COLUMN

define-goalとは?
Codexに丸投げせず、AIと共創するためのゴール定義術

2026.08.13 | AI氣道 コラム

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。

先日、AIに30分おきに様子を見に行っちゃう話を書いた。あれから2週間くらい経つけど、正直に言うと私はまだ、あの「覗き見グセ」を完全には卒業できてない。

そんな時にブックマークで見つけたのが、あるツイートだった。「Codexの/goalの代わりにdefine-goalを使っている」という一言。読んだ瞬間「あ、これ、前回書いた話の続きが来た」って声が出た。

この記事でわかること

  • OpenAI公式スキルdefine-goalが、具体的に何をしてくれるツールなのか
  • CodexのSol・Terra・Lunaという3層モデル構成の意味
  • 私が半年前から言ってた「AI指示設計の三原則」と、今回のツールがどう重なるか
  • エンジニアじゃなくても今日から使える、「3つの質問」でゴールを決める手順
01

AIに任せたはずがズレる瞬間の図解

AIに任せた「はず」がズレる瞬間、そして届いたブックマーク

AIに作業を頼んだのに、出てきたものが自分の期待と微妙にズレてる。直したくなって、結局自分で手を入れる。それって「任せた」んじゃなくて「丸投げ」になってたんだよね、っていう話を、以前「AIに12時間放り投げて成果物が出てくる人と、3時間で見に行っちゃう人の違いは『終了条件』だった」という記事に書いた。

あの記事の結論はシンプルで、「どうなったら終わりか」を先に決めて渡してるかどうかが分かれ目、という話だった。

で、今回見つけたブックマークがこれ。Forward Future Brianさん(@ForwardEditor)という、動画制作を主戦場にしてるXユーザーの投稿。

Forward Future Brian氏 @ForwardEditor(英語原文+私なりの訳)

“Codex tip: I always use define-goal instead of /goal. It’s basically like having a master level genius AI write your goal better than you could. And it’s an official OpenAI skill. Have high-effort Sol do research + planning. Sol then spawns a workhorse model (Luna Max) in a fresh thread to execute and hand results back to Sol for review. Use LLM-as-judge to determine if Luna’s output is acceptable progress toward the goal.”

(訳:Codexのヒント。私はいつも/goalの代わりにdefine-goalを使う。マスター級の天才AIに、自分より上手くゴールを書いてもらうようなもので、これはOpenAI公式スキル。高労力のSolに研究+計画を頼む。Solはその後、作業馬モデル(Luna Max)を新しいスレッドで生成して実行させ、結果をSolがレビューする。LLM-as-judgeを使って、Lunaの出力がゴールに向けた許容できる進捗かどうかを判定する)

元投稿を見る(X)

正直、最初は「またCodexの小技か」くらいの温度で読み始めた。でもリンク先の公式ドキュメントを開いた瞬間……手が止まった。これ、私が半年前に自分の失敗から言葉にした話と、構造がほぼ同じだったから。

今日は、その答え合わせの話をするね。

02

Codexのdefine-goalスキルの説明図解

Codexの「define-goal」スキルって何?(OpenAI公式)

define-goalは、OpenAIがGitHub上で公式公開しているスキル(openai/skillsリポジトリの.curated=厳選フォルダに入っている)。実在するかどうかは、うちのファクトチェックの仕組みで確認済み。GitHubリポジトリ・npmレジストリ・公式ドキュメントの3点とも実在を確認できたよ。

公式の説明文を訳すと、こう書いてある。

define-goal SKILL.md(原文+訳)

“Help the user define a concrete, measurable goal before starting work, especially when they ask to use the goal tool, create a goal, set an objective, clarify success criteria, or turn a fuzzy intention into a quantitative outcome.”

