発信をお金にかえる勇気の要約と書評、末吉宏臣さんが説く小さな勇気を全7章で読む

田中啓之、ひろくんです。

書くことはできる。でも、それに値段をつけるところで手が止まる。この差は、どこから来るのでしょうか。

末吉宏臣さんの『発信をお金にかえる勇気』(きずな出版、2025年5月)は、この問いに「小さな勇気」という一語で章を追って答えていく本です。末吉さんはセミナー講師で、ライフワークの専門家として活動しています。この書評では、はじめにからおわりにまで、章の順に追っていきます。

3行でわかるポイント

  • 発信を始めるのに要るのは、才能より小さな勇気だと著者は書きます。
  • お金を受け取る怖さをほどき、好き・得意・相手の喜びを7ステップで価値に変えます。
  • 怖さやモヤモヤも行動のエネルギーに変えて続け、発信を時間をかけて育てる資産として描いた一冊です。
発信をお金にかえる勇気の全体の流れ。始める、価値を届ける、続けて育てる、出会いが広がるの順に全7章を読む
図1|発信をお金にかえる勇気の全体の流れ。始める、価値を届ける、続けて育てる、出会いが広がるの順に全7章を読む
末吉宏臣『発信をお金にかえる勇気』の表紙

発信をお金にかえる勇気

末吉宏臣 著

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『発信をお金にかえる勇気』の全体像:小さな勇気で一本につながる本

本全体を貫く小さな勇気。始める、受け取る、形にする、続ける、育てる、味わうの順に並べる
図2|本全体を貫く小さな勇気。始める、受け取る、形にする、続ける、育てる、味わうの順に並べる

背骨になっているのは、書名にある「勇気」です。

はじめにで末吉さんが出発点に置くのは、大きなことではなく、ほんの少しの勇気です。小さな一歩から始める話が、章を追って繰り返されます。

その勇気が向かう先は、章ごとに変わります。第1〜2章は発信を始める勇気。第3章はお金を受け取る勇気。第4章では、自分の人生を価値として形にする手順に移ります。

第5章は続けるための心の扱い方。第6章は発信を資産として育てる時間軸。第7章で、発信する人が得られるものが描かれます。

始める、受け取る、形にする、続ける、育てる、味わう。

並べると一本の道です。前の章で出した勇気が、次の章の足場になっています。

はじめに あなたの言葉が、お金になる時代が来た!

はじめには、末吉さん自身の小さな一歩から始まります。

SNSやnoteに日々の気づきを書いていたころ、それが収入になるとは思っていなかったそうです。自分の書くものに、お金をいただく価値があるのか。その不安を抱えたまま、最初の有料記事を出しました。

届いたのは、「ありがとう」の言葉と投げ銭でした。

誰かの役に立てる。そこで小さな自信が生まれた、と書かれています。

前作『発信する勇気』(2024年2月)は、発信する方法の本でした。本書が扱うのは、その発信をお金にかえるところです。かえられない人の多くは、お金をもらうことへの心理的なハードルで止まっている。出発点はここです。

そのうえで、お金を誰かの「ありがとう」が形になったものとして捉え直します。この見方が、本全体の前提になっています。

はじめにの最後は、3年後の朝に感謝のメッセージが届く場面です。未来の自分が、昔の自分にお礼を言う。この場面は、おわりにで回収されます。

第1〜2章の要約:発信しない理由と「怖い」をほどく

第1〜2章の図。広い市場と安心して語る私場を比べ、好き・得意・日々の気づきから発信を始める
図3|第1〜2章の図。広い市場と安心して語る私場を比べ、好き・得意・日々の気づきから発信を始める

第1章 「伝えない人生」と「伝える人生」 どちらを選ぶ?

