WATCH REPORT

AI失業は新卒から始まる?安野貴博さんと今井翔太さんの対談を読み解く

2026.10.15

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、安野貴博さんと今井翔太さんが、オープンモデルの拡散から新卒のAI失業までを話した動画を紹介するね。

AIが急に賢くなった話、AIで仕事がなくなる話。AI失業という言葉を耳にする日も増えました。そのたびに、落ち着かない気持ちになりませんか?

何を備え、何を人の側に残せばいいのか。聞くほど話は大きくなり、自分の仕事にどう引き寄せればいいのかが見えてきません。

チームみらい党首の安野貴博さんと、AI研究者の今井翔太さんの対談。2人は、オープンモデルの拡散から、新卒から始まるAI失業までを話します。

読み終えると、4つの問いを追えます。問いの横には、私の判断。並べて読めば、何をAIに渡し、何を人の側に残すかを、自分の仕事で考えられます。

SPEAKER

安野貴博さん / 今井翔太さん

安野貴博さんは、参議院議員で、チームみらい党首、AIエンジニアです。今井翔太さんは、AI研究者で、番組「AI QUEST」で話を聞く側に立ちます。司会は中川雅博さんです。

3行でわかるポイント

  1. オープンモデルの攻撃の力は5か月で追いつき、AI研究者は「あと1年」と語り、国は借りる物と持つ物を分け、AI失業は新卒から始まる、と2人は話します。(第1章へ)
  2. 動画が示す備えは3つ。守りを先に固めること、使い分けをトークンの投資対効果で決めること、突然来る失業の兆しを早くつかむこと。(第1章・第3章・第4章へ)
  3. 私なら、AIの方が優秀と認めたうえで、人の側に何を残すかを先に決めます。(まとめへ)

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01

オープンモデルが5か月で追いついたと聞いて、何を備えればいいのか

▲目次
4月のMythos Previewの発表から、半年くらいと見られていた差を、オープンモデルが5か月で追いつき、守りを先に固めて自分の穴を探し続ける流れを示した図解
動画キャプチャ: 番組の初ゲストを紹介するテロップが出た、ノートPCの前で話す場面(2:12頃)
動画キャプチャ: 番組の初ゲストを紹介するテロップが出た、ノートPCの前で話す場面(2:12頃)

対談の入口は、収録の日のサイバー攻撃。AIの力は、誰でも手に入る形で広がり始めています。攻める側の道具が増える時、守る側は何を先に固めればいいのでしょう?

動画では、この攻撃にAIが関わっていないとは言えない、と話します。どのモデルかまでは、まだつかめていない、とも話します。

安野さんは、4月に Claude Mythos Preview が発表された時から、こう見ていました(4:09)。重みを公開したオープンウェイトのモデルと、非公開のモデルの差は、半年くらい。

同じ程度に脆弱性を大量に見つけられるオープンウェイトのモデルも、早ければ3か月、遅くても1年以内に広がる、という見立てです。だから今のうちに守りを固めないといけない、と4月ごろから言っていました。では、実際は?

安野貴博さん(動画の中で・4:37〜)

ま、本当にですね、ま、5ヶ月くらいでやってきたなと。

動画では、オープンモデル GLM5.3 のサイバー攻撃の力がほぼ Mythos Preview 級と出た、という話が出ます。根拠は、最近の Anthropic のレポート。

一方で、9月から10月の初めに公表された攻撃の多くは、数か月前に起きたことが社内で話し合われて出てきたもの、とも見ています。今はまだ Mythos 級より前のAIで、これだけのことが起きている、という見方です。

見通しは、年末から来年の初め。動画では、実際の攻撃に使われ、状況が悪くなってもおかしくない、という話も出ます。国会でも取り上げる、というのが安野さんの話。

動画では、9月の後半から始まったサイバー攻撃の話も出ます。多くの人が、自分のこととして感じ始めた時期だと話します。

対談の後半で、守る側の話に戻ります(44:27)。攻める力の高いモデルが出てくる世界で、守る側はどうするのか。

安野貴博さん(動画の中で・44:27〜)

…結構もうコンティニュアスにですね、あの、ずっと自分たちで、え、自分たちのシステムの穴を探し続けると、ま、言ってみれば自分たち自分たちのシステム攻撃し続けるようなことしないと多分防げなく安全性を担保できなくなっていくと思うんで…