(訳:作業を始める前に、具体的で測定可能なゴールをユーザーが定義できるよう助けるスキル。特にgoalツールを使いたい時、ゴールを作りたい時、目的を設定したい時、成功基準をはっきりさせたい時、曖昧な意図を数値化された成果に変えたい時に使う)

公式SKILL.mdを見る(GitHub)

大事なのは、「ゴールを実行する」ツールではなく「ゴールを定義する」ことだけに特化している点。作業の管理・追跡は別のgoalツールの役目で、define-goalはあくまでその前段——「そもそも何を目指すのか」を言語化する係。

具体的には、次の4点を埋めることを求められる。

項目 意味
具体的な成果 「何が真になれば達成か」を一文で書く(the specific outcome that will be true)
検証方法 どうやって完了を確認するか(テスト合格・数値・件数など)
スコープ内 今回やること
スコープ外・停止条件 曖昧になりそうな時に「ここまで」と線を引く場所。無限の改善を防ぐ
🍳 料理に例えると

「美味しく作って」だけ頼むレシピと、「塩分控えめ・4人分・30分以内・辛いのはNG」まで決めたレシピの違い。後者の方が、任せた相手(AI)が迷わず動ける。

公式ドキュメントにはもう一つ、印象的な一文があった。

define-goal SKILL.md(原文+訳)

“Prefer numbers that represent real success, not decorative precision.”

(訳:「本物の成功」を表す数字を選べ。飾りのための精密さではなく)

公式SKILL.mdを見る(GitHub)

これ、地味だけど核心を突いてると思う。「レイテンシ0.001秒改善」みたいな飾りの数字じゃなく、「テストが通るか」「エラー率が下がったか」みたいな、本当に意味のある基準を選べ、という話だからね。

03

Sol・Terra・Lunaの役割分担の図解

Sol・Terra・Luna——役割を分けて働かせる、という発想

ツイートの中に出てくる「Sol」「Luna Max」という単語、最初は個人の呼び方かと思ったんだけど、調べたらCodexの実在するモデル階層の名前だった。GPT-5.6世代のCodexには、Sol(最上位・熟考担当)・Terra(中間)・Luna(軽量・実行担当)という3段階のモデルティアがあって、それぞれにlow〜maxの思考努力(reasoning effort)を設定できる。

ツイートの流れをこの用語で言い直すとこうなる。

役割 モデル やること
計画 Sol(高労力) define-goalでゴールを定義し、研究・計画を立てる
実行 Luna(Max・新スレッド) Solが決めたゴールに沿って、実際の作業をこなす作業馬役
審査 LLM-as-judge Lunaの出力が、Solの決めたゴールに対して十分な進捗か判定する

計画する人、手を動かす人、審査する人——この3つを同じモデル・同じスレッドで兼任させない、という設計だね。

出典: Codex Model and Thinking Effort Guide: Sol vs Terra vs Luna(agiflow.io)

04

AI指示設計の三原則とdefine-goalの構造比較図解

私が半年前に書いた「三原則」と、define-goalの構造を並べてみた

ここまで読んで、既視感を覚えた人がいるかもしれない。実は私自身、今年の4月に自分の失敗談から「AI指示設計の三原則」というものをまとめて記事にしてる。

ひろくん本人(2026年4月の記事より)

第一原則:AIに判断させない。判断は人間の仕事です。
第二原則:1タスク1エージェント。記事を書くAIと、その記事をチェックするAIは、必ず別にします。
第三原則:外部AIでクロスチェック。身内だけのチェックじゃ甘いです。
信頼は盲信じゃありません。検証できる仕組みがあるから信頼できるんです。嘘は存在の否定だと私は思っています。

元記事を見る(ai-kidou.jp)

並べてみると、こうなる。

私の三原則(2026年4月) define-goalの構造(2026年8月)
①AIに判断させない。判断は人間 ゴールは人間(依頼者)の意図から、Solが具体的な成功基準に翻訳する
②1タスク1エージェント。作るAIとチェックAIを分ける 計画のSolと実行のLunaを別スレッドに分ける
③外部AIでクロスチェック LLM-as-judgeが、実行結果を独立してレビューする
ポイント

