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川邊健太郎さんの「考える葦」から「望む葦」を解説。AIに手順を渡したあと、人間に残る「望み」を、AIに問いを出してもらって言葉にする

2026年10月8日

家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくん(@passion_tanaka)です。今回は、川邊健太郎さん(LINEヤフー前会長)のX記事「AIソロプレナー珍道中26」を紹介するね。AIがAIを開発する「知能爆発」の先で、人間は「考える葦」から「望む葦」になるのでは、という話です。私が引っかかったのは、AIが最適解まで出せるなら、人間に残るのは「決めること」ですらなく、「私はこの世界を望む」という意思そのものかもしれない、という一点でした。

AIが高レベルの指示だけで仕事を進めるようになると、人間はHowをAIに渡し、WhatとWhyだけを決めることになります。川邊さんの記事は、その先で人間に残るのは「決めること」ですらなく、「私はこの世界を望む」という意思そのものかもしれない、と書きます。私は、AIに答えを書かせず、問いを出してもらって自分の言葉で答える、という使い方を提案します。

3行でわかるポイント

  1. 論文が引くAnthropicの社内測定では、高レベルの指示だけでAIが自律的に完了できるR&D業務が、2026年3月の約1%から8月の26%になりました。川邊さんは、人間がHowをAIに渡し、WhatとWhyだけを決める状態の始まりだと読みます。
  2. AIが選択肢と最適解まで出せるなら、「AとBのどちらが合理的か」はAIにもできます。AIが代替しにくいのは「私はAの世界を望む」という意思そのもの、というのが川邊さんの見立てです。
  3. 私は、仕事の流れを「任せる案」と「自分で続ける案」に分けてAIに並べてもらい、反応が出た所を望みの輪郭にする使い方を提案します。元記事にはない、AIを使う側の私の提案です。
01

「半年足らずで、1%から26%」。川邊健太郎さんの「これはSystem 3の話ではないか」を解説

WhatとWhyの紙を置いた机から、Howの巻物が矢印でAIの赤い球へ渡される図解
元記事キャプチャ: 半年足らずで、1%から26%。これはSystem 3の話ではないか、の章
元記事キャプチャ: 「半年足らずで、1%から26%」「これはSystem 3の話ではないか」

川邊健太郎さん「AIソロプレナー珍道中26 「知能爆発」の先で、人間は「考える葦」から「望む葦」に変貌を遂げる!?」(X記事)(論文が引用するAnthropicのデータの前)

半年足らずで、1%から26%

元記事を書いたのは、LINEヤフー前会長の川邊健太郎さん(X: @dennotai)です。いまは「AIソロプレナー」として一人で会社を回していて、この連載「AIソロプレナー珍道中」の26回目になります。

前々回に、川邊さんは人間の思考を3つに分けました。System 1は直感や反射。System 2は、調べたり、計算したり、論理で考えたりする知性。

そしてAI時代にはSystem 2の多くをAIが担い、人間に最後まで残るのは「決めること」だと考えて、それをSystem 3と呼び始めました。

今回の出発点は、ケンブリッジ大学のCASPが発表した論文「AI研究開発の自動化は、知能爆発を引き起こすか?」です。知能爆発とは、AIがAIを開発することで、進化の速度そのものが加速していく現象のこと。

自動車が速くなっても、自動車を作る技術者の頭が同じ割合で速くなるわけではありません。でもAIは、研究される側と研究する側が、同じAIになり得ます。

川邊さんが目を止めたのは、予測ではなく、すでに起きている数字でした。

論文が引くAnthropicのデータでは、「人間から高レベルの指示だけを受けて、AIが自律的に完了できるR&D業務」の割合が、2026年3月の約1%から、8月には26%になっています。

元記事の注には、読むときの条件も書かれています。

26%は、AIが人間から完全に独立して研究しているという意味ではなく、高レベルの指示と監督のもとで、タスクの大部分を最後まで進められたと評価された割合です。数字はAnthropic自身の社内測定です。

川邊さんは、この状態を、自分が最近やろうとしているAIとの付き合い方だと書きます。「こういうものを作りたい」と大きな目的だけを示して、調査、分析、試行錯誤、検証、修正はAIが進める。