第1章は、発信しないことで失うものから話が始まります。

中心にあるのが「コンテンツ貯金」です。銀行の預金は、引き出せば減ります。書いた記事は逆で、読まれるほど、シェアされるほど、感想をもらうほど価値が増えていく。

一度書いた文章は、書き手が寝ている間も読まれ続けます。だから発信には複利が働く、という説明です。

発信しないままにしておくことを、末吉さんは「静かな才能の浪費」と呼びます。言葉を待つ誰かと出会う可能性も、自分の経験が誰かの希望になる可能性も、書かなければ生まれません。

では、始める人と始めない人は何が違うのか。

答えは一点だけです。小さな勇気を出せるかどうか。

始めない人は「もっと勉強してから」と準備にこだわり、月日だけが過ぎていく。末吉さん自身も、時間をかけるほど動けなくなっていたと振り返っています。そこで決めたのが、短くても毎日noteを書くことでした。

いまが好機だという理由も書かれています。信頼される情報の流れが、専門家からの「上から」より、同じ目線の人からの「横」へ移った。AIで正解が手に入りやすくなるほど、この人だから共感できるという価値はかえって希少になる。そういう見立てです。

そのうえで、発信がお金、仕事の質、人間関係、学ぶ姿勢、人生の質の5か所で分かれ道になると整理しています。

章の最後は、メンターの本田健さんに「なぜ本を書くの?」と問われた場面です。この一言で、自分の本を待つ誰かがいると気づいたそうです。

あなたの未来にも、あなたの発信を待つ読者やお客さんが必ずいます。

出典:第1章「あなたの言葉を待っている人が、必ずいる!」

第2章 「恥ずかしい」「怖い」を乗り越えて、最初の一歩を踏み出そう!

第2章は、発信が怖い理由をほどく章です。

多くの人が踏み出せないのは、知らない大勢の前で意見を言うのが怖いから。末吉さんはそう見たうえで、スキルも届く人数も必須条件ではないと書きます。

大切なのは、安心感をもって、自分らしい言葉を語れることです。

続いて、発信を始める3つの小さな勇気が挙げられます。まず、自分のために発信する勇気。次に、完璧さを手放し、8割の出来でOKと思って投稿する勇気。そして、いまの自分にできることをやる勇気です。最後の一つの例として、本を書きたいという夢を電子書籍から始めた話が出てきます。

この章の要は「私場(わたしば)」です。

市場は、多くの人が行き交う広い場所です。そこでは競争や評価がどうしても気になる。私場はその反対で、気の合う友人とカフェで話すような温かい場所として描かれます。最初は10人でも十分だ、とまで書いてあります。

私場は違います。 少人数でいい、自分らしいペースでいい、等身大でいいのです。 そんなあなたの言葉に共感する人が集まり、その小さな輪が、あなたの価値を育ててくれて、やがて広がっていきます。 私にとっては、noteというメディアが、その「私場」でした。

出典:第2章「「市場」ではなく「私場」」

次は発信のタネの話です。

好きなことと得意なことが重なる所に、その人だけの価値が生まれる。得意なことは、本人が当たり前だと思っている中に隠れている。よく聞かれること、感謝されたこと、褒められたことが、そのサインだそうです。

それでも分からない人には、毎日の気づきを書くことが勧められます。小さな気づきを書き続けると、好きや得意に自然とたどり着く。末吉さんが最初にしたのも、noteに毎日の気づきを書く挑戦でした。

場所選びでは、発信のホームベースを一つに決めます。基準は数字の伸びやすさより、心地よく続けられるかどうかです。

章の最後は数字の話です。YouTubeを見てセミナーに来た人の笑顔を見て、視聴回数の向こうに一人ひとりがいると気づいた。そんな体験が書かれています。

いいねが少なくても、その奥に人がいる。第2章はそこで閉じます。

私の場合|情報発信の場を、作り手に手渡そうとしていた

2019年に公開していた私のプロフィールには、当時の会社の理念が載っています。

住まいづくりの話です。

住まい手は情報があふれすぎて、何を検討材料にすればいいかすら分からない。作り手である中小企業の側には、住まい手へ価格以上の価値をどう提供するのかという問いがある。私はそこに「ハウスメーカーにない本来の強みをどう表現するのか?」とも書いていました。