私は自分の失敗(自己検品バイアス・身内チェックの甘さ)から、この三原則を経験則として先に言葉にしていた。今回のdefine-goalは、それと同じ発想を、OpenAIが公式スキルとして機械的に実装した形。業界の最新プラクティスが、自分が半年前に痛い目を見て学んだことを、追認してくれたという珍しい一致だったんだよね。

先に書いた「終了条件」の記事とも、根っこは同じ。あの記事では「終わりの基準を渡す」話をしたけど、define-goalはその基準を「成果・検証方法・スコープ内外・停止条件」という4つの型に分けて、書き漏らしを防ぐところまで踏み込んでる。前回が「考え方」の話だとすれば、今回は「書き方のフォーマット」の話、という位置づけかな。

三原則を言葉にする少し前、私はAI秘書の凛に、こんな指示を出したことがある。

ひろくん本人の指示(当時)

「これ読んで会議して改善提案して。サブエージェント専門家に。忖度抜きに。憲法に合致するように」

詳しい顛末は前回の記事で(ai-kidou.jp)

4つの要件を1文に詰め込んだ、欲張りな指示だった。走らせようとした瞬間、システムの自動ガードが先に止めてくれたんだけど、あの時止まってくれたから、三原則を書く決心がついたんだよね。

05

三原則を書いた後の正直な現在地の図解

正直な現在地——三原則を書いた後も、私は全部を仕組み化できていない

ここで正直に書いておきたいことがある。三原則を4月に言葉にしたからといって、私が全部の作業でそれを徹底できてるかというと、そうでもない。

うちは164個のスキルと102個のhookでAIチームを動かしてるけど、ゴールを一言で済ませて「あとはよろしく」で投げてしまうタスクは、正直まだある。特に自分の中で「これくらい分かるでしょ」と思ってる作業ほど、ゴールを言語化するのをサボりがちなんだよね。

define-goalの良いところは、そこを「テンプレートで強制的に埋めさせる」ところだと思う。人間の意志力やその日の気分に頼らず、「成果・検証方法・スコープ・停止条件」の4項目が空欄のままだと先に進めない、という仕組みにしてしまう。

🍳 料理に例えると

「いい感じに味付けして」で毎回運任せにするより、味見チェックシートを厨房の壁に貼っておく方が、忙しい日でも味がブレない。三原則が私の中の「心がけ」だとすれば、define-goalは厨房の壁に貼るチェックシートそのもの。

ひろくん本人(前回の終了条件の記事より)

気合いより仕組み。意志より構造。

元記事を見る(ai-kidou.jp)

これは私が何度も自分に言い聞かせてきたことだけど、define-goalを読んで、また一つ「仕組み側」に寄せられる場所が見つかった、という感覚だった。AIに丸投げせず、それでいてAIと共創するためには、渡す前の準備が要るんだよね。

06

ゴールを渡す前に決めるが家事育児にも効くという図解

エンジニアじゃなくても関係ある話——「ゴールを渡す前に決める」は家事育児にも効く

「うちはCodexなんて使わないよ」という人もいると思う。でも、この話の本質はコマンドの使い方じゃなくて、「誰かに何かを頼む前に、成功の形を先に決めておく」という、もっと普遍的な話だと思ってる。

私自身、家のことで似た失敗を何度もしてる。子どもに「片付けといて」とだけ頼むと、子どもなりの「片付け完了」が返ってくる。私が期待してた「完了」と食い違って、結局言い直すことになる。これ、AIに雑にゴールを渡した時と、まったく同じ構造なんだよね。

会社の経理でも同じ話をしたことがある。

ひろくん本人(過去のコラムより)