つまり人間は「How」をAIに渡し、「What」と「Why」だけを決める。

私も、この形でAI秘書の凛ちゃんに頼んでいます。手順を細かく書く前に、何のためにやるのかと、何を良しとするかを渡す。8月に、川邊さんの対談を紹介した記事で、こう書きました。

AI氣道『2.3万人の会社の代表から、たった1人へ。川邊健太郎さんに聞く「AI駆動型企業」という経営スタイル』より

「今は目的と判断軸(原液)さえ渡せば、あとのやり方は凛ちゃんが自分で選びます。」

Howを渡して、目的と判断軸を渡す形は、8月の対談回の記事、『2.3万人の会社の代表から、たった1人へ。川邊健太郎さんに聞く「AI駆動型企業」という経営スタイル』で書いています。

川邊さんの言う「Howを渡す」と、同じ向きです。渡せるものは手順で、渡さないと動かないものが、目的と判断軸。次の章から、その渡す側に残るものを見ていきます。

02

「能力の差よりも、欲望の差が重要になる」。AIに「何でもできますよ」と言われた日に、差が出る所

何でもできますの門から続く赤い道と、やりたいの札、空の札を並べた図解
元記事キャプチャ: 能力の差よりも、欲望の差が重要になる、の章
元記事キャプチャ: 「能力の差よりも、欲望の差が重要になる」

川邊健太郎さん「AIソロプレナー珍道中26 「知能爆発」の先で、人間は「考える葦」から「望む葦」に変貌を遂げる!?」(X記事)(System 3に移った人間が増えたら、のあと)

能力の差よりも、欲望の差が重要になる。

これまで優秀な人とは、たくさん知っている人、速く計算できる人、文章が上手い人、プログラムが書ける人、分析に強い人でした。それらの多くをAIが担当するなら、人間の差は別の場所に移る、と川邊さんは書きます。

移る先として挙げているのは、5つの問いです。何を問うか。何を面白いと思うか。何を実現したいと思うか。何をやらないと決めるか。どの未来を選ぶか。

そして、AIに「何でもできますよ」と言われた時に、「では、これをやりたい」と言える人間と、何も思いつかない人間。この差はかなり大きい、と続きます。

川邊さん自身も、AIソロプレナーになってからずっと、この問題に直面しているそうです。社員はいない。AIはいる。調べ物も、文章も、プログラムも、画像もできる。

すると最後に不足するのは、能力ではありません。「で、川邊さんは何がしたいんですか?」という問題なのです、と(苦笑)つきで書かれています。

AIが調べて、書いて、作ってくれる量が増えるほど、手が空いた分だけ「で、何をするのか」が前に出てくる。AIを使っている経営者なら、思い当たる日があると思います。

8月に紹介した川邊さんの別の動画でも、AIで一人で会社を回すうえで「1番重要なのは意思の力」だという話が出ていました。その回の記事で、私はこう書いています。

AI氣道『「チャッピー、舌ないですから」|川邊健太郎さんの1人会社に、惣菜屋育ちの私が見た味見の値打ち』より

「意思がないと、AIは走り出さない。意思があっても、良しとする基準が自分の色じゃないと、走った先がズレる。」

意思と基準と道具の順番は、8月の動画回の記事、『「チャッピー、舌ないですから」|川邊健太郎さんの1人会社に、惣菜屋育ちの私が見た味見の値打ち』で書いています。

意思がなければ走り出さない。意思があっても、良しとする基準が自分のものでなければ、ズレる。今回の「欲望の差」は、その手前の、意思の話に重なります。

ここで、AIを使う側の具体的な場面に引き寄せます。AIに「何でもできますよ」と言われた日の問題は、頼める量ではなく、頼む中身が決まっていないことです。調べ物や下書きは、頼めばすぐ出てくる。

でも、今週の仕事のどこに時間を使いたいのか、何をAIに渡して何を自分で持っておきたいのかは、AIの画面のどこにも書いていません。

03

「理解しきれなくても方向を決める存在」へ。知能爆発の怖さは、賢さより「賢くなる速度」にある

長い巻物の結果と影響の2か所に虫眼鏡を当て、先に方向の道標が立つ図解
元記事キャプチャ: 理解しきれなくても方向を決める存在、の章
元記事キャプチャ: 「理解しきれなくても方向を決める存在」

川邊健太郎さん「AIソロプレナー珍道中26 「知能爆発」の先で、人間は「考える葦」から「望む葦」に変貌を遂げる!?」(X記事)(知能爆発と、社会の権力構造のあと)

「すべてを理解して決める存在」から、「理解しきれなくても方向を決める存在」へ変わっていくのではないのでしょうか?