答えは、自分たちのシステムを自分たちで攻め続けるくらいでないと、安全を保てなくなっていく、というもの。

攻める側の道具が広がるのは、早いか遅いかの差。守る側は、自分の穴を自分で探し続けます。

5か月という数字は、備えを後回しにしない理由になります。

AIが人類を滅ぼすと言われるとき、安野さんは何を3つに分けたのか

AIが人間に反乱する(まだ時間がある)、大国のぶつかり合い、悪用の3つの層を奥から手前へ重ね、足元のリスクとして今すぐ対処する悪用を朱色の輪で囲んだ図解

対談の前半(9:05)で、AIで人類が滅ぶと言われる話を、安野さんは起こり方で分けます。まず、AIが人間に反乱する、SFのような話。次に、AIを使い倒した大国どうし、アメリカと中国が正面からぶつかる話です。そして最後が、テロリストやならず者国家、反社会的な集団が、AIを悪用する話。同じ言葉で語られる話を、起こり方の違いで分けて見せます。

安野貴博さん(動画の中で・9:46〜)

…今すぐ対処しなくちゃいけない話として、ま、テロリストであるとかずの国家であるとか、あるいは反社会的な集団があのAIを使って何か反社会的な行為をする。それによって破滅的な事態が起きるっていうだからこの大きく3つくらいあると思ってて、私はですね、足元ではもうこっちのリスクをちゃんと潰していくことにフォーカした方がいいと思ってます。

安野さんが、今すぐ手を打つ相手に挙げるのは悪用の話です。遠い先の話より先に、足元のリスクを1つずつ潰すことに力を集めます。手の届く所から順に片づける進め方。大きな話を一度にまとめて解こうとはしません。反乱より起こりやすく、差し迫っているのは大国どうしのぶつかり合い、というのが安野さんの見方(9:24)。

反乱の話には、まだ時間がある、と安野さんは見ています(10:11)。AIは今も、データセンターの運営や発電、部品の保守を、人間に頼っているからです。AIが自分だけでは動き続けられない今は、まだ手前の段階。体を持つAIで、そこまで自動化が進んだ後に、本格的に話し合えばいい、と言います。

それまでの間は、お互いがキルスイッチを持ち合う形で向きをそろえるのが一案、と話します。止める手段を、それぞれの側が手元に置いておく形です。相互確証破壊に近い考え方です。片方が動けば、相手の側も止められる、という備え。起こり方で分けると、遠い話と足元の話が、別々に見えてきます。見えてきた足元の話から、手を打つ順番が決まります。

▲目次

02

AI研究者の賞味期限は「あと1年」と聞いて、人は何をやるのか

▲目次
左にAI研究者の賞味期限として砂時計とあと1年、AIは横に広げ。右に人の側に残す物として、感情・体験・物語を縦に掘る井戸を描いた対比の図解
動画キャプチャ: AIで人類滅亡の現実味のテロップが出た、丸テーブルの3人が笑い合う場面(24:13頃)
動画キャプチャ: AIで人類滅亡の現実味のテロップが出た、丸テーブルの3人が笑い合う場面(24:13頃)

対談の中盤で、話はAIを作る側の人に移ります。一線にいる研究者が語る、自分の残り時間。AIに追い抜かれる日が来たら、人は何をやるのでしょう?

安野さんは、シリコンバレーで会った、某フロンティアラボの研究者の話をします(23:09)。業績があり、スターのような人だったと言います。

安野貴博さん(動画の中で・23:09〜)

実際にあの、某ロンティアラボのもうあの、めちゃめちゃ業績あって、もう、ま、本当にスタープレイヤーだなと思う方が、あ、ま、あと1俺1年だわって言っててですね。

研究者としての自分の時間は「あと1年」。それが終わったら世界を旅行しに行く、とも話していました。

安野貴博さん(動画の中で・23:38〜)

ちなみにそれ結構悲しそうに言ってました。

旅行の話なのに、悲しそうに言っていた、と付け加えます。

AIがAIを賢くしていく研究が進むと、人は研究の輪の外へ出ていく、という話。理屈では知っていた、と振り返ります(23:00)。それを一線の研究者の口から聞いて、そういう現実なのだと思った、と続けます。