そのうえで、住まい手には検討材料になる最新情報を届け続け、作り手には価値を住まい手へ直接届けられる「情報発信の場」を提供する、と続けています。締めはこの一文です。

『「株式会社リブウェル」は、住まい手と作り手にとって相互利益となる場を提供しつづけるプラットフォームを目指します。』

私場の話と並べると、まず主語の違いが目に入ります。

本の私場は、発信する本人が自分のために持つ場所でした。末吉さんにとってはnoteです。2019年の私が書いていたのは、作り手という他者に提供する場。同じ「場」でも、立っている位置が違います。

それでも、つながる所はあります。作り手の強みをどう表現するかという問いは、この章の得意の話と重なります。本では、得意なことは、本人が当たり前だと思っている中に隠れていると書かれていました。

だとすると、場を用意するだけでは足りません。

私の考えでは、場をつくる側が見るべきなのは、そこで語る人が安心して自分の言葉を出せるかどうかです。私場という言葉は、場を提供する側にも、その一点を問い直させてくれます。

第3〜4章の要約:お金を受け取る勇気と、人生を価値にする7ステップ

第4章の7ステップ。ワクワク、過去の宝物、相手の喜び、ウリ、商品、続けられる形、必要な人へ届ける順序
図4|第4章の7ステップ。ワクワク、過去の宝物、相手の喜び、ウリ、商品、続けられる形、必要な人へ届ける順序

第3章 「最初の百円」を受け取る お金の壁を超える勇気

第3章のテーマは、お金を受け取ることへの抵抗です。

缶コーヒーを買ってきてと頼まれたら、たいていの人は迷わず動けます。ところが、発信をお金にかえませんかと言われると止まってしまう。

この差を、末吉さんは才能の不足とは見ません。受け取ることへの抵抗感があるだけだ、と書きます。

だから最初は小さくていい。日々の暮らしで見つけた時短レシピの記事に、最初の百円の値段をつけたAさんの例が出てきます。投稿ボタンを押す指が震えた、という話です。そこから少人数の会、継続して学び合う場へと広がっていきました。

次に外されるのが、お金は努力や苦労の量で決まるという思い込みです。楽にできてしまうことこそ、その人に与えられたギフト。自分には当たり前でも、誰かには「すごい!」になります。

いつ有料にするかについては、作家は原稿料をもらいながら成長していく、という言葉が引かれています。無理に売れるものをつくらず、買ってくれる人が現れるまで楽しみながら発信を続ければいい。お客さんの目を気にしすぎると、自分らしさを失うからです。

罪悪感の手放し方は具体的です。

自分を大切にする勇気、嫌われる勇気、豊かになる勇気。安すぎる値段で続けると疲れてしまい、結局は相手も大切にできない。すべての人に好かれようとしたら、誰の人生も変えられない。そう続きます。

後半は、100人から受け取る方法です。人は商品そのものより、解決したい悩みや叶えたい願いにお金を払う。だから相手の切実な気持ちに寄り添う、という順で話が進みます。

成功体験より、失敗や苦労の経験にこそ価値が眠っている。この一文もここに出てきます。一度知らせて終わりにせず、押しつけない工夫をしながら何度も知らせる勇気も挙げられています。

章の終わりには、受け取る気持ちの変化が段階で示されます。最初は「本当にいいのかな」と遠慮する。次に、素直に「ありがとうございます」と受け取れる。最後は、もっと価値あるものを届けたいと思えるようになります。

お金は、価値と感謝を運ぶ力を持っています。

出典:第3章「最初の1万円が、あなたに教えてくれること」

第4章 「あなたの人生そのもの」が価値になる! お金にかえる7ステップ

第4章は、本の中でいちばん手順が具体的な章です。7つのステップを順に追います。

ステップ1は、ワクワクのリストアップ。時間を忘れて夢中になれること、誰かに話したくなること、お金を払ってでも学びたいこと。こうした問いに答えていくと、ワクワクのタネが見えてきます。