この論文で、川邊さんがもう一つ興味深いと書いたのが、知能爆発は技術の話にとどまらず、社会の権力構造まで変え得るという指摘です。最初にループへ入った企業や国家が、短期間で圧倒的な優位を得るかもしれない。

そうなると、企業間、国家間、政府と民間、行政府と議会といった、長い時間をかけて作ってきた「checks and balances(権力の相互牽制)」が、AIの進歩速度に追いつかなくなる可能性がある。

川邊さんは、ここに「重大な危機感」を持っていると明記しています。

本当の怖さは、賢いAIが突然現れることだけではなく、AIの能力の「時間微分」が大きくなること。賢さそのものより、賢くなる速度が上がっていくことだ、と。

法律を変えるにも、会社が決めるにも、国会で議論するにも、人々が新しい技術に慣れるにも、時間がかかります。技術側だけが速くなったらどうなるのか、という問いです。

元記事の注には、「1年分の進歩が約5週間で起きる」は現在の実測ではなく、論文によるモデル試算だと書かれています。

全面自動化が起き、大きなボトルネックが出ないという仮定を置いた場合の話で、著者ら自身が大きな不確実性を強調しているそうです。

この前提の上で、川邊さんは、人間が全部を理解してから決めることは、いずれ不可能になるかもしれないと考えます。

だから人間は、すべてを理解して決める存在から、理解しきれなくても方向を決める存在へ変わるのではないか。

その時に必要なのは知識量ではなく、価値観、欲望、美意識、倫理観、そして「私はこうしたい」という意思だ、と続きます。

AIを使う側の仕事に引き寄せると、これは「全部を見られなくなる日」の話です。AIが進める作業の量が増えるほど、出てきた結果を一行ずつ読み直す時間は足りなくなります。そのとき何を見るか。

私は、10月7日の記事に、こう書きました。

AI氣道『AIの速さに確認が追いつかない問題を、和田卓人さんが解説。「レビュー解体」と、任せても手放せない理解』より

「私なら、人間が見るのは、確かめた結果と、影響が大きい所だけに絞ります。」

全部を見ずに、見る所を絞る考えは、10月7日の記事、『AIの速さに確認が追いつかない問題を、和田卓人さんが解説。「レビュー解体」と、任せても手放せない理解』で書いています。

理解しきれなくても方向を決める、とは、何も見ないという意味ではないと思います。全体は読めなくても、確かめた結果と、影響が大きい所には目を置く。そうして、方向を決める側に残ります。

AIに頼む形に直すと、こうなります。長い作業を任せたあと、「確かめた結果」と「まだ確かめていないこと」を分けて報告してもらう。

そして、お金・お客さん・公開のように、取り返しがつきにくい所は、先に印をつけてもらう。見る所を絞るための材料を、AI自身に並べてもらう頼み方です。

04

「私はAの世界を望む」。「考える葦」から「望む葦」へ、人間に残るのは意思の発生源かもしれない

回答案の青い水路と、出どころから流れる赤い入力の水路を並べて比べる図解
元記事キャプチャ: 私はAの世界を望むという意思そのもの、の章
元記事キャプチャ: 「私はAの世界を望む」という意思そのもの

川邊健太郎さん「AIソロプレナー珍道中26 「知能爆発」の先で、人間は「考える葦」から「望む葦」に変貌を遂げる!?」(X記事)(珍道中24のあと、考えが進んだところ)

「私はAの世界を望む」という意思そのものではないのでしょうか?

