2035年一時停止・2040年解除。でも2030〜2035年は止めない。トップ専門家並みのAIと働く時代は計画のうち
  • 彼らは滅亡と「極端な力の集中」を並べて恐れている。誰も選んでいないのに全体が動く構造は、会社のAI導入でも同じ形で起きている
  • 池田朋弘さんの言葉を借りれば、猶予はもらえるが、免除はもらえない。空いた時間で何をするかは、AIが決めてくれない
  • 順番は①場を耕す ②体験で冷蔵庫を満たす ③AIと一緒に調理する。冷蔵庫が空なら、名シェフがいても何も出てこない

競争より共創。国のスケールでも、会社のスケールでも、たぶん答えは同じところにあるんだと思う。

一緒にワクワク楽しもうね。

COLUMN

全員が同じAIに相談する世界だけは、来てほしくない

握りしめた手と開いた手を対比したコラム図解

池田さんの記事の最後に、こんな懸念が書いてあった。全人類が、自分の生き方を、同じ一つのAIに相談している世界。悪意は要らない。誰も何も企んでいなくていい。それでも、そのAIが持っているわずかな傾き——「挑戦は良いことだ」「安定は退屈だ」といったほんの少しの重心のズレ——が、何十億人の選択に薄く均等に混ざる。読みながら、椅子から少し身体が浮いた。

私が分身AIをやっている理由が、まさにここなんだよね。土壌の話で考えると分かりやすい。畑って、どんなに良い種を持っていても、土がカチカチだと根が張らない。そして、日本中の畑の土を1種類にそろえたら、たぶん最初の数年はうまくいく。でも一つの病気で全部やられる。土は、その土地ごとに違うから強い。

分身AIは、大きな1つのAIに全員がぶら下がる形じゃなくて、その人の生い立ちと価値観から生えてくるAIだと思っている。だから育てるには、その人の原液がいる。魂磨きで自分の物語を掘って、怒った瞬間や涙が出た瞬間を残しておく。AIの「ガードレール」は作っただけでは効かなかった話を書いたときも、結局は「何を守りたいのか」を先に自分が決めていないと、ガードレールの位置すら決められないと分かった。

『AI 2040』の3本柱の2つ目が「並走」だったのは、効率のためじゃなく、一箇所に集めないためだった。個人の側でも同じことができる。違うモデルに同じ問いを投げる。答えが割れたところを覚えておく。AIだけじゃなく、人にも聞く。割れているうちは、まだ自分で決めている証拠だ——池田さんのこの一行は、しばらく手帳に書いておこうと思う。

2040年は遠い先の話に見えるけど、そこまでの道をどう歩くかは、今日の私たちの手の開き方で決まっていく気がしている。握りしめたまま速く走るのか、開いて、確かめて、少しずつ渡していくのか。私はもう一度は倒れたくないから、後者を選ぶよ。

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