ワクワクの中には才能と必然性がある、と末吉さんは書きます。約束は一つだけ。お金のことは考えずに書き出すことです。

ステップ2では、過去に眠る宝物を探します。続けてきたこと、試行錯誤してきたこと、褒められたり感謝されたりすること。家計簿を10年続けてきた女性の例が出てきます。遠まわりして苦労した人ほど、誰かの道しるべになれる。仲のよい友人に、自分のいいところを聞いてみる方法も勧められています。

ステップ3は、お客さんの喜びポイントを探すことです。

自分がどれだけワクワクしていても、相手の心に響かなければ、売れるのは難しい。まず理想のお客さんをはっきりさせ、次にその人の悩みと願いの奥を想像する。時間がないという悩みの裏には、家族との時間を大切にしたい願いがあるかもしれない、という例が添えられています。

書店をぐるっと一周して、売れている本のテーマや言葉を見る方法も紹介されます。健康、仕事や夢、人間関係、お金という、悩みの分類も出てきます。

ステップ4はウリの明確化です。売れない原因は、商品の質より、価値が伝わっていないことにある場合が多い。末吉さんが手がけた電子書籍は、「A4用紙1枚×タイムマネジメント」というかけ算のコンセプトで広がったそうです。

得られるものを言葉にすることも大事だとされます。楽しさ、癒し、知識、勇気、希望。さらに、自分の体験やビジョンを語る世界観が、選ばれる理由になる。料理で救われた経験を話した料理教室の例が印象に残ります。

ステップ5は、自分に合った商品をつくることです。合言葉は、小さく始めてお客さんと一緒に育てる。

形は段階的です。気軽に手に取れる記事や電子書籍から、少人数で双方向のオンラインセミナー、継続して学び合うオンラインサロン、オンラインコースや講座、そして1対1の個別サポートへ。信頼が深まるほど、提供の形も深くなっていきます。

ステップ6は、お客さんも自分も楽になるビジネスモデルです。

高い商品だけでも、安い商品だけでも、一長一短がある。だから価格帯を複数用意し、お客さんがいまの状況に合わせて選べるようにする。ここで念を押されるのが、やさしいことと安いことは違うという点です。自分が心配になる商品はつくらない。案内するのが怖いサービスは始めない。そのうえで、低額商品で日々の安定収入を確保しつつ、中額・高額商品で大きな収益を生み出せるのが理想です。このやさしいビジネスモデルが長く続く土台になり、やがて大きな可能性へとつながっていく、と末吉さんは書いています。

ステップ7は、必要としている人に届けることです。

売れない原因の多くは、「知られていない」からなのです。

出典:第4章「【ステップ7】必要としている人に、確実に届ける方法」

手順はこうです。まず、未来のお客さんを集める。気軽に読めるものほど手を抜かず、いちばんエネルギーを注ぐ。次に、すぐ商品を案内せず、相手が知りたいことを先回りして伝えて、買いたい気持ちを育てる。最後に、購入した後の姿を思い描いてもらい、必要なら背中を押す。

売り込むより、知ってもらう。ステップ7は、この意識から始まります。

私の場合|一行の仕事観と、集客のためにつくっていた道具

2019年のプロフィールには、仕事のスタンスという欄があります。

そこに私は、大好きな事、得意な事、人から喜ばれる、社会に貢献できる、と一行に並べて書き、その後に「生涯現役。」と置いていました。続けて、仕事は最高の学びの場で、出会いの場だとも書いています。

第4章を読むと、この一行がばらされ、並べ直されているように見えます。

好きはステップ1、得意や続けてきたことはステップ2、人から喜ばれることはステップ3。しかもステップ1ではお金のことを考えないと決め、喜ばれる形を探すのはその後に置いています。