川邊さんは、珍道中24で、ビル・ゲイツの「Human Reserved」という考え方を紹介しています。AIにもできるけれど、それでも人間がやること。

そこから、人間に最後まで残るのは「決めること」だと考えてきました。

ところが、今回の論文を読んで、少し考えが進んだと書きます。もしかすると、人間に残るのは「決めること」ですらないのかもしれない。

AIが選択肢を考え、結果を予測し、最適解まで提示するなら、「AとBのどちらが合理的か」を決めること自体はAIにもできる。

それでもAIが代替しにくいものがあるとすれば、「私はAの世界を望む」という意思そのもの。

System 3の最終形は、意思決定ではなく、意思の発生源になることなのかもしれない、と(つまりは生命?と、カッコ付きで)書いています。

この「意思の発生源」に、私は身に覚えがあります。10月7日、AIが問いを出し、私が自分の言葉で答える「魂磨き」の時間で、こういうことがありました。

AIは、私の答えの下書きを回答案として用意することがあります。この日、願いの理由を聞かれたとき、AIが回答案で想定していたのは、可能性へのワクワクでした。私が自分で入力したのは、別の言葉でした。

AI氣道『学歴が理由で仕事に落ちたとき、好きで得意なパソコンまで諦めなくていい理由』より

「私の願いの出どころは、辛さでした。」

AIの回答案と、自分の入力が分かれた日のことは、10月7日の記事、『学歴が理由で仕事に落ちたとき、好きで得意なパソコンまで諦めなくていい理由』で書いています。

AIは、合理的に読める答えを先に出せます。ここで起きたのは、その答えが外れた、というだけの話ではありません。願いの出どころは、回答案を読んでも出てこず、自分の入力で初めて出てきました。

私は、これを川邊さんの言う「意思の発生源」の、小さな実例として読みました。AIが最適解まで出せる世界でも、「私はこの世界を望む」の根元は、その人の側にある。

回答案が合理的であるほど、自分の入力とのずれが、出どころを教えてくれます。

ここで、AIの役目を整理します。AIは、望みを代わりに決める存在ではありません。問いを出し、答えの案を並べ、人が反応する材料を用意する存在です。望みそのものは、人が自分の言葉で入れます。

川邊さんの言う「意思の発生源」と、AIの役割の線は、この辺りに引けると思います。

05

AIには答えを書かせず、問いを出してもらう。「任せる案」と「自分で続ける案」を並べて、反応を見る

任せる案と自分で続ける案の2枚の紙を並べ、反応の赤い丸を付ける図解
元記事キャプチャ: で、川邊さんは何がしたいんですか?の章
元記事キャプチャ: 「で、川邊さんは何がしたいんですか?」

川邊健太郎さん「AIソロプレナー珍道中26 「知能爆発」の先で、人間は「考える葦」から「望む葦」に変貌を遂げる!?」(X記事)(「AIに『何でもできますよ』と言われた時」の問いに戻って)

AIに「何でもできますよ」と言われた時に、「では、これをやりたい」と言える人間と、何も思いつかない人間。

では、「何をしたいのですか?」に、今日の仕事の場面でどう答えるか。川邊さんの記事は、問いを残して終わります。答えの出し方は、AIの使い方で変わります。

たとえば、顧客への提案書を毎回一人で作っている経営者の場面で考えます。過去資料を探し、お客さんの要望を整理し、構成を考え、文章を書き、抜けを点検する。全部を自分でやると一日が終わります。

ここでAIに頼むのは、提案書そのものだけではありません。まず、「提案書づくりの流れ」を、任せる案と、自分で続ける案の二通りに分けてもらいます。

資料の整理と下書きと照合はAIに渡し、お客さんと話す場面と、約束の中身を決める所は自分で持つ、という分け方が、一つの案です。もう一つは、構成づくりまで自分でやる案。

二つの案が並ぶと、「こっちは違う」「ここは手放したくない」という反応が出ます。この反応が、望みの輪郭です。ゼロから「私は何を望むのか」と考えるより、並んだ案に反応するほうが、言葉が出やすくなります。

7月の記事に、同じ順番を書いています。

AI氣道『AIの使い方より先に、“欲しい道具”を思いつける頭になる|箕輪厚介さんの投稿から考えた発想の順番』より

「ゼロから発想する必要はなく、「これは近いけど、ここが違う」の比較から言葉にするほうが、実は早く、そして具体的になります。」

ゼロから考えず、比較から言葉にする順番は、7月の記事、『AIの使い方より先に、“欲しい道具”を思いつける頭になる|箕輪厚介さんの投稿から考えた発想の順番』で書いています。