経理をAI経理リポジトリに渡す目的は、判断を手放すことじゃなくて、判断のための材料を揃える時間を短くすること。仕訳ルールを決めるのは私。異常値を見つけて「これ何?」と問いを立てるのも私。AIがやるのは、その判断テーブルの上に、整った材料を並べるところまで。

元記事を見る(ai-kidou.jp)

「何を渡して、何を自分に残すか」を先に決める。これは経理でも、子どもへのお願いでも、Codexへの指示でも、実は同じ準備運動なんだと思う。

07

3つの質問でゴールを決めるステップの図解

明日から使える、3つの質問でゴールを決めるステップ

define-goalを非エンジニア向けに翻訳すると、AIに何かを頼む前に、この3つの質問に自分で答えるだけでいい。

質問 具体例
①何ができたら「終わり」? 「議事録ができた」ではなく「決定事項と担当者が、誰が読んでも分かる形で3行以内にまとまっている」
②それをどう確認する? 「私が読んで違和感がないか」「別のAIに要約させて元の話と一致するか」
③どこまでやって、どこでやめる? 「今回は下書きまで。清書とデザインは含めない」
ポイント

3つとも、AIに頼む前に自分で言葉にしておくのがミソ。AIに聞いてから決めるんじゃなく、依頼者側が先に決めておく。これができると、Codexに限らずChatGPTでもGeminiでも、任せた後の「見に行くグセ」がだいぶ減る実感がある。

FAQ

よくある質問

Q. define-goalはClaude Codeでも使える?
A. define-goalはOpenAIのCodex向け公式スキルとしてGitHubで公開されているものだよ。Claude Code側に同じ名前のスキルは公式には無いけど、「成果・検証方法・スコープ・停止条件」を先に言語化するという考え方自体は、どのAIツールに対しても応用できる。
Q. Sol・Terra・Lunaって、料金プランによって使える範囲が違う?
A. この記事では公式スキルの仕組みと、Codex利用者による運用例を紹介したよ。プラン別の詳細な利用条件は変わりやすいから、実際に使う時はOpenAI公式のドキュメントを確認してみてね。
Q. AI指示設計の三原則とdefine-goalは、結局どちらを使えばいい?
A. 対立するものじゃなくて、三原則が「考え方」、define-goalが「その考え方をテンプレート化した書き方」という関係だと思ってる。三原則を知った上でdefine-goalみたいな型を使うと、迷わず埋められるようになるよ。
Q. 非エンジニアが今日からできることは?
A. AIに何かを頼む前に「①何ができたら終わりか②どう確認するか③どこでやめるか」の3つを、自分の言葉で1行ずつ書いておくこと。難しいツールを覚えるより先に、ここから始めるのがおすすめだよ。

ひろくんのコラム——「答え合わせ」が届く速度

半年前、自分の失敗から三原則を言葉にした時は、正直「これって私だけの学びだよな」くらいに思ってた。それが今日、ブックマークをきっかけに、OpenAI公式スキルという形で答え合わせが届いた。しかも前回の「終了条件」の記事からわずか2週間で、である。

少し前、夜の振り返りノートにこう書いたことがある。

ひろくん本人(夜の振り返りノートより)

自分のお役目をありのままが最適。あとは抱えず委ねるのがやっぱ合う。

この言葉の背景は別記事で(ai-kidou.jp)

define-goalを読んで改めて思ったのは、「委ねる」って気持ちの持ちようだけじゃなくて、渡す時のフォーマットまで整えて初めて実践できる、ということ。

ここ最近、AI業界の動きが速すぎて……「追いかけるだけで疲れる」って感じることが正直ある。でも今回みたいに、自分が痛い目を見て言語化したことと、業界の最新の動きが偶然一致すると、追いかけるより先に「自分の経験の方が、実は近い将来を予言してた」という手応えの方が大きい。抱え込みOSを手放して、委ねるOSに移るための実践は、こうやって一歩ずつ答え合わせしながら進むものなんだと思う。

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