私の一行には、その順番がありません。全部を同時に、仕事のスタンスとして掲げていました。

同じプロフィールの別の箇所には、順番のない一行とは違う、手を動かした記述が残っています。

『料理人として修行の日々の傍らでお店の集客強化をするためにパソコンを利用した チラシ、メニュー、看板の製作、ポイントシステム、顧客データベース、 ホームページの作成にも着手。』

第4章に照らすと、これはステップ7の、知ってもらう側の作業にあたります。

並べてみると、2019年の私の文には、届ける側の道具づくりの記述と、好き・得意・喜ばれるを並べた一行の両方がありました。何にワクワクし、何を積み重ね、相手が何を喜ぶかを順に洗い出す工程、つまりステップ1〜3は、どちらの文にも書かれていません。

私の考えでは、7ステップは、この一行と手の作業のあいだを、歩ける順番でつないだ地図です。何を届けるかが先に洗い出されていれば、チラシに何を書くかも、メニューに何を載せるかも、そこから決められます。

生涯現役と書いた考え方は、ステップ6の続け方と重なる所がある、と私は読みました。本では、お客さんも自分も楽になる、やさしいビジネスモデルが、長く続く土台になると書かれています。好きと得意と喜ばれることを重ねるなら、その重なりを続けられる仕組みまで含めて考える必要がある、と私は考えます。

第5〜7章とおわりにの要約:発信を続ける心と、資産として育てる時間

第5〜7章の図。感情を行動に変え、つくる時間と売る時間を分けて育て、出会いやライフワークへつながる
図5|第5〜7章の図。感情を行動に変え、つくる時間と売る時間を分けて育て、出会いやライフワークへつながる

第5章 発信が続かない? その”モヤモヤ”を行動エネルギーに変える!

第5章は、発信を止める感情をどう扱うかの章です。

出発点は、ネガティブな感情にも大きなエネルギーがあるという見方です。情熱は、誰かの役に立ちたい願いと、自分らしく表現したい思いが重なる所に置かれます。

好きなだけだと、自分の心地よさばかり追いかけてしまう。役に立ちたいだけだと、自分を押し殺してしまうかもしれない。二つが重なると、止めるのが難しいほどの行動につながる。

次に出てくるのが、発信をお金にかえる途中でぶつかる4つの壁です。責任への恐れには、「完璧にしなければ」を、できる範囲でていねいに価値を届ける考えへ置き換える。承認欲求は、どうすれば読者の役に立てるかへ切り替える。比較の罠では、比べる相手を過去の自分にする。成功への恐れには、成功で得られるものに目を向ける。

章の中心は、怖さの捉え直しです。

「怖いけどワクワクすることは何ですか?」 あなたが感じている「怖さの正体」は、実は「大切なこと」だからこそ生まれたものなのかもしれません。

出典:第5章「「怖いけどワクワクすること」を選ぶと人生は変わる!」

最初のセッションを出す前に夜も眠れず、1年踏み出せなかったヒーラーの例も出てきます。

情熱は痛みから生まれる、という話もあります。つらかった経験は、同じ悩みを持つ人にとって「私だけじゃないんだ」という安心になる。そこで、いま同じ経験をしている人に何を伝えたいかを自分に問う。末吉さん自身、両親との関係に悩んだ経験を、限られた読者に向けた有料noteに書いたそうです。

感情を行動に変える手順は、気づく、深める、変換するの順です。不安は準備を促し、恐れは身を守り、責任感はよりよい価値を届けたいと願っている。そのうえで本は、「このように、感情の裏には、必ずあなたを思いやるメッセージが隠れています。」と書いています。

心を整える言葉として、「ごめんなさい」「きっと、うまくいく」「ありがとう」も紹介されます。先にごめんなさいと心でつぶやくと、完璧主義から離れられる。まだ起きていないことにも、先にありがとうと言う。