AIに聞き手になってもらう形にすると、さらに進みます。「私の今週の仕事は〇〇と△△。この中で、任せたい場面と、自分で続けたい場面を決めたい。答えは書かずに、質問を1つずつ出して」と頼む。

AIが「その場面で、一番手放したくないのは何ですか」と聞き、こちらが自分の言葉で答える。魂磨きと同じ形です。

前作では、AIに判断を委ねて返ってきた答えへの違和感を、自分を知る材料にする話を書きました。10月6日の記事です。今回はその一歩手前で、AIの案に反応する前に、何に反応するのかを言葉にする入口です。

AIに頼めることは、問いを出すこと、案を並べること、答えを整理して返すこと。頼めないことは、反応する側に立つことです。

AIが「ここは手放したくないですか」と聞いても、うなずくか首をかしげるかは、こちらの側で起きます。

06

「あなたは何をしたいのですか?」という問いだけが残る。今日の仕事で、15分で答えを書いてみる

砂時計から、場面、2案、1行の階段を上ると、したいの旗に着く15分の手順の図解
元記事キャプチャ: 大願、の章
元記事キャプチャ: 「大願」

川邊健太郎さん「AIソロプレナー珍道中26 「知能爆発」の先で、人間は「考える葦」から「望む葦」に変貌を遂げる!?」(X記事)(結びの部分)

AIが猛烈な勢いで賢くなるほど、人間には「あなたは何をしたいのですか?」という問いだけが残る。

川邊さんは結びで、この問いを「大願」の問題かもしれないと書いています。

SNSのリア充を見て「私にはなりたいものがない」と嘆いていたのとは、ケタの違う「で、何をしたいのですか?」の重圧が、今後人間を襲うかもしれない、と。

大願と聞くと、身構えます。ただ、元記事の問いは「あなたは何をしたいのですか?」で、人生の目的を答えなさい、とは書かれていません。今日の仕事の中の、小さな「したい」から始めても、問いに触れることはできます。

15分で試すなら、こうです。まず、今週の仕事から1場面を選びます(2分)。AIに、その場面を「任せる案」と「自分で続ける案」に分けてもらいます(3分)。

並んだ案を読んで、引っかかった所を1行ずつ書きます(5分)。最後に、その1行を、自分の言葉で「私は〜したい」の形に直します(5分)。

残し方に、一つだけ決まりを足します。AIが書いた案の文と、自分で入力した文を、分けて残すことです。魂磨きの記事のコラムにも、同じことを書きました。

AI氣道『学歴が理由で仕事に落ちたとき、好きで得意なパソコンまで諦めなくていい理由』のコラムより

「そのときは、どの文が自分で入力した言葉で、どの文がAIの書いた文かを、分けて残しておきます。」

AIの文と自分の文を分けて残すことは、10月7日の記事、『学歴が理由で仕事に落ちたとき、好きで得意なパソコンまで諦めなくていい理由』で書いています。

あとで読み返したとき、自分の声がどこにあるのかが分かります。川邊さんの言う「意思の発生源」は、AIの案の中には見つかりません。自分で入力した一行の中に、あるはずです。

最後に、川邊さんの記事の読みどころを、一行でまとめます。AIに任せられる範囲が広がるほど、人間に残る問いは「どうやるか」から「何を望むか」へ移る。

そのとき、AIは答えを出す相手より、問いを出してくれる相手として使うほうが、自分の望みに近づく。私は、そう受け取りました。

FAQ

よくある質問

Q. 知能爆発とは何ですか?

A. 元記事では、AIがAIを開発するようになることで、AIの進化速度そのものが加速し始める現象と説明されています。AIが、より賢いAIを作り、その新しいAIはさらにAI研究が上手い、という自己強化のループです。自動車や半導体と違い、研究される対象と研究する主体が、同じAIになり得る点が違いだと書かれています。