今井さんも、研究の自動化を自分で進めている一人。研究者ほど、理屈で考えれば自分たちの仕事はなくなるだろう、と受け止めている空気がある、と言います。

続けて、AIの業界の研究者は、すでに十分に稼いでいる人が多いかもしれず、ほかの業界とは違うかもしれない、という前置きが入ります(24:06)。

そのうえで話題に上るのが、数学の世界(24:25)。AIを使うことに前向きだった有名な数学者が、大きな問題がAIで解かれた後、AIに否定的な言い方をするようになった、と言います。

追い越されるまでは楽観的でいられても、追い越された瞬間の衝撃は大きいのでは、という見方です。

安野さんが続けるのは、フランスで、数学の大きな賞を取った数学者に会った時の話(25:37)。その人は、数学の世界は終わりの時に来ている、という言い方をしていました。

安野さんの話では、一線の問題を、AIが大きな計算の力で解くようになりました。大学の中では持てない力。一線にいるには、大きなAIの会社の中に入るしかない、という見方です。

数学の世界では、博士課程の学生を長い時間をかけて育てるのが、大事な役目でした。その学生に渡す問題を、AIが短い時間で解いてしまう状況。学生を取るのをやめる数学者も出ている、と続けます。

AIを作る研究者と、数学で学生を育てる人。両方の口から、自分の仕事の終わりが語られ始めています。

研究者が自分の残り時間を語る場面。私が出した答えは、追い抜かれる日を数えることではなく、追い抜かれた後に何をやるかの方にあります。

8月上旬の朝LIVEで、私は、AIの方が優秀だと認めて、AIに行ってもらい、その分、人間にしかできないことをやろう、と話しました。

それが、その日の私の結論でした。

私がよく使うたとえが、「AIは横に広げ、人間は縦に掘る」。人間が掘るのは、感情や体験、物語の深さです。AIが担うのは、情報や構造の広がり。

縦に掘るのは、自分が何を感じ、何を味わったかを深めていくこと。そこは、AIに渡さずに人の側に残す仕事です。

大事なのは、いつ追い抜かれるかより、追い抜かれたあとに何を掘るかではありませんか?

その朝LIVEの話は、安野貴博さんの動画を叩き台にした8月10日の朝LIVEの記事にまとめています。

私は、AIの方が優秀と認めたうえで、人間にしかできないことをやる側に回ります。

03

国は何を借りて何を持つのか。トークンの投資対効果で決める考え方

▲目次
トークンの投資対効果の物差しで、国が持つ物(半導体・付いていき続ける・中くらいの国どうしで組む)、借りる物(要約・翻訳・オープンウェイト)に分け、セキュリティは別として盾を描いた図解
動画キャプチャ: 米中AI戦争と日本の生きる道のテロップが出た、画面を左右に分けて話す人と聞く人を映した場面(33:01頃)
動画キャプチャ: 米中AI戦争と日本の生きる道のテロップが出た、画面を左右に分けて話す人と聞く人を映した場面(33:01頃)

一番先を行くAIを自前で作れない国は、何を自分の手に持ち、何を外から借りるのか? 対談は、日本の戦い方の話から入ります。自前のAIを持たない国の、戦い方の話。

安野さんは、AIの時代に日本がとる戦い方を、「三正面作戦」と呼びます(32:02)。

安野貴博さん(動画の中で・32:02〜)

僕はですね、3面作戦だなと思う。

安野さんが最初に挙げるのは、半導体で交渉の力を持つこと。

次に、一番先を行くAIに、一定の時間差で付いていき続けること。最後が、中くらいの国どうしで組むことだと、安野さんは話します。

安野さんが、フランスの政策立案者に聞いた例として挙げるのは、研究所の CERN。国どうしが共同で投資して、成果を分け合う形。

中くらいの国が組んで、成果を分け合う形には、私の大事な言葉「競争より共創」が重なります。私が重ねて見るのは、凸凹のある国どうしが、足りない所を互いに埋めて、パズルのように組み合わさる形です。

話はフランスへ(36:12)。フランスは、一番先を行く自前のAIモデルを持たない中で、ソブリンティ(主権)を重んじる国だと、安野さんは言います。

安野貴博さん(動画の中で・36:12〜)