最後は使命の話です。使命は探しに行くものではない。内側から湧く「これをやりたい」を、勇気を出して行動に移すことだ、と結ばれます。

私の場合|失敗を恐れずトライ、意味づけは自分次第

2019年のプロフィールで、私は挑戦についてこう書いていました。

「どんな事でも失敗を恐れずトライ。」

勝利も敗北も、そこにあるのは結果だけ。その後にこう続きます。

「結果を成功なのか失敗なのかを意味づけるのは自分次第。」

次の行には、常にワクワクする気持ちと童心を忘れない、ともあります。

第5章と重ねると、同じ向きの所と、ずれる所がはっきり分かれます。

私が同じ向きだと思うのは、結果の意味を外の評価に預けない点です。比べる相手を過去の自分にする第5章の考え方と、同じ方を見ています。ワクワクを手放さないことも、怖いけどワクワクする方を選ぶ問いとつながります。

ずれるのは二か所です。

一つ目は、怖さの扱い。2019年の私は「恐れず」と書きました。本のほうは、怖さがあるのは当たり前で、それは大切なことの印かもしれないと書きます。怖さを消すより、怖さを持ったまま踏み出す書き方です。

二つ目は、意味の置き場所。本は、感情の裏には必ずあなたを思いやるメッセージが隠れていると書きます。意味は感情の側にある、という書き方です。私の文は、意味は自分が置くものだと書いています。

どちらかに決める必要はない、と私は考えます。感情が何かを知らせているなら、まずそれを聞く。そのうえで、結果にどんな意味を置くかは自分で選ぶ。二つの文を重ねると、この順番が見えてきます。

第6章 「発信が資産になる!」 3年後に自由な未来を手に入れる方法

第6章は、発信を時間をかけて育てる見取り図です。

コンテンツは「お金のなる木」にたとえられます。一度植えれば実を結び続ける。手入れを続けるほど幹が太くなる。次の木を育てるタネにもなる。

ただし守る原則があります。一晩では育たない。他人の木をまねしても実らない。柿のタネで桃の木は育たない、という例えが使われています。そして、植えたまま放っておかない。

収益が雪だるま式に増える法則も示されます。続けていると、ある日突然売れ始める。これを、臨界点を超えた状態と呼んでいます。一度売れた商品は売れ続け、次の商品は前より売れやすくなる。ファンが増えるからです。

やることはシンプルで、つくることと、売ることだけ。

二つを同時に考えると、どちらも中途半端になる。だから、つくる日と売る日を分ける。それが合わない人は、自分のペースを決める。末吉さんは週に1回有料noteを出すと決め、うまく書くことより決めたペースを守ることを優先したそうです。

後半は、1年目から3年目の道のりです。1年目は種まきと発芽の時期で、発信を習慣にし、最初の商品でお金をいただく経験をし、最初のファンを見つける。2年目は、書きためたものを体系化し、形を変えて届け直し、独自の切り口へテーマを少しずつずらす。3年目には、意図してつくったのではないブランドができ、お金に込められた「ありがとう」の重みが変わっていく、と描かれます。

この3年間は、本が描く見取り図です。私はこれを、誰にでも同じ収入を約束するものとしてではなく、段階ごとに何を大事にするかの順番として読むのがよいと考えます。

第7章 「発信する人」だけが手に入れられる5つの特権

第7章は、続けた先で得られる喜びの章です。

冒頭で語られるのは、末吉さん自身の体験です。売上を倍にする目標を立てて、達成した。それなのに、思い描いた幸せは来なかった。むしろ、もっと稼がなければという不安が生まれたそうです。

メンターに「あなたは何のために、お金を稼ぎたいの?」と問われ、お金を自分の喜びより上に置いていたと気づく。まず喜びがあり、それがお金という形でも実る。この順番が章の土台です。

特権は5つあります。

1つ目は、等身大の自分がそのままで愛されること。人は強みで尊敬され、弱みで愛される、という言葉が引かれます。2つ目は、ライフワークが見つかること。特定のテーマを書くときに言葉があふれ、「あ、これだ」と感じる瞬間が来る。