Q. 「1%から26%」は、AIが人間なしで研究しているということですか?

A. 違います。元記事の注によると、26%は、AIが完全に人間から独立して研究しているという意味ではなく、高レベルの指示と監督のもとで、タスクの大部分を最後まで進められたと評価された割合です。数値はAnthropic自身の社内測定です。

Q. 「1年分の進歩が約5週間で起きる」は、いま起きていることですか?

A. 元記事の注によると、これは現在の実測値ではなく、論文による将来シナリオのモデル試算です。全面的な自動化が起き、大きなボトルネックが生じないという仮定を置いた場合の話で、著者ら自身も大きな不確実性を強調しています。

Q. System 1・2・3とは何ですか?

A. 川邊さんが前々回の珍道中で提案した、人間の思考の分け方です。System 1は直感や反射、System 2は調べる・計算する・論理で考える知性、System 3は、AIに何をさせるかを決める役割です。今回の記事では、System 3の最終形が、意思決定ではなく意思の発生源になることかもしれない、と書かれています。

Q. AIに「何をしたいか」を考えてもらうことはできますか?

A. AIに案を並べてもらい、問いを出してもらうことはできます。ただ、案にうなずくか、首をかしげるかは、人の側で起きます。私は、AIに答えを書かせず、並んだ案への反応を、自分の言葉で書き残す使い方を提案します。元記事にはない私の提案です。

MATOME

まとめ:AIに手順を渡したあと、問いを出してもらって、自分の言葉で「望み」を書く

川邊さんの記事は、論文の数字(高レベルの指示だけで完了できるR&D業務が、半年足らずで1%から26%)から、人間がHowをAIに渡し、WhatとWhyだけを決める状態の始まりを読みました。そこから、人間の差は能力ではなく欲望に移り、最後は「私はAの世界を望む」という意思そのものが残るのでは、と進みます。

私が持ち帰ったのは、AIが最適解まで出せる世界でも、願いの出どころは回答案からは出てこない、という手触りです。10月7日の魂磨きで、AIの回答案と自分の入力が分かれました。出どころは、自分の入力にありました。

そこで私は、AIを答えを書く相手ではなく、問いを出してくれる相手として使うことを提案します。仕事の流れを「任せる案」と「自分で続ける案」に分けてAIに並べてもらい、引っかかった所を1行書く。AIの文と自分の入力は、分けて残します。どれも元記事にはない、AIを使う側の私の提案です。

最初の一歩は、今週の仕事から1場面を選んで、15分で「私は〜したい」を1行書くことです。大願でなくて構いません。今日の仕事の中の、小さな「したい」から始めてみてください。

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COLUMN

レシピはAIが100通り出せる。今夜、誰に何を食べさせたいかは、料理をする人の中から出てくる

夜の調理場で、何枚ものレシピの巻物の前に、今夜は誰にの札を空の皿のそばへ置くコラム図解

料理でたとえます。冷蔵庫の中身を伝えれば、AIはレシピを何通りでも出してくれます。火加減も、手順も、盛り付けの案まで並びます。包丁も鍋も、頼めばいくらでも動きます。でも、画面のどこにも書いていないことが一つあります。今夜、誰に何を食べてもらいたいのか。ここだけは、レシピの中から出てきません。料理をする人の中から出てくるものです。川邊さんの言う「意思の発生源」は、私には、この「食べてもらいたい」の根元のことに聞こえました。

ただ、「食べてもらいたい」は、立派でなくていいと思います。疲れて帰ってくる人に、温かいものを。前に食べて残念だった味を、誰にも出したくない。理由は、そんな小さなところで十分です。そして、自分でも気づいていないことがあります。AIが「今夜はさっぱりした味にしましょうか」と案を出したとき、「いや、ちがう」と引っかかった。その引っかかりが、食べてもらいたいものの輪郭を、教えてくれることがあります。

だから、AIには献立を決めさせず、質問をしてもらいます。「一番食べてほしいのは誰ですか」「その人は、帰ってきたとき、どんな顔をしていますか」。答えるのは、料理をする人です。鍋を火にかけるのはAIでも、最初の一言を決めるのは人。私の運用も、まだ途中です。その途中の話は、分身AIと歩んだ100日の全まとめにも残しています。

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今回紹介した記事

著者川邊健太郎さん(LINEヤフー前会長)
媒体X(旧Twitter)の記事(@dennotai)・連載「AIソロプレナー珍道中」26回目
公開日2026年10月7日
元URLhttps://x.com/dennotai/status/2107599525527646437

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