…その中でじゃあフランスが出した答え何なのかと言うとやっぱオープンウェイトモデルをめっちゃ使うことだったんですよね。

使うのは、アメリカの非公開のモデルではなく、重みが公開されたオープンウェイトのモデル。フランスの政府はそれを自分の国のサーバーで動かし、いちばん使われているのは DeepSeek だと、安野さんは話します。

9月下旬のこと。手元の Mac で動くオープンモデルと、クラウドのモデルに、同じ読者の声50件を仕分けさせました。入力は、私が主催したセミナーのアンケートの自由記入や、メルマガへの返信など、実物の50件。試験はAIに頼んで回してもらいました。

悩みの分類が合ったのは、手元が50件中28件、クラウドが50件中44件。1件にかかる時間は、手元が0.12秒、クラウドが0.59秒でした。

手元のモデルは重みが公開されていて、文章を外に出さずに回せます。精度はクラウド、速さと外に出さない安心は手元。

私の結論は「使い分けで今後どっちの進化も楽しみ」です。その試験は、手元のオープンモデルとクラウドを読者の声50件で比べた記事に書きました。

安野さんの話は、再び日本へ(37:51)。中国製のオープンウェイトには、抵抗もあります。それでも、要約や翻訳のように、どのモデルでも十分にできる用途は、オープンウェイトに置き換えていいと話します。

決め手は、トークンの投資対効果。全部の仕事に一番先のモデルを使う必要はない、と安野さんは言います。

安野貴博さん(動画の中で・38:31〜)

…全てのタスクアストラである必要ないし、よりですね、多分このトークンに対するROIですよね。

今井さんは、要約のように、どのモデルでもこなせるようになった分野はオープンモデルでいい、ただしセキュリティは別だ、と政策の担当者が分かっているのは見事だ、とまとめます(38:57)。続けて安野さんは、フランスでは最初、アメリカのモデルを使わない方針でばっさり決めたが、最近はセキュリティの分野があるので、その方針を見直すかもしれない、という話だった、と話します。

トークンの投資対効果。私の手元にも、この物差しで考え直した場面があります。

9月18日、AIが出した判断に、私は「トークン=コストだろ」と返しました。AIの物差しは、トークンの数で測る形に直りました。

全部を一番先のモデルに任せる必要は、本当にあるでしょうか? 私は、AIのモデルに縛られないことを大事にします。本質はモデルではなく、自分の中身の方。

私は、モデルを1つに決めず、用途ごとに使い分けます。測るのはトークン。

04

AI失業が新卒から始まると言われたら、仕事を手放す側は何を持つのか

▲目次
一番下の段の新卒の採用からまずそこから始まり、育成と戦力が分かれる、いきなりニーズがなくなる、と下から上へ積み上がる3段の階段の図解
動画キャプチャ: AI失業の脅威と政策の未来のテロップが出た、丸テーブルで右の人が話す場面(55:03頃)
動画キャプチャ: AI失業の脅威と政策の未来のテロップが出た、丸テーブルで右の人が話す場面(55:03頃)

AI失業は、どこから始まるのか? 業種で考える人もいれば、年齢で考える人もいます。この問いへの、安野さんのはっきりした答え。

安野さんは、海外の例を見ても、日本のAI失業はまず新卒から始まると見ています(55:07)。若い層の中でも、入り口に立つ人たちです。

安野貴博さん(動画の中で・55:07〜)

はい。私はですね、これ海外の事例見ててもそうなんですけどジュニアですね。ジュニアというか新卒だと思います。日本においては新卒の雇用がギュッと絞られることによってあの始まるのがま、まずそこから始まると思います。

始まりは、新卒の採用がぎゅっと絞られる所。海外では、若手の仕事が減ったという研究も出ている、と触れます。

失業は少しずつ来るのではなく、突然来る、とさらに続けます(60:07)。ある日、仕事の求めが消える、という見方です。

安野貴博さん(動画の中で・60:07〜)

なんか私はいきなり発生すると思うんですよね。あのすごい先形に起きるというよりかはいきなりニーズがなくなるみたいなことがあると思ってて…

安野さんが備えとして挙げるのは、兆しを早くつかめる統計づくり。起きた後には、成果で測って学び直しを支える仕組み。

それでも間に合わない人のための、暮らしの支え。安野さんは、備えの最後にこれを置きます(61:36)。AIによる失業の速さによっては、ベーシックインカムのような仕組みも、先回りして話し合い始めた方がいい、と言います。その準備に挙がるのが、給付付き税額控除の仕組みづくり(62:16)。決め方を変えていくと、ベーシックインカムに近い形にもなる、と安野さんは話します。