3つ目は、「ありがとう」のお金が循環すること。ここでは本田健さんの『Happy money』が挙がります。受け取ったお金で自分や家族を喜ばせ、学びに使い、仕事を誰かに頼む。そこからまた新しい喜びが生まれる、という流れです。

4つ目は、人生を変える出会いです。

あなたの想いや価値観が、同じ方向を向いている人たちを引き寄せるのです。

出典:第7章「【特権4】人生を変える「人との出会い」が生まれる!」

5つ目は、想像を超える未来。言葉にすると、ぼんやりしていた未来がはっきりしていく。共感した人が、新しい可能性を運んでくる。心の中にある「最高だな!」を素直に言葉にしてほしい、という呼びかけで特権の話は終わります。

どの特権も、続けた人に必ず起きる約束として読む必要はありません。末吉さんが見てきた景色として受け取るのがよい、と私は考えます。

おわりに 発信がもたらす「新しいお金の未来」

おわりには、お金の流れの話から入ります。

普通のお金は、使えばモノやサービスが減っていく。記事は違って、一度書けば何度でも読まれます。セミナーの学びも、参加者の数だけ広がります。

使えば減る「消費型のお金」、増やすために蓄える「蓄積型のお金」と並べたうえで、発信のお金は「循環発展型のお金」と呼ばれます。ありがとうと自信が増えていく経済だ、という見方です。

最後は、7年前に初めて有料記事を出したときの話です。投稿ボタンを押すまでに3カ月かかったと書かれています。その小さな一歩が、人生を変える第一歩だった。

はじめにの3年後の場面と呼応させ、未来の自分がいまの自分に感謝する日へと読者を送り出して、本は閉じます。

実践編:今日、紙一枚から一人に届ける発信を始める

実践編の図。紙に好き・得意・続けてきたこと・最近の気づきを書き、短い文章にして一人へ届ける
図6|実践編の図。紙に好き・得意・続けてきたこと・最近の気づきを書き、短い文章にして一人へ届ける

ここからは、本の問いを借りて私が組んだ、今日の手順です。第2章・第4章・第5章の問いを、紙一枚に落としました。

用意するのは紙とペンです。紙を縦に4つの欄に分け、上に見出しを書きます。

  • 好き:時間を忘れて夢中になれること、誰かに話したくなること
  • 得意:よく聞かれること、「ありがとう」と言われたこと
  • 続けてきたこと:何年続けているかも添える
  • 最近の気づき:この一週間で「あ」と思ったこと

各欄に3行ずつ書きます。

一番下には一行だけ足します。第5章の「怖いけどワクワクすることは何ですか?」への答えです。

次に、気づきの欄から一つ選び、短い文章にします。長さは200字ほどで足りる、というのが私の考えです。書き出しは「最近、◯◯で気づいたことがあります。」で十分。完成度は、第2章の「8割でOK」に合わせて止めます。

そして、届ける相手を一人だけ決めます。その気づきが役に立ちそうな人です。送る文は、たとえばこうです。

「◯◯さん、最近◯◯について気づいたことを短くまとめました。同じことで迷っていると話していたので、よかったら読んでみてください。感想は一言だけでも嬉しいです。」

最後に、発信のホームベースを一つ決めます。決め方は第2章のとおりで、数字の伸びやすさより、自分が心地よく続けられるかどうかを見ます。

第4章の順番では、お金の話はこの紙の続きにあります。第4章はまず、お金のことを考えずにワクワクを洗い出す所から始まります。そこから相手の喜びを探し、百円の記事のような小さな形で出して、読者の反応を見ながら提供を育てていく。今日の紙と一人への送信は、その洗い出しと、最初の反応をもらう所にあたると私は考えています。

よくある質問

よくある質問の図。発信の最初は第1〜2章、受け取る怖さは第3章、形にする手順は第4章、続け方は第5〜6章
図7|よくある質問の図。発信の最初は第1〜2章、受け取る怖さは第3章、形にする手順は第4章、続け方は第5〜6章

発信をしたことがなくても、この本は役に立ちますか?

役に立つと思います。第1章と第2章は、まだ発信していない人が踏み出せない理由から書かれています。スキルも届く人数も必須ではない、という前提に立っているので、始める前の人ほど読みやすい構成です。

本に出てくる収入の例は、目安にしてよいですか?

目安にはしないほうがよい、と私は考えます。例の多くは末吉さん自身やクライアントの体験で、同じ結果を約束するものではありません。本の中でも、数字の大小より、小さくてもお金が入ってくる流れをつくることが大切だと書かれています。金額より、順番と考え方を受け取るのがおすすめです。

お金を受け取ることに抵抗があります。どこから読めばいいですか?

第3章からで大丈夫です。缶コーヒーのたとえから始まり、罪悪感を手放す勇気、受け取る気持ちが変わっていく段階まで、抵抗そのものを扱っています。読み終えたら第4章のステップ1に進むと、お金のことを考えずにワクワクを書き出す所から始められます。

7ステップは全部やらないといけませんか?

一度に全部やる必要はないと思います。第4章は順番に意味があり、ワクワク、過去の宝物、相手の喜びの順に積み上げてから、ウリや商品の話に進みます。最初は、ステップ1と2の書き出しだけでも始めた意味があります。

まとめ

まとめの図。好きと得意、過去の経験、日々の気づきを文章にし、言葉を待つ一人へ届けて育てる
図8|まとめの図。好きと得意、過去の経験、日々の気づきを文章にし、言葉を待つ一人へ届けて育てる

この書評の締めくくりに、末吉宏臣さんのこの本から私が一つだけ持ち帰るものを書きます。発信は大勢の前に立つことより、言葉を待っている一人に届けることだ、という一点です。

お金の話も、7ステップも、続けるための心の扱い方も、その一人から始まります。必要なのは小さな勇気だけ。

画面の向こうの一人の顔を思い浮かべて書く。それがこの本の入り口だと、私は考えます。

末吉宏臣『発信をお金にかえる勇気』の表紙

発信をお金にかえる勇気

気になった章から、手に取って確かめてみてください。

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COLUMN

同じ志の仲間に、気づきを手渡すために

2019年のプロフィールの「目下の私の課題」の欄に、私は願いを並べていました。その中に、こんな一文があります。

コラムの図。2019年の願いとして、同じ志の仲間と語り合い、新たな気づきを伝えて巡らせる
図9|コラムの図。2019年の願いとして、同じ志の仲間と語り合い、新たな気づきを伝えて巡らせる

『集客・営業・仕入・施工・経営力アップを共に目指す加盟店を47都道府県全てに広げ、同じ志の仲間と出会い熱く語り合いたい!』

同じ欄には、こうも書いています。

『衣食住あらゆる業種業態の中で共感できる人脈を広げ、新たな気づきを自社ネットワークに伝えたい!』

第7章の、想いや価値観が同じ方向を向いている人を引き寄せるという話は、この二つと重なります。2019年の私は、語り合うことと気づきを渡すことを、起きたことではなく願いとして書いていました。

ここからは別の場面です。2026年10月14日の魂磨きで、前日に全力で提供しようと思った先の人をどう捉えていたかを聞かれ、答えた言葉の一部です。

私の記事より(アシュラ会員サービスと分身AI講座の領域が重なる気がして、私がコンセプトの違いを見直した話・第6節)

ワクワク凸凹ありのままなグループ

これは実際の集まりではなく、提供の先に思い描いた言葉です。2019年の「同じ志の仲間」と並べると、凸凹ありのままという言葉が入っています。私は、同じ方向を向くことと、同じ形であることは別だと考えます。凸凹が違うから、一人の気づきが別の人には新しい気づきとして届く。2019年に願った気づきを伝えることも、違いを持ち寄る輪の中で生きると私は考えます。

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