別の見方を出すのが、今井さん。「役に立つ仕事」の方が、先に影響を受けると思う、と言います。無人島でも生きるために要る仕事のことだと、例えて話します。

今井さんは、無人島で役に立たない仕事として、小説や漫画やゲームを作る仕事を挙げます(63:26)。将棋や陸上のように競う物も同じ。人がやることに、意味が残る側です。役に立つ仕事ほど、人がやったかAIがやったかを人は気にしない、と今井さんは話します。

今井さんの話は、新人の育て方へ(65:29)。会社の中で人がどう育つか、という話です。

今井翔太さん(動画の中で・65:29〜)

今までは新人の育成と戦力として扱うことが合体してたので、ま、会社の役に立ちながら育成てできたんですけども、これからAIの使った方がよ、戦力としてはAI使った方がいいので、育成とは戦力が分離しちゃう。

これまでは、会社の役に立ちながら育つ形。これからは戦力としてはAIの方がよくなり、育成と戦力が分かれる、と今井さんは言います。だから要るのは、会社の外にある、大学院のように育つ場。会社どうしが競い合う圧力から離れた所を作らないと、人は育たないと思う、とも話します。

動画では、日本の先行きの姿も語られます。人手が足りない所と、仕事がなくなる所が、まだらに並ぶ姿です。

仕事が減る話を、私は仕事を手放す側から見ます。

8月上旬の朝LIVEで、話がAIに仕事を奪われる話になった時。私は、自分は仕事を手放したい側なので、一緒に仕事を奪われてほしい、と話しました。

ブログもメルマガも動画もAIに委ねて、LIVEに一点集中し、空いた時間と稼いだお金を、人間の側に再投資して、より豊かな体験と学びに使う、とも話しました。

つい最近の朝、自分を振り返る問いに書いた、私の答え。「子供のようにワクワク夢中に遊ぶ時間のためにAIを使って仕事を手放したいもっと遊びたい」

私の哲学は、AIに委ねて、人は積み減らして生き直す、です。何にワクワクし、何を味わうかは、自分の体と魂の側に残します。手放して空いた時間に、何を持つのか?

AIに渡す仕事と人が持つ仕事の線引きは、川邊健太郎さんたちの話を整理した記事でも扱っています。

私は、仕事を手放して空いた時間を、人間の側の体験に使います。

COLUMN

案の味見はAIに任せ、体の合図で共に育つ

左の作る手の枠の中で、案・味見・直しの輪が包丁と小皿とさじのまわりを回り、右の体の違和感の枠に腑に落ちるの光の印。右から左へ朱色の育てる合図の矢印が戻り、物差しの芽が育つ図解

第4章で今井さんは、新人の育成と戦力が分かれていく、と話していました。戦力の側をAIが担うほど、人の側に何が残るのかが、あらためて問われます。案を作る力は、年々AIの方へ移っていく流れ。資料も文章も、人より速く、むらなく仕上がります。作る手をAIに渡す場面は、これから増えます。では、人は何を持つのか? 案が整うほど、人の出番は、1件ずつ見て合否を出す役に見えがち。私は、その役に人を置きません。人が持つのは、一段上の所です。

案の味見も直しも、私はAIに委ねます。AIが作り、AIが確かめ、ずれを見つけて直す。その輪を、AIの中で回してもらいます。1件ずつ私の前で待たせる形では、委ねる意味がありません。料理に例えると、作り手が自分で味を見て、自分で塩を足す形。何を良しとするかの物差しも、AIに渡します。物差しは、私の判断軸と、その背景にある体験。AIはその物差しで案を測り、直してから出します。人の側に残すのは、1件ずつの合否ではありません。

では、体の違和感は、何のために残すのか? 私の答えは、AIと自分を一緒に育てる合図。体に違和感が出たら、AIの物差しか、私の受け止め方か、どこかにずれがある知らせです。そのずれをAIに返すと、AIの判断軸が育ちます。目指すのは、違和感がなく、ピンときて腑に落ちる所。AIが案を作る手を速めるほど、この合図はよく効きます。なぜ引っかかったのかを見ると、自分の軸も見えてきます。案1件ごとの承認とは別の、AIと人を一段上から育てる合図。

AIの案だけを見るのではありません。違和感を出した自分の反応も、一段上から見る対象。整った案に体が引っかかる時、ずれているのが案の側だけとは限りません。私の受け止め方が、古いままの時もあります。料理に例えると、作り手の味も、食べる側の舌も、一緒に育つ形。両方が育つから、次の皿が変わります。違和感は、直す所を知らせる燃料。AIと人間の両方を育てる、大きなフィードバックの合図として、手元に置いておきます。

何にワクワクし、何を味わい、どの未来を生きたいか。そこは、AIに渡さず、体と魂の側に残します。案を作る手も、確かめる手も、AIに委ねられる形。それでも、自分が何に心を動かされるかまでは、外から決めてもらうものではありません。委ねるほど、空いた時間で、自分の体の感覚を味わう余白が増えます。違和感と、ピンとくる感覚。その2つを鈍らせないことが、委ねる側の仕事です。作る手をAIに渡したあと、体の感覚を何に向けますか?

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FAQ

よくある質問

▲目次

Q. オープンモデルの攻撃の力は、どのくらいで追いついたのですか?

A. 安野さんは、4月に Claude Mythos Preview が発表された時から、同じ程度の力のオープンウェイトのモデルが広がるまで、早ければ3か月、遅くても1年以内と見ていました。実際は、5か月ほど。守る側は自分のシステムの穴を自分で探し続ける、と安野さんは話します。詳しくは第1章。

Q. AI研究者が自分の残り時間を語った話は、どんな話ですか?

A. 安野さんがシリコンバレーで会った、フロンティアラボの研究者の言葉です。研究者として働ける時間は、あと1年。その研究者は、終わったら世界を旅行しに行くと、悲しそうに話していた、と安野さんは振り返ります。詳しくは第2章。

Q. 安野さんの言う「三正面作戦」とは何ですか?

A. 日本の戦い方として、安野さんが挙げる柱のことです。まず、半導体で交渉の力を持つこと。次に、一番先のAIから、一定の時間差で付いていくこと。そして、中くらいの国どうしで組むこと。フランスの政策立案者に聞いた例として、安野さんは CERN を挙げます。詳しくは第3章。

Q. オープンウェイトのモデルは、どんな用途に使う話ですか?

A. 要約や翻訳のように、どのモデルでも十分にこなせる用途です。決め手は、トークンの投資対効果。今井さんは、そうした分野はオープンモデルでいい、ただしセキュリティは別だ、と政策の担当者が分かっているのは見事だ、とまとめます。安野さんは、フランスも最初はアメリカのモデルを使わない方針でばっさり決めたが、最近はセキュリティの分野があるので見直すかもしれない、という話だった、と話します。詳しくは第3章。

Q. AI失業は、どこから始まると話していますか?

A. 安野さんは、日本ではまず新卒から、しかも突然来ると見ています。今井さんは、「役に立つ仕事」が先に影響を受けると話します。新人を育てる場と、戦力として働く場が分かれていく、という見方。詳しくは第4章。

MATOME

まとめ。AIの方が先に進む時、人の側に何を残すか

▲目次

安野貴博さんと今井翔太さんが、オープンモデルの拡散から、新卒から始まるAI失業までを話した対談を、4つの問いで整理しました。

攻める道具が広がる前提に立てば、守る側の仕事は自分の穴を探し続けること。私は、AIの方が優秀だと認めたうえで、人間にしかできないことをやる側に回ります。

国が何を借りて何を持つかの話は、私の仕事の道具選びにも重なります。モデルは1つに決めず、用途ごとに使い分け。物差しはトークンの数です。

AI失業は新卒から、しかも突然。安野さんはそう見ています。私は、仕事を手放して空いた時間を、人間の側の体験に使います。

AIが人類を滅ぼす話も、起こり方で分けると別々の話。反乱の話と大国の衝突の話、そして足元で手を打つ悪用の話です。

AIの方が先に進んでいく時代に、作る手をどこまで渡すのか。自分の仕事のどこをAIに渡し、何を人の側に残しますか?

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今回紹介した動画

チャンネルTBS CROSS DIG with Bloomberg
公開日2026年10月13日
長さ70分28秒(日本語)
URLhttps://www.youtube.com/watch?v=MJk8JDTUoGE

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